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FC2拍手コメ見てる 返すものには返す~

カテゴリ: カメラ・演出・カット


山田尚子といえば、小刻みで丁寧な省略コンテを切る、というのが一つのイメージになってきた。


「聲の形(2019)」でのワンシーン

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ここはとある映像を石田くんに見せるのが最も大事なところで、それ以外はぶっちゃけどうでもいい。だけれど、ほかの部分を無下に扱うわけではない。きちんと玄関から入り、おばさんい挨拶する。そういった段階を踏んでいるのが丁寧でいい。

1:石田の家に到着

おばさんに挨拶する

(石田の部屋に上がっていく)

2:屋根裏部屋の直前のはしご

3:カーテンシャッで石田の部屋に到着

(タブレットを取り出す動作)

4:ユヅル「極秘映像を入手した」;ここでもうタブレットを取り出している

5:石田(なんだなんだ)

6:机に置いて一緒に見る


こういう流れ。わずか6カットでここまで丁寧にできるのがスゴイ。大きな省略はないけれど、小刻みな省略、つまり、まあ必要なかろうという部分を的確に省略している。ユヅルが階段を上がったり、タブレットを取り出したり、という部分。

目的地は「とある映像を一緒に見る」にあるので、そこに向かって無駄なく、小刻みにカットを切ることでテンポを加速させる。けれど、突然ユヅルが石田の部屋にジャンプするみたいな、そういった大きな省略じゃないのが山田尚子演出の魅力の一つなのかな。丁寧だよね。


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「私の声ヘン?」の後のシーン。石田が「やってしまった!」という焦りで、スタンドを上げて(2カット目)自転車に乗る(3カット目)。見送りながら、いやいや言わなきゃと焦って自転車のリアキャリアを掴む西宮(4カット目)、急制動でびっくりする石田(5カット目)、西宮どしたん?の石田(6カット目)、止めたはいいがどうしようの西宮(7カット目)



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あまり説明いらないと思うがいちおう
こんがらがった感情でダッシュ帰宅(1カット目)、荷物ドサー(2カット目)、ベッドダイブ(3カット目)、なんかあったのか?と聞くユヅル(4カット目)、メールで返答する西宮(5カット目)、メールを見るユヅル(6カット目)、まじかよびっくりのユヅル(7カット目)

付け加えるならば、西宮を映す画面はベッドで落ち着くまで、ずっと動きっぱなし。ふだんの西宮とは違う、躍動的な動きがある(3カット目は俯角アングル)。一方、ユヅルは傍観しているので、客観的な水平アングルによって止まったままで描写されている。動と静の対比がいいよね。



小刻みなカット割りでテンポを加速させると、ギャップで止めのカットに没入してしまう。最初のワンシーンでいうと、映像を見るシーンに長い止めのカットがあるんだけれど、それに見入ってしまう。小刻みな省略はこういう点でも効果的に見える。ここが一つ、山田尚子演出の魅力の大きな一つであろうなと思う。




前々から気になっていた「ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2018)」をようやく見ました。自分の中では、佳作とはいいがたく良作どまりでしたが、きわめて強烈に残るシーンがありました(※全体が面白いかどうかよりも、そういうカットやシーンを見つけられることのほうが、映像作品を見る際にとっては良いことなのです)。


義手の描写
主人公・ヴァイオレットは戦争で両腕を失くし、義手を付ける。感情がない、感情がわからないということはきわめて表現しにくい。鉄で出来た義手を他人に見せるたびに、その場は少しざわめく。冷たく、近寄りがたい印象を与える。

精巧な義手は、感情とはまったく真逆の性質を持ちます。その場その場で心がゆらいだり、話したことが全て本心でなかったりするように、感情は不安定な存在です。一方で、精巧な義手はそういった不安定さはいっさいなく、ただただ命令どおりに、調整どおりに完璧に動く。

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タイプライターのために義手を調整するシーン
肘の可動部を開けると時計のような細工がある。調整部分を上に押し上げると、指の位置や動きが1ミリ単位で正確に変わる。精巧さを伝える。精巧さは「曖昧な感情」とは真逆ですので、ヴァイオレットが感情を持たないことを表すためには、この義手はなくてはならないのです。




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「知りたいのです、愛してるを」とひたすらに繰り返す彼女は、少しずつ、少しずつ、それを紐解いていきます。ヴァイオレットはいくつもの体験と手紙を綴ることによって、感情を、心を理解していきます。そうすると、精巧な機械である義手にまで変化は及ぶのです。



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諦めないという覚悟を、壊れて2本指になった義手に託す。右PANの勢いは覚悟の大きさであり、ヴァイオレットの感情が、まるで義手にも移ったように見える。


