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積み重ね

カテゴリ: カメラ・演出・カット


割りかし前の記事が好評だったので、続きをば



・闘牌伝説アカギ 〜闇に舞い降りた天才〜 (2005/TV) ED02
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ツモ牌の強調、こういうのが入るだけで、グッとテンポが良くなる



・鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST(2期/2009/TV) OP03
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2回寄り、「手放したくないのは~」で示唆と強調

ポン寄りというのは、まあ見てもらうと分かる通り、対象(牌や花)の強調をします。普通のズームやTUと違い、一瞬で画面が(少しではあるけれど)変わるので、ちょっとしたインパクトがある。





で、近年の作品で、好きなOPがあるんですが、それが上手くポン寄りを使っていた。

★ガッチャマンクラウズ(2013/TV) OP



はじめクルッと
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ポン寄り+ACつなぎ、画面を退屈にしない


ルイくんクルッと
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ポン寄りの引くバージョン、ポンバックとでも呼ぶか
(※「ポン引き」は風俗客引きの意味合いが強いので…)

ここでは背景を大きく引いて、相対的にルイくんを小さく見せている


47]52]
59]01]

こういった小刻みなカット割りが「ガッチャマンクラウズOP」には多い。ラプスや、カット割りの細かさによって、情報量は増していく。結果、視聴者は、ちょうどいい感じで理解が追いつかない。


着地
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QTB+ポン寄り QTBで画面が引き締まった後に寄る。この2カット上手いなあ



そんで、このポン寄り祭りの後に、次紹介するカットが来ると、異質に感じる。もっと正確に言うと、興奮する。

★OD腕ばさあ
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うつつちゃん見上げティルトアップ→クロス光→TB

撮影でガヤや雷を入れている以外は、ODのカットはTBだけ。なのに、すごく盛り上がる。ODかっけえなあ、強そうだなってなる。それは、おそらく、ここまで多用してきたポン寄りのおかげで、普通の技法が特別なものへと変化しているからだ、と思うんですよね。ここ一週間カレーパンだったのに、今日はカレーライスだ、なんか嬉しいみたいなノリ。


やっぱ、素晴らしいカットは何度見ても良いすね。このOPの印象が強く残っているから、12話のカッツェとのバトルも盛り上がり、カタルシスがある。ついに、変身するかODみたいな。
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バレバレだけど、もはや記事のネタは尽きている



そうだ、カメラワークでごまかしていこう
撮影とか用語とか、間違ってたらすまんの指摘してくれ


★COPPELION 04話(2013/TV)
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TB+雲book密着マルチ+車Follow+建物密着

この1カットはスゴイ。紹介しよう~と思ってて一年漬けてた

カメラが戦闘機から引いて、主人公たちの乗る車まで寄っていくわけですけど、実写では困難なカメラワーク(電線を通過してるんで)だと思う。で、車に合わせてカメラがFollowしていく、BGと2つの建物bookの速度がそれぞれ異なっていて、ズレている。それが心地よい。

この雲(と空)、立体的なんですよね。そこがお気に入り。雲が空に漂っている感じ、多層的な感じがとても上手くて、何ともCGっぽい。だから、密着マルチだけではないかもしれない。密着だけだったら、どうやってんだろうか(上下左右にSLさせているからかな)。

いい作品でしたが、いかんせん時期が悪かったコッペリオン




・コードギアス 反逆のルルーシR2(2007/TV/話数失念)
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TB 
C.Cの目からTBする場面。ただのTBですけど、ややスローモーションで、その瞬間のC.Cの処理しきれない感情を表している。TB+スロモで、髪の毛がゆっくりと揺れていくのもまた良い。



・Memories 彼女の想いで(1995/劇場)
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TU
多分ただのTUなんですが、カメラの手前の花瓶がええんすわ。花の変化に気が取られていたら、もうキャラクターが目前に迫っている。そんで、引き込まれる。これテーブルはセル作画でやってんのかなスゲエな。




★Fate/stay night [Unlimited Blade Works] OP(2014/TV)
20170505223051

TU(+PAN)→TBかな?微妙

ぶっちゃけ、どうなってんのかよく分からんけど、こういう立体的なカメラワークが大好き。ちょっと、右にもバインってなってますね、これはなんだろう(付けPANか、ただのPANか)。TBしていく時の、ピントが合っていく感じもとても良い。これはufotableですけど、ゴーハンズ作品にはこういうのが多いので好き。ぐるぐる回り込んだりもして、臨場感たっぷりのカメラワークがめっちゃ多い。

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映像における”テンポ”という言葉は、たびたび物議を醸す。極端な人は使うなとまでも言う。しかし、実際にテンポはあると思う。


