GOMIstation

2025-1

カテゴリ: 2014年アニメ

世間様から一週近く遅れていることは承知してます。

アバン:椿と有馬の過去
・2人で大車輪、椿が有馬をおんぶ

A:毎コンの練習 有馬と宮園パート
・モノローグとセリフの洪水
・徐々にピアノに実直に向き合う有馬

B:椿パート
・野球(ソフトボール) 
・影と光の対比(安直やな…) 

C:ライバル達パート
・何気に作画良かった(女の子の方ね)



脚本・作劇・構成

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おさらいしておきますと、このアニメは「セリフ」 が非常に大量にあります。特に「モノローグ」。「モノローグ」とは独白ともいい、相手を必要としないセリフのことです。独り言みたいなもん(心の中での呟きも)です。少女漫画系作品においては、恋愛対象の相手に対して抱く感情を本人に言う勇気が無かったり、その感情がよく分からないものであったりするために、モノローグが発生します。

このモノローグ・セリフの氾濫によって、「セリフに頼りすぎて、(アニメ本来の)絵で表現していない」「セリフが多すぎて、うっとうしい」という意見が多いようです。結局、「セリフの氾濫はアニメを駄目にする」という風な誤解をされがちですが、そうではないです。実際、庵野監督による、『彼氏彼女の事情(98)』では、大量のモノローグ、セリフを処理しているにも関わらず、アニメ本来の面白さを失わずに映像化できています。

だから、「セリフの氾濫はアニメを駄目にする」ではなく、正確には、「セリフの氾濫をきちんと演出できないと、アニメとしては破綻してしまう」ということです。この問題は、コンテ・演出に帰結します。どれほどのセリフの多さであっても、処理できているアニメは存在し、例えば出崎監督の『スペースコブラ』はその代表格といえるでしょう。コブラのつぶやき・セリフ、敵の焦燥を含め、全く飽きさせないような画面展開により、素晴らしい作品になっています。


では、『四月は君の嘘』はどうなのか。正直なところを言うと、ギャグ・コメディはとても上手い。ただ、シリアスな場面における、緩急の付け方があまり良くない。具体的に言うと、カット割りやコンテのテンポが良くない、と思うんです。シリアスな場面において、どうにも尺を大目にとって、シリアスな感じに展開させているシーンが多いですが、それはシリアスとギャグの緩急であり、シリアスなシーン内における緩急ではありません。それが必要だと僕は思うんですよ。

出崎・庵野監督は、どちらもカット割りが細かい監督です。繰り返しのショットとか、トラックアップの多用とかフラッシュカットとか。とにかく、バンクを活かしたカットも含めて、映像のテンポが良いです。こういうわけで、4話の有馬演奏回と、6話の石浜さんによる有馬の葛藤回は良いと思ったんですよ。ちゃんとシリアスにも緩急を持ち込んでいたから、セリフも浮かず、セルにしっかりと染み付いてた。接着剤でくっつけたかのように、しっかりと映像になってた。



前置きが長くなりました。6話はどうだったのかというと、惜しかった。
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Bにおける、椿のベーラン一周シーンとか、最後におんぶされながら泣くシーンとか、そういったところのシリアスは良かった。コンテ細かく割ってて、特におんぶされながらのシーンは良かった。同ポの多用とかもあって。


だけど、有馬と宮園の会話における、「ショパンが囁くんだ」の辺りのシーンが惜しい。

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ここ3カットぐらいしか無いんですよ。俯瞰と、テープレコーダーのアップと宮園ドーナツと。ポン寄りと、TU・TBの使用で倍のカット数にはできるし、テンポは確実に生み出せるのに何故か(※ベーラン一周とか、ラスト泣きシーンの存在があるから、出来ないのではない)やっていない。そうしない意図があるのかもしれない。中学生の内面描写をナルシズム的にやるために、わざとテンポを悪くしてる、とか。結局は分からんわけですが。





