GOMISTATION-α

気楽な秋

カテゴリ: カメラ・演出・カット


今回の主人公
ゴルシOP

まて競馬だからといって逃げるな、とりあえず下の映像だけでも見ていけ。


競馬ワープ

(※最後方の14番、白い馬に注目)

こんなん最下位やがな…と思うような最後方から、内田騎手の見事なイン付きによって、全馬ごぼう抜きで勝利を収める。名馬ゴールドシップの皐月賞です。競馬実況も「あっその内からゴールドシップ上がってきた!」と、予期せぬ展開によってリアクションが遅れている。競馬ではこういう映像がときどきあります。

競馬に詳しくない人はこの「ワープ」がよく分からないと思うので少し説明する。なんでこんなことが起きるのか?というのは、つまりは「カメラが追えていない・拾えてない」というだけですから。



<ゴールドシップとレースの状況>

・2000mのレース
・ゴールドシップはレース序盤から最後方で最終コーナーを迎える
・先頭とは30~35馬身差(約120m!
・人気どころの馬(ワールドエースらは外にいた)ので、内側に目線がいかなかった

全体図
ゴルシ皐月加工
(※水色が人気馬、赤色がゴルシ)




20190828031955
※ちなみにウマ娘OPのゴルシはこの皐月賞がモデルレース


<使われているカメラ>
・馬群を映すロングショット用(ロングショット・カメラ)
・コーナーを映す固定カメラ(固定PANカメラ)の2つ

★18頭もいるので、レース終盤は人気の馬に絞ってカメラは追う

・基本的にロングショット・カメラで撮っている
・最後のコーナーでいったん固定PANカメラに切り替わってから、ゴール前の直線でまたロングショット・カメラに戻る。

要するに、2つのカメラ切り替え・カメラスイッチの間に、映せない場面が発生してしまう。映せない場面で起きたことが分からないまま、次のシーンへと移動して、そこでやっと起きたことが変わる。これがワープの原因です。

(※最近では、2018年の「チャンピオンズカップ」のウェスタールンドの例あり、これもすごかった)





で、この競馬ワープと似た現象は漫画やアニメでも時々起きるんですよ
このワープによって、テンポがいきなり変わる


五頭分の花嫁(5巻144-148頁)
※五月(右下アホ毛)に注目
ワープ-五頭分の花嫁01

ここはフータローの作ったテスト問題をみんなに渡していたら、ニノだけキレているシーンです。構造はゴルシ皐月賞とまったく同じです。ニノのひどい口ぶりや行動に、三玖は苛立ちを募らせていく。そして、ついにと思ったら、実は五月だった。そこに読者はインパクトを覚えるわけです。



ロングショット=全体カメラ
PANカメラ=寄りカメラと置き換えたら、わかりやすい。さっきのレースと構造は同じです。

さっきと同じく色で囲ってみると一目瞭然


4ab7715f-s


この2つのカメラの切り替えの間には、どうしても物理的なスキが生まれてしまう。カメラが捉えきれない部分ができてしまう。その部分から、キャラクターが現れることによって、唐突さを感じる。すると、虚をつかれて理解が遅れる。ここだと、三玖が叩いたかと思ったら、という感じですよね。最終コマの五月のインパクトで決めゴマになっている。テンポ記事では何度も書きましたが、やはり「ものごとの理解が遅れる」ことは、テンポに大きく影響します。

今回の新しい発見は、カメラの切り替えの際に生じる、物理的なスキを利用したテンポ演出技術です・・・と、ここまで書いてみたはいいものの、これアニメ、ドラマ、漫画問わずにめっちゃ見ますね!もう演出技巧として確立されているんでしょう。なんかあれな感じになってしまった。



