GOMIstation

2025-1

カテゴリ: 原画マン

予想してた以上に普通に面白かった

もうはやシリーズ9年目ですかね?2期で宮藤は魔法力を失い、ウイッチとして戦えなくなり、劇場版でなんやかんやあって魔法力が戻るんだったような微妙。ちなみに、リアタイ組ではありません、2019年に見てハマりました。グッズとか普段買わないんですけど、買っちゃうくらいハマっちゃった。

いまさらストパンの概要いらへんやろ。
パンツが戦うアニメや。違った、エイラがかわいいアニメ。




映像の圧巻はアバン。ぶっちゃけ、キャラクターのアクションは作画・CGの区別がつかないぐらいにシームレスに繋がれている。流石に気合入っているなあ。こんなにおもろいのに、高村監督作品はなんでストパン以外あかんのかなあ。


ミーナさんと舞う薬莢★★
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ミーナへ付けPAN(キャラを画角に常に収め続ける、追い続けるPANのこと;カメラワーク)しつつ、ネウロイの破片と薬莢とマズルフラッシュが画面を舞う。ラスト、ミーナが画面奥に遠ざかっていくところで、薬莢が風に流されて画面左に飛んでいくのすげえいいですよね。

このガヤ(破片や火花など)の量、めっちゃ好みです。キラキラしていながら画面の邪魔はしない。たまらん。いいカットです、アバンではお気にいり。


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(ここのハルトマン、CGかなあ?タイミングめっちゃ良い)

1話見て思ったのは、ロング・ショットのキャラアクションはCGで、アップに寄ったりするときに作画に変わるみたいな感じ。まあ普通か、いやでも前述の通り違和感なくシームレスにつながってるんですよね。たぶん明確に作画とCGの線引きがなされているか、CG班と作画班の間で綿密にやり取りがなされている。そうじゃないとこういう画面は作れない。


サーニャ・ロケット弾、180度カメラ回転つなぎ★
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カメラが180度反転しながら、次カットへ。ロケットの3弾頭がカットを超えてキレイに繋がっている。いや~これはコンテの勝利。CG処理の丁寧さも良い。



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マズルフラッシュもいい感じ(エイラかわいい)
こうみるとネウロイのビームって意外と太いなあ、タイミング凝ってそう(エイラかわいい)




──さてアバン以外だと、

転倒するヨシカチャンと駆けつけるもっさん★
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いやー肘の関節の動きがやわっこいですね。しわも気持ち多め。2カット目はダッシュで駆けつけた分ちょっと出過ぎた頭を引くように後ろに下がり膝をつく。おそらく、荒木涼さんだろう。


というか、図書館に入ったあたり~宮藤転倒までは荒木涼作画ではなかろうか。雰囲気が違う。

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この辺の歩きも良かったですね。
肩が上下していて、少し跳ねる感じの歩き方になっていた。


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アイキャッチも良き


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ここの虫歯クマ治療シーン、かくじつに「501部隊発進しますっ!」のセルフオマージュw




エンジン始動時の火花
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これはエンジンの点火時に、ピストンの始動がうまくいかず(もしくは始動前)詰まっていてその火が漏れ出ているという感じなんかな。有識者モトム。いちおう自分で調べた範囲だと、ロールス・ロイス社のマーリンという12気筒エンジンが出てきた。



傑作か、駄作か。- ゆるゆるとぬるい感じ。
https://minkara.carview.co.jp/userid/425532/blog/37209905/

上記サイト様とニコ百によると、イギリスの名戦闘機「スピットファイア」に搭載されたエンジンらしい(マーリンよりもよりパワーが出るグリフォンというエンジンもあるようで)。まあこのへんは有識者か専門家の意見を待ちます。

まあこういうエフェクトもいいよね。油っぽくてすこしオイルくさくて良い。





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タロットで眉間にしわを寄せるエイラかわいい(エイラかわいい)

もうはや3年、御命日には間に合わず



今年は、増尾さんの白コマのタイミングについて

増尾さんの白コマ、重ねた白コマの処理などの巧さについて、アニメーター・上妻晋作さんが呟いておられた。感覚的なものっぽかったので、以前ぼくは動画に説明を託しましたが、あまり理解されていない感じ。自分の中でも消化不良だった。