作画・画面構成

ラスト、椿の無くシーン。しがみつき方、泣き方、髪の毛のぐしゃっとした感じ。どれをとっても良かった。うめえ。誰が描いてんのかな。全く分からん。完全に適当なこと言うと、濱口さんかもしれない。
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後は、演出にもまたがることですが、こういった表現はいいですね。個人的に好みです。
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ああ、野球の描写はとても良かったです。(相手チームの)ブロック巧すぎて笑った。あんなこと中学生で出来るんかな。本当は、グラブに収めたままタッチするのが普通なんだけど、「ボールを見せる」ということで、ああいう感じになったのかなあと思う。後はクッションボールの処理ミスとかも自然で巧かった。



そんなところです。 

#1
けっこう唐突に始まる物語。アバンは伏線。そして、「未確認」たる要素。唐突さはいい感じに、見てる人を置いてきぼりにする。キャラ紹介、キャラの特徴描写がメイン。いきなりの許嫁ということで、驚く小紅(M字ピンク)。ばさあっと倒れる小紅を助けるシーンは笑った。何かおかしい。ちょっと詰め込みすぎてる感じはある。後々ネタがなくなって、すっかすかになってしまいそうな。

[野中]
マシロ作画言うまでもなく、グー。紅緒歩きもいい感じ。何か違ってる。


#2
小紅とマシロの絡みが中心。昔の回想はちょいちょい出るけど、まだギャグコメディ。3話ぐらいまでは、これが続きます。やっぱ最初は見てもらわんとあかんから、こういう感じになるんでしょうね。サービス過多。UMAとかそういうのは、隠喩ですね。クソメガネいらつくんですけど、僕だけですかね。

[野中]
FOに特徴があるような。けっこう早めに消える。


#3
マシロと白夜がAパート。で、マシロに説得されて小紅に白夜が積極的になる。少し。Bパート終盤で、姉の紅緒から真相(昔の大怪我について)を語られる。話すきっかけが微妙に分からなくて、やや強引か。しかし、まあ許嫁が来たからとかそういうのかもしれない。 

#4
真相を知らされて、体調を崩す小紅。小紅、白夜、お互いに勘違い、気遣いをして、まさに「アンジャッシュ漫才」状態。Aパートは、けっこう回想、語りによる心情描写も多く、シリアス感増す。その反動でBパートは、ややコメディ感を取り戻す。バランス感覚がいい。マシロ曰く「実家とか昔の環境とか、いろいろある」らしい。家のこととな。


小紅・紅緒サイドは洋室が中心で、マシロ・白夜サイドは和室が中心の生活環境。これは、それぞれを印象づけるのにおそらく効果的。そして、共有空間としての、登下校、学校、スーパーがある。

そして凄くカレカノイズムを感じる。


#5
「転」の回。びっくりした。人外とは思わなかった。これがUMAか。なるほど、#1の「未確認」たる要素はメインではなかったのか。こっちのほうが「未確認」ですね。いやー良いタイトルです。


#6
人外に対して少し疑惑を抱く、小紅。変身を求める、小紅。明らかに、白夜くんを意識し始める小紅ちゃん。クソメガネぶっとべや。日常系は、じわPAN、TU、TB多いですね。ところどころセリフにネットスラングを入れるのは、最近多いですね。これはアニメファンに迎合してるってこととは、また違うと思うんですけどね。まーたアンジャッシュ風ラブコメやってんよ。もっと突っ込んだ、実験的・積極的な演出欲しいなあ。どうも画面が均一的で面白味にかける。

[歩行時の作画]
頭部が上下するだけでは物足りない。野中は、少し違うような気がする。肩の作画がいいというか。
 
[イメージBGと流線背景]
こればっかは飽きる。冒険してない。EDぐらい冒険してもいい。


#7
未確認≠マシロたち、という主張。スエツギさん(コノハちゃん)。なんか110mハードルしそうな名前ですね。紅緒信者。 新キャラ2名追加。もうちょい早めの投入でも良かった。未確認で進行形というタイトルにも沿うし、ちょっとした混乱は理解をしようと頭を働かせるし。

[FOの仕方]
AパートFO。ちょっと野中と比較してみよう。frameで多分違いがある。新聞部ニコちゃんのダッシュ時エフェクトいいっすね。

数学なんかノリでできるだろ。ちょいちょいちょいやろ。科目別の詳細な描写がないのは寂しい。ちょっとした関数とか図形が出てくるだけでも、「学生」というのをもっと象徴化できるのに。

新キャラ2名も人外。これもうわかんねえな。未確認が増える!


