うますぎてビビった

■あたしンちOP01「さらば(2002-05)」



・バスに向かって走るみかん
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・同アップ
OP01-Z

こういう奥行きある広角カットでは中々芝居させづらい。
みかんが友達かだれかと話してサヨナラする、その芝居を一つも欠けることなく描き切っている。手を振りながら友達の顔を最後まで見てサヨナラをするまでは笑顔でいるんだけど、バスに乗り込む段階になると途端に切り替わり真顔になる。乗り込む寸前にバスの乗降口に視線を向けている様なども細かい。なんという感情表現のリアルさ。


・バスに乗ろうとするみかん
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ここは、バスの階段を慎重に上がるみかんに注目だ。
バスというのは段差を上がったら、(次の乗降客がいるので)すぐにスイカなりICカード・定期を出さねばならない。ある種少しプレッシャーのかかる場面である。その上段差は意外と高く、気をつけなくては転けてしまう。

このみかんは、その段差に注意を払いながらも、スイカを出すことも念頭に置いているのが分かる。段差を上がったと同時にリュックの背の部分のポケットに手をかけてスイカを取り出そうとしているので、一段上の左足に重心がかかっているのが分かる。やや慌てていたために、スイカの取り出しが遅れこのような「ぎこちない体勢」になっている。この表現力は異常だ。



・ベンチに座って携帯を取り出す人
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このベンチ作画は、左手に注目してもらいたい。
携帯を鞄の中から取り出し不安そうな面持ちで見るというだけの一見地味な芝居だが、この不安さを押し出しているのは実は表情よりも左手である。このカットでは一貫して左手はだらんとしており、弱々しさを感じさせる。

また、鞄の中でゴソゴソするという腕と手を描くのも上手い。鞄からただ単に携帯を出すだけではなく、どこにあるか分からない携帯を手の感覚と目で探し当て、底の方から他のモノを押しのける形で引っ張りだしているのが分かる。鞄の変形と元の形に戻っていく動きも見事の一言だ。



各話の情報は綿密に記載されていたが、OP作画については自分が調べた範囲では情報がなく誰が描いたかは不明。長濱さんが絵コンテ・演出(但しWikipediaに記載されているのみ)でらしいのだけれど、作画まで担当されたかどうかは定かではない。情報求ム。

<参考文献>
『あたしンち』OP舞台探訪(ヒパイストの探訪メモ)
長濱博史-Wikipedia 
あたしンち-D2STATION