GOMISTATION

足が絡まっても、踊り続けて

カテゴリ: カメラ・演出・カット


バレバレだけど、もはや記事のネタは尽きている



そうだ、カメラワークでごまかしていこう
撮影とか用語とか、間違ってたらすまんの指摘してくれ


★COPPELION 04話(2013/TV)
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TB+雲book密着マルチ+車Follow+建物密着

この1カットはスゴイ。紹介しよう~と思ってて一年漬けてた

カメラが戦闘機から引いて、主人公たちの乗る車まで寄っていくわけですけど、実写では困難なカメラワーク(電線を通過してるんで)だと思う。で、車に合わせてカメラがFollowしていく、BGと2つの建物bookの速度がそれぞれ異なっていて、ズレている。それが心地よい。

この雲(と空)、立体的なんですよね。そこがお気に入り。雲が空に漂っている感じ、多層的な感じがとても上手くて、何ともCGっぽい。だから、密着マルチだけではないかもしれない。密着だけだったら、どうやってんだろうか(上下左右にSLさせているからかな)。

いい作品でしたが、いかんせん時期が悪かったコッペリオン




・コードギアス 反逆のルルーシR2 21話(2007/TV)
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TB 
C.Cの目からTBする場面。ただのTBですけど、ややスローモーションで、その瞬間のC.Cの処理しきれない感情を表している。TB+スロモで、髪の毛がゆっくりと揺れていくのもまた良い。



・Memories 彼女の想いで(1995/劇場)
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TU
多分ただのTUなんですが、カメラの手前の花瓶がええんすわ。花の変化に気が取られていたら、もうキャラクターが目前に迫っている。そんで、引き込まれる。これテーブルはセル作画でやってんのかなスゲエな。




★Fate/stay night [Unlimited Blade Works] OP(2014/TV)
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TU(+PAN)→TBかな?微妙

ぶっちゃけ、どうなってんのかよく分からんけど、こういう立体的なカメラワークが大好き。ちょっと、右にもバインってなってますね、これはなんだろう(付けPANか、ただのPANか)。TBしていく時の、ピントが合っていく感じもとても良い。これはufotableですけど、ゴーハンズ作品にはこういうのが多いので好き。ぐるぐる回り込んだりもして、臨場感たっぷりのカメラワークがめっちゃ多い。


映像における”テンポ”という言葉は、たびたび物議を醸す。極端な人は使うなとまでも言う。しかし、実際にテンポはあると思う。


・アクアじゃんけん
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(「この素晴らしい世界に祝福を!2」 07話)

2期07話のこのシーンは、非常にテンポが良いと感じた。どうだろうか。

アクアがブレッシングで運を上げた後、カズマは卑怯だと言い、じゃんけんへと移る。じゃんけんへと移った後、アクアは負けている。そして、なんでよ~と理不尽さを嘆きカズマにすがる。


この内容だが、本編では、すさまじく省略されている。

このすばセリフ流れ07-01
じゃんけんをする時には2人の姿はなく、声のみ(OFF状態)の画面となっている。代わりに馬車のおっさんのあくびが映る。すなわち、彼らがどのようにじゃんけんをしたかは一切描写されていない。


このすばセリフ流れ07-02
そして結果すら示されない。示されるのは「アクアの泣き顔」であり、アクアの理不尽な訴えである。これだけだが、「アクアが負けた」と素直に分かる。

1~4カット目の流れと省略(カッコ赤文字部分)をまとめると以下のようになる。


じゃんけんするぞ!準備中:1カット目

じゃんけんの合図:2カット目

(じゃんけんの様子)

(じゃんけんの結果、負けた手など)

アクアの泣き顔:3カット目

アクアの嘆き、カズマのドヤ顔:4カット目


こういう感じである。つまり、なんと、じゃんけんがメインのシーンなのに、それについては一切描写されていない。どんな手を出したかの結果すら(カズマはチョキっぽいが)描写せずに、「アクアの泣き顔」でじゃんけんの全てを語る。まあ言ってしまえば、単純な省略コンテかもしれない。しかし、この「省略」にこそ、テンポは隠れていると思う。



「このすば」の中で、テンポと関連して際立っていたのが次のシーン

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(「この素晴らしい世界に祝福を!」1期04話)

マッチカット+Lカット
これは少し特殊なつなぎ方

マッチカット(似たものでカットをつなぐ、ここではアクアの髪の輪っか)で場面をつないだ上に、音声がそのまま次のカットに続く。後者の繋ぎ方を「Lカット」と呼んだりする。詳しくは下記参照。
スプリット編集とは何か-大匙屋) 

このすばセリフ流れ07-03

このすばセリフ流れ07-04
このように、馬小屋からギルドへと、ある場所からまったく別の場所へと、スムーズに場面転換を行う。ああ、ここの流れは何度見ても美しいです。「アクアじゃんけん」では時間が省略されたが、ここでは、時間(夜から昼へ)と場所(馬小屋からギルドへ)の移動が省略されている。


つまり、

穀潰しが!