20190817184930

これは石田くんが西宮に会おうとするのを、妹・結弦が妨げるシーンです。大したことないカットに思うかもしれないけど、すごく良いシークエンスでした。

簡単に整理すると、
ポン寄り+ACつなぎ→足元のカットへ

演出技術的には、なんていうことない2つの組み合わせです

やや不安なところがあったので、ポン寄りをもうちょい調べました。ポン寄りの基本原則は、ロング・ミドルショットから、クローズショットになる、ということです。つまり、ポン寄りするときに「カメラと被写体の距離に大きな差が生まれること」が重要だとおもう。

各ショットについてはこちらのサイト様を参考に
◆ ビデオ・写真撮影入門 「構図の基礎・その1」各ショットとアングル

ショットについては定義や種類がブレるので、まあ参考程度で

ロングショット:キャラ米粒くらいで、背景が画面のほとんど
(ミドルショット):キャラ全身入って、背景と半々くらい
(バストショット):キャラの胸から上くらい
クローズショット:キャラの顔が画面をほとんどを占める

キャラと背景の比率で抑えるのが客観的でいいかなあと。まあ大体でいいです、本当に



実例


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.41.12_[2019.08.18_17.08.15]
これはロングショット



[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.59.19_[2019.08.18_17.13.33]
これはクローズショット


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.41.35_[2019.08.18_17.12.53]
これなんかは、微妙だよね。バスト~クローズショット
キャラメインだからクローズショットと言い切ってもいいけど


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.44.20_[2019.08.18_17.13.09]
これはミドル~バストショット



じゃあ冒頭の結弦くんのショットはというと、


[2018-MO]聲の形.mp4_snapshot_00.35.43_[2019.08.14_02.09.49]

バストショットですよね


ここからのポン寄りの典型的なパターンは、結弦くんの目元・口元に寄ったりして、最初に述べたとおり、「被写体とカメラの距離の差」を大きく出す。だけど、ここでは西宮にカメラがいくんですよ。これが珍しくて面白かった。

20190817184930

なんでかっていうのは、とうぜん石田くんの主観視点だから。扉が閉まって行く中、西宮を目で追いかけてしまう。急いで追っているので、カメラは左に少しPANしてるわけです。あと、ACつなぎっていうのは、キャラの行為を切って複数のカットにして繋げることです。ここでいうと、「結弦くんがドアを閉めること」をわざと切って、2カットにしている。

とても小気味よいのは、それまでずっと石田くんの主観視点だったのに、3カット目でいきなり足元を映すところです。客観的なローポジションのカメラは日光もなくなり、拒絶されてしまった彼の心情を伝える。良いシークエンス。


藤原書紀が踊る、かぐや様3話のED通称「チカダンス」はその愛くるしさで、瞬く間に広がっていった。多くの人の感想は「かわいい」「実写に見えるほど動いている」と、とにかく絶賛の嵐が吹き荒れている。ただ、僕は納得がいかない。お得意の逆張りだろうか?


◆かぐや様は告らせたい「チカっとチカ千花っ♡」


ロトスコープによって描かれた本映像は、近々にメイキング映像が出されるそうだが、その前にすべての陰謀を暴いてやる(※なにもかも間に合いませんでした)。世界を騙せ、可能性をつなげ、世界は欺ける、というコンセプト。


まあロトスコ関係の細かい話はやめにしました。どうせ文章なんて読み飛ばされるものですから。ロトスコープが、M・フライシャーによって発明されたという通説はあるけれど、彼がギャロップ連続写真(1886/エドワード・マイブリッジ)にすげえ影響を受けたんじゃねっていう推論なんて誰も読みません。それで、かぐや様3話EDっていうのはぶっちゃけ大したことしていない。たしかに、ロトスコープなのに、線が歪んでいない、実写映像からの抜き取りが上手い、というのは確実にあります。どうやって抜き取って整理したんだろうか、繋げたんだろうか、というのは疑問です。高いレベルで、「大したことない」と言っているので注意されたい。ちゃんと読め。



Db76v1pV4AAybrg

それで、まあ本題はそういうことではない。素晴らしく可愛いならそれでいいじゃないか。たくさんの人を幸せにしたならそれでいいじゃないか。しかし、これだけ絶賛されているのはなにかあるはずだ…と考えた結果、これは「TikTok」である、という結論に辿り着きました。