・アクアじゃんけん
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(「この素晴らしい世界に祝福を!2」 07話)

2期07話のこのシーンは、非常にテンポが良いと感じた。どうだろうか。

アクアがブレッシングで運を上げた後、カズマは卑怯だと言い、じゃんけんへと移る。じゃんけんへと移った後、アクアは負けている。そして、なんでよ~と理不尽さを嘆きカズマにすがる。


この内容だが、本編では、すさまじく省略されている。

このすばセリフ流れ07-01
じゃんけんをする時には2人の姿はなく、声のみ(OFF状態)の画面となっている。代わりに馬車のおっさんのあくびが映る。すなわち、彼らがどのようにじゃんけんをしたかは一切描写されていない。


このすばセリフ流れ07-02
そして結果すら示されない。示されるのは「アクアの泣き顔」であり、アクアの理不尽な訴えである。これだけだが、「アクアが負けた」と素直に分かる。

1~4カット目の流れと省略(カッコ赤文字部分)をまとめると以下のようになる。


じゃんけんするぞ!準備中:1カット目

じゃんけんの合図:2カット目

(じゃんけんの様子)

(じゃんけんの結果、負けた手など)

アクアの泣き顔:3カット目

アクアの嘆き、カズマのドヤ顔:4カット目


こういう感じである。つまり、なんと、じゃんけんがメインのシーンなのに、それについては一切描写されていない。どんな手を出したかの結果すら(カズマはチョキっぽいが)描写せずに、「アクアの泣き顔」でじゃんけんの全てを語る。まあ言ってしまえば、単純な省略コンテかもしれない。しかし、この「省略」にこそ、テンポは隠れていると思う。



「このすば」の中で、テンポと関連して際立っていたのが次のシーン

20170324023640
(「この素晴らしい世界に祝福を!」1期04話)

マッチカット+Lカット
これは少し特殊なつなぎ方

マッチカット(似たものでカットをつなぐ、ここではアクアの髪の輪っか)で場面をつないだ上に、音声がそのまま次のカットに続く。後者の繋ぎ方を「Lカット」と呼んだりする。詳しくは下記参照。
スプリット編集とは何か-大匙屋) 

このすばセリフ流れ07-03

このすばセリフ流れ07-04
このように、馬小屋からギルドへと、ある場所からまったく別の場所へと、スムーズに場面転換を行う。ああ、ここの流れは何度見ても美しいです。「アクアじゃんけん」では時間が省略されたが、ここでは、時間(夜から昼へ)と場所(馬小屋からギルドへ)の移動が省略されている。


つまり、

穀潰しが!

アクア泣く:1カット目

カズマ「回復魔法はよ」、アクア「それだけはイヤ!」:2カット目

(馬小屋でのすったもんだ) 

(とりあえず寝て起きて、ギルドへ到着)

存在意義を奪わないでくれとアクア懇願:3カット目

ダクネスめぐみんに、回復魔法の件を再び説明:4カット目


という感じ。4カット目も、やや省略気味。「ダクネスめぐみんの2人に、アクアが再び説明している状況」を省略している。仮定だけど、わざわざ、めぐみんダクネスを呼んだり、状況を示唆するカットを挟むと、やや冗長になってしまうかもしれない。

ここのカット割りは天才的、というか天才


1つ目の例では、「時間」を省略し、2つ目の例では、「時間」と「場所の移動」と「状況」の3つを省略している。映像における”省略”といえば、何かと「時間」ですが、それ以外にも色々とあることが分かると思う。


さて、

goods-00071662
(SDダクネスもカワイイ)


「省略するとテンポがよくなる」では、あまりに飛躍した結論です
そこで、「そもそも、何かしらを省略すると、映像はどうなるのか?」という事を考えたい

省略をすることによって、何が生まれるかですが、まず、予測できる状況の説明を省いて、映像の流れがスムーズになる。アクアじゃんけんでは、「まあ、アクアは負けるだろう」、と視聴者は既に予測をしていて、この分かりきった状況を、わざわざ長ったらしく演出すると冗長になる。これがまずあるだろうと。そんで、もう一つあるのは、見てる側が情報の速度に付いていこう、とする点だ。2つ目の例で、僕らに映像の意味が分かるのは、最終カットに来てから。つまり、展開を予測できずに、僕らは遅れを取り、映像に追いつこうと努力する。それゆえ、没入感が生まれる。

この2つから探るに、大事なキーワードは、「予測」と「省略」で、
これらの関係が、テンポの良さ・悪さを生み出している主な原因だろうと、僕は推測する。



<参考文献>
『四月は君の嘘』20話の演出を語る - OTACTURE 
・スプリット編集とは何か-大匙屋
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