GOMISTATION-α

気楽な秋

カテゴリ: エフェクト作画


2019夏アニメ、制作:david production

エフェクト作画監督は佐藤由紀さんというベテランの方
おそらく相当に色が出ているのだろうけど、それは炎炎ぜんぶ見ないとわからんちですね。


★★
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佐藤由紀作画(※推測)

03話のエフェクト・ベストカットはここかな。悪魔くんの家が燃やされている過去回想シーン、モノクロと透過光だけで、ここまでの悲惨さ・無残さを喚起する。火の周りが速く、逆に黒煙はゆっくりと立ち昇る。溶けていくように映るのは、家全体が炎でゆらめいているからですね。

煙のディテールはクリームパン系ですね。クリームパン系ってなんだよ

クリームパン系

囲った形がクリームパンに似ている、それだけ

エフェクト作画をどう捉えているのかをよく聞かれます。エフェクト作画は個人によって、ディテール(爆発表面の模様だったり、煙のカゲの形だったり)に特徴が出やすいので、そういったところを個別に分けて考えている。



ライダーキック★
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ショックコマ→着地→ショックコマ→爆発

佐藤由紀作画(※推測)

色の動きによって、フォルムや爆発の回転を表現。これが新興エフェクト(1*)作画の特徴です。だから、従来のフォルム基調よりも形の幅は広がりますね。うまい人じゃないと、途端にダメになっちゃうだろうけどなあ。新興エフェクトは、柿田・上妻作画の影響が大きい。

1*・・・近年散見される、従来のエフェクト作画とは異なる形によって写実さを表現しようとする作画の呼称。「WEB系」「系系」とかありますが、あれらは定義がややこしいので個人的に作った。

この白クロス光っぽい白とBL黒のショックコマ、もう中村豊クロスショックと名付けていいと思う。ゆたぽんクロスショックとか。現行アニメで見ない日はない。

僕のヒーローアカデミア25話」でも考えたように、こういうグラデーション・テクスチャ?はどんどん普及してきている。単色で塗り潰すと工夫・労力の割に、画面から浮いて見えてしまう。そこを改善するためのものなんでしょうね。今は爆発だけですが、そのうち煙にも使われるようになる。



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透過光→ハイライト

この辺も従来の感覚とは大きく異なっている作画。いちおうですが、語弊なきように、「良し悪し」は言ってません。最初の透過光は分かるんですが、その後にハイライトによって高温表現するのが斬新です。

この辺、ややディテール違いますが、佐藤由紀さんの修正は入っているかも。というか、2つの衝撃波と破片めちゃくちゃうまい。なんなら爆発より良い。手前のCG煙はここまで大きいと少し爆発が映えないかも、レイアウトとして。微妙なところ。




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破片の舞い方・壊れ方がいい。小さい破片と中くらいの破片の2つで動かしてますね。大きいのはあんまない。小さい破片が連なって動くのが良いんですよ。風を感じる。




─京アニ事件のあおりを受け、炎炎ノ消防隊3話はその週では自粛という運びになりました。まあ、しょうもないことです。タイミングは悪かったですが、これはフィクションですから。東日本大震災の影響によって、今でも津波を描いてはいけない風潮がある。ヱヴァ破には見事な波カットがあるのですが、放映されるときには毎回カットされる。これは簡潔に言うと、「雰囲気」による表現の規制・縮小ですからね。そんなもので表現が狭くなっていいのか。

地震そのものの悲惨さとは別に映像美は確実に存在する。だけど、地震なんて、そもそも企画にしてはいけない。原発を描いてはいかん。じゃあ、今度はそれが放火になるのか?と。それは、現実のクソ犯罪や天災に屈したことになるのではないか。現実とフィクションは、果てしなく分けて考えるものです。それが理性です。現実のイメージを塗り替え、乗り越えるのが表現と信じています。


今日はアニメーター増尾昭一さんの御命日です。亡くなってもう2年経つのか。三回忌。とりあえず、こういう機会になるべく増尾さんの作画・デザインの素晴らしさを紹介できたらいいなと。



まずは、メカ関係について少し

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エヴァ弐号機については、コピック仕上げ(※セルの上から蛍光ペンのように塗るハイライト加工技術)で触れているていど、これはTVシリーズ通しての傾向。戦艦は大部分やっているのでは、と思う。Aパート前半の戦艦群、甲板の戦闘機ほかは少し?ごめん、これは識者を求ム。



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増尾作画、仕上げ(※推測)

継ぎ目でコピックが十字に膨らんでいるのが増尾メカ作画の特徴の一つ。右はBOOK背景にディテールアップしたものと考えている。




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白コマショック

この戦艦二隻カチコミ爆発は、このカットのみ増尾作画(※推測)。発射の時の砲塔ビームもいいですね。これだけ近くで光ると、ゼロ距離砲撃が見事に分かるよね。





今回取り上げるのは、ついにあの「誘惑 COUNTDOWN(1995)」です。ちょうどTV版エヴァと同時期、実はですね、エヴァの頃の増尾さんの作画って僕もよく分かってないんです。「新海底軍艦」とか。TV版のウェザリング(※メカニック機体の汚し作業)の話や、今回のコピック仕上げ見てもそうだけど、画面全体のディテールアップを務めていたように思う。

