GOMISTATION

足が絡まっても、踊り続けて

カテゴリ: カメラ・演出・カット


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そうだそうだ、ここアホみたいにうまかった。面倒くさそうにあぐらの体勢から、脚で上体を起こし、前に手をついて、立ち上がる。誰だ書いたのは!濱口明しか分からん。ちょっと名前知ってるのは中村楓。まあ、ともかく、ここは抜けている。


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ここ好き。ディテール満載の戦闘機を、やや俯瞰で横から描写するとやっぱり映えますね。

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タイミングうまかった。後述しますが、ここもクイックPAN。

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荒々しいタッチで。この辺は髪の毛がわっしゃわっしゃ動いてた。




☆縄跳び
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大きな弧を描くように、必死に腕を回すミーシャ。つばめと比較すると、無駄な動きが多い。着地した際の反動で、だんだんと前に重心が移動していく。ぎこちない着地のために、バッサバサと揺れる髪の毛のリアクションも見事。

クレジットを見る限りでは、山本ゆうすけさんという方が書かれたのかな?「ヤマノススメ」の山本祐介とは別ですよね。1話の原画見ると同じなのか。よくわかんねえな。


あと前回の記事で、こういうコメントいただきまして。
原作の漫画と比べると面白いんですが、漫画の方は普通のコマ割りで特に変わったことはやってなくてセリフの掛け合いで笑わせる感じなんですが、アニメの方はこのように凝ったことをやってるんでなんか意図があるっぽいのですが…
何かの映画を意識してるのかなと…思ったり…
つまり、イアキお前どうせ暇だろ!ギャンブルや配信に明け暮れている暇があったら、もっと太田監督作品(アニメ)を見て、原作と比較して記事にしろや!ということです。でも、意図がありそうだなあ、と感じていたのは確かなことで。上手いコメントです。やられました。



原作は面白くてついつい4巻まで読んじゃいました。コメントでいただきました、「言葉の掛け合いコメディ」というのは指摘どおりで、コマを使った変わった表現はさほど見られなかった。1、2戦目は、けっこう少女漫画テイストというか、直接的に好き好きって感じですね。それ以降は、ギャグよりになっている。まあこれは、単純に百合専門雑誌からの移動、ということに起因するのかな。



画面の比較に入っていこう。

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左右にクイックPAN

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POVゆらゆらカメラ


1話を見直しただけですが、主にミーシャがビビる場面では、カメラワークを工夫している。クイックPANもそうですけど、気になるのは、ゆらゆらカメラですね。これはCG背景との組み合わせで実験しているのかな。あとは、やっぱりティルトアップですね。やたらめったら出てくる。縦方向で画面を作ろうとしているという感じが。ティルトアップは「恋愛ラボ」でも散々に見られたので。


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「恋愛ラボ(2013/TV):2話」

少し下にズレながらクイックPAN

ただ、ティルト、クイックPANを使わないアニメがあるかと言われれば、もちろんそんなわけはないので。でも、なんか引っかかる感じがするんだよなあ、こんなに使うかなみたいな。この前、他の方から聞いて知ったんですけど、漫画に「4段ブチ抜き」というものがある。これと関係があったりするのかなーとか思ったりしてます。

4段ブチ抜きの変遷?

4段ブチ抜きをアニメーションに置き換えると、単純にティルトアップ+ポン寄りですよね。そして、当然これはどのアニメでも見られるはず。でも、だいたいが初キャラ登場の紹介で使う印象が強い。印象だから、どうにも根拠が薄いですけど。大田ティルトアップは、それ以外でも多く見られるんですよね。もう少し分析しないと分からんですが。ここまで書いて考えたのは、縦方向は漫画的に(つまり静止画)、横方向は映画的に(つまり激しく動くぞみたいな)することによって、画面に緩急を出してテンポを生み出しているのかもしれません。要検証。




ところで、頭がおかしいキャラクター(つばめ)が主人公のそばにいて、さらに頭がおかしいキャラクター(みどりん)をそのそばに据える、というのはコントロールが難しいような気がします。それぞれ、自分のことになると我を失い、その一方で他人のことは冷静に見る。これで、ツッコミ役が順々に回って安定するんだろうと思います。キャラクターをそれぞれ見ていくと、この作者は常識人を作る気がない。人間は、それぞれ、どこか変なこだわりがある、という強い主張をしている。

まあ、「頭おかしいキャラ」ってそれだけで得なんですよ。現実では、それが当然なんですから。だいたい、みなさんも頭おかしいでしょ。他人から指摘されて初めて気づく変な部分っていうのは誰しもあり、それを具体的に誇張して描いているだけなんですよ。だいたいの娯楽作品は、これが基本なんでしょうけど、これがコントロールできるかどうかにかかってる。

