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これは石田くんが西宮に会おうとするのを、妹・結弦が妨げるシーンです。大したことないカットに思うかもしれないけど、すごく良いシークエンスでした。

簡単に整理すると、
ポン寄り+ACつなぎ→足元のカットへ

演出技術的には、なんていうことない2つの組み合わせです

やや不安なところがあったので、ポン寄りをもうちょい調べました。ポン寄りの基本原則は、ロング・ミドルショットから、クローズショットになる、ということです。つまり、ポン寄りするときに「カメラと被写体の距離に大きな差が生まれること」が重要だとおもう。

各ショットについてはこちらのサイト様を参考に
◆ ビデオ・写真撮影入門 「構図の基礎・その1」各ショットとアングル

ショットについては定義や種類がブレるので、まあ参考程度で

ロングショット:キャラ米粒くらいで、背景が画面のほとんど
(ミドルショット):キャラ全身入って、背景と半々くらい
(バストショット):キャラの胸から上くらい
クローズショット:キャラの顔が画面をほとんどを占める

キャラと背景の比率で抑えるのが客観的でいいかなあと。まあ大体でいいです、本当に



実例


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.41.12_[2019.08.18_17.08.15]
これはロングショット



[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.59.19_[2019.08.18_17.13.33]
これはクローズショット


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.41.35_[2019.08.18_17.12.53]
これなんかは、微妙だよね。バスト~クローズショット
キャラメインだからクローズショットと言い切ってもいいけど


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.44.20_[2019.08.18_17.13.09]
これはミドル~バストショット



じゃあ冒頭の結弦くんのショットはというと、


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.35.43_[2019.08.14_02.09.49]

バストショットですよね


ここからのポン寄りの典型的なパターンは、結弦くんの目元・口元に寄ったりして、最初に述べたとおり、「被写体とカメラの距離の差」を大きく出す。だけど、ここでは西宮にカメラがいくんですよ。これが珍しくて面白かった。

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なんでかっていうのは、とうぜん石田くんの主観視点だから。扉が閉まって行く中、西宮を目で追いかけてしまう。急いで追っているので、カメラは左に少しPANしてるわけです。あと、ACつなぎっていうのは、キャラの行為を切って複数のカットにして繋げることです。ここでいうと、「結弦くんがドアを閉めること」をわざと切って、2カットにしている。

とても小気味よいのは、それまでずっと石田くんの主観視点だったのに、3カット目でいきなり足元を映すところです。客観的なローポジションのカメラは日光もなくなり、拒絶されてしまった彼の心情を伝える。良いシークエンス。