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まあ知ってる人がいるか分かんない作品ですが、これは僕の昔からのお気に入りでして、今回改めて観直してみると、そのすさまじい映像は変わらずでした。

ドラミちゃん ミニドラSOS!!! Wikipedia



まずはあらすじから。

時は2011年。子どもの頃の、のび太が勝手に未来デパートに注文した「ミニドラ」が間違って、のび太の子どもの「のびスケ」に届く。それからミニドラとのびスケたちは遊ぶが、ドラミちゃんに返還を求められる。パパ(のび太)がよく話す「冒険」をしたい3人はドラミちゃんから逃げて、ミニドラの力を使おうとするが…


そうなんです、2011年なんですね。ドラえもんが誕生する100年前。だから、ドラえもんがいる時代の便利な道具というのはまだできていないわけですが、確実に未来は進歩しているわけです。今作では、その未来感が的確かつ程よい感じに、随所に盛り込まれていて、とてもいいSFアニメになっています。いやあ完璧です。これは原作漫画がないオリジナル作品なわけですが、本当にすごい。

監督は、「おねがいマイメロディ」などで知られる、森脇真琴さん。最近だと、「ミルキィホームズ」で知っている方が一杯いるのではないでしょうか。ちなみに、2014秋アニメでも「デンキ街の本屋さん」で監修を務めます。久しぶりのシンエイ関連のお仕事ですかね。

原画は木上さんの他にも、林・東海林・藤田さんなど、シンエイ実力者揃いの作品です。




木上作画として有名なのは、のびスケのビー玉シーン。
(※これはソースなんでしょうか。当時のアニメ雑誌とかですかね)

ビー玉
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で、まああんだけ上手い木上さんが他に描いてないわけもなく。
ここらへんが木上作画じゃないかなあと。



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ラスト2個は純粋に良いと思ったので、違う可能性大ですが。上から2つは、エフェクトのあのスッと消える感じとかが根拠っぽい根拠です。木上作画(エフェクト)はまだまだ少ししか見てませんが、破片の多さが目に留まりました。なので、この辺もかなあと。



ガラス破壊
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破片だけでなく、割れた本体のガラス部分の描き方も非常に上手い。重力には沿っていない(と思う)が、のびスケたちから見た「重さ・怖さ」を上手く表現してる。おもたい動きはそのため。後は水のエフェクトが、地味にこれまた上手い。この水エフェクトは、水圧で耐え切れなくなってきての水なんですが、シャシャっとした感じが木上さんっぽいですよね。

木上さんといえば、芝居メーターの感じが非常に強いのではないでしょうか。「けいおん」「涼宮ハルヒの憂鬱」「Canon」とかそういう感じですもんね。特に、手の芝居がすげえ上手い。グッと押し出す手のひらの表現とか、手首の動きとかいいですね。





その他、ちょっと回りこみにも関係するお話を少し。

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ここでは、「迷宮プラネタリウム」という道具を使っているので、スーパーが迷路のように巨大になっています。 原作コミックで言うと、「ホームメイロ」と同じ(※ただしホームメイロの場合は、その迷路内部で道具が使用できません)。まあ、とてつもなく広くなっちゃってるわけですよ。広大に。それを描写するための、180度回転回り込み背景動画の使用だと思います。

これによって、のびスケたちの目線で、僕らも、スーパーの変貌ぶりを感じることができる。これが、のびスケたちが困っている様子を俯瞰でTBをやるだけでは、多分僕らは彼らを可哀想としか思えない。子どもは、もっとダイレクトに映像を享受するので、これはすごくいい表現手法だと思います。



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この180度回り込み前面背景動画はこれもありますが、それは上と同じような使い方です。のびスケたちが理解できる範疇を超えた、未知なるものに大しての驚きとか呆然とした感じを表現してる。 



後、面白かったのは、これ。

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1カット目では、「のびスケに見つかった」という部分を強調するために、スネ樹がのびスケに付けた「ミニ雷雲」に焦点が行ってるわけですが、2カット目では、瞬く間にのびスケに対するジャイチビ・スネ樹の恐怖心を演出するために、少し俯瞰のアングルになってるんですね(のびスケを大きくみせるため)。しかも、TBしながら、カットを割ってるので面白い。



これぐらいかなあ。後は、ドラえもん作品だけど、絶対ドラえもんが出てこないとか、そこは分かってる。今だと、「ドラ泣き(笑)」だから、こんな作品だと最後にドラえもん出しちゃいますよ多分。出てこないで、「想像に任せる」、ということの重要性は分かっている人は少ないので。


まあ総合すると、とても面白い作品なので、未見の方は是非に視聴してみてください。