GOMIstation

2025-1

カテゴリ:原画マン > 庵野秀明

こういうクダラナイことばっかりやってるから、他の記事の更新が遅れる。

先日の、TIFF(東京国際映画祭)の「庵野秀明の世界(監督他・短編)」において、以下のように庵野さんから言及された。

氷川:「(巨神兵の)光学作画については…」

庵野:「まあ、光線の作画をやりました。なぎ払いビームと光線ですね。実は、最初に打つ膨らむビームは『エヴァQ』からの流用なんですよ。」 

氷川:「作品を超えたバンクですか(笑)。」 
引用元:http://royal2627.ldblog.jp/archives/41627044.html 

この光線作画については、言われてみるまでは、まさか実写とアニメを行き来するバンクなんて想定もしていなかったので、両者の関係については全く分かっていなかった。そうして、事実を聞かされた時は、あの日において一番驚いた。それから少し考えると、これはさらに昔に見たことがあるような気がしてならず、少し資料を漁っているうちに、「元となったモノ」を推察した。おそらく、「エヴァQ」「巨神兵東京に現わる」、どちらについても、これを元にしているように思う。

まずは、その光線作画をそれぞれ見ていこう。



■『巨神兵東京に現わる 劇場版(2012)』

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同カットスロー
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■『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012)』
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同カットスロー
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まずこの2つに関しては、大きさの違い(コマ数等のディテール的な違いも)はあれども、同じ作画であることが分かると思う。なぜそう言えるかというと、①最初に膨らむ②ビームが尖る③反動的に再度少し膨らむ。この3つの工程が存在しているからだ。以下に具体的な画像で説明する。


①最初に膨らむ
17]
18]16]
00]19]
01]20]
04]24]

「巨神兵」の方は、強い光のエフェクト表現も入り混じって少し見難い上、光線作画の上半分は画面外なので、一見すると別物にも見える。「エヴァQ」の方も見切れてしまっている部分もあり、少々分かりにくいかもしれないが、(おそらく)使った場所・大きさ・コマ数等の違いだけであるので、同じものといえるだろう。


②ビームが尖る

07]24]
08]
09]26]

「巨神兵」の方では、若干動画が増えている部分もあるが、基本的には同じとみなせるだろう。シチュエーションの違いもあるので、完全なバンクではないようだ。


③反動的に再度少し(※特に先の方が)膨らむ


09]26]
10]29]

ここらへんの微妙な差異は動画の関係と思う。


本題に入っていくが、これらの元になったのは一体どの作画なのかというと、僕は「ふしぎの海のナディア」の36話における増尾昭一によるヤマトオマージュの光線作画と推測しました。典拠の理由というのは、やはり見てもらった方が早いと思うのでご覧あれ。


■『ふしぎの海のナディア(1989)』 36話
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同カットスロー
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膨らみ加減も酷似してる。先程、「巨神兵」と「エヴァQ」の光線作画を比較した時に、③反動的に少しビームが膨らむ、というのがあったんだけど、これは「ナディア」においても顕在してる。(※同カットスローを見てもらうと、わかると思う。)当然、この元になった「宇宙戦艦ヤマト」の主砲ビームもあるわけだろうと。

だから、何が言いたいかというと。この一連の流れを見ていくと、庵野秀明の宮﨑駿(ナウシカ)と「宇宙戦艦ヤマト」への愛情がいかんなく溢れている。それはこれまでも確かにあったんだが、本人の口からこういった形で言及したというのは、「ヤマトとナウシカへの愛」を(隠喩的に)伝えたかったからではないのか、と結論付けました。毎度口に出しても、多分マスコミは食いつかないで、ピースしてる庵野さんをアホみたいに記事にするだろうし。


なんて感じの典拠推測記事でした。ちゃんちゃん。

楽しかった。
(※ご覧いただきありがとうございます。追記した部分には、ちゃんと日にちと入れますので、一週間程度、修正と追記を繰り返すと思いますが、よろしくお願いいたします。)

■上映作品

・ビクター ハイパー・ロボットコンポ CM(1987)
・夢幻戦士ヴァリス CM/PV(1987)
・アニメショップ 「パロディ」 CM/BATTLE MODE PV(1990)
・『炎の転校生』 特報(1991)
・LD Box 『ふしぎの海のナディア パーフェクトコレクション』 PV(1991)
・コイシイヒト 松たか子 PV(2001)
・アニメ店長 PV(2002)
・流星課長(2002)
・空想の機械達の中の破壊の発明(2002)
・映画『恋の門』劇中アニメ 『不可思議実験体ギバレンガー』 オープニング映像(2004)
・シュガシュガルーン オープニング/エンディング/新エンディング(2005)
・『監督失格』 特報(2011)
・館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技(2012)「巨神兵像」竹谷隆之作
・庵野秀明監修:円谷プロ作品 特撮映像集(2012)
・巨神兵東京に現わる 劇場版(2012)

