マイルの女傑・グランアレグリアの春秋マイル(安田記念・MCS)2連覇を阻止したのは、予想もつかない馬だった。2020年は不調に陥り、2021年の始動戦(※中山記念を予定していた)も体調不良で出走辞退。終わった烙印を押されたホースは、それでも、安田記念に出た。



ゲートを出ると、中団から折り合いを付けながらの競馬。川田jが促すと4コーナーから外に持ち出し、父親譲りの末脚を見せる。大外からインディチャンプ、ダノンプレミアムなどを差し切った。後ろからはグランアレグリアが猛追を見せたが、アタマでの勝利。かれはその日ターフを1番で駆け抜けた。まさしく王にふさわしい馬名のとおりだった。ダノンキングリーだ。

取りこぼしたG1は少なくない。大阪杯、ダービー…2000mが得意なはずであろうに不可解なローテーションも重なり、香港マイルでのラストランに終わった。不完全燃焼は拭えない。これは子どもたちに託すしかないのだ。

社台SSでの種牡馬が決定したとき、正直、驚いた。社台SSというのは、基本的にG1タイトルを何個も取っていないと入れない種牡馬の場所。わかりやすい画像があるので貼っておこう。

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アグネスタキオン、キングカメハメハ、ディープインパクト、トニービン、マンハッタンカフェ…
このレベルなのだ、改めてやはりスゴイ馬なのだ。キングリーは。

僅差ではあったが、皐月もダービーも取れなかった馬が、入れるとは思ってもみなかった。逆にいえば、早くからそれなりに走ったことが評価に繋がったのだろう。

ぼくがかれに一目惚れしたレース、共同通信杯(東京・芝1800m)では前目につけて32.9秒の末脚を見せつけた。皐月賞(中山・2000m)は先行して、さらに上がりも使って僅差の3着。ダービー(東京・芝2400m)はクビ差の2着。この早い仕上がりは評価されてしかるべきだ。

さらに秋・初戦、毎日王冠は古馬(※4歳以上の馬を指す)との初対決にも関わらず、後ろからアエロリット、インディチャンプを直線一気で差し切る競馬を見せる。その後は、不可解なローテーションと大阪杯の逃げ(3着)によって、不調を余儀なくされる。5歳になっても、その脚は衰えておらず、安田記念でグランアレグリアを倒した。古馬になっても、すぐに走らなくならないこと。これも相当に加味されただろう。

新種牡馬ダノンキングリーがスタッドイン - NEWS
https://shadai-ss.com/news/stallion/news-3485/

極めつけは、半兄・ダノンレジェンドの種牡馬としての活躍であろう。2歳戦から早く使えて、ダートの短距離を主軸に勝ち上がりも良い。社台SSでの初年度種付け料250万というのは、ダービーを取ったキズナ(現在は1000万)と同等である。

でも、やはりもう一度かれの走りを見たい。かれの2000mを見たい。秋天を見たい。それは叶わぬ願いなのだ、悲しくとも、やはりこれは現実なのだ。だから、かれはもう走れないけれど、かれの子どもに期待を託すのだ。お父さんの能力を証明してくれ、そう願って止まない。

ダノンキングリー、改めてお疲れ様。きみを見続けた、追いかけ続けた3年間はいろいろあったけれど、心酔した。きみに助けてもらった。生きてくれているだけで嬉しいが、いい子を出してくれるともっと嬉しい。