GOMISTATION

足が絡まっても、踊り続けて

「進撃の巨人」は、2010年代どころか、21世紀を代表する漫画になるだろうなと半ば確信している。




同系統、未知なる力・強大な力へと挑む「亜人」「モンキーピーク」「自殺島」なども十分に面白い作品である。しかし、これらは、ある種、キャラクターの行動が完璧すぎる。きちんとキャラクターがそつなく動き、そつなく失敗する。別にこれらの作品を貶める意図はないが、どこかしら、完璧さが際立つ。そこが、進撃との最も大きな違いである。

進撃の巨人は、どこか不安定さを含んでいる。エレンを想いすぎ、間接的にリヴァイを傷つけてしまうミカサ。アルミンを助けたいがばかりに、上官に刃を向けるエレン。不完全で不安定な感情や雰囲気を背負った、この作品は、そのおかげで、リアルなものとなっている。

感情によって揺り動かされ、時には成功し時には痛手を得る。こういったものは説得力を増す。ついぞ、エルヴィンは、自分の仮説を検証したがっていた。地下室への渇望があった。一度こそ揺らいだものの、リヴァイの説得により、戦場で死ぬ。

このような葛藤こそが、リアリティあふれる描写であり胸踊る要因ではないか。また、これが正しいと思われる選択がないのがいい。寄生獣も、正しい選択などない中で、選択を迫られ決断をする。失敗したり、後悔したり、嬉々と喜んだり、成功したり、人生そのものの本質が選択であると突きつけられているようだ。

不安定さ、未熟さ、不完全さ、こういったものを含んだ等身大のキャラクターの動きは、身近なものだ。身近なものはリアルさを醸し出し、そのリアルさが説得力を生み、説得力が没入のきっかけとなる。ああ、よく考えてみれば、エヴァなんて、その典型ではないだろうか。1ページで心踊る作品など、今しばらく見ていなかった。

「ナディア」~「帝都物語」あたりの、1990年代前後は増尾作画の過渡期です。この時期は、過渡期ということもあり、さまざまな工夫が見て取れて面白いんですよ。パートは全て推測。



■帝都物語(OVA/1991)01.03.04話


01話:崩れ行く建物1
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01話:崩れ行く建物2★★
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この時期の代表作は、「ナディア」「クラッシャージョウ」など。で、この頃の増尾作画の特徴といえば、『デコボコ平面フォルム』と、『クワガタ・ムーンライン』の2つです。なに分からないと。21世紀の義務教育ですよ、ご説明しましょう。



★増尾作画フォルム・ディテール比較図
増尾1990前後比較

特徴を要素別に分けると、
・輪郭と煙内部の色は異なっている(※輪郭と内部で色分けされている)
・煙内部のディテールに「クワガタ」のような模様がある
・煙内部の中心にカゲは、ほとんど付かない

この3点が、この時期の増尾作画(増尾煙)の特徴です。


さて、これらを踏まえて以下のgifを見てもらいましょう。今までより、ずっと深く、増尾作画を理解できると思います。


03話:家ぐしゃあ
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輪郭と内部は線で分けられており、煙内部にはカゲが付いていない。これでは平面的になってしまうはずなのに、立体感がある。なぜか。それは、これら平面的な煙を何層にも重ねているからです。オーガス以降、増尾作画の根幹をなしている部分です。



もう一つの主な特徴として、「爆発を2段階に分ける」というのがあります。

03話:大仏ドカン
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最初は遠方で爆発させておきながら、あるていど時間が経つと急に目の前で爆発する。カットの終わりで、5枚ほどでドカドカと爆発するんですが、これも大きな特徴です。「ガンスミスキャッツ」「トップをねらえ!」などでも散見される。



03話:龍内部での爆発(※推測)
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ディテール少なく、丸いフォルムのハイライトが入っている部分が重要。ぶっちゃけこれは微妙ですが、急速に伸びていくタイミングが増尾作画っぽい。


03話:ドッカン半球ドーム爆発 ★
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増尾作画では、半球ドームがときどき(「彼氏彼女の事情」「旧劇」「RE:キューティーハニー」など)見られます。ディテールが少ない半球ドーム爆発は、タイミングが大きなポイントとなる。膨らんでから目の前に迫るまで、そのタイミングのセンスが光る。



04話:墓ビーム
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04話は本当にさっぱり分からんかった。まあ、可能性があるとしたら、この辺でしょう。ナディアで見せたビームの膨らみ方/しぼみ方と似ている。あとはスミアのような、増尾(中野)フラッシュも判断材料ですが。ここでなかったら、瓦が浮きあがっていくところかもな~


「帝都物語」は豪華原画による作品ですので、やはり見極めるのが難しかった。特に、庵野合田松尾増尾が参加している話数は嬉しい一方で、判定のときには困ってしまうような。まあ、パート判定なんて正解することが目的ではありません。パート判定を通じて、その人の作画のどこに一体魅力があるのか、それを知ることが目的です。パートの正否はあまり重要ではないのです、間違っていたら直せばよいだけですから。「帝都物語」で増尾作画の別側面を知ることができた、それが作画のもつ楽しさの一つであります。

「ドラパン」「学校七不思議」あたりについて、述べておきたいとおもう。子どもの頃は、ドラ映画ばっかり見てたんですよ。これまた作画が良いんですよ。




■ドラミ&ドラえもんズ ロボット学校七不思議!?(劇場/1996)


ドカンドカン ★★:佐々木政勝(※推測)
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反動を利用して脱出するドラ・ザ・キッド。空気砲の煙がいったん広がってから細く伸びることで、奥行を出す。ラストの方の煙のタイミングなんかと比較してもらえれば、いろいろ分かると思います。



自由の女神ドカン:佐々木政勝作画(※推測)★
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これなんかも面白い。急速に広がった煙なので、外側の煙が内部へと戻っている点に注目して見てもらいたい。あとは、まあ佐々木政勝作画に共通しているんですが、ワシ爪のようなカゲを多用します。これが彼の作画の最大の特徴。



手作りどら焼き ★★
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関係ないんですが、特に印象に残っていたので。膨らんだ後やや平べったくなり、その上に、あんこを注いで、上からもう一枚ぽんっと置く。湯気がいいんすよ、湯気が。






■ザ ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!(劇場/1997)



崩壊と中身の登場 ★★:佐々木政勝(※推測)
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上部で建物が破壊されて中身が剥き出しになる。良い煙ですね、カゲ2色で立体感マシマシ。瓦礫が落ちていくときの煙は、瓦礫に引きずられるように伸びていく。


ドラえもんズ復活:佐々木政勝(※推測)
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この辺もタイミングが気持ちいい。広がるときは瞬間で、それから少し時間をかけてドラえもんズが煙から現れる。


ようやっと、佐々木政勝も少し紹介できました。佐々木政勝といえば、「咲-Saki-」「らんま1/2」における美少女作画も有名ですが、エフェクトも素晴らしいものがあります。ほぼカゲは1色なんですが、面白いことに立体的でダイナミックな爆発を書く。

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