GOMISTATION

馬之翁塞

カテゴリ: 原画マン


金田さんとの比較。本題とは少し内容的にズレるので、こちらに掲載。

金田伊功と田中宏紀の比較
作画項目金田 伊功田中 宏紀
  特徴的な動き金田ポーズ滑らかな間接可動 
   光金田光回転クロス光
特徴的な爆発/煙金田爆発気流エフェクト
  パース金田パース広角パース


金田ポーズは間接可動の滑らかな動きへ、金田爆発は気流エフェクトへと、それぞれ置き換わって流行したように思う。光エフェクトについてはちょっと微妙。金田光が、十字と丸を基調したものでピカピカとフラッシュのように入るのに対し、田中クロス光は十字に重点を置いて回転するのが顕著。田中さんの光はかっこ良ければ、どんな形にでもなる気はする。

まったくの妄想だけど、田中宏紀がこういった着想を得たのは、戦闘機のマッハやドッグファイトからかもしれない。飛行機雲とか、サーカスとか、高速で動く戦闘機の描写から来てるのかも(”ベイパーコーン(参照)”)。ただ、エフェクトの形や勢いが似ているというだけで、根拠は乏しいので断定はできない。この辺は探求したい。というか、衝撃波・気流の変遷を一度整理したい。

タイミングは難しい。田中さんってもっとこう中無しでバッバッドーンみたいな(「ストパン」とか)イメージだったんですけど、枚数多く使ってじんわりとやる時(「GOGOプリキュア」「ペルソナ」とか)もあるし、よく分からん。どっちもやる感じでいいのかな。2コマの感覚も掴めないです。やっぱ、アクション苦手なので、びしびし突っ込んでもらえるとありがたいです。


田中宏紀エフェクト(以下、田中エフェクト)はiwakawaさんが整理してくださったので、僕は自分が感じた田中エフェクトの特に面白い・すごいと思ったところを書こうと思う。


簡潔に言えば、田中エフェクトのスゴイところは、「気流・爆風」のダイレクトな記号化です。ライトユーザーにも大好評であるのは、ここに起因すると言っても過言ではない。


例外もありますが、まず80年~90年代前半において、気流・爆風の大部分は、”周りの物体が壊れる”ことによって、「間接的に」表現されていたように思います。これは、「初代マクロス」「北斗の拳」「マクロスプラス」などが分かりやすい 。


20160608220534
[超時空要塞マクロス 27話『愛は流れる』(1983/TV)]

20150430230158
[北斗の拳 49話(1984/TV)]

20140419214316
[マクロスプラス(OVA/1994)]:鴨川浩パート

割れるガラス、戦闘機が飛び去った後にギュッと引っ張られる煙がいい


この3つに共通するのは、最初に述べた通り、”周りの物体が壊れること”で気流の状態を描写してる点です。周りの砂や地面が抉れることによって、「ああ、すごい爆風が生じているんだ」と分かります。この時代では、周りの状況、つまり、地面がえぐれる、窓が壊れる、砂埃が立つなど、そういったシーンごとに具体的な破壊描写がなされていました。



それでは、田中宏紀はどういう風に気流・爆風を表現したか。彼は、従来の手法であった”周りの物体を壊す”のではなく、”空気の軌跡をダイレクトに描くこと”によって表現したのです。これは、「絶対可憐チルドレン」「ナルト疾風伝」「デッドマン・ワンダーランド」などの田中パートを見てもらうと分かりやすい。


20160608214754
[ふたりはプリキュア Splash Star チクタク危機一髪!(2006/劇場)]

ジャンプした後、煙が追っ付いて行く感じが良いです


20160608214755
[絶対可憐チルドレン 37話(2008/TV)]

20160608214753
[ナルト疾風伝 351話(2009/TV)]

20160608214752
[デッドマン・ワンダーランド(2011/TV)]

それぞれ見て分かるとおり、物体が通った後の空気の軌跡を描いている。キャラクターが動いた後の気流・爆風を具体的な形で描写したという部分が、特に画期的だったのではと思う。「絶対可憐チルドレン」における密着マルチの煙もいいですね、カッコイイ。