アクア泣く:1カット目

カズマ「回復魔法はよ」、アクア「それだけはイヤ!」:2カット目

(馬小屋でのすったもんだ) 

(とりあえず寝て起きて、ギルドへ到着)

存在意義を奪わないでくれとアクア懇願:3カット目

ダクネスめぐみんに、回復魔法の件を再び説明:4カット目


という感じ。4カット目も、やや省略気味。「ダクネスめぐみんの2人に、アクアが再び説明している状況」を省略している。仮定だけど、わざわざ、めぐみんダクネスを呼んだり、状況を示唆するカットを挟むと、やや冗長になってしまうかもしれない。

ここのカット割りは天才的、というか天才


1つ目の例では、「時間」を省略し、2つ目の例では、「時間」と「場所の移動」と「状況」の3つを省略している。映像における”省略”といえば、何かと「時間」ですが、それ以外にも色々とあることが分かると思う。


さて、

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(SDダクネスもカワイイ)


「省略するとテンポがよくなる」では、あまりに飛躍した結論です
そこで、「そもそも、何かしらを省略すると、映像はどうなるのか?」という事を考えたい

省略をすることによって、何が生まれるかですが、まず、予測できる状況の説明を省いて、映像の流れがスムーズになる。アクアじゃんけんでは、「まあ、アクアは負けるだろう」、と視聴者は既に予測をしていて、この分かりきった状況を、わざわざ長ったらしく演出すると冗長になる。これがまずあるだろうと。そんで、もう一つあるのは、見てる側が情報の速度に付いていこう、とする点だ。2つ目の例で、僕らに映像の意味が分かるのは、最終カットに来てから。つまり、展開を予測できずに、僕らは遅れを取り、映像に追いつこうと努力する。それゆえ、没入感が生まれる。

この2つから探るに、大事なキーワードは、「予測」と「省略」で、
これらの関係が、テンポの良さ・悪さを生み出している主な原因だろうと、僕は推測する。



<参考文献>
『四月は君の嘘』20話の演出を語る - OTACTURE 
・スプリット編集とは何か-大匙屋


京アニは、OPアニメの演出でしばしばカメラをぐるっと回す演出をします。


■『中二病でも恋がしたい!戀(2014/TV)』 OP
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(モリサマーえろい)

さて、回転させることで、まずぼくらが感じられるのは”キャラクターの立体感”です。キャラクターの周りをぐるっと回ることで、様々な角度から見ることができる。平面的な画面よりも、リアルさが増す。
 
まずは、こういったキャラクター・状況を立体的にする効果があります。キャラクターを立体の空間に置くことで、キャラクターにもその状況じたいにも存在感や肉感が出てきます。


このような回転演出が、近年の京アニOPでは多く見られます。


今回は、「この回転演出を、京アニが多用する理由」をについて少し考えていきたい。

 

まずは、この回転演出なるものを京アニに持ち込んだキーパーソンについて。
おそらくそのキーパーソンは、木上益治(きがみよしじ)さんです。

木上益治さんはシンエイ動画出身で、現在は京アニの重鎮のアニメーターです。最近はコンテ・演出中心で関わっていますが、初期は原画マンとしての活躍が目立ちました。「AKIRA」に参加した人、というイメージを持ってる人も多いんじゃないのかな。

さて、原画キャリア初期にあたる「さすがの猿飛」では、破天荒な作画を披露しました。背景動画をよく使います。直近だと「中二病でも恋がしたい!戀」OPとかですかね、まあ相当に上手いです。

■『さすがの猿飛(1983/TV)』 16話
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小気味よいタイミングの追っかけ作画。爺さんが着地するときは意外とタメており、緩急がある。

■同15話
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(※パートは推測)

背動もめっちゃやります。左はメタモルですね。一瞬のタメが良い。
右は回り込みながらのQTBで、眼鏡っ子と肉丸の敵対感を描写。眼鏡っこ強そう。


このように、彼は金田系として、けっこうハチャメチャな作画をしていました。その後は落ち着いた感じで芝居メイン。「中二病」みたく、今でもド派手なアクションとかやる印象ですが。


それで、この木上さんが回転演出を持ち込んだと思うのは、演出を始めてまもない頃の「パワプロOP」に、その演出が垣間見えるからです。「パワプロOP(8~10)」は京アニが担当したことで有名ですが、木上さんも深く関わっています。

■『実況パワフルプロ野球9(2002/PS2)』と『同10(2003/PS2)』OP
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カメラはパワプロくんの周囲を回りながら、TB。パワプロくんが立っている球場の広大さ、プロ野球じたいの壮大さ、はたまた試合前の緊張感がよく出てますね。


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ちなみに、「各球団の選手同士が順繰りに登場する」という、今のパワプロOPのお決まりは『9』の時に既に木上と京アニが作っています。このお決まりが使われるようになったのは、2011ごろからかな。本題ではないので詳しくは書きませんが、目パチとか場面転換の手法がオマージュされてる。