あと、「ところで」って言葉が強すぎる。ミーシャのパンツが無くなったときに、写真付きのパンツ整理書みたいなのを変態メイド(つばめ)が出すんですが、ツッコミが終わらないうちに、パンツ整理書を「ところで」で放るんですよ。すごくないですか。


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[01話 ラボのトイレ付近]

そういやgif作ってた
シュタゲゼロは陰鬱な雰囲気、紅莉栖を救うことを諦めてしまった世界線ですので、とてもよく似合っていた。OFF画面の使い方がちょっとイマイチかなと思います。OFF画面、オフショットとは、「発声者をわざと画面から外して撮影する」技法です。

業界用語辞典 「オフショット」


たとえば1話の屋上付近

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ここでは、鈴羽がこの世界線の悲惨さを語り、タイムマシンに乗ってくれるように説得を試みます。しかし、オカリンは助手を助けられない、殺めてしまったこと、また殺めてしまのではないかということに恐怖を感じて拒否する場面です。


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鈴羽「この世界線の行き着く先は地獄しか待っていない~どうしようもない世界」

ここややオフ気味というか、被写体が遠いんで想像するしかない。広角カットでやや画面を歪ませて、お互いを取り巻く状況を表現。想像に任せてて上手い。



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鈴羽「未来を!」の後

これはテンポのお話とも関わってくるんですが、この苦悶の感情は視聴者のほとんどが理解していると思うんですよ。わざわざ画面に写すと、表現過剰になる。いやそんなんわかってるしみたいな。



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オカリン「おれはいろんな世界線を見てきた~お前が死ぬ世界線も」→「世界線を変えることは理から外れたことだから人間の領域ではない」

このカットはまあ結果論になってしまうんで、あんま良くないんですが。
辛い感情や苦しい感情を吐露する人物のカットで、そのまま被写体を写しても感情移入しにくい。オカリンの気持ちは十二分にわかっているけれど、それはオカリンにしか体験したことない、想像を絶するものであり、彼の表情や所作で表現をするのは困難。1話に限らず、オカリンの衝撃や困惑、不安を目で表現しようとするカットだらけなんで、ぶっちゃけ「あー次はオカリンがまた目をビクッとさせるんかな」みたいな予測が立ってしまう。





対して、まあまあ良かったのは02話のこの辺


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[02話 アマデウス紅莉栖と初対面するシーン]

インサート気味にオカリンのカットは挿入されますが、基本的には過去の記憶とアマデウス紅莉栖が描写される。同じことですが、オカリンにとって助手の姿は衝撃で、僕らにはわかるけれど、想像を絶するもの。であれば、彼の表情ではなく、彼の記憶にある助手を写すことで、ーもっと言えば、彼の記憶が錯綜しているー、そういった状況を見ることで、僕らはオカリンの衝撃を少し感じることができる。


直接的に描いても、得られるものが少ないんですよ。無駄に精巧なコインの話がありますけど、あれと同じで。描写しちゃうと、そこまでですけど想像力は無限ですから。なんかなー描写しすぎ、過剰描写しすぎっていう感想がまず浮かびます。


まあでも、直接的に描くことにこだわりがあるとも言える。オカリンの抱く恐怖を身をもって、肌に感じてほしい、という意図があるのかもしない。けっこう直接的な描写が多いですよねゼロは。紅莉栖を刺した後のオカリンのトラウマ描写も直接的でした。


「密着マルチ」の技法については、よく説明されますが、効果や魅力はあまり語られない。そして、言葉が何となくわかりにくい。よって、密着マルチの面白さが伝わりにくい。つうか、俺もよく分かってなかった。

まあ、ちょっと具体例を見ましょう。


★神撃のバハムート GENESIS/ED(TV/2014)
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山本沙代コンテ。多くの植物を通り抜けた先に、横たわることで神秘さを出す。植物の動きに注目されたい。それぞれ微妙に速度が異なって、多層感を出してますよね。


こういった画を見て多くの人が思う/抱くのは、「(密着マルチを使うことで)どこらへんが画期的で面白いのか?」ということだと思うんですよ。



<密着マルチの3段階>

1、目的:「運動視差」を利用して、奥行きを表現するため

2、技法:それぞれ異なった速度で、それぞれの素材を引く

3、効果:平面なはずのアニメに奥行が感じられる

現時点では「ほーん」ぐらいの気持ちでいてください。まず、運動視差ですが、これは映像を見てもらった方が速いと思う。


・新幹線からの車窓映像(引用元
 

カメラに近い物体はヒュンヒュンと速いスピードで動き、遠くなればなるほど、ゆっくりと動く。これが「運動視差」です。新幹線とか電車乗ると、よくわかりますよね。あのビルあんま動かないけど、線路内の柵はめっちゃ速く動くわ~みたいな。