なので、今度は図解を交えて説明する


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ジャイアント・ロボ[1992/OVA]01話

これなんてことないポリゴンショックに見えるよね。いやあこれがね、すごいんだわ。この白コマを理解すると、増尾作画はもっと深く理解できる。なぜかというと、増尾さんの白コマは、他アニメーターの使い方とハッキリと異なっているので、増尾作画のカットを理解する”手がかり”であり、増尾作画における”技巧”の一つでもあるから。

ショックコマは多岐に渡り、全てについて説明しようとすると煩雑になりそうだなと思った。ですので、今回は白コマに限って説明します。


まずは、「白コマ」そのものについて軽く。
大きく分ければ、白コマには2種類あります。



・白コマ
画面全部が白になっている。これを閃光や衝撃の表現として作画の途中にインサートする。
白コマ2




・重ね白コマ
もう一つは白コマを重ねて(特殊効果のエフェクト特殊効果として)使ったもの。
元となる絵があり、そこに特殊効果として白コマを重ねる。今風に言えば、レイヤーを元絵と白コマ、2枚重ねている感覚に近いと思う。
白コマ1

今回はこの2つを同じものとして扱います( ^ω^)
というか、自分はふだんからこの2つをあまり分けていません。さて、じっさいの例を見ていこうぞよ。



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エヴァンゲリオン新劇場版:序[2006/劇場]

結論から言うと、増尾白コマでは「どこかのタイミングで、大きく一拍置く」。けっして、ランダムに、適当に白コマを入れ続けているわけではない。パターンがあるんです。これがもっとも大きな増尾ショックの特徴です・・・と以前言ったけれど、うまく説明できなかった。


はい( ^ω^)
ここまでが、今までの「考えるな、感じろ」のおさらいです。
今回はもっと踏み込んで、分かりやすい図表を用意しました。ただ、理屈的になりすぎてもアレなので、感覚も大事に一緒に見ていってね。


例1)一発入れて、「一拍」置いての白コマ
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一つ目の白コマ(閃光)の後、じゃっかん間があるのが分かるだろうか。リズムで言えば、ドン(一拍おいて)ドドドン、みたいな感じだ。ここでは一拍の感覚を掴んで欲しい。


( ^ω^)図表じゃぞ
増尾昭一ショックコマ_04

※便宜上、2秒間を48コマに分けています。
水色・・・白コマ
青色・・・黒コマ、白コマ、混合
パープル色(枠)・・・ショックコマの1セット
黄色・・・一拍の区間

参考表を見ながら、GIFを見てクレイー

12~16コマ(だいたいでいい)に注目。白コマによる閃光表現が何回も入る中で、増尾白コマでは、こういう大きな間(つまり、一拍!)がある。カメラのシャッターが切られる瞬間が白コマとすれば、切られてない時間が一拍置いてる感じ。

ここで分からなくても大丈夫、ワシの増尾白コマGIFはたくさんあるぞよ




例2)連続する白コマの中で
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ジャイアント・ロボ[1992/OVA]01話-02

増尾昭一ショックコマ_02

黄色の区間のコマとGIFをよく見て欲しい。これ分かりやすい。
一見、白コマが連続して入っているように見えるけれど、じっさいはそうじゃないというのが明確に伝わると思う。これは分類としては白コマが連射される中で「一拍」置くやつ。


例3)「一拍」を2回入れる
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ふしぎの海のナディア[1991/TV]39話

増尾昭一ショックコマ_03

これは34~41コマの方が「一拍」としては分かりやすいかな。
一拍を2回入れているのが注目ポイント。このパターン、けっこう増尾さんやります。


例4)デジタル表現での白コマ・閃光表現
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エヴァンゲリオン新劇場版:Q[2012/劇場]

増尾昭一ショックコマ_05

白コマを挟んだ2回の一拍に注目
ここまで来ると「一拍」もだいぶ分かってきたと思う( ^ω^)後半31-32、39-41の白コマがタイミング的には特徴的ですね。たぶん増尾さんの仕事だと思うけど、カラーデジタル部、CG部だけでやってたら逆に驚く。


CGになると、白コマというよりは、部分的な発光になってますね。
エヴァQ.mp4_snapshot_00.13.07_[2020.07.24_09.14.47]エヴァQ.mp4_snapshot_00.13.08_[2020.07.24_09.15.04]

周りの物体や空間に陰影を付けることができるので、立体的な白コマとも呼べそう。これが増尾さんにとっての、デジタルとの融合を含めた閃光表現だと思う。上妻さんがおっしゃるとおり、増尾さんの1コマのタイミングの面白さとか凄さとかあるんだけれど、今回は白コマの説明でいっぱいになってしまった。まあ今回は、増尾ショックのタイミングをわかってもらえたら、これ以上はない。