だから、割とエフェクトを書く機会がなかったんじゃないかなあと。「YAMATO2520」はガッツリやってますけど。遍歴を見ると、このくらいなんですよね。つまり、TV版エヴァ、劇場版エヴァでは(思いもよらず)多忙だったはず。

そんな多忙な状況において同じ時期に、関わった、というか監督したのが「誘惑 COUNTDOWN」です。18禁OVAで本谷利明さんなども参加されています。オムニバス形式で全6話(全3巻)。再編集時には、DVD2つに3話ずつ再整理された。


いかんなく増尾作画が発揮されていたのは、「SEEK」と「暴れん坊少年(※改題後「からくり評判記」)」です。



「SEEK」(原画NC;ノンクレジット)
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黒系ショックコマを入れてから半球ドーム状の爆発が広がり、同時にその周囲に爆煙が広がっていく。ちらほら見える透過光が効果的でいいアクセントになっている。高温な表現も伝わってきますね。




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丸と直線を浸かった融合系のショックコマ

ショックコマの時間がだいぶ長い。
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ショックコマから変化するように、爆発と煙になっていく。面白いポイントは、ショックでいろんな色が透過光として使われている点ですね。これは試したんだろうなあ。





「暴れん坊少年(からくり評判記)」
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致しているところに上から猫型ロボットが降ってきたシーンです、深くは考えなくていい

ああ、この煙の流れ方ですよ。カゲ色2つ使って、ボコボコなフォルムで、それぞれ違うスピードで波のように流れていく。2000年代で増尾さん、こういうのをたくさんやります。だから、そういう煙の基礎をこの辺で作っていたんだなあと今分かってしみじみとなる。



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城塞都市と化した江戸城が砲撃しているシーンです、深くは考えなくていい

いや、やっぱね、このビームの描き方、すごいですよ。膨らんでから鋭くなるまでのタイミングめちゃくちゃ良いですもん。先日、シン・エヴァ冒頭10分絡みで橋本敬史さんがおっしゃっていたことは、こういうことです。まあ、もっというと「ナディア」のビームを参考にしたのではと考えている。



☆☆☆
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ニトロが詰まっている容器をこぼして爆発させてしまうシーン、深くは(ry

ひさびさにマイ・増尾ベストワークきたなあ、これすごいわ

バリアの球面にプラズマが走り、それをなぞるようにニトロがこぼれていく。そして着火、爆発、一瞬にして爆煙に。ここすごいのが衝撃波を透過光で表現しているところですね、あんまり見られない。というか、僕は初めて見た。しかも、衝撃波は2回あって、時間差がある。これはニトロと、ロボ自体の爆発の時間差ってことなんでしょうね。だから、衝撃波の高さも違う。すげえや。




こうして見てみると、エフェクトもけっこうバラバラですよね。実験的なこともたくさんしている。「なにか新しいものはないか」というのを探している。そういった点で、常に新しいものを描きたいと発言し、作ってきた、庵野秀明とは作品づくりの面でも素晴らしいパートナーであった。だからこそ、一緒に「エヴァ序」を作った。シン・エヴァは一緒に作れません。一緒には作れませんが、スタジオカラーの方々がその思いを、増尾イズムを継いでくれると心より願い期待しています。

<参考資料>


参考・特徴記事:第三勢力、黒田結花のエフェクトについて少し
http://royal2627.ldblog.jp/archives/43928746.html

黒田結花、アニメーターをやめていたと残念に思っていたんですが、そんなことはなく。しかし、シリーズ通しての参加は久しぶりで「ブラック・ブレット(2014)」以来、5年ぶり。嬉しい限りです。ハレルヤ!彼女は不世出のエフェクトアニメーターですから。


#1 盾覚醒
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盾の勇者がキレて覚醒する脳内イメージ
おどろおどろしい雲と直線的な雷でダークな面に堕ちていく
奥の雲の配置、すなわちレイアウトが光る



#4 戦闘その1
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重たい斬撃を与えて受けてなので、地面に強く踏ん張った脚の衝撃が残る。そんなのを示した砂埃のエフェクト。少ないディテールながら、煙の立体と流動を表現する。


戦闘その2
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吹き飛ばされた後のレイアウトの素晴らしさ。着地したときの衝撃がエフェクトとなって画面に迫る



闇落ちその1
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ブラシあり煙

ブラシが使われているエフェクト作画。さいきんはあんま見ないなあ、ブラシありのエフェクト。庵野さんとかよくやってましたが。これだけで暗黒面に堕ちた感じがわかるよね




#7
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紫エフェクトの立体感やブクブクとした膨張感がいいですねえ。なぜローディテールにもかかわらず、こんな風にできるんだろう。まあ球体っぽく煙が動いているので、そういうのが関係しているのかもしれません。