#13ー2
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全力を尽くした末、壊れた義手の部品が散っていく様は儚く美しい。もう二度と、誰も失いたくない、その決心が二度目の両腕の破壊へと結びつくわけです。だからこそ、このシーンは美しい。


作画は一段落ついたので演出の方を探っていこうと思う


氷菓(2012)5話
絵コンテ・演出:三好一郎(※木上益治の変名)

【全話までの流れ】
子供のころの叔父との会話が思い出せない千反田えるをきっかけに、45年前の学校そのものに何があったのかを奉太郎たちが推理していく。そして、見事に過去の出来事を暴き出した。しかし、えるたそ~は違和感が残っている様子。それが前話数までの流れ、つまり、5話は真の解決編です。




・姉から電話を受け取るシーン
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連続3カット

1カット目:受話器なめて後ろに奉太郎は小さく/広角気味/バストショット
2カット目:受話器を取る奉太郎
3カット目:姉からの電話とわかる/望遠/ロングショット

レンズの意識なんてのは木上益治の演出なら言うまでもなく、問題はそれをどう使っているかです。このシーンでは、1カット目に受話器を手前で大きく映し(「なめて」と言います)奉太郎を左後ろに配置させることで、受話器じたいがキーアイテムであることを主張している。

2カット目は普通のカット。奉太郎が電話に出る。目を引くのは3カット目ですねえ。姉からの電話とわかった途端に、このロングショット&望遠の画面。この異質さ。いつもと違った画面にするのにはなにか理由がある。ここは姉からの電話がめっちゃ重要やでっていうのを客観カメラで伝えるためですよね(主観・客観カメラはキャラ目線かそうでないかだけです、この区別が大事かな、と個人的に思っている)。客観カメラでやっている理由はぶっちゃけ分からん。奉太郎の主観を入れないようにするため?



・姉と談笑する奉太郎
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こういう分かりやすく誇張するレイアウトを木上さんは好きそうではある
家具とか家財の後ろから映すのが好みなのか、しかしキレイに収まっている



・姉から「カンヤ祭」が禁句であると聞いて考え込んだ後
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3カットAC(アクション)つなぎ

一連の行為をわざと切って、複数のカットに分ける技法をAC(アクション)つなぎと言ったりします。ここでは奉太郎が姉からの電話を受けて、自分の推理にはどこか不足しているところがあるのではないか、ないしは間違っている部分があるのではないか、ということで、追求すると決めたシーン。単純だけれど、奉太郎の覚悟が伝わってくる。



・序文を書いた本人は分かってからお前ら図書館いくどーのシーン
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連続4カット

1カット目は前述の通り、大きな棚の後ろから奉太郎たちを映す。画面をさらに絞って誇張する。んで2カット目ではいきなり、奉太郎の足へ。ここは奉太郎だけが序文を書いた本人をすでに知っている(さらにその本人が45年前の真相を知っているだろうことまで分かっている)、という部分が大事なので、他の無知な3人は目立ってはいけない。奉太郎だけ。「Just Hotaro.」

3カット目はその延長でやや引いた画面でパンアップしていく。後ろ姿を映すことでミステリアスな感じに。4カット目の目線なしも、そういう意図なんだろう。目線を消すことで、余計に彼の存在を目立たせる。


★関谷純の名前を聞いて、糸魚川(郡山)先生のリアクション
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ここバリ上手い
序文を奉太郎が渡して、糸魚川先生は書いた本人だと認める。んで、糸魚川先生は。奉太郎たちが聞きたいこと、それは45年前の運動についてという所まで察しがいった。ただ、予想外だったのは「関谷純」という名前が出てきたこと。それは予期していなかったんだろうと思う。2カット目、広角レンズで歪んでますよね。これは糸魚川先生の動揺を示したカットだと思う。糸魚川先生の声は明らかに動揺を隠そうとしている様子で、それが画面に滲み出てしまった。


ID: INVADED 公式サイト

NAZによる制作。数少ないオリジナルアニメ。監督にあおきえいを据え、キャラデザには碇谷敦(板垣敦)を採用。衆目を引いたのは、なんといっても脚本:舞城王太郎でしょう。「龍の歯医者」「ハンマーヘッド」以来のアニメ作品参加。なによりテレビシリーズにがっつりと参加するのはこれが初めて。


碇谷キャラデが目を引きますねえ
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リアルなお話に、すごくリアルなキャラデというのはそれだけで辛くなってしまう。碇谷キャラデぐらいデフォルメされているくらいが、少し遠目から作品を見れるんですよ。リアルなキャラデだと自己投影しすぎてしまう。それが分かってないから、「没個性リーマン主人公」みたいなキャラデが氾濫しているわけです。これはけっこう良い判断材料ですよ。お話はどっちにせよ、ダメなデザインだなってすぐに分かる。


