エフェクトはもちろん、ここまでよくできたアニメーションは久々に見ました。驚きしかない。
さて、このアニメは、FPSゲーム「valorant」の世界大会の宣伝も兼ねた、公式のMVです。
*Die For You // 公式ミュージックビデオ // VALORANT Champions 2021
[valorantの前提知識]
*かんたんに説明すると、「valorant」は5vs5の爆発ゲームというものです。テロリスト/攻撃側はボム(爆弾/スパイク/C4;なんでもいいです、陣地を吹き飛ばすもの)を設置し起爆させれば勝ち。防御側は、それを解除すれば勝ち。そういったものです。このアニメーションでは、じっさいのゲームに出てくるマップ(スプリット)を用いて描かれています。
*それぞれのキャラクターは”レディアント”と呼ばれ、彼らは固有の能力(アビリティ)を持ちます。
グレネードからの広がる煙 ★

白黒ショックコマ→ダブラシ煙(爆風)+押し寄せる煙
ショックの発生タイミングも美しい。密閉された通路に広がった煙が、押し出されるように出てくる。抑えきれずに下から伸びてくるのが良い。
煙から抜け出る2人 ★★
ここが凄まじい(いや全編ヤバイんですけど)
右の女キャラ(セージ)はさっと抜けて、次に入った陣地のクリアリングを行う。よって、動きが速い。一方で、左の軍人(ブリムストーン)は煙の中から出ているので、後ろを警戒しながら、ゆっくりと入っていく。この”速度”の対比がすごい。
とくに、セージが抜けていくスピードが上手い。上手く言えないんだけど、勢いを増して画面外に消えていく感じが良い。

スコープで覗かれた後、

俯瞰アングルで、死角に逃げ込んだことを状況説明する
さらに遅れてやってくる男

褐色男(フェニックス)はジャンピングをしながら、陣地へと侵入する。
海外勢による制作ですが、日本的なリミテッドのタイミングを発揮している。受け身をとってからの着地が上手い。付けPAN(※キャラクターを追うようなカメラワークのこと)も非常に丁寧。
ダッシュ、そしてボムの解除へ ★★
(※防御側は設置されたボムを解除しなければ負け)
ダッチアングル+アオリ気味の広角レイアウト+付けPANカメラワーク
ここでアオリ+広角気味になっているのは、ボムとの距離が遠いことを表現するため。にしても、この歪めた広角レイアウトは美しい。階段を上がっていくところが区切られた感じになっているから、のように思う。
攻撃側の布陣:最強のライフル

1発でも当たると即死のライフルを持ちながら、待っている男(チェンバー)
マズル(銃口)が強調されていいですね~。チェンバーの顔が見切れてもいいんですよ。なにを強調すべきかよく分かっている。「これに撃たれたらヤバイ」、そういう明確な意図を感じる。
排莢された薬莢

なんだろうな、これセンスいいんですよ
排莢された薬莢が右奥に飛んでいくのは分かるけれど、ゆっくりと時間をかけて流れていくのがセンスいい。薬莢っていっつも早く消えちゃうんで、印象に残りますよね。
画面に収まらないエフェクト ★

ここまでは上品に画面内に収まっていた。かと思えば、画面に収まりきらない、炎を描く。あまりこういうことは言いたくないんですが、金田伊功・金田系作画のような感じがする。金田系作画というのは、「画面に収める」ということをしないんです。画面に収められない、そのことによって、エフェクトの大きさ・規模を表現する。それを海外勢がやってのけている。すごい。
氷に包まれていくセージ

手(部分からスタート)→クイック気味のTB(トラックバック)?
あっという間に、氷に侵食されていき顔が仰け反るセージ。氷の侵食タイミングが珍しい感じ。こう、全身を伝っていく感じではない。一挙に、考える暇も与えずに来る感じ。まあ後は、このアングルでやるのは単純に難しいとおもう。顔の立体を正確に拾わないといけないですから。
迫りくる炎と、ライフル ★★
画面左から広がる、フェニックスの炎は柱に到達した瞬間に爆発して大きく燃え上がる。この炎によって、視認がむずかしくなり相手(チェンバー)のライフルは外れます。
ライフルの弾はセージの左後方に着弾します。着弾して爆煙が発生してますよね。この爆煙の存在によって、画面/レイアウトがすごく美しくなっているんですよ。これは意図して設計されている。

