GOMISTATION-α

気楽な秋


20190817184930

これは石田くんが西宮に会おうとするのを、妹・結弦が妨げるシーンです。大したことないカットに思うかもしれないけど、すごく良いシークエンスでした。

簡単に整理すると、
ポン寄り+ACつなぎ→足元のカットへ

演出技術的には、なんていうことない2つの組み合わせです

やや不安なところがあったので、ポン寄りをもうちょい調べました。ポン寄りの基本原則は、ロング・ミドルショットから、クローズショットになる、ということです。つまり、ポン寄りするときに「カメラと被写体の距離に大きな差が生まれること」が重要だとおもう。

各ショットについてはこちらのサイト様を参考に
◆ ビデオ・写真撮影入門 「構図の基礎・その1」各ショットとアングル

ショットについては定義や種類がブレるので、まあ参考程度で

ロングショット:キャラ米粒くらいで、背景が画面のほとんど
(ミドルショット):キャラ全身入って、背景と半々くらい
(バストショット):キャラの胸から上くらい
クローズショット:キャラの顔が画面をほとんどを占める

キャラと背景の比率で抑えるのが客観的でいいかなあと。まあ大体でいいです、本当に



実例


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.41.12_[2019.08.18_17.08.15]
これはロングショット



[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.59.19_[2019.08.18_17.13.33]
これはクローズショット


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.41.35_[2019.08.18_17.12.53]
これなんかは、微妙だよね。バスト~クローズショット
キャラメインだからクローズショットと言い切ってもいいけど


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.44.20_[2019.08.18_17.13.09]
これはミドル~バストショット



じゃあ冒頭の結弦くんのショットはというと、


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.35.43_[2019.08.14_02.09.49]

バストショットですよね


ここからのポン寄りの典型的なパターンは、結弦くんの目元・口元に寄ったりして、最初に述べたとおり、「被写体とカメラの距離の差」を大きく出す。だけど、ここでは西宮にカメラがいくんですよ。これが珍しくて面白かった。

20190817184930

なんでかっていうのは、とうぜん石田くんの主観視点だから。扉が閉まって行く中、西宮を目で追いかけてしまう。急いで追っているので、カメラは左に少しPANしてるわけです。あと、ACつなぎっていうのは、キャラの行為を切って複数のカットにして繋げることです。ここでいうと、「結弦くんがドアを閉めること」をわざと切って、2カットにしている。

とても小気味よいのは、それまでずっと石田くんの主観視点だったのに、3カット目でいきなり足元を映すところです。客観的なローポジションのカメラは日光もなくなり、拒絶されてしまった彼の心情を伝える。良いシークエンス。

2019夏アニメ、制作:david production

エフェクト作画監督は佐藤由紀さんというベテランの方
おそらく相当に色が出ているのだろうけど、それは炎炎ぜんぶ見ないとわからんちですね。


★★
20190815135403

佐藤由紀作画(※推測)

03話のエフェクト・ベストカットはここかな。悪魔くんの家が燃やされている過去回想シーン、モノクロと透過光だけで、ここまでの悲惨さ・無残さを喚起する。火の周りが速く、逆に黒煙はゆっくりと立ち昇る。溶けていくように映るのは、家全体が炎でゆらめいているからですね。

煙のディテールはクリームパン系ですね。クリームパン系ってなんだよ

クリームパン系

囲った形がクリームパンに似ている、それだけ

エフェクト作画をどう捉えているのかをよく聞かれます。エフェクト作画は個人によって、ディテール(爆発表面の模様だったり、煙のカゲの形だったり)に特徴が出やすいので、そういったところを個別に分けて考えている。



ライダーキック★
20190815135435
ショックコマ→着地→ショックコマ→爆発

佐藤由紀作画(※推測)

色の動きによって、フォルムや爆発の回転を表現。これが新興エフェクト(1*)作画の特徴です。だから、従来のフォルム基調よりも形の幅は広がりますね。うまい人じゃないと、途端にダメになっちゃうだろうけどなあ。新興エフェクトは、柿田・上妻作画の影響が大きい。

1*・・・近年散見される、従来のエフェクト作画とは異なる形によって写実さを表現しようとする作画の呼称。「WEB系」「系系」とかありますが、あれらは定義がややこしいので個人的に作った。

