GOMISTATION

足が絡まっても、踊り続けて

カテゴリ:原画マン > 増尾昭一


クロスフィルターとは撮影効果の一つです。通常はイルミネーションだとか、夜景の美しさを表現するために使われます。あとはご飯の美味しさとかですかね。

*参考
http://www.kenko-tokina.co.jp/special/product_type/201511_crosssoft.html


増尾昭一が普及させたものとして、中野フラッシュがあります。
*参考
http://sajiya.blog89.fc2.com/blog-entry-592.html



結論から先に言えば、これがクロスフィルターの発展型と組み合わさって(もしくは昇華して)、現状の表現(増尾さんが最後に関わった「エヴァQ」が顕著)になったと僕は思うんですね。


■ふしぎの海のナディア 39話(TV/1990):増尾作画
20180101130531

これがもっとも純粋なクロスフィルターの表現。クロスフィルターは基本的に、何本かのクロス光を重ねるようにして入れます。キレイに入ってますよね。


ちょっと昔を見てみると、

■戦え!!イクサー1 ACT.1(OVA/1985)
20180101130530

こんな感じ。これは光線の間隔が広いですね。



20180101193707

白コマとクロスフィルターの組み合わせが閃光を表現している

この時代は、こういった「ビームの前に発射する前の1段階」みたいな表現は山ほどあるとおもいます。どうなんだろうね、もっとすごいのもあるかも。




■魔法少女まどか☆マギカ(TV/2011)
20180101193709

これ微妙、というか回転クロス光ですね。もうちょい良いのがあると思ったんですけど、今のところ分かってなす。


20180101193708

この辺もカッコイイけどね~これは金田光だなあ、円と十字で形どっているので







んで、中野フラッシュとクロスフィルターが合わさったのが次の作画なんですよ。


■ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(劇場/2012):庵野作画
20180101130527

原画集では、クロス光はなく指示も無かったとおもう。撮影部、デジタル部、もしくは増尾特技監督によるものでしょう。これほどタイミングが素晴らしいのは、なかなか作れない。





あとは綺麗なやつも載せておこう

20180101130529

グサーのところですね。遠方から近くに寄ってくる中野フラッシュが美しい。もはや、増尾フラッシュと呼称しても良いのではないかとおもう。



20180101130528

まあ、ここまで読んでくれたら言うことは特にないでしょう。キレイな増尾フラッシュですね



たとえば、大張さんの光表現だとか、グレンラガンの今石作画とか、とうぜんにツッコミどころはあると思います。そこら辺はまた後日、調べたいと思っています。詳しい人はコメントしていただきたい。本当は年末に上げたかったんですが、多忙をきわめておりました。


「ナディア」~「帝都物語」あたりの、1990年代前後は増尾作画の過渡期です。この時期は、過渡期ということもあり、さまざまな工夫が見て取れて面白いんですよ。パートは全て推測。



■帝都物語(OVA/1991)01.03.04話


01話:崩れ行く建物1
20171117163910


01話:崩れ行く建物2★★
20171117163911

この時期の代表作は、「ナディア」「クラッシャージョウ」など。で、この頃の増尾作画の特徴といえば、『デコボコ平面フォルム』と、『クワガタ・ムーンライン』の2つです。なに分からないと。21世紀の義務教育ですよ、ご説明しましょう。



★増尾作画フォルム・ディテール比較図
増尾1990前後比較

特徴を要素別に分けると、
・輪郭と煙内部の色は異なっている(※輪郭と内部で色分けされている)
・煙内部のディテールに「クワガタ」のような模様がある
・煙内部の中心にカゲは、ほとんど付かない

この3点が、この時期の増尾作画(増尾煙)の特徴です。


さて、これらを踏まえて以下のgifを見てもらいましょう。今までより、ずっと深く、増尾作画を理解できると思います。


03話:家ぐしゃあ
20171117163913

輪郭と内部は線で分けられており、煙内部にはカゲが付いていない。これでは平面的になってしまうはずなのに、立体感がある。なぜか。それは、これら平面的な煙を何層にも重ねているからです。オーガス以降、増尾作画の根幹をなしている部分です。



もう一つの主な特徴として、「爆発を2段階に分ける」というのがあります。

03話:大仏ドカン
20171117163914

最初は遠方で爆発させておきながら、あるていど時間が経つと急に目の前で爆発する。カットの終わりで、5枚ほどでドカドカと爆発するんですが、これも大きな特徴です。「ガンスミスキャッツ」「トップをねらえ!」などでも散見される。