追加上映決定!
・『キューティーハニー』 プレゼン用パイロット(2001)
・『まほろまてぃっく』 オープニング(2001)
・『空想の機械達の中の破壊の発明』 初稿画コンテ撮(2002)
・『Re:キューティーハニー』 オープニング(2004)
・『スカイ・クロラ』予告編祭り 庵野秀明監督バージョン(2008)上映作品
(引用元:http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=205


■雑感

「空想の~」のコンテ撮りの面白そうな感じや、ヴァリス、パロディ時代に感じるグラビトンの作風など色々と面白かったです。特に、この2つには増尾昭一が原画参加してそうなカットもあり、大変に良かった。「空想の~」は、駿バージョンだったのですが、これをずっと見たいと思っていたので見れて幸せでした。後は、既に見た「まほろOP」「Re:キューティーハニーOP」などもありますが、大画面で見ると迫力がやはり違いますね。

まあ、とにかく行ってまいりました。なるたけ丁寧には紹介しますが、もう疲れているので、正確ではない部分(要約してる部分他)も多々あるので、鵜呑みにしないで下さい。(※今回見に行かれた方で間違ってると思われた方は、遠慮なく仰ってください)時系列順です。(※後で画像等追加したり、修正します)



■「スキゾ・パラノ騒動」について

「スキゾ・パラノ」に関する、最近誤解を招いた記事があったことに対し、「インタビュー記事に加筆したという話が大げさに伝わってしまって申し訳ない。言葉が足りなかった。」と竹熊さん及び関係者への皆様への訂正と謝罪がありました。また、Twitterなどで流れている情報に対し、「書いてくれるのはありがたいが、間違っていることが多いので、その部分は気をつけてもらいたい。」と仰っていました。5日間の最終日ということもあり、氷川さんに「コミュニケーションって難しいですね。」とも話しかけていました。



■多方面の割に島本作品が多いことについて(追記11/1)

庵野:「多方面のわりに、島本のマンガを2個もやってるんですよね。(炎の転校生?)ナレーションは全部本人にやらせました。ボクも恥をかくんなら、お前も恥かけ(笑)ということで。」

氷川:「最近では、アオイホノオも実写化されましたが、ご覧になりましたか?」

庵野:「いえ見てないです。」


■ビクター ハイパー・ロボットコンポ CM(1987)

庵野:「会社(ガイナ)で受けた仕事。やったのは、コンテと光エフェクト。それ以外は、美術の佐々木さんがロトスコで、一枚一枚丁寧に仕上げてくれた。その時に初めて広告代理店の人に会ったけど、『ホイチョイ』という漫画に出てくる人そのまんまで、『ああ、ホイチョイのまんまだな。本当にこんな人いるんだ。』となりました。」



■夢幻戦士ヴァリス CM/PV(1987)

庵野:「商業作品では、初監督作品(※トップよりも前)です。スタジオ・グラビトン時代の仕事。グラビトンはフリースタジオで、家賃とか光熱費とかを各自が払って、その場所を維持していたスタジオ。」

氷川:「80年代には(フリースタジオが)たくさんありましたよね。」

庵野:「ありましたね。そしてあるときに、クーラーが壊れてしまって、これはいかんということで、クーラーのお金を集める(仕事して残ったお金で)ためにということで『ヴァリス』に参加した。原画はグラビトンのメンバーなので、とても豪華でよく出来ています。」



■アニメショップ 「パロディ」 CM/BATTLE MODE PV(1990)

庵野「当時、ナディアで赤字を出していた為に、その補填として大学の友だちから仕事の紹介をされた。ナディアは、『島編』の時期だった。コンテは摩砂雪で、ナディアのついでとしてやってもらった。鶴巻も原画で参加していて、2人でちょっと戦うシーンがあるんだけど、『摩砂雪さんのようにならない!』と苦労して、一番時間がかかった(※確か2週間たっても出来てなかった)。内容は、今見てもよく分かんない(笑)。何か憑依して、デカくなって…(笑)。『奈良だけが分かるようにしてくれればいい。』と言われたので、でもシカって書くの面倒くさいじゃないですか、だから五重塔にしました(笑)。」