田中宏紀さんが現行アニメで溢れる気流記号を発明したかは正直分かりませんが、バンバン使って普及させたのは間違いないと思う。とにもかくにも、目に見えない気流というものを具体的な形にして、多大なる影響を与えた。それだけでも十分すごいのですが、その上かっこ良い記号として書き普及させた。ここが田中宏紀エフェクトの最も面白く、すごいところだと思います。


<参考文献> 
田中宏紀さんについて僕が思うこと-大匙屋  
田中宏紀煙について-iwakawaのblog
田中宏紀パート?集Ver1.1


■Rewrite 公式サイト

久々の野中記事
(PVで原画を担当してるか不明、作監だけで原画は他の人かも。詳しい人教えて下さいおなしゃす)

・「Rewrite(2016年)」 PV02



・首筋ふーっ
20160509220841

20160509220842 

首筋への息吹きかけ 反射によって、身体をよじります
ここでの注目ポイントはあれですね、髪の毛と服の動きですね。当然といえば当然なのですが、服や髪の毛は身体が動いた後に「遅れて」ついてきます。これが、キャラクターの動きをリアルにします。ちなみに、これをフォロースルー、オーバーラッピング、あとはドラッグなんて呼んだりします。

フォロースルーはゴルフ、野球でよく使われますね。投球や打撃の後の、腕を最後まで振りぬく動作のことです。まあ映像において、「すべての物体は、いっしょに動かない」「後からついてくる」という感じで押さえておいてもらえればいいです。このフォロースルーによって、キャラクターの動作に柔らかさが出てきます。


20160514010210
(2015/05/05 SB対ロッテ 柳田悠岐サヨナラ3ラン)

昨年トリプルスリーを達成した、ソフトバンク柳田悠岐のホームランを参考に見てみましょう。踏み込んだ後に、身体はほぼ止まっていながら、腕だけが強く振りぬかれているのがわかるとおもいます。これがフォロースルー。


慣性のお話も一応。さて、電車が急停車したとします。この時、乗車している人は、(それまで電車が動いていたスピードと同じ速さで)動き続けようとします。すなわち、電車は止まって、人は動き続けようとしますので、人の身体が進行方向にぐらつく現象が発生します。これが慣性の法則です。

これと同じように、キャラクターのアクションも考えてみると分かりやすいです。メイン(身体)は電車、サブ(髪の毛、服)は電車の中にいる人。メインのパーツ(身体)が止まった後、服や髪の毛といったサブのパーツは動き続けます。この時、遅れてついてくるのがポイントですね。



・笛吹き眼帯少女
20160509220838

ダブルアクション気味のACつなぎ
女の子の袖に注目。腕自体はピタッと止まっているのに、袖のフリルは遅れてついてきてますよね。こういう風にすると、空間に奥行きが出て、写実性が増します。髪が少し跳ねたりするのも、パーツ全体が繋がっているようで、リアルに見える一つの理由。



・二度見バット投げ

20160509220839

20160509220840  

二度見ダッシュでバット投げ、2カット目はバットをなめてドアノブをがちゃがちゃする構図
ドアに当たった後、少し反動を受けて身体が押し返されてますよね。ドアにぶつかって反動を受けるほど急いでいることから、焦ってるのが伝わりめっちゃリアル。



まあぶっちゃけていうと、カワイイ女の子がリアルな仕草で動いてるってだけですごいですよね。2年前の記事での回答は、極めて簡単に言うとこんな感じ。この部分が、野中作画がやらおんに取り上げられた珍事を起こした一番の要因であると思います。

肘関節のなめらかな挙動、重心移動のなめらかさ、女の子の可愛らしい仕草、そして奇妙ともいえるタイミング、この辺がめっちゃ受けた要因だと思います。そこはまた詳しく書けたらいいなと。


「Rewrite」では、このように慣性がついたリアルな動きが堪能できると思います。そういう意味で、野中正幸の初キャラデ+総作監のTVアニメ「Rewrite」が楽しみです。Keyファン厳しそう(偏見)。どんな風になるのかなあ。

↑このページのトップヘ

©GOMISTATION 2012-2017 All rights reversed