この白クロス光っぽい白とBL黒のショックコマ、もう中村豊クロスショックと名付けていいと思う。ゆたぽんクロスショックとか。現行アニメで見ない日はない。

僕のヒーローアカデミア25話」でも考えたように、こういうグラデーション・テクスチャ?はどんどん普及してきている。単色で塗り潰すと工夫・労力の割に、画面から浮いて見えてしまう。そこを改善するためのものなんでしょうね。今は爆発だけですが、そのうち煙にも使われるようになる。



20190815135532
透過光→ハイライト

この辺も従来の感覚とは大きく異なっている作画。いちおうですが、語弊なきように、「良し悪し」は言ってません。最初の透過光は分かるんですが、その後にハイライトによって高温表現するのが斬新です。

この辺、ややディテール違いますが、佐藤由紀さんの修正は入っているかも。というか、2つの衝撃波と破片めちゃくちゃうまい。なんなら爆発より良い。手前のCG煙はここまで大きいと少し爆発が映えないかも、レイアウトとして。微妙なところ。




20190815135548

破片の舞い方・壊れ方がいい。小さい破片と中くらいの破片の2つで動かしてますね。大きいのはあんまない。小さい破片が連なって動くのが良いんですよ。風を感じる。




─京アニ事件のあおりを受け、炎炎ノ消防隊3話はその週では自粛という運びになりました。まあ、しょうもないことです。タイミングは悪かったですが、これはフィクションですから。東日本大震災の影響によって、今でも津波を描いてはいけない風潮がある。ヱヴァ破には見事な波カットがあるのですが、放映されるときには毎回カットされる。これは簡潔に言うと、「雰囲気」による表現の規制・縮小ですからね。そんなもので表現が狭くなっていいのか。

地震そのものの悲惨さとは別に映像美は確実に存在する。だけど、地震なんて、そもそも企画にしてはいけない。原発を描いてはいかん。じゃあ、今度はそれが放火になるのか?と。それは、現実のクソ犯罪や天災に屈したことになるのではないか。現実とフィクションは、果てしなく分けて考えるものです。それが理性です。現実のイメージを塗り替え、乗り越えるのが表現と信じています。

エヴァ8話の増尾作画記事のときに、エフェクトアニメーターの村木靖、鴨川浩の特徴をそこそこ調べたので、ついでに載せておこう。



<村木靖の煙>

村木靖-エフェクト-煙001
(※参照画像はすべて「劇場版パトレイバー2」より)

村木煙の特徴は一言でいえば、「ミルフィーユ」のような層です。簡略図で描いているように、基本的にたくさんの円が微妙にずれて全体のフォルムを形どる。その結果、まるでミルフィーユのように、何重にも層が映る。これが大きな特徴、今も変わらない特徴です。もう一つの特徴として、「光源重視のカゲ」です。光源をとても重視されていて望遠だとほとんどカゲは下側なのですが、近い爆煙・広角カメラのシーンだと、左画像のように上側にカゲがつくこともある。まあきわめて写実的ですね。





さて、次は鴨川浩へといこう(※ちなみに、かもがわ「ゆたか」である。そこそこファンなのに、ずっと「ひろし」と読んでいた)。

「コードギアス」で一躍有名になったエフェクトアニメーター。「舞い上がる破片(※爆発した瞬間に、破片が上に飛んでいく)」が有名だが、煙にも特徴があるので見ていこう。



<鴨川浩の煙>

鴨川浩-エフェクト-煙001
(※参照画像はすべて「新世紀エヴァンゲリオン」より)

簡略図1のように、「クルミ・ディテール(※模様を指して)」を使うことが多い。全体のフォルムがあって、そこにディテールを入れ込んでいく感じ。膨張面の表現でしょうね。これじたいは多くの人が使う。次の方が大きな特徴です。もうひとつは、彼の煙には「トゲトゲ煙」があります。簡略図1、2ともに、オレンジ部分がありますがこれです。丸っぽい煙のそばに生やされることも多い、どちらかというと付随的な煙。画像だと右ですね。これは衝撃の表現だろう。この衝撃表現は使う人が少ないなあという感じ、爆発でもよく使います。


お二人ともに、もうベテランの域ですが、まとまった文章や記事が本当に少ない。特徴や構造の整理として、自分も上げていなかったので少しまとめておく。

↑このページのトップヘ

©GOMISTATION 2012-2019 All rights reversed