#8
一番演出的には良かったと思う。AパートはグダグダしてるけどBはいい。人外、の者たちのお話。スエツギちゃん中心回。OPだけずっと見ていたい。12話野中いるので、ちゃんと本編見なきゃあれなんですけど。

[野中]
判明していませんが、候補としては次のあたりかなと。

・キッチンでの小紅(「胸が~」の後)
・跳び箱スエツギ
・体育館裏スエツギ(「ずるいじゃないの!」あたり)



#9
アバンすんごい上手い。なんだこれ。小紅の1人問答。1人アンジャッシュ。B明け、マシロが紅緒から逃げるシーン上手い。ここもまた作品の転換点かなあ。小紅の今までの曖昧にしておいた「感情」にしっかり直面する話数。しっかりマシロが小姑してていいと思う。何かね、昭和のお見合いみたいだよね(笑)


#10
1ヶ月ぶりの視聴で何も覚えていない。嘘です。大体覚えてる。ラブラブチュッチュしようとするができない。ホワイトデーのお返しとして、ペアルックを買おうとする白夜。しかし、小紅に先を越される。もう妨害するものなんてないと思うんだけどなあ。まあ紅緒は除いて。小紅の心の整理がついてないのか、もしくは白夜が悩んでいるのか。それが伝わってこない。

前者なんだろうけども、何かもう少しね、描写が欲しいよね。橋口さん共同作監回。動画工房は基本的に絵がまとまってるんだけど、橋口作監(スタジオ五組)はやっぱいいですね。安定してる。


#11
デート回(大嘘)。真白も一緒に3人で遊びましたとさ。なげーよ。これ1話いるんか。10話とまとめても何らおかしくならんと思うんだけど。で、帰りに白夜の昔のケガを発見してしまう小紅。また自責感にさいなまれる小紅と、そういうことを思って欲しくないと何度も言ってる白夜。もうこれさ、小紅が全面的に悪いって分かるよね。昔の話題が全ての問題となるのは、あんま良くなくないと感じる。


#12
ああ、なるほど。ボクが見抜けていなかったのは、小紅のコンプレックスでした。小紅は悪くありません。ごめんなさい。つまり、小さいころからずば抜けて優秀だった紅緒と母親に囲まれて、自分の存在価値を家事に見出したと。(家事以外)何もできない自分は、1人になってしまうのではないのかと。だからこそ、我儘を言わないし、目立つことは苦手で、1人で問題を抱え込み、自分の心情に対しても素直になれないと。

どうなんだろうか。ボクが勝手に解釈すると、これスゴイ紅緒と母親が悪い話になってしまうと思うんだけど。フィクションにしろ、ラブコメにしろ、紅緒という存在がコンプレックスの一端になったのは間違いないのに、そういった描写(※つまり、紅緒にキレろということ)をしないで、キレイな小紅しか映さないのはなにか間違っている気がする。

UMAについての示唆は面白かった。未確認生物は、「恋心」という小紅が経験のしたことのない感情だと思っていたのに、こんなに直接的な人外キャラクターが出てくるとは思わなかった。そして、ラストに向けては、「これからどうなるか分からない=未確認で進行形」というキレイな回収の仕方。白夜との恋愛とか、紅緒とのつきあいかたとか、真白たちの民族とか、スエツギとニコちゃんとか、それぞれが進行形で、視聴者にとっては(最終話を終えたので)未確認にならざるを得ない。 

[野中]
・熱を出す小紅
・洞窟前にジャンプして降りてくる白夜
・洗濯物干す小紅

とかだと思う。正直分からん。

 
またまとまったら整理して感想出します。これはあくまで、大ラフな感想(笑) 

