増尾エフェクトの大区分として、
初期(81-85)、中期(85-88)、AKIRA本谷・王立庵野以降(87.88-95)、エヴァ以降(95-07)
http://royal2627.ldblog.jp/archives/39581116.html

というのを、以前、設定しました。
今回はエヴァ以降の時代、特に1998~2005.6あたりに関して少し整理したいと思う。

この時代は、山下系であった初期や板野系のまん丸なフォルムを取り入れていった中期など、他の時期に比べるとインパクト薄いんですが、今現在の増尾エフェクトの形をなす前身の時期であり、楽しいです。「アギト」の時期になるともう殆ど完成されだすんですけど、「エヴァ旧劇」とか「メルティランサー」の時はまだ固まってない。

おさらいをしますと、この時代は、AKIRA本谷・王立庵野など立体的な煙を描こうとするムーブメントに影響を受け、それまでシンプルな球形であったフォルムが顕著に変化しています。具体的に言うと、ボコボコとした不規則なフォルムの煙。こんな感じ。

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(左:ジャイアントロボ 右:無敵王トライゼノン)

エヴァ以降の増尾エフェクトは、このようなボコボコとした不規則なフォルムになり、そのフォルムが小さくなったり、大きくなったりすることで煙の動きを作画しています。


今回は、このエヴァ以降の時代の一番特徴的な”フォルム”と”透過光”に分けて、ちょっと追っていきたい。


<1、フォルム(お団子煙)>

これは旧劇とルギアの比較でも述べたんだけど、あのボコボコ煙の中でもすごく一つ一つが立体的な球形で構成される、通称”お団子煙”です。

フォルム比較01
(増尾フォルム)

この時代の増尾エフェクトは、こういうフォルムで立体感を描写しようとしているのが多い。
ディテールはそれぞれ異なっていますが、一番外のライン、つまりフォルムの中心である輪郭線の形がまずボコボコしてるのが分かると思う。そんで、大小異なる球形をたくさん入れて作画してるんですね。これらをまとめて「お団子煙」とすると、分かりやすいのではないかなと。

ちなみに、全体のフォルムは橋本敬史に昇華されて、引き継がれているのではないかなあと思ったり。初期の橋本(「YAMATO2520」とか「ぼくらのウォーゲーム」とか、90年代後半あたり)とエヴァ以降の増尾のフォルムってすごいクリソツなんですよね、ホントに(※これについてはあんま聞いたことないから、常識レベルなのか分かりませんが…)。2人が一緒に参加されてる作品もそこそこ多いので、パート判定の時に苦労する。これはなんか庵野増尾の関係に似てますね。



<2、透過光の整理>

そんで次、爆発の強い光を表現するために使われる「透過光」の特徴について。比較的、増尾さんは爆発本体(爆発の内部)に装飾的に透過光を入れるタイプではなく、強い光については大抵「白コマ」か「板野光」(『幻夢戦記レダ』などで見られる、クロス光の回転と複数の点を透過光で光らせる手法)で表現するほうです。

そんな増尾さんにも透過光、90年代後半~2000年代前半にかけては、ちょっと特徴があって。次の図をご覧頂きたい。

透過光比較01
(増尾透過光)

こういう感じ。ほぼ全面の透過光が弧を描いて、その上に煙が乗っかっている。透過光の動きに合わせて、煙も一緒に動いていくという感じですね。簡易図を用意しました。サザエさんとか言ったら殴るぞ。

増尾90年代後半の特徴

(増尾透過光:図1)

こういう感じに巨大透過光の上に煙がくっついて、一緒に連動するみたいな。まあちょっとgifで見てみましょうか。

■劇場版ポケットモンスター ルギア爆誕(2000)
20150730005731


■YAMATO2520(1994-6) 01話
20150825012057


こんな感じに透過光を使います。どっちもタイミングがいいですよね。すごく膨らんだところで一回止まって、タメを作ってから加速する。これもまた、増尾エフェクトの特徴でして、急制動・急加速のタイミングが面白いんですよね。初期らへんの橋本爆発との比較もいつか出来ればイイナー。そんな感じで終わり。