■『炎の転校生』 特報(1991)

「これも、ガイナの仕事。ラッシュはすでにあがっていて、チェックのみ。(※多分、ラストの爆発は庵野さん。)OPは素晴らしいので、ご覧になったことが無い方は是非見て欲しい。」



■LD Box 『ふしぎの海のナディア パーフェクトコレクション』 PV(1991)

庵野:「他の人にやらせると微妙かなあと思ったので、それなら自分でやろうと思って。本編から一つ鷺巣さんの曲を使って、テロップと編集で作った。編集がリニア(※123456とあって、3が抜けた場合に自動的に上にずれない)だったため、アッセンブリーな作り方でしかできなかった。」

氷川:「極太明朝もう使ってますよね?」 

庵野:「明朝はいいですよ。タイポグラフィがいい。樋口も使ってて、そっちが使ったなら、今度こっちも使おうかみたいな感じで。清川(元夢)さんのところだけ色が着いてるのが、僕の愛情表現です(笑)。ああいう作り方(リニア編集、アッセンブリー編集)だったから、『先のカット無しにできますか?』ということをお願いするプレッシャーはありました。一からダビングし直しですからね。相手の人は、殺そうとする目で本当に勇気がいった(笑)。」 



■『キューティーハニー』 プレゼン用パイロット(2001)

庵野:「パイロットですね。企画が決まってから、3年待たされた。摩砂雪と一緒に、ビジュアルボードとサムネでつなぎあわせて編集した。スポンサーには、アニメっぽいものを作るよと。摩砂雪がほぼやっているんで。(未来少年)コナンの三角塔とか出しちゃって(笑)。彼はコナン大好きですからね。でも、すごいアニメーターです。」

氷川:「今回(TIFF)の予告も摩砂雪さん?」

庵野:「いやあれは僕です。摩砂雪は今回のイベントに全く関係してないです。」



■コイシイヒト 松たか子 PV(2001)

庵野:「これは、事務所からオファーが来てやってくれと。HEROの時ですね。撮影休憩で一日だけ松さんの予定が空いてるということなんだけど、実際は4.5時間だった。代々木の踏切でした。本当はもっと別の踏切でやりたかったんだけど、移動してると時間的に不可能だから。松さんにはネコを持って演技してもらった。」

氷川:「ネコというのはどこから来たんですか?」

庵野:「いや、僕が好きなだけです(会場笑)。そうなんですよ、ジャックに似てるんですよ(喜ぶ庵野さん)。CGはワイヤーフレームだけでやりました。僕は、CGの本質はワイヤーフレームだと思うんです。本当に感動したのがワイヤーフレームでした。後は、あそこは中々電車が来ないんですよね。だけど、きちんと踏切が下りていないといけないから、大変だった。松さんが入ってる画面を先に、もう撮りまくって。後で編集でつなげた。だから、最初の高架橋を煽るカットは(松さんが帰ってから)最後にスタッフと取りました。」



■『まほろまてぃっく』 オープニング(2001)

庵野:「これも会社の仕事ですね。スケジュールに間に合うように、作画もそんな負担がかからないようにコンてを切った。高村が1人で作監できるくらいには。ミサイルの所は摩砂雪です。(コンテについて)アニメでは、これだけの絵をこれだけのカットに入れちゃう、というのは無理と分かるんですよ。」 

氷川:「本編はご覧になりました?」

庵野:「見てないです。2話は鶴巻がやったので、見た気がします。」



■アニメ店長 PV(2002)

庵野:「オファーを頂いて。今石がやるんならいいよと。今石は島本大好きですから。今石コンテで走るのも原画やってましたね。背景は(描くのも大変だし、それなら)実景でいいじゃないかということで、実写合成しました。ぐるぐる回るカメラ(三脚立てて)、は摩砂雪もやってたと思う。」 

氷川:「金田アクション満載ですよね。」 

庵野:「そうですね。後は、ライダーのとこのナレーションだけ(島本が好きなので)演出しました。テープの上の方に、スプライシングのノイズを入れるのが最大の目標でした(笑)。基本的には、CDをもらっていたので、それに絵を合わせるという形で。少しセリフをカットしたりはしましたが。アニメイトには行ったことがないです。」


 
■流星課長(2002)

