セバスチャン・ベッテル(33歳/ドイツ)
F1レーシングドライバー/現・アストンマーティン所属
※史上最年少ワールドチャンピオンを含む4度のチャンピオン(2011-2013)
「バーレーンでワクチン接種を受けるというオファーがあったけど、まだ自分の番ではないのでワクチン接種を控えさせてもらった」とセバスチャン・ベッテルは RTLnに語った。

「僕が使わなかったワクチンが他の誰にメリットをもたらすかどうかは分からないけど、僕にとっては原則の問題だ。ワクチン接種を希望する人はたくさんいる多くの人が待っているか
若い人は年配の人ほど危険にさらされていないので、自分の番になったときに接種しようと思っている

引用元:セバスチャン・ベッテル、新型コロナのワクチン接種の機会を断る
https://f1-gate.com/vettel/f1_61765.html

ここ近年、レーシングドライバーとしてはパフォーマンスを落としてしまっているベッテルだが、意見は明確だ。自分よりも年配者(重篤の可能性が高い)を優先する/して欲しいし、多くの人が待っているので、今は打てないという態度。




新谷仁美(33歳/日本)
陸上競技/長距離(3000m~10000m、マラソン)
※興譲館(岡山)の傑物
※10000m走の日本記録保持者、同競走の記録はアジア歴代5位
※新谷さんは陸上競技では知らない人がいないくらいだろうの怪物。とくに岡山・興譲館高校時代は「3年連続区間賞」という前代未聞の記録も達成。近年は故障してしまい一時は引退までもしたが、2018年から現役に復帰。2020年の競争において女子10000mの日本記録を叩き出した。

自分が打たないことで他の人に危険が及ぶのであれば打ちます。打ったことでの症状は異なっているので、そういう面では、正直なところ恐怖もある。症状がどう出るかは分からないので、打ちたくないなという気持ちはあります。アスリートにワクチンを打つのは、個人の意見ですが、どの命に対しても、大きい、小さいは全くない。アスリートだけが、五輪選手だけがというのは、私としてはおかしな話だなと思う。優先順位をつけること自体がおかしな話。国民であっても、五輪選手であっても、アスリートであっても、そこは平等に、どの命も守らないといけない。平等に考えていただきたいなと思っています」。

陸上新谷仁美「五輪選手だけ おかしな話だなと」 ワクチン無償提供に
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/athletics/news/202105080000596.html

オピニオン・態度はとても丁寧かつ明確
ワクチンに対して他人にへの感染という可能性があれば打つと明言。ワクチンの副作用に対する恐怖も実直に述べている。その上で、アスリート・五輪選手のみがワクチンを優先するのはおかしいと明確に発言している。陸上競技選手は、有森裕子の時代から意見をハッキリと言う傾向にありますね。




桐生祥秀(25歳/日本)
陸上競技/短距離走(100m、200m、4*100mリレーなど)
※日本人初の9秒台到達者
「高齢者の方が優先だと思う」とした上で「自分の意思のしっかりもってどこかで発言できるようにしたいと思います」
(引用元は新谷の項と同じ)

ご存知、日本陸上短距離界の星、桐生君
オピニオンを考えている中でも、丁寧に発言。高齢者が優先という態度。自分の意思を考えて明確にしたいという思いを発言する誠実さも垣間見える。陸上競技はハッキリとタイムが出て評価も決まるので、そういった点でこういうアスリートが多いのかもしれません。

短距離走は、正直に言えば、選手寿命がとても短いです。万が一感染した場合は、最盛期・ピークのパフォーマンスを発揮するのはほぼ不可能。そして、五輪が延期された場合でも、パフォーマンスの低下は避けられない。その中でのこの発言はぼくとしてはとても評価したい。立派としか言いようがない。




大坂なおみ(23歳/日本・アメリカ)
※全豪・全米オープン優勝者
英BBC放送のインタビューで新型コロナウイルス禍での東京五輪開催が適切かと問われ「正直、はっきりとは分からない」と答えた。「私は選手で、もちろん五輪でプレーしたい」としつつ「でも人間としてパンデミック(世界的大流行)の中にいる。人々の健康が脅かされ、安全でないと感じるのであれば、それは本当に大きな懸念材料となる」と話した。

