最初に言っとく。原作知らなくてもいい、ガイナや庵野に興味ある人は見よう!!

アオイホノオ 公式サイト 
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最近といえば、監督不行届のあまりの出来の悪さに愕然として、「原作の良い部分が、出てねえじゃねえか」と喚き散らしたし、4年前くらいに大好きな漫画が3部作で実写化された時に、コマまで同じに撮りますと聞いて、一抹の不安は覚えながらも、そこそこな期待をして待った映画が駄作だったこともあったし、とにかく”漫画原作が実写化(アニメ化)されることには期待感など全くなく、むしろ恐怖感の方が大きかった。

そのため、島本和彦原作の『アオイホノオ』の実写化も「ふーんヤスケン庵野役なんだー」ぐらいのノリでガッツリ本気で見ようなどとは思ってもいなかった。だから録画もしてないし、番組予約すらしていないし、アオイホノオが放映される日を知ったのは、偶然に見たTwitterからだった。

まあ、原作ファンとして、また罪もない作品が傷つけられるのを見守ってやるかという傍観者の気持ちで、番組へ臨む。

お、「この話はフィクションである」を明朝でやってんじゃん。どんなにひどくても、ここだけは評価できるな~。なんて偉そうな視聴者でいたのだが、そんなのは瞬く間に消える。


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初っ端に、DAICON3の映像!?この監督分かってる!これはすごい!
 
21世紀といえども、よもや地上波で「DAICON3」が見れるなど、誰も予想できなかったであろう。

ここで分からない人のために解説しておくと、DAICON3(大阪で3回目の意味)という日本SF大会が開催されるとき、運営主体であった岡田斗司夫、武田康廣に依頼を受け、赤井孝美、山賀博之、そして庵野秀明を中心に制作されたアニメーションが「DAICON3」である。

■「DAICON3」


「DAICON3」の終了と共に、制作組織も解散される予定だったが、すんごいものが出来たので解散するのはもったいないと次回の「DAICON4」に向けて、正式に制作組織として作ったのが「DAICON FILM」である。

つまり、簡単にいえば、自主制作アニメである。赤井がキャラ、庵野がメカ・エフェクト、山賀は背景を描いたのだ。スゴイんだけど、そんなものが地上波に出るなんて予想も何も無かった。こんなことやれる監督が日本にもいたんだと、昨今相次いだ実写化の失敗を恨みつつも、ただただ画面にへばり付くしかなかった。


そしてお話が始まる。

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まずは焔くん(島本和彦)の、漫画分析から始まる。この自然な上から目線、若者の心理描写として原作漫画「アオイホノオ」はずば抜けているのだ。この「自分だけが分かっている」「自分の中にだけ王国がある」感じが、これでもかという風に原作まんまに出ている。主演の人は上手い。柳楽優弥さんだっけ、上手い。ナルシストというか、青年特有の傲慢なくせに打たれ弱い感じ、そういうもんの芝居が上手い。


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そして、焔くんが色々とあだち充について語った後、パラパラ漫画の授業が行われる。何十枚かで、動きのある絵を作って来いというもの。焔くんは、自信満々に描き上げ、友達に見せて自慢をするが、後ろの方で何やら騒々しい。なんだなんだと駆けつけると、 一人の男のパラパラ漫画がスゴイらしい。


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フィアットがパトカーを押しつぶし、ボンネットが上がりつつ、細かい破片が画面いっぱいに飛び散っているではないか。この精密な車のディテールと、破片の踊り具合、ボンネットの挙動、フィアットが飛ぶ感じ、どれをとっても衝撃的であったろう。それにしてもよく再現してある。


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そりゃ焔くんも、驚いてパラパラされる。原作漫画では島本和彦の嘆きが書いてあったが、「僕の描いていたのはパラパラ漫画にしかすぎない」と。そうなのだ、焔が自信満々に描いたのは、所詮パラパラ漫画であり、この男が描いたのは”アニメーション”になっていたのだ。


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これを描いたのが、「風立ちぬ」主演声優、庵野秀明。ヤスケンいい感じに庵野を演じてくれそうです。一応この後にも出てくるであろうから、ネタバレが嫌という方は見るのを避けてもらいたいが、これはダイエーの計算用紙に描いたペーパーアニメで、庵野秀明の作画のスゴさが分かると思う。