庵野:「漫画原作が好きだったから、やりたかった。お金無いなりにやってみようと。課長の家がミニチュアだったり、事実上は、これが僕の初の特撮作品ですね(笑)。成層圏を飛び出した後はCGなんですが、CGの人が動かそうとするんですね。でも、これは飛び人形(特撮関連)だから、トメでいいよと。フォトルック(写実)で追い込むと大変になるし、中途半端になったら嫌なので、ワイヤーフレームで全部やりました。八王子にある展示場に許可を取って、1両で行ったり来たりの合成をした。摩砂雪コンテなので、アクションが巧いですね。」 

氷川:「コマ撮りアニメっぽいですよね。」 

庵野:「そう。摩砂雪はコマ抜きもしてるから。アニメっぽく決まるように。キューティーハニーのプロトタイプですね。この頃は、マンガっぽく行きたかったんです。



■空想の機械達の中の破壊の発明(2002)

庵野:「当時ジブリで映像展示を2本作ってて、一つは宮さんがやってるんだけど、それにかかりっきりで、もう一つ作れるヤツがいないかということで呼ばれた。その頃、結婚することが決まってたから、結婚披露宴でスピーチしてくれるなら、これやりますと。仲人じゃなくて、スピーチなんです。バーター(交換条件)ですよ(笑)。でも、このスピーチが長かった。頼むんじゃなかった。やれ、『こいつは風呂に入りません、ゴキブリと一緒に生活していました。』なんて、親戚もいるのに(会場笑)。僕の方から、『宮さん、そろそろ止めてください』と(笑)。」 

コンテ撮りについて

庵野:「企画書を渡されてから、初めて作ったのがこのコンテなんですね。だけど、宮さんから『タイムボカンじゃないか!』とダメ出しされて、『でも、面白いからいいじゃないですか』と言ったんだけど、没になった。制作の女の子にナレーションを頼んで、今回作りました。(コンテ撮りと完成品を)比べてみたかったんです。」 

氷川:「(コンテ撮りからは)『下手な鉄砲も数打ちゃ当たる』の雰囲気も感じましたが。」

庵野:「そういう軸でよかったと思うんだけど、宮さんから『軸なんていらない』と言われてしまって(笑)。結果、(完成した)宮さんの方が大人でちょっと悔しいですね(笑)。宮さんの方が年上なんだから、当たり前なんだけど。完成している方は、宮さんのラフもありますが、基本的にはメカニックは僕です。それを山下(いくと)くんに原画に落としこんでもらって。ラストのピカーっとする爆発は自分です。」 



■『Re:キューティーハニー』 オープニング(2004)

庵野:「ほとんど今石の仕事です。総監督で、『ここは足りないんじゃないの』みたいな部分にチェックを入れたぐらい。OPはオリジナル+αで、(今石は)良いセンスだった。」



■映画『恋の門』劇中アニメ 『不可思議実験体ギバレンガー』 オープニング映像(2004)

庵野:「松尾さんコンテですね。お世話になっているので、引き受けました。松尾さんからは、『昔っぽく』と頼まれたので、できるだけ下手なアニメになるようにしたんですけど、難しいですね。制作に原画やらせたりしたんですけど、後から聞くとその子は昔アニメーターやってた(笑)。僕は走るところを下手になるようにやったんですけど、やっぱり難しい。走るといえば、『鋼鉄ジーグ』の走りは素晴らしい。」 

氷川:「音楽に関しては、何か参考にするものがあったんですか、ブ◯イガー的な感じ…」 

庵野:「それは言っちゃダメです(笑)スポンサーの方に、『これどうですか』と聞いてもらって。気に入ったら、じゃあその方向でと。」 



■シュガシュガルーン オープニング/エンディング/新エンディング(2005)

庵野:「OPは嫁(モヨコ)もコンテ書いてたので、共作という感じですね。だけど、その中でアニメ制作に間に合うようにコンテを描いた。平松(禎史)さんに作監頼んで。EDは、スポンサーに『最終回を迎えた後のイメージで少し大人びているので、ショコラの服の色はピンクから黒にしてください』と言いました。嫁も原画描いてて、良い物になりましたね。」

新エンディングについて

庵野:「線だけでね、これが一番原作に近いです。本編はあまり色がよくないから。『色』なんてアニメにいらないんじゃないのか、なんてことも思った。後は、編集もキューテック使って自分でやりました。こだわりましたね。やっぱり、ノンリニア編集じゃないと、こういうことはできないですね。」



■『スカイ・クロラ』予告編祭り 庵野秀明監督バージョン(2008)上映作品

庵野:「本編予告の他に、石井プロデューサーが他の監督に作ってもらうということで。エヴァやってる真っ最中だったんですが、これぐらいはと思って。奥田と一緒に編集しました。コレ見ると面白そうですよね?騙されたら駄目ですよ(会場笑)。これは、押井さんも少し褒めてた。そんなに、押井さんをディスる(原文ママ)気はないんですよ(笑)。」