特に2012はうまく昇華されていて、めっちゃカッコイイ。お気に入り。

■『実況パワフルプロ野球2012(2013/PS3)』OP

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疾走感溢れるカメラワークからのマッチカット。このOPはテーマもめっちゃ良いです。ゲーム本体はあれだけど。2012はすごく「8~10」とよく似てます、これで参考にしてなかったら嘘だぜ。
 


さて、本題に戻ります。パワプロOPの仕事をどういう経緯・内容で受けたかは定かではありませんが、とにかく木上さんはここに「回転」を持ち込みました。これには、どういう意図があったのか。

僕は、「野球というスポーツの爽快感や壮大さ」を表現するためだと思う。

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相手に強打されても、ダイビングキャッチで取ることができる。打ち損じでも、ヘッスラすればセーフになりうる。サヨナラがかかった場面ともなれば、応援にも熱が入り、球場全体は異様な雰囲気になる。


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要するに、野球の魅力の一つには、異様な熱気がある。そこには、試合にかける選手の思いや、観客の興奮が入り混じって、球場全体は異様な雰囲気に包まれる。この部分を表現するために、木上さんは回転演出を使ったと考えています。


このように、京アニにおける回転演出の土台は木上益治が作りました。しかし、当然ながら京アニは野球のアニメばっかり作っているわけではない。萌えやコメディからシリアスまで、幅広く扱っている。そして、すべての作品が熱気に溢れているわけでもありません。そのような中でも、回転演出は顕著に見られる。これはいったいどうしてか。どうして京アニの演出家は、回転演出を使うのか。


それは回転演出の根底・本質に、「背景動画の持つ気持ちよさ」があるからです。



さきほど少し触れましたが、木上さんはアニメーターとして背動を多用します。
ここから、背動の気持ちよさを紐解いていきたい。

■『クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望(1995/劇場)』
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終盤。吹雪丸としんのすけは敵の銃撃をかわしつつ、馬で駆けていく。
2カット目はしんのすけたちのPOVですね、疾走感が見事。馬の浮遊スロモも上手いなあ。


■『ドラえもん のび太と翼の勇者たち(2001/劇場)』
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ええと、これは確かラストの大会だったかな。狭い空路を低空飛行で突っ走っていて、迫力満点。ゴツゴツした岩が迫ってくるのが怖いんですよねえ、すごい臨場感です。


■『中二病でも恋がしたい!戀(2014/TV)』 OP
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迫力ある回り込みカメラワークから、キャラクターへの寄り。
走っている六花のガクガクする感じ(一歩進んで少し戻る)が、戦闘の緊張感を醸し出す。


木上さんの背動作画はこんな感じ(もちろん背動以外も上手いけど、ここでは割愛)。背動の持つ、気持ちよさみたいなものは分かってもらえたと思います。なんか爽快感ありますよね。


ですが、汎用性の低い背動を演出に持ち込むことは、作画リソースの面を考えても難しい。それに、ちゃんとした背動って誰でも書けるものじゃない。パースは刻々と変化するし、それに伴って背景とキャラのバランスも取らなきゃいけない。一言でいうと、「ちょームズイ」わけです。だけど、木上さんは、背動を何とか演出に持ち込めないかと試行錯誤したと思うんです。

「ちょームズイ」背動がもつ爽快さ・壮大さを、もっと多くの場面で使いたい。すなわち、一つの演出手法に落とし込みたいのであれば、木上さん以外の人でも使えるように、難易度を「ふつう」くらいに下げる必要があります。そこで、木上さんは、背景動画の一番の特徴であるパースの変化を抑えるために、画面が動く方向を一つに絞った。その結果、「回す」という手法に繋がったと思うんですよ。CG技術も発達してきて、昔より回転させるカメラワークを描くのが楽になったというのもあると思う。


その結果として、京アニOPで多用されるようになったのではないのかな。
背動の根源的な気持ちよさを、リーズナブルに演出できるので。


■『けいおん!(2009/TV)』 OP02
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和気あいあいと演奏、光の差し込みも良い。バンドの楽しさや一体感が伝わってくる。


■『フルメタル・パニック ふもっふ(2003/TV)』 OP
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3D背景での回転から、俯瞰方向にTB。くつろいでる軍曹がかっこいい。
逆光もいい味出してますね。


■『中二病でも恋がしたい!戀(2014/TV)』 OP
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タイトルぐるぐる円運動の疾走感。慣性で少し左に反動を受ける六花の描写も丁寧です。
速い回転の分、てくてく歩きはゆっくりに見えてかわいさ増してる。


■『響け!ユーフォニアム(2015/TV)』 OP
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俯瞰からの大胆な回り込みカメラワーク、ティルトアップ+TU。
オーケストラの熱気・壮大さを表現。見事の一言。



背動でしか出せない壮大さ・疾走感を、それ以外の方法で出す。
それが木上と京アニが生み出した、回転演出だと思うのです。


<参考文献リスト>
京都アニメーション制作「実況パワフルプロ野球OP」のスタッフリストをちゃんと調べてみた-ぬるヲタが斬る
2015春アニメのカメラワークいくつか -大匙屋

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