 9日には記者会見で「人々を危険にさらし、非常に不安な思いをさせるのであれば、話し合いがなされるべきだ」と語っていた。

大坂なおみ、五輪への葛藤明かす
https://this.kiji.is/764723592532639744
冷静ですね
選手として:五輪でプレーはしたい
人間として:人々の健康が脅かされている中では懸念となる
この2つに分けてしっかりと意見表明をされている

その上で、不安な思いが解消されないのであれば、議論が必要だ、という問題提起までしている。完璧ですね。




錦織圭(31歳/日本)
テニスプレイヤー
※日本人最高の世界ランキング4位
※アジア出身として史上初のグランドスラム決勝に進出(2014)


前述の大坂なおみのインタビューの内容を受けて、
東京五輪開催について「(新型コロナで)死者がこれだけ出ているということを考えれば、死人が出てまでも行われることではない」と、疑問符を投げかけた。

錦織は、昨年8月に、拠点とする米フロリダで新型コロナに感染。味覚異常が続いた経験を持つため、「究極を言えば、(五輪期間中に)1人でも感染者が出るなら、気は進まない。コロナが患者が出ない時にやるべきかなとは思う」と強調する。

もちろん、「アスリートのことだけを考えれば、やれた方がいい」と、五輪出場が悲願の選手たちに理解は示す。ただ、「どのような話し合いが行われているのか、どんな(感染対策の)バブルができるのかが分からない」と、東京都や組織委員会から発信が少ないことに戸惑いは大きい。

錦織圭が東京五輪開催に疑問符「死人が出てまでも行われることではない」
https://www.nikkansports.com/sports/news/202105100001053.html



これは動画を見たほうがいいですね。日刊スポーツは要約もまともにできない。

かれは今イタリア国際に出ているわけです。「五輪には反対するのに、自分は大会に出てるじゃないか」とかトンチンカンな文句が出てくるのは分かりきっているわけで。その辺をまとめていない。

イタリア国際は選手100人ていどの小さな大会で感染防止を徹底したテストのような大会である一方、五輪では1万人規模の選手が世界各国から集まり、選手村で同居すると述べている。そこでバブル形式(*)の対策ができていたとしても極めて厳しいし、できていなければ集団感染が起きてしまうリスクは跳ね上がるだろうと。だから、今の日本(※医療逼迫、医療崩壊のような国民の健康危機)状況では、五輪開催は難しいのではないか。そこまでして、開催する意義とはなんなのか。そう述べていますよね。

(*)バブル形式の対策
選手を外界と遮断「バブル」方式、スポーツ大会に定着
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH252SM0V20C21A1000000/

選手および関係者の外部との接触を極力遮断する、という感染対策の形式を指します


新谷から錦織圭すべてに共通するのは、本質的な論点に絞って意見を表明していることです。アスリートが可愛そうとか、これまでの練習が無駄とか、辞退云々という枝葉ではなく、五輪開催もしくはワクチン接種について、いちアスリートかつ国民の立場として発言している。そこが議論を複雑化させていなくて良いですよね。とてもスマートな態度で意見発信をされている。

この取材の半分が海外(BBC)によるものというのも今のマスコミの機能不全を表しているんじゃないんでしょうか。本当は日本国内のメディアがやることですよね。情けない。



**なんかなあ|4/13
http://royal2627.ldblog.jp/archives/56642111.html


昨年述べた通り、やはり「意見・態度・オピニオン」を明確に出していかないとだんだんと信頼がなくなっていく世の中に変わりつつあると思います。沈黙や曖昧な態度をもってして、これまでは対応できていました。なにも言わないひとは、なにかを言う人に比べてリスクがありませんから。ただ、そういった人たちにもマイクが差し出される段階になってきた。もうなあなあな態度でいることは許されない。

いい傾向だと思います。そのときに意見をもっていなかったとしても、思考力と良識をもって、一つの問題についてトコトン考えること。そして、自分の意見を発信すること。もはやニヒリズムや事なかれ主義では解決できないと分かったからですね、そういうことがコロナ禍で判明してしまった。