■『監督失格』 特報(2011)

庵野:「実写初のプロデューサーでした。平野さんには由美香という奥さんがいて。本編も大変面白いので、是非見てください。平野さんには助けられた事があるので、作品が作れないというのであれば、経済的にも、精神的にもと。平野さんの執念が感じられます。モノづくりをしたいと思う人は見るべきですね。僕がやったのは、李さんと編集だけですね。後は平野さんだけで、やってくれることが重要だった。」 



■特撮について

庵野:「何度も言ってますが、もう特撮は終わりなんですよ。スタッフも技術も失われつつある。だけど、残せるものは残したいし、特撮に対して恩返しもしたい。そういうことで、鈴木プロデューサーに相談したら、現美(現代美術館)でどうだろうと。ある程度残せるシステムを作りたい。」 



■庵野秀明監修:円谷プロ作品 特撮映像集(2012)

庵野:「自分が好きなのを全部詰めました。特撮博物館における映像展示で、東宝、東映もあるんだけど、流石に時間的にムリだろうということで今回は円谷プロだけにしました。これを見て、特撮の魅力が伝わるかなあと。」

氷川:「マニアックですよね。全部分かったら、特撮博士みたいな(笑)」 

庵野:「すごくマニアックな内容です。ウルトラマンエイティの技術は今でも最高峰だと思ってます。ディテールがいいんですよ。小さい破片が飛ばないと、大きさが分からない。後はアクションもすごいですね。ダンチャク(服につける火薬)で、本当に痛そうですよね。そうなんですよ、僕の夢の一つは体全身ダンチャク。

氷川:「全身ダンチャクですか(笑)」 

庵野:「だって全身ダンチャクですよ!(喜ぶ庵野さん、会場笑)。とある作品のときに、ダンチャクしてもらったんですけど、一回目は血糊で、火薬の方のダンチャクもやってもらって。合計2回も。ありがたかったです。後、特撮は見るだけでもいいんだけど、現場に行って、参加するともっと良さが分かる。特撮博物館では、子どもがそういう事をできるスペースを考えてたんですけど。」 



■館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技(2012)「巨神兵像」竹谷隆之作(※CMのことです)

庵野:「僕は文言、BGM、編集をやりました。」

氷川:「入場者数が、29万6000人ぐらいになって、ヤマトと同じだなあと(笑)(※ガミラス星への距離は、片道14万8000光年で×2なので、29万6000光年となる)。」

庵野:「29万いくらぐらいしか知らなかった。今(ヤマト2199)は伸びてますが(笑)昔でも、近すぎると思うんですよね。まあ、ああいうのが良かったのかなあ。ちょっと、ブッチャン(出渕裕:『ヤマト2199』監督)はちょっとね(笑)。」 



■巨神兵東京に現わる 劇場版(2012)

庵野:「企画と脚本、アイデア出しをして、後は樋口組に頑張ってもらいました。この作品においては、プロデューサー的役割のほうが大きかったかなあと。樋口が『押井さんっぽくしたい』ということで、舞城さんを脚本に。(押井さんの作風は)よく分からないことを言ってはぐらかしたり、賢そうな感じになったり(笑)。押井さんをディスりたいわけではないですよ(笑)。ラッシュから舞城さんに参加してもらったんですが、違和感なくすごかったですね。さすが舞城さんという感じでした。」 

氷川:「光学作画については…」

庵野:「まあ、光線の作画をやりました。なぎ払いビームと光線ですね。実は、最初に打つ膨らむビームは『ヴァQ』からの流用なんですよ。」 

氷川:「作品を超えたバンクですか(笑)。」 

庵野:「使ってもいいやって感じでね。後はラスト正面の十字ビームについては、『ナウシカ』の時の巨神兵のレイアウトをそのまま(トレースして)使ってます。昔は(『ナウシカ』の作画のときは)、少し変えたから。ナウシカのときは、僕が『十字に光るのは、ルパンのシグマと同じじゃないですか』と言ったんですけど、『いいんだこれで!』と言われて(会場笑)。」 

劇場版と特撮博物館版の違い

庵野:「3Dの有無とディテールアップと、後は音がモノラルかどうかですね。音がステレオだと、音の一つ一つははっきり聞こえるんだけど、バラバラになっちゃうんです。そういえば、宮さんも『風立ちぬ』でモノラルでやってましたね。」