そういえば、異能といえばOPカッコイイですよね。
多分、1ヶ月前ぐらいに散々言われてる気がするけど。(※取り残されていく…)


■『異能バトルは日常系のなかで(14)』OP

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これ全部吉成なんかね。
だとしたら、半田さんは何処を書いてるんだろう。

この後は雨宮さんだろうし。キャラですかね。 

■異能バトルは日常系のなかで http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/inoubattle/index2.html

えーとですね、まず僕は『彼氏彼女の事情(98)』の大ファンであって、アニメから原作単行本を購入するに至るぐらい好きな作品なんですね。そんで、先日知人から「異能バトルがカレカノっぽいよ!」と言われたのが、視聴のきっかけです。最初の方の話数では、その異能バトルにおける「カレカノっぽさ」というのは、あまり感じなかったんですね。キャラの掘り下げ方は確かに「カレカノっぽいなあ」という程度。それぐらいの感覚で、「うーんまあ少しカレカノっぽいかなあ」の認識でした。



まず前提として、「異能バトル」の魅力として確実にあるのは、大地コンテの良さですよね。

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(『異能バトル』02.04話 大地コンテ回)

ここは、「異能バトル」見てる人みんな相違ないと思う。だから、「カレカノっぽさ(90年代のガイナっぽさ)」=大地さんかと思った。大地さんは、緩急のついたカット割り、テンポが良いギャグシーンでは直感的な普通の構図で漫画的表現を多く入れて、逆にシリアスな場面では俯瞰アングルや逆光の使用で演出します。こういったのが、僕が感じる「カレカノっぽさ」かなあと眺めてた。



ですが、06話見ると、考えが全くとして変わったんですよ。びっくりするほど。

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(『異能バトル』03.06話 小倉コンテ回)

『異能バトル』の魅力=90代のガイナ的な魅力=大地コンテ、かなあ思ってたんだけど、03.06話(特に06話)を見ると、考えが変わりました。大地コンテの面白さは当然あるんだけど、「カレカノっぽさ」という観点においては、そういった部分は小倉陳利・大塚雅彦から発生してる気がしたんです(※高橋・清水コンテもいい感じなんだけど、ここでは割愛)。小倉コンテ、大塚演出ですね。ここから発生している気がする。

小倉さんは、『彼氏彼女の事情』において初コンテを担当し、平松禎史、高村和宏さんと共に活躍された人です。『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版』においては、磯パートの後(※弐号機にロンギヌスの槍がグサグサ刺さる所)を担当したりとアニメータとしても凄い方です。安藤健・大塚雅彦(現:トリガー代表取締役)さんは、同じく『彼氏彼女の事情』において、演出を6話数ほど担当し、同作品の作風を支えました。



(0)、そもそも「カレカノっぽさ」ってなんなのか。

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大量のモノローグを退屈にしないカット割りや、フランクな心情をそのまま示す直接的な映像だったり、作画負担が多いわけではないのに自然と絵に没入できるというか、反転画像などトリッキーで実験的な映像などが挙げられますが、一番は独特のキャラクターの掘り下げ方(※キャラクターに内在する弱い側面の描写)ですね。こういうのが「カレカノっぽさ」と考えてる。

今回、『異能バトル』から漂う「カレカノっぽさ」を考えるため、『カレカノ』小倉コンテ回だけ見直しました。その上で、『異能バトルは日常系の中で 06話』と、『彼氏彼女の事情 02話』を比較しながら、小倉演出・コンテについて自分なりの考えを説明していきたいと思います。


まずは、ボクが思う小倉コンテ、大塚演出の具体例を箇条書きでダダっと。

(1)構図の手法
  横顔ドアップ抜きで口元(感情)隠す
  同ポ、ポン寄り、その逆の多さでテンポを出す
  
(2)止め絵の手法
  バンクの積極的使用
  顔隠しの絵作り
  
(3)深刻なシーンの描き方
  シリアスな場面を直接的に描写
  回想シーンのインサート方法


それぞれ、以下で説明していきます。


 
(1)構図の手法


(a)横顔ドアップ
小倉コンテでは、日常の些細な事象、キャラクターの心に内在する感情の機微な表現をまず、平面的な構図で演出します。特徴的なのは、こういった横顔ドアップのカット。