1JKiMeeA_400x400

TikTokとは、ティーン向けの動画投稿SNSサービス。リズムに合わせて芝居をする動画が日々アップロードされています。んで、これは藤原書紀のTikTokなんですよ(鍵垢)。だってさ、一人残った放課後の生徒会室で、カメラを固定しながら音楽に乗せて、芝居している。最初から、伏線としてウルシゴキブリを配置しオチ要因まで用意している。TikTok以外のなにものでもない。

TikTokとアニメオタクって一見離れたところにあるように見えますが、今回の件を見るに、なんだろう近いところにあると思う。けっこうVtuberと同じ感じなんですよ、だからTikTokなんて使わない20代付近のアニメオタクにも受けたんじゃないかなあ。Vtuberと違うのは、ポップでリズミカルな音楽に乗せて「自分らしい情緒的な芝居」をするところ。それ以外は大雑把に言えば、かわいい女の子がかわいく演技する、みたいなもんですから。そのため、着想としてはTikTokみたいな動画共有SNS、みたいなものがあるのかなあ、そのためティーンから20代の共感を得て絶賛されているのかなと結論付けました。自分でも思います、ちょっと強引ですね。普段こういう語り方をしないにしても、いかがなものか。すいません。


#1
かぐや様01-01かぐや様01-02
連続2カット
(積分公式と微分定義で天才なのかあ、まあこれはイチャモンかあ)

かぐや様01-03かぐや様01-04
連続2カット


かぐや様01-05かぐや様01-06
かぐや様01-07かぐや様01-08
かぐや様01-09かぐや様01-10
かぐや様01-11かぐや様01-12
[藤原書紀の飯テロ省き、連続8カット]

ここまで来ると、わざとやってんのか?って思えてきますよね。
ナレーションなんかよりこのコンテどうなってんだ。



#2
kaguya02-04kaguya02-05
kaguya02-06
連続3カット

この画面よく通したなと思う。鏡見ながらコンテ切ったのかな。
なんだろう、僕はふだん上手下手とかさほど気にしないんですよ。
画面だけでイライラさせるのって凄いことですよ。普通はできない。


kaguya02-01kaguya02-02
kaguya02-03
連続3カット

かぐや様の画面に違和感を抱いている人がいれば、それは正しい。
こういった画面を見ると、ふだんのコンテマンがどれだけ高度か分かる。


頭脳戦というのは独白が多くなる上、お互いに口論し合うわけですからキャラの位置はよりいっそう重要になる。いやまあこんなのは、なんというか説明することじゃない。コンテやレイアウトの基礎の基礎、今からでも遅くないんでガイナックスの鶴巻講座でも見てきた方がいい。このつなぎに誰も違和感を抱かなかったのか、それはそれですげえなと思います。


科学部部長の上野さんが部員である田中に、さまざまなトラップを仕掛けていく、というのが一連の流れのようです。オムニバス形式。

公式サイト 上野さんは不器用


uenosan01.mp4_snapshot_07.22_[2019.01.17_02.20.08]uenosan01.mp4_snapshot_09.07_[2019.01.17_02.19.13]

科学的実験を行うという名目の元、部長が恋愛の駆け引きを行う。思春期の男子が女子のスカートの中身を見る。その覗く行為自体を意識させることで、田中の恥じらう様子を見ようと試みますが、田中は一向に恥じる様子なく敗れてしまいます。


uenosan01.mp4_snapshot_09.43_[2019.01.17_02.22.27]

普段はぼけっとしている田中ですが、変なところで勘が鋭く、デリカシーのなさも相まって思春期女子を完全に圧倒。


uenosan02.mp4_snapshot_03.19_[2019.01.17_02.23.32]uenosan02.mp4_snapshot_06.51_[2019.01.17_02.25.57]
uenosan02.mp4_snapshot_07.09_[2019.01.17_02.26.16]uenosan02.mp4_snapshot_10.27_[2019.01.17_02.52.26]