■Qと巨神兵

庵野:「Qで一杯一杯だったので、音については殆どお任せしました。」 

氷川:「『エヴァQ』と同時上映になったのは何か理由が?」

庵野:「鈴木プロデューサーから、『これ(巨神兵東京に現わる)がこのまま終わるのはもったいない。大きい画面で見せてあげればいい。Qの頭にくっつけてやればいいんじゃないか。』と言われて。その案もらった、という感じですね。通しで見ると、上手くいってたので良かったです。何かサード・インパクトみたいですよね。声も林原さんだから、繋がってる感じがある。」



■全体

庵野:「色々と妙なことをやってきたなあと。特に、特撮と嫁さんどんだけ好きなんだと(笑)。シュガシュガルーンとかよくやりましたよねえ。あのピースは、『魔女っ子メグちゃん』からの伝統という感じで…(ポーズを取る庵野さん、取材カメラをパシャパシャ)こんなとこに限って撮って!(笑)。後は、何で島本こんなにやってたんだとろうなあ。」 



■TIFF5日間終えて

庵野:「高2~54まで、僕が関われた作品をほぼ上映しまして、人1人の人生では、多いか少ないかは分かりませんが、よくやってたなあと。できるだけ同じことをしたくないという気持ちがある。前とは違うものを作りたい。それで少し、新しいものが入っていてよかった。作っては落ち込んでの繰り返しなんですが、次が作れる気分になれたのは良かった。」 

氷川:「個々の作品に対しては、何度も見てみたが、全貌に触れる機械は無かった。1人の人生の歩みとしてすごいと感じる。(庵野さんもおっしゃったが)同じに見えても、確実に違うものがある。新作も楽しみにしています。アニメ作家の代表の1人で、同じ人はいないだろうと。」 

庵野:「面白いものを作りたい。恩返しをしたい。今はこの2点ですね。


「庵野秀明の世界」監督(他)・庵野秀明(短編) レポ

スナップショット - 1883

この作画ずっと悩んでまして。
ちょっと庵野っぽいかなあと思ったので。


■『エヴァンゲリオン新劇場版:Q 金ロー予告(2011)』 庵野作画?

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多分全原画。というか8枚だしね。割れないし、割る余裕もなかったんかなあと。そんで、庵野作画と確定してるこっちの作画と比較すると、爆発表面の模様の付け方とか心なし似てるんですよ。



■『エヴァンゲリオン新劇場版:Q(2012)』 庵野爆発

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具体的にはこんな感じ。


比較その1
エヴァ比較2

緑色で囲ってあるところは、ディテール的類似。ムーンラインっぽいものと同時に、段差をつけて2つのお月様を描いてる。分かるかなあ。水色は、これまでの(序や破)では見られなかった、橋本敬史的ディテールの類似。液胞のような、楕円を中にアクセントとして入れている。


比較その2
エヴァ比較

水色は、比較その1の楕円ディテールとムーンラインを示してます。特に、液胞のような楕円ディテールに関しては、庵野さんはしたことがなかったように思います。緑色は、増尾・庵野的ディテール。この「Y字的」ディテールは昔から見られますね。


根拠としては、これぐらいですね。
タタキの使用、爆発表面のディテールの類似、ぐらいです。
「予告」の作画は、やや優等生的な感じが引っかかります。もっとボン!バン!って感じだと思ってるので、近年の庵野作画については。まあ、でも多分庵野さんですよ。(※これが増尾作画であるならば、ますます庵増判定は厳しいものになってしまう!個人感ですが。)



実は、模写する並に2011予告の爆発好きなんですよ。(※イージートーンでシコシコ描いてたw)なんというかね、あのころは情報に飢えてたのもあって思い出補正がかかってるかもしれないけど。

また、機会があれば、「エヴァQ」庵野作画(推測)の作画詳細説明もやるかもしれませんので、お楽しみに。

最初に言っとく。原作知らなくてもいい、ガイナや庵野に興味ある人は見よう!!

