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馬之翁塞

カテゴリ:カメラ・演出・カット > 回り込み・カメラワーク


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前回は、背景動画を中心に見てきました。
今回はデジタル&CGを利用した表現がメイン。やはり、表現の幅が広がります。

流れる時間は、回り込まれる(被回り込み)キャラのためにあるのか、それとも別の所にあるのか。ということを、意図的にやっていることに注目すべきです。前者は当然、主観的な時間、後者は、別のキャラであったり、視聴者であったり様々です。


 ■『戦姫絶唱シンフォギアG(2013)』
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カメラが右に動きながら、1人のキャラのところでTUしていくわけですが、もったいないですよね。完全に書いて欲しいカットは、この後なのに、と。これは、主観的な時間ですから、なおさら。

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これが2カット目。1カット目とこの間が主観的な時間を表現するベストポイントじゃないのかと思うんですが、キャラの顔に最後までTUしなかったのは、作画の関係なんでしょうか。


■『翠星のガルガンティア(2013)』 1話
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流れるのは男の子の主観的な時間。比較的分かりやすい多段構造での背景(BGとbook2個)で、ジオラマ的に遠近感を出している。男の子の動揺を表現してるのがよく分かる。


■『フォーチュン・アテリアル(2010)』
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当然、これは女の子の主観的な時間です。ところで、回り込みって、さっきのシンフォギアみたく「ああ!この肝心なところが作画されてない!」ってなることも、しばしばあるんですが。これは全部描いてますね。カメラがキャラの後ろから入ってきて、キャラの顔を細かく角度別に描いていく。


■『進撃の巨人(2012)』 22話
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これは、一見、被回り込みキャラの女型の巨人の時間っぽいが違う。リヴァイ兵長のスゴさを見つめる、ミサカの主観的な時間です。CG背景を利用した回り込み表現。女型の巨人のスケールさを表しつつ、リヴァイ兵長の俊敏で広範囲な攻撃を描写してる。透過光の入れ方がセクシー。


■11話 
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ミサカの主観的な時間が流れる。江原作画。ミサカがくるっと一回転する所に少しカメラが回り込む。CG背動だから、回り込みしようと思えば多分何処でも出来るけど、いい入れ方だし、作画も良いですよね。背動しつつも、少しエキセントリックな感じ。

■25話
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巨大エレンの高速パンチの回り込み。これだけカメラのスピードが速いのは、当然エレンの攻撃の速さを表現してるのもありますが、それとは別に女型巨人の主観の時間が入ってるという要素もある。つまり、これは第三者的な視点なんだけど、回り込んだ後に女型のカットを入れることで、その女型の主観的時間をシークエンス自体に含ませてる。


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これも同じく25話。第三者的(作品内の他の人)の時間に、巨人が割り込んでくる形。カメラは、(レール引いてんのかって思うぐらい)綺麗な弧を描いて動きます。大量の破片や人間、店を配置することで、ここで巨人との比較対象としてる。そのおかげで、より特撮的なアクションになる。


■『中二病でも恋がしたい!』 9話
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これは、もう2人のための主観的・独占的な時間です。ローアングルでパノラマ的なカメラ。360度全部入れようとしてるから、当然校舎は歪む。いやースゴく奇怪な画面です。意図はなんでしょうねえ。夕焼けをメインに見せたかったのかなあ。夕焼けのカットを挟んで、情景描写みたいなのは一杯ありますけど、1カットでは見ないですね。


【2014/09/08 追記】
そういえば、この中二病に似た、画面を広角で歪めてるやつの類似がありました。

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(『まいっちんぐマチコ先生』 75話)

あくまで、これは止め絵ですけど。右から光源が差し込んできてるのが分かりますよね。やっぱり、空の状況を画面に入れたいがために、広角にしたりパノラマにしたりすんでしょうか。


「回り込み」と簡単に言いますが、そのシーン・カットで流れている時間は誰のものなのか、ということは作品の理解においても重要で、例えば古典や現代評論で言えば、主語が分からないと文脈はメチャクチャになりますよね。それと同じで、主観的な時間なのか、それとも別キャラの視点なのか、はたまた別の目線なのかを考えるのは見方として楽しいかもしれない。とにかく、「このカットを何で回り込みにしたのか」という意図を探してみる意義はあります。まあ、これは回り込みに限った話ではありませんが、全部やろうとすると大変なので、「回り込み」のシーンだけ考えてみる、というのがいいのかもしれません。