03話:龍内部での爆発(※推測)
20171117163915

ディテール少なく、丸いフォルムのハイライトが入っている部分が重要。ぶっちゃけこれは微妙ですが、急速に伸びていくタイミングが増尾作画っぽい。


03話:ドッカン半球ドーム爆発 ★
20171118192214

増尾作画では、半球ドームがときどき(「彼氏彼女の事情」「旧劇」「RE:キューティーハニー」など)見られます。ディテールが少ない半球ドーム爆発は、タイミングが大きなポイントとなる。膨らんでから目の前に迫るまで、そのタイミングのセンスが光る。



04話:墓ビーム
20171117163916

04話は本当にさっぱり分からんかった。まあ、可能性があるとしたら、この辺でしょう。ナディアで見せたビームの膨らみ方/しぼみ方と似ている。あとはスミアのような、増尾(中野)フラッシュも判断材料ですが。ここでなかったら、瓦が浮きあがっていくところかもな~


「帝都物語」は豪華原画による作品ですので、やはり見極めるのが難しかった。特に、庵野合田松尾増尾が参加している話数は嬉しい一方で、判定のときには困ってしまうような。まあ、パート判定なんて正解することが目的ではありません。パート判定を通じて、その人の作画のどこに一体魅力があるのか、それを知ることが目的です。パートの正否はあまり重要ではないのです、間違っていたら直せばよいだけですから。「帝都物語」で増尾作画の別側面を知ることができた、それが作画のもつ楽しさの一つであります。


とりあえず、最近判明した増尾作画を


■「月光のピアス ユメミと銀のバラ騎士団(1991/劇場)」
20171021172548

燃えるときの炎と白コマがかっこいい。電撃もめっさ上手いですねえ。
(※そのうち、プラズマ・電撃系作画も整理したいNE)




■「新海底軍艦(1995/OVA)01話」※推測
20171021172549

「新海底軍艦」の増尾作画はまったく分からんわけですが、自分の見立てだと、ここしかないんですよね。2回目の爆発の後、煙の表面ディテールが少なくなっていることが分かると思う。この特徴は、「ダンガイオー」以降「アギト」まで続きますので。



■「紅狼(ホンラン/1993/劇場)」★★
20171021172547

この紅狼における爆発は、たぶん90年代で一番ではないかなあ。広がっていく際にカゲが2色あるのって珍しいんですよ、この時期では。



追加(2017/10/22)

■「スケバン刑事(1991/OVA)02話」
20171022093442

大匙屋さん提供。ディテール少なめの平面煙を重ねていくことで、奥行や立体感を出している。



■真救世主伝説 北斗の拳 トキ伝(2008/OVA)
20171022092552

横からの爆発では透過光を全面に出し、タタキも入れている。爆発の臨場感/カタルシスを描写。



■銀色の髪のアギト(2006/OVA)
20171022092550

これMADに入れ忘れた分。レイアウトが上手いから、遠近がよく出る。


20171022092551

90~00年代はこんな感じのタイミング。一旦爆発する時に白コマがあり、画面手前に押し寄せてくる時に再度白コマを入れる。


あと、下の記事における、「AKIRA」の増尾作画もほぼ確定しました。
(※→仲さんのツイート
AKIRAにおける増尾作画の推測と、王立庵野の影響について
http://royal2627.ldblog.jp/archives/47360550.html

戦車のとこですね、ヘリのカットは不明。




この時期は、やはり難しい。AKIRA・王立以降の90年台は増尾作画の過渡期で、まあ3種類ぐらい使い分けてると思うんですよね。すごく遠くの爆発は半球ドーム型で、近いとこだとお団子型/立体フォルム型になる。で、眼前ぐらいの距離だと、平面の煙を重ねる感じ。ディテールだけでも相当の試行錯誤が見られる。

「距離別にエフェクトを変えたい意志」が明確に伝わってくるのは、だいたいトップぐらいから。起因するのは、以前言ったとおり、王立とAKIRAだと思いますが。平面エフェクトは、どういった意図があるのか。それが気になる。焦点が合ってない感じとかを表現したいのかもしれない。

↑このページのトップヘ

©GOMISTATION 2012-2017 All rights reversed