ここらへんから木が倒れるあたりまでは黒田結花でしょうね



・木の倒壊その2
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木の一部が落ちた後、それを包み込むように煙が左方向にひしゃげて押し出される。



木の倒壊その3★
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密度が高いエフェクト。じんわりとしたタイミングとフォルムで周囲の空間を圧迫していく

[追記]
ここ2つ目の木が倒れる直前がすごい。倒れていくときの風圧が煙の動きに影響している。右の煙見ると分かりやすいんですが、持ち上げられるかのようにふわっとなってますよね。だから、周囲の空間を圧迫していくように見えたのか。



とりわけすごかったのが次の2つ
4話は必見


#4戦闘その3★★
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重たそうな煙。主人公に覆いかぶさるぐらいの勢いなのは、第2王女に反則された後なんで、そういうきつめ・辛い立場にあるのダメージ表現なんでしょうね。



闇落ちその2★★★
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煙の動きだけで闇落ちが表現できるアニメーターってなかなかいないですよ。じわっと動きながら沈んでいくので、盾の感情を代理してるんですよ煙が、エフェクトが。つまり、感情や情緒をエフェクトで表現しているんです。コンテはとうぜんあるだろうけど、それを完遂できる黒田結花ってとんでもない


#6
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これ割と面白かった。輪郭白ライン+クロスフィルター(撮影)で、煙の表面はぼかしテクスチャみたいなのを入れてる。ぼかしテクスチャ流行りそうだな~もう流行ってるかもなあ。


この辺はなんか物足りない、いや十分上手いんですけど
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#7
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奥側の爆発はランダムに表面のディテールが変化する。
イフリートの圧倒的な破壊力を示す場面なので、そういう意図があるのかも。
押し寄せる爆煙は言うことないです、ただカット尻の全セル煙が少し雑。



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シズ涙の蒸発1コマエフェクト、こういうのが好きなんだよなあ



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ハイライトと透過光は分かりますけど、これ暗いところの色はグラデーションですかね。最初は何色も使っているのかと、面白い。フォルムは丸っこいなあ。粘土のようにねっとりと上昇していく。


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対イフリート戦は流線形のエフェクトも散見されました。まあ流石にこの分量は一人でさばけないとおもう。転スラ作画ですが、リムルの動きなんか毎回見ているのに飽きないですね。どっかでずば抜けた作画があったような気はしないですけど、このクオリティをよく保てるなと思う。


お話はまあ、村が作られていく過程がたぶん面白いのかなあ、転生主人公リムルの物語というよりは異世界全体で動いているような気がする。秘密基地に仲間を集めている感じ。


読者からの質問
読)ガーリー・エアフォース1話の冒頭CG戦闘シーンの板野サーカスは微妙というか、CGとしてはクソすぎてクソオブクソだと思います。作画サーカスに及ばねえクソさだと認識してますが、その辺イアキさんから見てどうですか?

ということで冒頭だけ見ました。なんかストパンみたいだな~



ガーリーエアフォース#1冒頭サーカス群


その1
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戦闘機の動きがちょっと速くて、ミサイルが追いつく感じがしないかな~
でも、全体を通してレイアウトは立体的で良い



その2
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CG戦闘機が背後を取るのがちょっと雑な気もする。こんなバシバシ動くか?みたいな。ミドルショットからロングショットの板野サーカスカットですが、軌道が惜しい部分がありつつもよくできている



その3
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これ惜しいなあ。途中まではキレキレでいちばん良いサーカスなんですけど
ラストの右回り旋回が少し良くない、画として欲張ってしまった感じがする




CGサーカスの参照例としていくつか

宝石の国#3(2017)
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オレンジCG。動く目標(戦闘機)がない代わりに、シンシャの毒液を2本出すことで板野サーカス風味に。先に出ていった方を後の毒液が追いかけている。




ヤマデロイド(2015)[アニメーター見本市#10]
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ロングショットの戦闘から、手前にヤマデロイドと悪役2人が寄ってくるサーカス。これはヤマデロイドが追われる側です。追いつきそうで追いつかない。



ガリエアのサーカスを見て最初に思ったのは、微妙なのもあるけれど良いショットもある。他のCGサーカスについてもそう。CGサーカスはクソって言うと、この記事はなんの意味も持たないので、良い画が持つものを考えることにします。良い画とそうでもない画、この差はいったいどこにあるのか。


──板野サーカスの生みの親、板野一郎はとかく「理屈」の人で、チャフやフレアの概念を持ち込み画に昇華した。リアルなものをアニメーションの世界に持ち込んだ。なぜ、このミサイルはこういう動きになるのかを説明でき、しかも実践してきたアニメーターだ。そんな板野一郎は以前から、「板野サーカスにおいては軌道が最重要」と述べている。結論から言えば、ガリエアやCGの板野サーカスの差はここにある。

次回はそういう所を探っていきたい

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