続いた。
今回は、セル背景動画が中心。

回り込みの定義は、おそらくカメラが被写体の周りを鈍角以上(90度以上)ワークすれば、完全に回り込みとみなしていいような気がします。(※45度くらいあれば個人的には、いいと思いますが)

【追記 2014-08-29】
そうそう重要なことを言い忘れてた。何も水平方向にのみカメラが動くものだけを、「回り込み」と呼ぶわけではなくて、鉛直方向や、放物線的な立体的なカメラワークも「回り込み」とみなしていいと思う。
回り込み リファレンス図1

回り込みカメラワークの種類としては、「水平方向」「鉛直方向」「放物線的(立体的)」の3つに大別できると思う。



背景動画(背動)というのは、簡単にいえば、「パラパラ漫画」みたいなもんです。基本的にアニメでは、背景とセルで別れて作業しますが、これはアニメーター(作画・動画)が全部描いてる。厳密には少し違うけど、まあそんな理解で。



■『サクラ大戦3 〜巴里は燃えているか〜(2001)』 OP 
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一部背景動画による回り込み。放物線的カメラワーク。
キャラの斜め上から後ろに向かってカメラは移動し、お墓参りに来ている心情を描写している。かいま見える一瞬のせつない表情がいい。『サクラ大戦3』のOPはこれに限らず、鉄塔のシーンのカメラぐるぐるなど、全体的なカメラワークも、立体的で楽しいOP。


■『銀河旋風ブライガー(1981)』 OP
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金田伊功による有名なOP。水平方向タイプ。
3つほど異なるパースを抱えつつ動かす妙技は、今更言うまでもないですNE。異なるパースを含んだセル回り込み全面背動は多分コレしか無いと思う。4人のキャラを最初に見せておいて、主人公に寄っていくように回り込むカメラワークは、ぐっと主人公の元に引っ張られるようで自然で良い。


■『フォトカノ(2013)』
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近年における変態全面背動回り込み。立体的タイプ。
とにかく動かないモノ(イス、机、窓)のパースペクティブ変化の作画が大変ですね。ただでさえめんどいパースの変化というものを、セルで描いちゃうという。作品内におけるカメラでの目線ということで、こういう表現を意図的にしてるんだろうと思うけど。若干イスに違和感を感じる(※カゲのせいかも)けど、どうやって書いてんのかなあ。普通に書き送りですかね。


■『名探偵コナン 14番目の標的(1998)』
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一部背景動画での回り込み表現。水平方向タイプ。
若干バレットタイムっぽくもありますね。ストーリー的には、小五郎のおっちゃんが、過去に妃(奥さん)を撃ったことに蘭ねーちゃんは怒ってたわけですけど、その伏線を回収する大事なシーン。コナンくんが銃をとり、過去のおっちゃんと同じことをするわけですね。コナン君だけの主観的な時間になってることは分かると思う。当然みんな物理的に拘束されているわけではなくて、「息を呑む」という表現が一番いいのかな、そういう感じで動けなくて、コナンくんだけがゆったりと動く。結果的に、シーンの重みというのを上手く表現してる。


■『きまぐれオレンジロード(1988)』 3期OP
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全面背動回り込み。水平方向タイプ。
ペットのジンゴローを中心に、キャラを見せていく演出。カメラはラブコメに合わせるように、ゆっくりとした動きを見せてます。背景動画ですが、作画的には省略・簡略もあって、男の子の顔面をさほど細かく角度別で描かない(カメラのTUで回避してる)代わりに、ネコの方に力を入れているように感じる。「このカットではネコが重要なんだ」と、否応なく思わせる演出な気がします。マッチカット的シーンつなぎの連続で、面白いOPでもあるので未見の方は是非。(※こういった背動回り込みは、『ハイスクール奇面組』など、福富博作品ではあるある回り込み作画のようです。)


■『涼宮ハルヒの憂鬱(2009)』 24話
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全面背動回り込み。立体的タイプ。
長門が去っていくのを呆然としながら捉える、キョンの目線がカメラに反映されている形。カメラはTBしつつ、ぐっと左に回りこむ。位置関係的には、こんな感じ。

ハルヒ説明1 
この去っていく長門は、ネガティブなことを言ったので、キョンも呆然・呆気にとられて長門を目で追うしかなく、そのキョンのどうしようも無さとか、呆然としてる感じを上手く出してる。この図で言うと、左から右にキョンの視線が動くので、カメラは逆の動きになる。俯瞰的なアングルにしてるのは、そこに視聴者の客観的な目線を要求してる(※そういう風に見てね、という意図)からだと思う。この一連のシークエンスを目撃してしまった、みたいな。主観的なキョンの目線と、視聴者の客観的な目線が重なって、こういうカメラワークになってると思う。