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現実では、ごくごく当たり前の事ですが、アニメーションの世界では、これを表現するのが大変に困難だった。なぜかというと、近くと遠くで、素材(ミッ◯ーや、木、柵など)を引く速度をそれぞれ変える必要があったため。アニメーション黎明期は、図1のような撮影台でアニメを作っていました。


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(図1:撮影台の一例)

この撮影台にも、素材を引く速度を調整する装置(スライド装置)はありました。しかし、この撮影台は一つの速度しか作れない。これでは、遠近で異なった速度から生まれる、運動視差が描写できない。結果として、画面の奥行きを表現することは非常に困難なままでした。

だけど、アニメーションに奥行が欲しい。なんとかして、立体を感じる元である、運動視差をアニメに持ち込みたい。そう思った先人は、マルチプレーン・カメラというものを発明します。このマルチプレーン・カメラの変わったところは、撮影台の多さです。素材を載せる台が、一つではなく、複数あったんですね。基本は4台でしたが、「ファンタジア」では、最大なんと9台も使われた。スライド装置も各台にあったので、それぞれ異なる速度で、複数の素材を引くことが可能になった。


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これは練馬の博物館に飾ってある、マルチプレーン・カメラです。複数の撮影台のおかげで、「近くの木は速く動かして、遠くのお城はゆっくり動かそう」という事が可能になった。マルチプレーン・カメラぱねえ、最強すぎる。これを使って、描かれた名シーンがこちら。



★白雪姫(劇場/1937)
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手前の樹木は速く動き、奥の木や霧の背景はゆっくり動いていますよね。で、平面であるはずのアニメに、なんと奥行が感じられる。こりゃすげえや、となって、こぞってどこの会社も使い始めます。しかし、そう長くはマルチプレーン・カメラの覇権は続かない。

「改良型が出たのかな?」と思われる方もいるかもしれない。いや違うんです。まず、こいつクソでかいからスタジオ内で場所を取ってしまう。そして、こいつ自体に高い金がかかる上に、樹木や家などの背景素材をこいつ専用にアレンジしなきゃいけない。つまり、コストが半端なくかかる。んで、こいつ全然、最強じゃねえや金食い虫が!ということで、使う会社はだんだんと減少していく。マルチプレーン・カメラくんかわいそう。


でも、やっぱり、アニメに奥行/立体感は欲しいわけです。贅沢だな。

どのような経路を通ったか不明ですが、ついに、一つの撮影台で、マルチプレーン・カメラの効果を再現することに成功しました。はい、そうです。これが「密着マルチ」です。大事なことなので、もう一度言います。マルチプレーン・カメラ効果の再現が、密着マルチです(被写界深度の件は割愛)。ちなみに、この呼び方は日本でのみ。

※撮影台については、こちらのサイト様がビジュアル的に分かりやすいので、参考にしてもらいたい。
★撮影台 http://www.da-tools.com/junk/cn25/camStand.html


なんで、「密着マルチ」と呼ぶのか?これは2つの説がある。

■1:「マルチ」プレーン・カメラ時代には、台ごとを「密着」させる必要があったから
■2:今は素材を「密着」させて、「マルチ」プレーン・カメラの効果を再現しているから

どっちかは不明。用語なんてそんなもんなんで、深く考えないでください。「土用の丑の日」だって、平賀源内がホラ吹いたようなもんでしょう。思ってるよりテキトーなんですよ、世の中って。





さて、目的と技法については分かってもらえたと思います。残るは魅力ですね。実際の作品で使われたものを通して、見ていきましょう。



★COPPELION 04話(TV/2013)★★
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雲book密着SL+建物Follow

以前紹介しましたが再度。やはりこれ素晴らしいんですよ。密着マルチによって、雲の大きさ/多層感を先に見せておいて、地上の主人公までカメラを引っ張ってくる。空や雲と主人公、戦闘機を一つのカットに収めている上に、最後には戦闘機と主人公を対比して見せる。



★神さまのいない日曜日 03話(TV/2013)
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泣いている少女の周りを墓標が回り込んでいく。少女の眼前を通過する墓標は、彼女の気持ちにお構いなしに世界が回っているということ。


★★
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墓標book5個ほどSL+逆方向にBGをSL

ロングショットから速くbookを引くことで、少女の孤独さを強調する。ここでも、遠い墓標と近い墓標では、速度に差があることに注目しながら見て欲しい。ボカシもいい。


密着マルチの基本は、奥行/立体感です。ただ、それから派生して、「神さまのいない日曜日」の情景描写や「COPPELION」のような大きさの対比表現もできる。使う人のセンスによって、表現の幅が広がっていく。それが面白いところです。ただ単に「奥行」だけという、単一な描写に留まらない。複数の素材を異なったスピードで引くだけで、少女の切ない感情が表現できるって素晴らしいと思うんですよ。


<参考文献>
アニメーション撮影台-練馬区
立体撮影2
撮影台

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