野中正幸は、ひとことで言えば、2010年代前半にもっとも作画ファンを驚かせたアクションアニメーターの1人であり、現在も活躍中です。

現在は天衝主催のバイブリーアニメーションに所属。2010年代後半の作画界隈に影響を及ぼしたであろう、と考えています。どの辺が影響となって他の作画にあらわれているのか。それらを説明していきたい。

野中正幸の作画に対して、作画のスタイル変化から以下のように5つの区分を設けました。

(1)初期(2010-2012)★→この記事
(2)中期    (2011-2013)
(3)デフォルメ期(2013-2015)★

(4)転換期   (2015)
(5)リアル傾倒期 (2015-2020)
★・・・大事な時期

全ての時期について、説明記事は出す予定。そうでなくっちゃ、このブログではないでしょう。

おまえら…おまたせした ^し^

野中作画、語っちゃうぜ



初期の野中作画をとりあえず整理していく





(1)初期:アゴガクガク/予備動作の芝居

この時期の作品は、「ゼロの使い魔F」「ゆるゆり(1期)」など、2011年前後のものです。では、その作品内でどのような特徴があるか。



<1、アゴガクガク>

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(■「ゼロの使い魔F」2012/TV #12)

姫様とルイズの口げんかシーン(後に手も出る)
さて、野中さんの初期から今に至るまで変わらぬ特徴があります。それは、「頭部(顔)~肩の芝居」を他のアニメーターよりも重視していることです。これは姫様との口げんかのシーンですが、その怒りを上半身、とくに顔(アゴ)を激しく、小刻みに動かすことで表す。最後の方では、手に力が入って腕がピンと伸びた結果、肩の位置が上がっていますね。これも上手い。

顔は動かず口パクだけの作画が多い中で、これだけ情緒たっぷりに動かすことができる。それがまずは大きな大きな魅力の一つであろうと思います。で、これを「アゴガクガク」と呼んでもらった方が速いかなと思って名付けました。もちろん、馬鹿にする意図はいっさいありません、わかりやすさ重視。


アゴガク例2
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(■「偽物語」2012/TV #6)

月火ちゃんの狼狽シーン。駆けつけダッシュも上手いが、やはり顔アップの2カット目に注目。
誇張された、まるで舞台のような顔の動かし方。顔(アゴ)の位置が激しく上下し、遅れて髪の毛がリアクションする。音が無くても、この作品を知らなくても、彼女が慌てふためいているのは伝わる。




もう一つの特徴に行く前に、少しだけ抑えておいてもらいたいものがあります。

それは、アニメーションの基本的な動作について。簡単です。動作を3つに分けただけ。
予備動作、本動作、フォロースルー、この3つ(用語は明確に定まっていないようですが、この記事ではこのように書きます)。はい、次の画像で具体例を紹介。



動作の分割とは
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(■「スロウスタート」2018/TV #2)

花名ちゃんのど下手ソフトボール投げがいちばん分かりやすいので採用しました。
ここでのメインの動きって「ボールを投げること」ですよね?予備動作とフォロースルーはこの動きの前後にあるものです。

投げるために体をひねる→予備動作、投げた後の慣性の動き→フォロースルー
下図をご覧ください


動作の分割

こんな感じ
どんな動作にも、その準備になるような動作(予備動作)が存在しており、さらに動作が終わった後の慣性の動作(フォロースルー)もある。まあ野球のバッティングとか、ゴルフのスイングを思い浮かべて貰えれば分かりやすいかと思います。あとは、電車は急には止まれない、とか。それで、アニメーションにおいて、これがないと非常にキャラクターの動きが堅くなったり、活き活きとした様子になりません。

これはアニメーションの基本中の基本です。どのアニメーターも意識しているはず。意識してなかったら、そいつはド下手くそだ。


それで、ようやく本題ですが、野中正幸はキャリア初期から、予備動作周辺の芝居がズバ抜けて上手い。これが最盛期(2013~)のフォロースルー傾倒/柔らかい関節の芝居と上手くハマっていくんでしょうね、と思う。最盛期って言い方はアレですけど、これらとデフォルメ作画を合わせて、あの2013-15あたりの野中作画になるので、あのころってもう再現できないんですよ。その話はまた今度、初期の野中作画に戻りましょう。