■「へたな鉄砲も数打ちゃ当たる!」「じょうぶなタイヤ!」庵野秀明(1979,80)


ちなみに、「へたな鉄砲も数打ちゃ当たる!」の方は、庵野が浪人生時代に描いたものである。すなわち19歳でこんなのを描いてたのだ。底知れないエフェクトの観察力には、今も驚くばかりである。



さて本題に戻ろう。こんなのを19やそこらで見たら、誰だって才能の差に驚き、自分の力の無さを嘆くだろう。

焔くんは、叫びながら学校内を走る。

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しかし、そこは青年。青年特有の謎ポジティブにより、「まだまだ俺には無限の可能性がある」とかバズ・ライトイヤーみたいなことを言い出す始末。原作通りにするにしても、大声を出して笑ってしまった。島本和彦漫画と言えば、大声を出して走るのが一種のお決まりでもあるが、実写化するとこんな面白いのか。


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そして、ここで後々のアニメ界を担う人材の紹介。山賀博之は言うまでもなく、ガイナの現社長。南雅彦はボンズの社長として今も奮闘してると思う。(※正直、さほど知らない)原作漫画の雰囲気そのままのキャスティングは見事の一言である。ただ「王立」のことを、広告会社か配給会社のせいで付けられた「オネアミスの翼」と呼ぶのはオタキングが怒りそうでもある。


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お話は、5分間のショートフィルムを班ごとに作るというものに進む。焔たちのチーム「なんなとくクリスマス」は、学生特有の軽いノリでフィルムを作ろうとするが、理想主義者な焔くんは怒りまくる。そんな適当じゃダメだろうと。


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結果、見るに堪えないフィルムとなってしまったが、学生時代のプロジェクトの進め方としては、岡田斗司夫曰くこれが正解らしい。「作品の完成」が何よりも優先されるのだから、確かにとは思う。まあそんな理屈は、焔くんみたいな若者には通用しない。焔の怒りは高まるばかりである。

ここら辺りも原作の感じはすごく洗練されて出ている。まあ細かいこと言うと、南に焔が突っかかるときはやりすぎのような気もするが十分許容の範囲内。


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そして山賀たちの班のフィルム。ウルトラマンを学生で作ったのだ。ちなみに僕は、DAICON関係では多分コレだけ実物を見たことがない。


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結果は、大ウケ。大した設備やお金もない中、素顔のウルトラマンを、色をつけたジャージとウインドブレーカー、胸のカラータイマー、本家の効果音を使用などの省エネ制作にもかかわらず、リアルに再現。「手法があったのに気付かなかった」と、焔の心はボロボロになる。


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「次は絶対感動させてみせる」という庵野の言葉を受けて、「絶対オレは感動しないからな!」と言い残し、また走る焔くんであった…
(※ちなみに焔のセリフは、ドラマオリジナル)


OPは金田っぽいコマ撮りで、これまた面白い。

■「アオイホノオ 比較動画」 


元ネタあるとはこれまた驚き。ラッキーマンは何となしにそうかもなあというぐらいで、ただ金田っぽくしてるだけだと思ってました。作画ファンが持ってる知識の有意義な使い方ですね。ちなみに判明してないパートの1個目は、「スケバン刑事」みたいな女性キャラっぽいっすね。二個目はガチガチのロボもんっぽい。まあ分からんわけですが。


まあこんな感じで、本当に面白かった。
決して、原作と構成や場面、セリフが一致してるわけではないのに、原作を100%以上実写化しているように感じるのは、時代背景を綿密に検証した美術や小物などのおかげだと思います。焔くんの机の感じ、雑誌の黄ばんだ感じとか、あの時代の女の眉毛とか、そういう細かいところをよく考えて作っているように感じます。原作とも比べて記事にしようかなとも思いましたが、そういや明日2話だし、とにかく見てもらおう精神で、1時間くらいで書き上げました。

ということで、タイトルに嘘偽りはございません。これは、21世紀数ある漫画原作の実写化においてベストと言っても過言ではない出来です。多分、焔くんの漫画とか漫画のコアなネタよりも、庵野のネタの方がよく出てくるように思います。(次回予告で、ヤスケンがもうウルトラマンの動きやってたし)原作では行ってないけど、DAICON4ぐらいまで行くんじゃないのかなあ。流石に無理か。

明日深夜(金曜深夜)2話放送。これは、見なきゃ損です。ガチで。


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