そう、この画面はもともとダッチアングルで傾いている。柱と爆煙によって、セージを囲むように新しい「枠」ができているんです。これ、すごくないですか?スゴイんですよ。
ぼくが感じたのは、フルアニメーションで育った海外勢が、日本的なリミテッドのタイミングをことさらうまく使い、金田伊功のような発想でエフェクトを描き、面白いタイミングで煙の動きをCGでコントロールしたことの凄さ。そこに合理的な画面作り・レイアウト設計が加わると、もはや閉口するしかありません。多様な画面が、けっして猿真似ではない、画面が次々と展開されていく。
久々に、素晴らしいアニメーションを見ました。あまりうまく言葉になりません。
さて、このアニメは、FPSゲーム「valorant」の世界大会の宣伝も兼ねた、公式のMVです。
*Die For You // 公式ミュージックビデオ // VALORANT Champions 2021
[valorantの前提知識]
*かんたんに説明すると、「valorant」は5vs5の爆発ゲームというものです。テロリスト/攻撃側はボム(爆弾/スパイク/C4;なんでもいいです、陣地を吹き飛ばすもの)を設置し起爆させれば勝ち。防御側は、それを解除すれば勝ち。そういったものです。このアニメーションでは、じっさいのゲームに出てくるマップ(スプリット)を用いて描かれています。
*それぞれのキャラクターは”レディアント”と呼ばれ、彼らは固有の能力(アビリティ)を持ちます。
グレネードからの広がる煙 ★

白黒ショックコマ→ダブラシ煙(爆風)+押し寄せる煙
ショックの発生タイミングも美しい。密閉された通路に広がった煙が、押し出されるように出てくる。抑えきれずに下から伸びてくるのが良い。
煙から抜け出る2人 ★★

ここが凄まじい(いや全編ヤバイんですけど)
右の女キャラ(セージ)はさっと抜けて、次に入った陣地のクリアリングを行う。よって、動きが速い。一方で、左の軍人(ブリムストーン)は煙の中から出ているので、後ろを警戒しながら、ゆっくりと入っていく。この”速度”の対比がすごい。
とくに、セージが抜けていくスピードが上手い。上手く言えないんだけど、勢いを増して画面外に消えていく感じが良い。

スコープで覗かれた後、

俯瞰アングルで、死角に逃げ込んだことを状況説明する
さらに遅れてやってくる男

褐色男(フェニックス)はジャンピングをしながら、陣地へと侵入する。
海外勢による制作ですが、日本的なリミテッドのタイミングを発揮している。受け身をとってからの着地が上手い。付けPAN(※キャラクターを追うようなカメラワークのこと)も非常に丁寧。
ダッシュ、そしてボムの解除へ ★★

(※防御側は設置されたボムを解除しなければ負け)
ダッチアングル+アオリ気味の広角レイアウト+付けPANカメラワーク
ここでアオリ+広角気味になっているのは、ボムとの距離が遠いことを表現するため。にしても、この歪めた広角レイアウトは美しい。階段を上がっていくところが区切られた感じになっているから、のように思う。
攻撃側の布陣:最強のライフル

1発でも当たると即死のライフルを持ちながら、待っている男(チェンバー)
マズル(銃口)が強調されていいですね~。チェンバーの顔が見切れてもいいんですよ。なにを強調すべきかよく分かっている。「これに撃たれたらヤバイ」、そういう明確な意図を感じる。
排莢された薬莢

なんだろうな、これセンスいいんですよ
排莢された薬莢が右奥に飛んでいくのは分かるけれど、ゆっくりと時間をかけて流れていくのがセンスいい。薬莢っていっつも早く消えちゃうんで、印象に残りますよね。
画面に収まらないエフェクト ★

ここまでは上品に画面内に収まっていた。かと思えば、画面に収まりきらない、炎を描く。あまりこういうことは言いたくないんですが、金田伊功・金田系作画のような感じがする。金田系作画というのは、「画面に収める」ということをしないんです。画面に収められない、そのことによって、エフェクトの大きさ・規模を表現する。それを海外勢がやってのけている。すごい。
氷に包まれていくセージ

手(部分からスタート)→クイック気味のTB(トラックバック)?
あっという間に、氷に侵食されていき顔が仰け反るセージ。氷の侵食タイミングが珍しい感じ。こう、全身を伝っていく感じではない。一挙に、考える暇も与えずに来る感じ。まあ後は、このアングルでやるのは単純に難しいとおもう。顔の立体を正確に拾わないといけないですから。
迫りくる炎と、ライフル ★★

画面左から広がる、フェニックスの炎は柱に到達した瞬間に爆発して大きく燃え上がる。この炎によって、視認がむずかしくなり相手(チェンバー)のライフルは外れます。
ライフルの弾はセージの左後方に着弾します。着弾して爆煙が発生してますよね。この爆煙の存在によって、画面/レイアウトがすごく美しくなっているんですよ。これは意図して設計されている。

そう、この画面はもともとダッチアングルで傾いている。柱と爆煙によって、セージを囲むように新しい「枠」ができているんです。これ、すごくないですか?スゴイんですよ。
ぼくが感じたのは、フルアニメーションで育った海外勢が、日本的なリミテッドのタイミングをことさらうまく使い、金田伊功のような発想でエフェクトを描き、面白いタイミングで煙の動きをCGでコントロールしたことの凄さ。そこに合理的な画面作り・レイアウト設計が加わると、もはや閉口するしかありません。多様な画面が、けっして猿真似ではない、画面が次々と展開されていく。
久々に、素晴らしいアニメーションを見ました。あまりうまく言葉になりません。