今回はセル作画の回り込みを中心に見てきました。
これは、前回見た”擬似的な回り込み”とは違い、実際にカメラが回りこんでいます。だから、撮影や美術との兼ね合いというよりも、アニメーターに委ねられる場合が多く、アニメーター自身の技量が出る作画表現でもあると思います(※CGをアタリにして描いてるのありますが)。

何か上手いこと言えませんが、次回に続く。 


お待ちかね。回り込み作画の時間だよ!

今回タイトルにあります、「擬似的な」というのは、(実際には、カメラが回り込んでいないのに)回り込みをしているように見えるという意味です。まずは、BG(背景)やbook(背景の前に置かれる背景素材のこと)で、キャラを回り込んで撮っているような手法でやってるカットから紹介。


■『これはゾンビですか?オブ・ザ・デッド(2012)』 OP
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BG引き回り込み。BGを右に高速に引いて、リピートしてる。(※ちょっとレンズは、魚眼っぽい)映像演出的には、3人のキャラを回転させて、3人の違いを描写しているシーン。この回転表現はよく見られて、『神様のメモ帳』とかでも見られる。


■『フォーチュンアテリアル(2010)』 OP
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1枚のbook(前方の流れていく木)をSLとBG引き。でも、所々セルでキャラを置いたりすることで、真ん中の女の子が戸惑うのを上手く演出してる。1枚のbook配置、単なるBG引き、この2つだけでも色々な回り込み表現が作れることはわかると思います。そんで、この応用例が次。


■『神さまのいない日曜日(2013)』 3話ED
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これは、単なるBG引きでの回り込みもあるけど、より面白いのは1カット目。よーく見てください、1カット目はBGほとんど動いてません。多数のbookを女の子のいるポジションの前後どちらにも配置して、SL(スライド)させることにより、カメラが回り込んでるように見せてる。


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これはBG引き+多段bookをそれぞれ違う速度で動かすことで、擬似的に回り込みのカメラワークを演出してる。いわゆる、「密着マルチ」と呼ばれる技法です。大体5個ほど墓標のbook(画面前方に3個、後方に2個)が重ねられていて、よく見ると奥の方に山のbookもある。後は、光のエフェクトも綺麗です。すごいっすね。



そんで擬似的な回り込みには、もう一つありまして。こちらは、逆にキャラの動きだけで回りこみを表現するというもの。背景、book等をさほど使用せず、セルで描かれるキャラのアクションにより、回り込んでいるかのような擬似カメラワークを演出します。


A、キャラが勝手に回るよタイプ

■『ふたりはミルキィホームズ(2013)』 1話
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ぶわあっという感じのエフェクトと共に、弓を装備するときに(演出的に多分カッコイイから)キャラが回転して、結果的に回り込み作画になる。


■『キン肉マンII世(2002)』 OP
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キャラの顔と体だけが作画で流れていき、BGはほとんどない。けど、カメラが回り込んでいる感じが出ていますよね。こういうの多いです。『パパのいうことを聞きなさい!』とかのOPでも見られる。


■『ベン・トー(2011)』 OP
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これも同じく。互いに背中を向けて、対立構造を示すと共に、謎のキャラを唐突に真ん中に置くことで、画面のトリック感が強い。実写でやると、当然カメラが回り込まないといけないので、バレットタイムみたいになって大変ですよね多分。擬似的なカメラワークを作れるのは、アニメの利点ですね~。


B、回転台座タイプ

■『忍者戦士飛影(1985)』 OP
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これは、キャラ自体が回転して結果的に回り込み作画になる例。床に回転台座でもあんのかと思うよね。グルグル回る。なんですか、古すぎて参考にならないって?しゃーねえなあ、それでは、近年の作品をドン!


■『中二病でも恋がしたい!戀(2013)』 OP
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回るモリサマーたち。これは全然作画崩れないし、3DCGでアタリを出力してから、ロトスコっぽく描いてるんですかねえ。ホント、全然キャラの顔も体も崩れねえ。京アニが広域に受けてるのは、こういった理由があるかもしれません。


スライダーでぐるぐるすると多分楽しい。


今回は、こんな感じで。
擬似的な回り込み作画を、色々と見てみました。

次回は、デジタルならではの回り込み表現などを見ていくつもりですよ、タブン。

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