アオイホノオ 公式サイト 
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最近といえば、監督不行届のあまりの出来の悪さに愕然として、「原作の良い部分が、出てねえじゃねえか」と喚き散らしたし、4年前くらいに大好きな漫画が3部作で実写化された時に、コマまで同じに撮りますと聞いて、一抹の不安は覚えながらも、そこそこな期待をして待った映画が駄作だったこともあったし、とにかく”漫画原作が実写化(アニメ化)されることには期待感など全くなく、むしろ恐怖感の方が大きかった。

そのため、島本和彦原作の『アオイホノオ』の実写化も「ふーんヤスケン庵野役なんだー」ぐらいのノリでガッツリ本気で見ようなどとは思ってもいなかった。だから録画もしてないし、番組予約すらしていないし、アオイホノオが放映される日を知ったのは、偶然に見たTwitterからだった。

まあ、原作ファンとして、また罪もない作品が傷つけられるのを見守ってやるかという傍観者の気持ちで、番組へ臨む。

お、「この話はフィクションである」を明朝でやってんじゃん。どんなにひどくても、ここだけは評価できるな~。なんて偉そうな視聴者でいたのだが、そんなのは瞬く間に消える。


!?
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初っ端に、DAICON3の映像!?この監督分かってる!これはすごい!
 
21世紀といえども、よもや地上波で「DAICON3」が見れるなど、誰も予想できなかったであろう。

ここで分からない人のために解説しておくと、DAICON3(大阪で3回目の意味)という日本SF大会が開催されるとき、運営主体であった岡田斗司夫、武田康廣に依頼を受け、赤井孝美、山賀博之、そして庵野秀明を中心に制作されたアニメーションが「DAICON3」である。

■「DAICON3」


「DAICON3」の終了と共に、制作組織も解散される予定だったが、すんごいものが出来たので解散するのはもったいないと次回の「DAICON4」に向けて、正式に制作組織として作ったのが「DAICON FILM」である。

つまり、簡単にいえば、自主制作アニメである。赤井がキャラ、庵野がメカ・エフェクト、山賀は背景を描いたのだ。スゴイんだけど、そんなものが地上波に出るなんて予想も何も無かった。こんなことやれる監督が日本にもいたんだと、昨今相次いだ実写化の失敗を恨みつつも、ただただ画面にへばり付くしかなかった。


そしてお話が始まる。

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まずは焔くん(島本和彦)の、漫画分析から始まる。この自然な上から目線、若者の心理描写として原作漫画「アオイホノオ」はずば抜けているのだ。この「自分だけが分かっている」「自分の中にだけ王国がある」感じが、これでもかという風に原作まんまに出ている。主演の人は上手い。柳楽優弥さんだっけ、上手い。ナルシストというか、青年特有の傲慢なくせに打たれ弱い感じ、そういうもんの芝居が上手い。


45]46]

そして、焔くんが色々とあだち充について語った後、パラパラ漫画の授業が行われる。何十枚かで、動きのある絵を作って来いというもの。焔くんは、自信満々に描き上げ、友達に見せて自慢をするが、後ろの方で何やら騒々しい。なんだなんだと駆けつけると、 一人の男のパラパラ漫画がスゴイらしい。


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フィアットがパトカーを押しつぶし、ボンネットが上がりつつ、細かい破片が画面いっぱいに飛び散っているではないか。この精密な車のディテールと、破片の踊り具合、ボンネットの挙動、フィアットが飛ぶ感じ、どれをとっても衝撃的であったろう。それにしてもよく再現してある。


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そりゃ焔くんも、驚いてパラパラされる。原作漫画では島本和彦の嘆きが書いてあったが、「僕の描いていたのはパラパラ漫画にしかすぎない」と。そうなのだ、焔が自信満々に描いたのは、所詮パラパラ漫画であり、この男が描いたのは”アニメーション”になっていたのだ。


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これを描いたのが、「風立ちぬ」主演声優、庵野秀明。ヤスケンいい感じに庵野を演じてくれそうです。一応この後にも出てくるであろうから、ネタバレが嫌という方は見るのを避けてもらいたいが、これはダイエーの計算用紙に描いたペーパーアニメで、庵野秀明の作画のスゴさが分かると思う。


■「へたな鉄砲も数打ちゃ当たる!」「じょうぶなタイヤ!」庵野秀明(1979,80)


ちなみに、「へたな鉄砲も数打ちゃ当たる!」の方は、庵野が浪人生時代に描いたものである。すなわち19歳でこんなのを描いてたのだ。底知れないエフェクトの観察力には、今も驚くばかりである。



さて本題に戻ろう。こんなのを19やそこらで見たら、誰だって才能の差に驚き、自分の力の無さを嘆くだろう。

焔くんは、叫びながら学校内を走る。

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しかし、そこは青年。青年特有の謎ポジティブにより、「まだまだ俺には無限の可能性がある」とかバズ・ライトイヤーみたいなことを言い出す始末。原作通りにするにしても、大声を出して笑ってしまった。島本和彦漫画と言えば、大声を出して走るのが一種のお決まりでもあるが、実写化するとこんな面白いのか。