<2、予備動作の芝居>


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(#12)

魔法が通じずうなだれるルイズ。後ろにたじろぎながら、手元をどこにやってよいか分からず落ち着いていないのが分かりますよね。体がストンと落ちてしまう、本動作よりも、1カット目の後ろにたじろぐカットの予備動作の芝居が上手いんですよ。本動作にキレイに繋がるのは理由がある。これを業界に入って、たった3年でやってしまう。



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(#6)

これは姫様との喧嘩シーンの続き。姫様が気に食わないのを、顔を「ふんっ」と振る芝居を見せることで描写(予備動作1)。肘関節を柔らかく後ろに回しながら(予備動作2)、ビンタ(本動作)。キャリア初期の野中さんは意外と過小評価されているんですが、これだけのことをやっている。

姫様の顔が2回に分けて落下していくのも注目ポイントです。確実に、野中さんは頭部の重さを重視して描いている。これぐらいの落下だと、だいたい2回にわけないと衝撃を吸収できないだろうというのが野中さんの思考だと思う。

ここら辺をちゃんと見とくと、そら「未確認で進行形」の芝居作画とかに納得いくんですわ。アニメーションの基本となる、予備動作の土台がしっかりと(センスも基本も)あるわけですので。だから、野中MADでここを外していない人を見ると、「渋いなあ~お客さん」となるわけです。嘘です。ニコニコの野中MADがいちばん好きではあります。


ようやく出せた。野中ファンの方々には大変お待たせしました。
次回は、中期を扱う予定。この辺から特徴がずいぶんと出てきますかね。

エフェクトひさびさ

現在YouTubeにおいて、新劇序・破・Q3作すべて無料配信中、ということで、ひさびさのエフェクト記事にあわせて、ひさびさのエヴァのエフェクトについて触れたい。


エヴァを象徴するクロス光とは言わずもがな
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こういうヤツ

「トップをねらえ!」「エヴァシリーズ」を見て分かるとおり、「風の谷のナウシカ」に参加してからずっと庵野秀明はクロス光を多用してきた。エヴァが攻撃する際はもちろん、使徒の攻撃の結果もクロス光になってたりしますよね。破の水柱とか、序のサキエルが攻撃した後のジオフロント内に広がるものだったり。

なにが言いたいかというと、庵野さんはずっと作品内でこれを使ってきていた、それも大変な愛着をもって。敵味方の攻撃など関係なく使ってきたわけですが、「シン・エヴァ冒頭10分」ではそのクロス光に大きな変化がありました。衝撃的だったのに誰も触れていないので、驚きました。


変化したクロス光;マリ殲滅シーン
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特報からあったカット。ここまでの流れを踏まえると、割と分かりやすいかと思う
なんじゃとわからない?それでは、以下の図を見てください、すべてまるっと理解できます

説明

そうです。中心の「球体」の有無が大きな変化だったのです。Qまでのクロス光は、ほぼ直線だけで構成されていました。刺々しさやビームの強さを表現したかったのかどうかは分かりませんが、とにかく直線だけでクロス光は形どられていた。それがこんなに変化してるんですよ!衝撃を受けない方がおかしい。


マリ殲滅その2
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美しい・・・マズルフラッシュと交じるように、球体ありのクロス光が連続して発生している。


それで、これをどこから使おうかと思ったのか、つまり着想については、おそらく「エヴァQ」の庵野爆発からじゃないかなあと。あ、Q冒頭の改2号機が回転する爆発全原画のところじゃないですよ。改2VSマーク9の戦闘シーンのラスト、自爆シーン。


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q|庵野パート
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これ過去に言及したんですが、やはり庵野作画だと思う。決め手はディテールの少ない球形爆発であること。こんな板野調を現代アニメでやるのは、故・増尾昭一か庵野秀明しかいない。増尾昭一のディテールやショックコマとはわずかに異なっている。よって、庵野秀明作画だろうと。

直線ばっていた他のクロス光に比べて、このシーンのクロス光はややなめらかになっていますよね。そこから、なんやかんやあり(マズルフラッシュを真似たとか)中心に球体を足したんじゃないかなあと。その辺は微妙ですが、どうでもいいことだ。とにかく、この「球体ありクロス光」は衝撃も衝撃。いやあ、カッコいい。もう進歩はないと思われたクロス光が、まだ進化していく。そこが凄い。

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