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(『彼氏彼女の事情』02話)


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(『異能バトルは日常系の中で』06話A)

こうした横顔ドアップが非常に多い。(ここでは載せていませんが)『彼氏彼女の事情 12話』では、口元を隠すぐらいまで寄るカットもあり、キャラクターの感情表現において最も重要であろう「目」「口」を画面外に出す。画面外に出すことで、キャラクターの心理は視聴者に委ねられる。つまり、想像力を喚起させるような演出をしているということです。



(b)同ポ(同ポジション)・ポン寄りの多用
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(『彼氏彼女の事情』02話B)

これは一連のカット(※一部短いショットは省略)です。宮沢が有馬に未経験の感情を抱き始めているシーン。同ポとは、同じポジションでのカットのこと。そのまんまですね。そして、そこからのポン寄り(キャラへの寄り)をして、また同ポに帰ってくる。こういうカット割り構成がまたしても多い。


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(『異能バトルは日常系の中で』06話A)

これはサユミさんの妹マイヤと電話をして、サユミさんの中学生時代の情報を集めてるシーン。サユミさんの不機嫌さの原因を究明しようとしてる。べつだん難しい構図を使用するわけでもないのに、同ポとポン寄りの使用で、テンポが良くなる。それぞれ、途中に回想の短いカットを挟んだりしてスピード感を増すが、最終的には元ある構図へと帰ってくる。ただ近年は、OL(オーバーラップ)の効果も追加されていることが多い。


次は、(a)(b)の応用例。

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(『彼氏彼女の事情』02話Bラスト)

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(『彼氏彼女の事情 02話』Bラスト)

横顔ドアップ+3段階のポン寄り。ここでは構図は全く変わっていない。最初は、客観的であった画面がどんどん主観的になっていくのが分かるだろうか。有馬という人物に対して、視聴者が最初は観客として見ていたが、同一化して、有馬と近い感情になっていくことが分かる。2つ目は、画面的なカッコよさの演出。



(2)止め絵の手法


(c)半分顔隠し・カゲ付けの進化
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(『彼氏彼女の事情』02話Aラスト)


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(『異能バトルは日常系の中で』 06話Aラスト他)

これは(1)と通じるところが多いですね。見る側の想像力にお任せ、という感じの演出。だけど、「異能バトル」ではその演出が少し現代風に進化していて、まあこういったのは小倉コンテ限らずよく見るんですが、目より上にカゲを落とすってヤツですね。これを(1)と併用したりもする。『カレカノ』みたいな、キャラ顔前アップ画面もいいんだけど、もっと現代風なスマートな表現に昇華されていますよね。
 


(3)深刻なシーンの描き方


(d)直接的な感情(エゴ・内在する弱い側面)描写
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(『彼氏彼女の事情』02話Bラスト)


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(『異能バトルは日常系の中で』06話AB他)

エゴ、自己に対する言及、正直な気持ちの独白について。小倉コンテでは、『新世紀エヴァンゲリオン』のような直接的な描写をします。こういった直接的な描写は、モノローグが多くなる少女漫画では、顕著に見られます。だけど、アニメでこれを再現しようと思うと難しい。「こいつはペラペラ喋るキャラ」とばかり認識されてしまう可能性も少なくないからですね。

「私のどこがおかしいのよ(カレカノ)」「私はみなさんの能力が怖いんです(異能)」とか、そういった自分の存在に対する問いかけや、自分の正直な(恐怖や心配といった)弱い気持ちの吐露というのは幼稚でかっこわるいような描写と見受けられがちです。しかし、こういった深刻な描写は思ったよりも大事なんですよ。キャラクターというのは、いつも強い存在で描くと、立体的になり得ません。それは、現実には、いつも強く明るい人など存在しえないからです。