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そして、ここで後々のアニメ界を担う人材の紹介。山賀博之は言うまでもなく、ガイナの現社長。南雅彦はボンズの社長として今も奮闘してると思う。(※正直、さほど知らない)原作漫画の雰囲気そのままのキャスティングは見事の一言である。ただ「王立」のことを、広告会社か配給会社のせいで付けられた「オネアミスの翼」と呼ぶのはオタキングが怒りそうでもある。


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お話は、5分間のショートフィルムを班ごとに作るというものに進む。焔たちのチーム「なんなとくクリスマス」は、学生特有の軽いノリでフィルムを作ろうとするが、理想主義者な焔くんは怒りまくる。そんな適当じゃダメだろうと。


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結果、見るに堪えないフィルムとなってしまったが、学生時代のプロジェクトの進め方としては、岡田斗司夫曰くこれが正解らしい。「作品の完成」が何よりも優先されるのだから、確かにとは思う。まあそんな理屈は、焔くんみたいな若者には通用しない。焔の怒りは高まるばかりである。

ここら辺りも原作の感じはすごく洗練されて出ている。まあ細かいこと言うと、南に焔が突っかかるときはやりすぎのような気もするが十分許容の範囲内。


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そして山賀たちの班のフィルム。ウルトラマンを学生で作ったのだ。ちなみに僕は、DAICON関係では多分コレだけ実物を見たことがない。


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結果は、大ウケ。大した設備やお金もない中、素顔のウルトラマンを、色をつけたジャージとウインドブレーカー、胸のカラータイマー、本家の効果音を使用などの省エネ制作にもかかわらず、リアルに再現。「手法があったのに気付かなかった」と、焔の心はボロボロになる。


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「次は絶対感動させてみせる」という庵野の言葉を受けて、「絶対オレは感動しないからな!」と言い残し、また走る焔くんであった…
(※ちなみに焔のセリフは、ドラマオリジナル)


OPは金田っぽいコマ撮りで、これまた面白い。

■「アオイホノオ 比較動画」 


元ネタあるとはこれまた驚き。ラッキーマンは何となしにそうかもなあというぐらいで、ただ金田っぽくしてるだけだと思ってました。作画ファンが持ってる知識の有意義な使い方ですね。ちなみに判明してないパートの1個目は、「スケバン刑事」みたいな女性キャラっぽいっすね。二個目はガチガチのロボもんっぽい。まあ分からんわけですが。


まあこんな感じで、本当に面白かった。
決して、原作と構成や場面、セリフが一致してるわけではないのに、原作を100%以上実写化しているように感じるのは、時代背景を綿密に検証した美術や小物などのおかげだと思います。焔くんの机の感じ、雑誌の黄ばんだ感じとか、あの時代の女の眉毛とか、そういう細かいところをよく考えて作っているように感じます。原作とも比べて記事にしようかなとも思いましたが、そういや明日2話だし、とにかく見てもらおう精神で、1時間くらいで書き上げました。

ということで、タイトルに嘘偽りはございません。これは、21世紀数ある漫画原作の実写化においてベストと言っても過言ではない出来です。多分、焔くんの漫画とか漫画のコアなネタよりも、庵野のネタの方がよく出てくるように思います。(次回予告で、ヤスケンがもうウルトラマンの動きやってたし)原作では行ってないけど、DAICON4ぐらいまで行くんじゃないのかなあ。流石に無理か。

明日深夜(金曜深夜)2話放送。これは、見なきゃ損です。ガチで。

「一番好きな爆発は何か」「オールタイム・ベストの爆発を1カット挙げろ」と言われたら、多分一生これを挙げ続ける気がします。 

■『王立宇宙軍 オネアミスの翼(1987)』
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同カットスロー
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ロケット打ち上げの時もそうですけど、庵野爆発って一枚絵で見るとパッとしない。いや十分カックイイのかもしれないけど、繋げて見た時の素晴らしさは一枚絵と比べると段違い。この爆発は特にそれが顕著で、見るたびに新しい発見をしてスゴイなあと感じる。説明みたいな文章も書いてみたけど、どこか陳腐で庵野爆発の本質から遠ざかるような感じがして辞めた。説明を放棄するとブログの意味も無い気がするけど、これが正直な感想。(※BSアニメ夜話における氷川竜介さんの解説が一番分かりやすいと思うので、ググってください。)技術的には最高に極まっていて、まさに庵野秀明の写実黄金期のベストカットだと思う。うん、何か言うたびにこの爆発のランクが下がっていくような気がするので、ここら辺にしておく。

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