GOMISTATION

足が絡まっても、踊り続けて

カテゴリ: エフェクト作画


さて、今回は上妻晋作作画について(カミツマとは読みません、コウズマと読みます)。上妻作画、特にエフェクトは、ジャンル分けできないほど個性的である。とにかく、タイミングがとても独特である点が最大の魅力だ。その点に注目して読んでもらいたい。


★神撃のバハムート VIRGIN SOUL 01話(TV/2015)


辺りを伺う龍と煙
20171103154659

ちょうど半分くらいの瞬間に注目。煙がいったん、その場で停滞している。ただ単純に、煙が一定の動きをするのではなく、空気を考慮した結果、こうなっていると思う。

煙/爆発のディテール
57] 52]
06] 17]

煙のディテールは、たいていカゲ1色。煙表面において、大きくしたり小さくしたり、また煙本体と連動させながら動かすことで、煙の動きを表す。炎/爆発時は、カゲとハイライトをそれぞれ使うが、ハイライトに重きを置いている。



龍の立ち上がりと建物の崩壊 ★★
20171103154700

上妻作画は、どうにも言葉にしにくいんですが、やはり時々「止まる/停滞する」。このカットにおいてもそれは顕著に現れていて、建物が崩れた瞬間、龍が口を開けた瞬間に少し止まって/滞留している。とにかく、タイミングがとても独特と思ってもらえれば良い。建物が崩れた後の微妙な間も、地に足が着かない感じの不安定さがある。これで、単純な絵にならないようにしている。




伸びる炎ブレス ★
20171103154702

炎の発生と消滅のタイミングに注目。色は2色+透過光ですかね。上妻作画は、主に球形のフォルムを多用する傾向にある。球形フォルムによって、炎を形どった後、色を白→黄→赤へと変化させる。その変化もパターン化されておらず、「どの瞬間に最も高温であるか」を念頭に作画されている。



炎ブレス2
20171103154703

こちらも同じく。球形を2層に分けて、エフェクトを展開している。前方に透過光で、オレンジの方が後方ですね。消滅するのは、透過光の方が速くて理に適っている。しかし、このタイミング、どう説明したものか…。これだけスッパリと消滅する炎って中々ないのだ、というのも、たいがいは違和感が生じたり、ぎこちなく見えてしまうため。それを違和感なく、やり遂げている。




空中炎ぶわあ ★★
20171103154701

あとは、こういった風にロール状に色を変化させつつ、炎を表現する場合もある。それぞれ違う速度で落下していくのが分かると思う。やっぱり上手いなあ。



20171112030924

スミアを映してから右PAN。これも同様に。右PANしてからの外炎のフォルムも柔らかい。上妻作画というのは、球形の持つ「柔らかさ」と「瞬間さ」を上手く利用しているのかも?



とにもかくにも、独特なタイミングが上妻作画の最大の魅力だ。これは誰にも、模倣することができないと言い切っていい。そういうレベルのタイミングのセンスが上妻作画にはある。


とりあえず、最近判明した増尾作画を


■「月光のピアス ユメミと銀のバラ騎士団(1991/劇場)」
20171021172548

燃えるときの炎と白コマがかっこいい。電撃もめっさ上手いですねえ。
(※そのうち、プラズマ・電撃系作画も整理したいNE)




■「新海底軍艦(1995/OVA)01話」※推測
20171021172549

「新海底軍艦」の増尾作画はまったく分からんわけですが、自分の見立てだと、ここしかないんですよね。2回目の爆発の後、煙の表面ディテールが少なくなっていることが分かると思う。この特徴は、「ダンガイオー」以降「アギト」まで続きますので。



■「紅狼(ホンラン/1993/劇場)」★★
20171021172547

この紅狼における爆発は、たぶん90年代で一番ではないかなあ。広がっていく際にカゲが2色あるのって珍しいんですよ、この時期では。



追加(2017/10/22)

■「スケバン刑事(1991/OVA)02話」
20171022093442

大匙屋さん提供。ディテール少なめの平面煙を重ねていくことで、奥行や立体感を出している。



■真救世主伝説 北斗の拳 トキ伝(2008/OVA)
20171022092552

横からの爆発では透過光を全面に出し、タタキも入れている。爆発の臨場感/カタルシスを描写。



■銀色の髪のアギト(2006/OVA)
20171022092550

これMADに入れ忘れた分。レイアウトが上手いから、遠近がよく出る。


20171022092551

90~00年代はこんな感じのタイミング。一旦爆発する時に白コマがあり、画面手前に押し寄せてくる時に再度白コマを入れる。


あと、下の記事における、「AKIRA」の増尾作画もほぼ確定しました。
(※→仲さんのツイート
AKIRAにおける増尾作画の推測と、王立庵野の影響について
http://royal2627.ldblog.jp/archives/47360550.html

戦車のとこですね、ヘリのカットは不明。




この時期は、やはり難しい。AKIRA・王立以降の90年台は増尾作画の過渡期で、まあ3種類ぐらい使い分けてると思うんですよね。すごく遠くの爆発は半球ドーム型で、近いとこだとお団子型/立体フォルム型になる。で、眼前ぐらいの距離だと、平面の煙を重ねる感じ。ディテールだけでも相当の試行錯誤が見られる。

「距離別にエフェクトを変えたい意志」が明確に伝わってくるのは、だいたいトップぐらいから。起因するのは、以前言ったとおり、王立とAKIRAだと思いますが。平面エフェクトは、どういった意図があるのか。それが気になる。焦点が合ってない感じとかを表現したいのかもしれない。


テレビをぼけーっと眺めてたら、良い爆発に出会えた。


・爆煙その1
20171013041647

クロス光→爆煙(カゲ1色)

丸型フォルムが放射状に広がっていく。ああ、これは美しいです。どの辺がより膨張しているのか、勢いよく展開しているのか、そこに対して明確な意図を感じる。たとえば、中央部の煙の広がるスピードが遅いのに対し、下部の煙はそれよりもはるかに速く広がっていく。一見地味に見えますが。


同スロー
20171013041648

細かいこと言うと、若干ですが、下部の煙の方が上部よりも速い。これってどういうことかというと、下方に強く煙が進んでいくこと、を描写している。もっと踏み込めば、地面を考慮して、潰れて広がっていく」煙を描いていると思うんですよ。だから、これは凄いと思う。

01]07]

衝撃波はブラシかなにかですかね、欲を言えば、画面外に出るくらいでも良かった。贅沢ですね。あと、注目してもらいたいのは、中央部の膨張です。グッと煙が内側から押し出されているのが分かる。てか、ど真ん中に透過光入れてますね。ボカしたりしてるのかな。




・爆煙その2
20171013041649

これは終わりの方の爆発。モコモコ感がいいですね。
「爆煙その1」と、同じ人によるものではないかなということで一応触れておこう。

カゲは2色ですね。1カット目は、5個ぐらいの塊に分けて動かしている感じかなあ。それぞれ別個に動いている。あとは、煙の尻尾(触手煙:飛んでいく細いやつ)の消え方も写実的で良い。




最初に紹介した煙は本当にスゴイ。直感だけど。直感的に良いなと思うものには、何かしら理屈があると思う。黄金比とかあるじゃないですか、ああいう感じ。いやあ、こういう煙ってやっぱいいな。

↑このページのトップヘ

©GOMISTATION 2012-2017 All rights reversed