増尾作画いろいろ(1)/「ホンラン」「新海底軍艦」ほか


Q、次の増尾昭一作画は、何年代のものか。次から選べ


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1、1990年台後半(1995~1999)
2、2000年代前半(2000~2004)
3、2000年代後半(2005~2009)
4、2010年代前半(2010~2013)

わかるかな?











まあこれ正解は、3番です。2009年に制作された「仏陀再誕」なので。


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[仏陀再誕(2009/劇場)]

ポイントとしては、クルミ状(デコボコ)フォルムですよね。これは2000年代じゃないと確認されてないので、3、4までは絞れたと思います。あとはタイミングで3番と決まります。90年代は、もっとドカドカするタイミングなんで、こういった滲み出てくるようなタイミング、ゆったりとしたタイミングは、00年代にならないと出てきません。まあ、何度も言ってることなので耳タコだね。

あと、どうでもいいですけど、カルト団体が作ってる映画だから、みたいな偏見とかありませんよ。映像がすべてなんで。良いものは良いし、逆も然り。そこに根拠を求めたらダメです。カルトはカルト、映像は映像です。今掛さんの作画なんかが語られない理由はこの辺にありそうですけどね。



脱線しました。元の話に戻るお!
同時期の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」でも、似たようなエフェクトがあります。


[ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007/劇場)]
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クルミ状の煙、手裏剣カゲディテール


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見返してて思ったけど、手裏剣ディテールを重視して見ると、この辺も増尾さんっぽい
いやめっちゃ推測ですけどね、ここパート判明してましたっけ?




[セレビィ 時を超えた遭遇(2001/劇場)]
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1997年頃~2000年初頭はおそらく増尾エフェクトは2種類あるのかなあと。
基本的にはクルミ状の煙をフォルム全体で動かしていく、手裏剣ディテールがある。


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ただ、このカットの画面手前の煙のように、平面フォルムの煙もあるんですよね
「ガンスミスキャッツ」とか90年代後半な感じ(説明さぼり


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セレヴィ増尾すげえなあ
増尾フォロワーって聞きませんが、ショックコマといい、タコ足煙といい、エフェクトアニメーターはけっこうな影響受けていると言っても間違いではないと思ってまう


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このカットは、2000年代の増尾タイミングの基礎な感じするねえ!
(※ルギア、YAMATO2520でも似たようなカットがあった)
一発目の着弾は段階的にガッガッガと膨らむでしょう。これが特徴的な部分や



[バンパイアハンター The Animated Series(1998/OVA)4話]
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フォルムはまったく違うんだけど、タイミングがばっちりだったので
タイミングは動画とか見て感覚で掴んでIKEA
(※この辺のフォルムは「AKIRA」Cパートの戦車爆発と似てる)
よくやるパターンは、真ん中爆発→(白コマ挟んで)画面外からドカーン



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セレヴィと同じ時期なのに、平面的なフォルムでしょう。
これだから増尾の90年代ラスト~00年代初頭は難しいんだ

整理しときました

増尾特徴90年代後期

要するに、この時代は過渡期だった。

2006年くらい、「銀色の髪のアギト」までにフォルムが固まるまでに、おそらく2種類のエフェクトを使い分けて試行錯誤していただろう。そのへんが90年代末期の増尾作画の判断の困難さを生み出しているものである。「メルティーランサー」「ルギア爆誕」などでも見られるので、「この時代の増尾作画はこれしかない!」と断定するのがそもそも変。この時代には、2種類の増尾エフェクトがあった、ということなんだよねえ、多分。