#2においても部長は画策します。衝撃吸収パッドである「一七六防護服」を服に忍び込ませ、それがいったいどの位置であるかを当てさせるという実験を行う。ぼけっとしている田中も思春期男子。否が応でもエッチなこと、特に胸には関心があるという風に想定し、自分の胸の小ささを活かし、明らかにサイズが異なる防護型ブラを装着します。

つまり、普段から見ていれば、部長の胸の大きさは明らかに異なっていることに気付くけれど、それを指摘することは「部長のバストに興味がある/部長のバストサイズを把握している」と言っていることと同義となる。そのため、思春期男子としては、指摘することも触れることもできず、ただひたすらモンモンと部長上野のバストを想像するしかない。

このように部長上野は想定しますが、田中はパッドが装着された部分を「尻」と断定しスパンキング。散々尻を叩いたあげく、「当てたら防護服をプレゼント」という文言を忘れることなく防護服ではないパンツ回収します。いや、デザインセンスのなさに部長に返しましたね。またもや部長の負け。


相手に対しての想定はしっかりしているが、アドリブや単純な接触にきわめて弱く、上野さんは何度も何度も敗北を喫します。相手に意識をしてもらいたい、告白したい、このような感情をただそのまま放出するのではなく、科学技術という文明の利器を使い合理的な方法で、「科学的実験」という大義名分の上に試みます。これほどの方法を取らなければ、田中に対する部長の愛は溢れんばかりのものになってしまう。いわば、科学技術をもって自分の感情を制御しようとしているのですね。それでもなお、溢れてしまい、恥ずかしさに悶える上野さんの姿を見て我々は回顧します。ああ、自分にもこういうときがあったなと。そういう回顧体験的アニメです。


uenosan02.mp4_snapshot_03.31_[2019.01.17_02.23.45]

芹沢優の声は、やや中性的な感じで素晴らしい。擬音とか「ぐぬぬ」みたいな滲み出る感じの声も巧いですよね。自分の中では中原麻衣以来のヒットです。以前、配信で大匙屋さんからオススメされたようなのですが、記憶からすっかり抜け落ちていました失敬。



あと良かったカメラワーク

#1
20190117031731

TB(上野と田中で異なる速さ)

こういうアニメでこそのカメラショットいいですよね。タイミングに妙あり。

上野さんのスカートから田中の頭をすり抜けて手前まで引いてくる。TBの速さは異なっており、田中の方が遅く上野の方が速い。田中と上野の頭の大きさは異なっていますが、上野ヘッドが入ってからのカットでは同じか上野ヘッドがやや大きいくらいになります。これにより、田中の頭が上野さんを邪魔することなく、恥じらう上野さんをしっかりと映すことができるんですね。



( ^ω^)・・・
( ^ω^)えっタイトル間違えてないかって?
( ^ω^)・・・原作ファンでしたから、かぐや様見ましたけど、1話の記憶がまったくない。どんなカットだったかすら思い出せないってことは価値がないんですよ。レイアウトが特にひどかったなあ。これ以上言うと、よりもい記事のときみたいに、バカなオタクが集まるんでやめときます。まあ、メディアミックスで原作漫画売れたらいいやっていう態度なんでしょうね。だから、ヤンジャンアニメって失敗続きなんだろうなあ。


たまたま見た上野さんの方がしっかり出来ている。少なくとも頭脳戦を仕掛けている。けっしてすごい作画やすごいキャラ絵があるわけではなく、総力戦で演出している。前述のカメラワークをとってもそうですよね、一つ一つが丁寧に作られている。集中線の使い方も、間の作り方も上手い。感服しましたよ、上野さんは真面目に良く出来ている。同じようなホンでも演出次第でこうも変わると、釣りたくなりますよねタイトルで。そのうち直します。

↑このページのトップヘ

©GOMISTATION 2012-2019 All rights reversed