1話のテーマは「欠損」だったので、ダイレクトに犯罪者の無意識って感じがして良いですよね。絵として良かったのは、圧倒的にAパート前半。

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三回ポンバック
同ポジから三回それぞれ引いた絵を作る。
レイアウトはこういうふうに連続して良いものが作られるときもあります。ラストカットはそれ以外も中央に枠が作られるように、物が配置されていて良い




やっぱり1話はここだなと
Bパートのぐるぐるパズル組み立てや、カエルちゃんから外れていく犯人のシーンも爽快感があっていいけれど、酒井戸が起き上がるところのシーン。ここが個人的には最も良かった。

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戸惑いや混乱だけならば絵で表現するのは大して難しくないですが、そこから落ち着くまでを描こうとすると一気に難易度が上がる。酒井戸の混乱~落ち着きまでの描写はそうとうに良かった。酒井戸がイラついて壁を殴る。当たらないはずの手が壁に当たっている、それに酒井戸が気付く。


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同じように足を救出する。バネの感じがいいんだろうなあコレ。足元がバラバラで不安定な世界に安心を与えてくれる。この一連の流れはスゴク良かった。


今回の主人公
ゴルシOP

まて競馬だからといって逃げるな、とりあえず下の映像だけでも見ていけ。


競馬ワープ

(※最後方の14番、白い馬に注目)

こんなん最下位やがな…と思うような最後方から、内田騎手の見事なイン付きによって、全馬ごぼう抜きで勝利を収める。名馬ゴールドシップの皐月賞です。競馬実況も「あっその内からゴールドシップ上がってきた!」と、予期せぬ展開によってリアクションが遅れている。競馬ではこういう映像がときどきあります。

競馬に詳しくない人はこの「ワープ」がよく分からないと思うので少し説明する。なんでこんなことが起きるのか?というのは、つまりは「カメラが追えていない・拾えてない」というだけですから。



<ゴールドシップとレースの状況>

・2000mのレース
・ゴールドシップはレース序盤から最後方で最終コーナーを迎える
・先頭とは30~35馬身差(約120m!
・人気どころの馬(ワールドエースらは外にいた)ので、内側に目線がいかなかった

全体図
ゴルシ皐月加工
(※水色が人気馬、赤色がゴルシ)




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※ちなみにウマ娘OPのゴルシはこの皐月賞がモデルレース


<使われているカメラ>
・馬群を映すロングショット用(ロングショット・カメラ)
・コーナーを映す固定カメラ(固定PANカメラ)の2つ

★18頭もいるので、レース終盤は人気の馬に絞ってカメラは追う

・基本的にロングショット・カメラで撮っている
・最後のコーナーでいったん固定PANカメラに切り替わってから、ゴール前の直線でまたロングショット・カメラに戻る。

要するに、2つのカメラ切り替え・カメラスイッチの間に、映せない場面が発生してしまう。映せない場面で起きたことが分からないまま、次のシーンへと移動して、そこでやっと起きたことが変わる。これがワープの原因です。

(※最近では、2018年の「チャンピオンズカップ」のウェスタールンドの例あり、これもすごかった)





で、この競馬ワープと似た現象は漫画やアニメでも時々起きるんですよ
このワープによって、テンポがいきなり変わる


五頭分の花嫁(5巻144-148頁)
※五月(右下アホ毛)に注目
ワープ-五頭分の花嫁01

ここはフータローの作ったテスト問題をみんなに渡していたら、ニノだけキレているシーンです。構造はゴルシ皐月賞とまったく同じです。ニノのひどい口ぶりや行動に、三玖は苛立ちを募らせていく。そして、ついにと思ったら、実は五月だった。そこに読者はインパクトを覚えるわけです。



ロングショット=全体カメラ
PANカメラ=寄りカメラと置き換えたら、わかりやすい。さっきのレースと構造は同じです。

さっきと同じく色で囲ってみると一目瞭然


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この2つのカメラの切り替えの間には、どうしても物理的なスキが生まれてしまう。カメラが捉えきれない部分ができてしまう。その部分から、キャラクターが現れることによって、唐突さを感じる。すると、虚をつかれて理解が遅れる。ここだと、三玖が叩いたかと思ったら、という感じですよね。最終コマの五月のインパクトで決めゴマになっている。テンポ記事では何度も書きましたが、やはり「ものごとの理解が遅れる」ことは、テンポに大きく影響します。

今回の新しい発見は、カメラの切り替えの際に生じる、物理的なスキを利用したテンポ演出技術です・・・と、ここまで書いてみたはいいものの、これアニメ、ドラマ、漫画問わずにめっちゃ見ますね!もう演出技巧として確立されているんでしょう。なんかあれな感じになってしまった。

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