以上の3点。1、構図(ポン寄り、その逆、同ポの多使用)。2、止め絵(顔隠しによる想像力喚起)。3、弱い側面の直接的な描写。これらに、小倉コンテ、ひいては「カレカノっぽさ=90年代ガイナっぽさ」が起因しているのではないのかと考えました。

簡潔にまとめると、バンクと同ポ、ポン寄りだけで、お話を展開させて、しかも面白くしてるトコに凄みを感じます。予算や時間も少ない中、こういった作画負担を軽減するようなコンテ・演出というのは、『新世紀エヴァンゲリオン』『彼氏彼女の事情』などでは多く見受けられ、今回の『異能バトルは日常系の中で』でも意図的な作画リソースへの配慮を感じます。何よりも一番、難しい構図なんていうのは殆どないんですよ。それがスゴイ。


といった感じです。小倉、安藤、大塚さんは、庵野・鶴巻といった「ガイナ」の遺伝子を受け継いでいるように感じます。ガイナックスファンは見たほうが良さげな気がしますよ。それぐらい、この『異能バトル』は普遍性を持つ良い作品になり得えると思っています。

学園設立の理由とサカキの重たい過去。
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アバン:サカキカッター痛そう

A:サカキ
・黒服とユウジ
・サカキの過去
・ミクロイドS

B:立て篭もりサカキ
・スナイパーユウジ
・これからどうなってくのか


脚本・作劇・全体構成
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まずタイトルの「レーゾン・デートル」とは、存在意義・存在価値の意味です。多分エヴァで知ってる人も多いんじゃないのかな。跡取りが欲しかった榊家としては男の子ではないことを蔑まれ、精神を病んだ母親からも存在(男でないこと)を疎まれ、果ては弟が死んだら自分に跡継ぎの役目を任されるというサカキの人生は自分の存在価値がないと考えるのも当然と言えます。

サカキは他人からも好奇の目を向けられ、自分の存在に疑問を持っていきます。サカキにとって、一番の葛藤とはなにか。それは、「女である自分」であり、カッターで髪を切るという事態に至りました。だからこそ、そのカッターをいつまでも持ち続けています。「女である自分」を否定するためにカッターを持ち、カッターで他人に襲いかかる。カッターはサカキの女性を否定するための要素であると思います。

演出として、Aパート中盤からAパートラストにかけてのサカキの回想は素晴らしかった。サカキが自分の存在価値に思い悩むプロセスを順々に丁寧に描くことで、視聴者は感情移入が自然とできる。段々とサカキと自分を同一化させ、同じ葛藤を共有できます。自分の存在価値への葛藤というのは、大小あれども、人間の成長過程において確実に存在します。ですので、今回の話は多感な中高生にも刺さるでしょう。

「母親に関係するトラウマ」は、よく見られますね。これは全部が全部、母親が悪いというわけではなくて、様々な要因があるわけですが。『四月は君の嘘』や『彼氏彼女の事情』もそうした物語です。母親というのは作品において、ユースフルな要素なのでしょうか。父親だとあまり上手くいきませんが、母親の場合は母性と出生を握っていますので、効果的なのかもしれません。





作画・画面設計・レイアウト

大島、野中、後藤、越後さんと新旧入り乱れている作画陣。

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大島さんは人気も高いようですが、イマイチパートは分かりません。ただ、1話における、コミカルなミチルの芝居を見ると、人気の理由も分かります。なんでしょうね、大島さんは体全体がビクビク震えるようなアクションというか、ちょっと漫画的な要素を感じます。


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野中さんについてですが、おそらくアバンもしくは、後半の墓参りの後のサカキでしょう。アバンは何と言っても、重心移動の巧さが野中っぽいです。下半身しか画面にはないのに、それでも伝わる重心の移動。上手いですね。4枚目もメチャウマなんですよね、肩の揺らし方とか本当に上手い(※ここは大島さんかもしれない)。


そんなところです。

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