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さむくてエモい時期です

カテゴリ: CG・3DCG


「ガルパン劇場版」は興収21億円も超え大ヒットしました。良いことです。先日ようやっと見ましたが、作品の内容は王道を往くものであり、なるほどこれは好評を得るのも当然と思った次第です。

さて、突然ですが「ガルパン」といえば何でしょうか?そうです、戦車です。戦車といえば、砲撃。砲撃といえば、そうエフェクトです。今回は、煙を中心に「エフェクトに含まれる意味」といったものを詳しく説明していきたいと思う。なに、たかが煙に意味なんてない?いえいえ、煙って意外と重要なんです。

戦車道には、エフェクトの大切な全てのことがつまっている。スナフキンおばさんの言葉を借りて、そう言っても過言ではありません。二部構成でエフェクトを紹介していく。(大洗女子優勝記念)エキシビションと、対大学選抜メンバー戦の2つ。特に素晴らしかったエフェクトをご紹介。まずはエキシビションから([追記]2016/09/12修正済み)。



・砲撃2発の地面への着弾
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CG+作画エフェクト(1発目がCG、2発目は作画)。
1発目の着弾は、時間が経つにつれ、煙が上昇しつつ下のほうはスーッと消えていくのが自然で上手いです。2発目は、着弾の勢いそのままに煙が発生した後、丸まって漂うのが良いですね。破片の散らばり方もグッド。



・うさぎさんチーム被弾
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ノンナによる無慈悲な砲撃。この前のシーンでギャグをやってることもあり、痛快にスパーンとぶっ飛んでいく。2カット目にぶわっと入る衝撃波が、またいい味出してますね。



・スイーッと開く店の入り口 ☆
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あんこうチームの砲撃で店のドアが開く。店の内外で煙のレイヤーが分けられていることで、煙の多層感が上手く出ています。めっちゃ上手いです。その後、砲撃により、広がっていたあんこうチームの砲煙は消え去り、代わりにプラウダ校の砲煙が店内に充満します。煙をかき消すほどの砲撃ですから、ここで「プラウダ校が優位に立っているんだ」ということが分かります。



・連続着弾
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ここは全部作画かな。注目してもらいたいのは、画面右下の煙。画面左で3つの煙が発生した後に、この煙が起こることで隅々まで攻撃しているのが伝わる。すなわち、プラウダ校は容赦無い攻撃をしているんですね。まさしく集中砲火です。



・戦車同士の衝突による爆発
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作画+波ガラス(撮影)、小澤作画(※推測)
透過光を全面に押し出しながらの大爆発。時間が経つにつれ、爆発は冷やされていきます。このカットでは、透過光の小さくなっていくスピードが上手いですね。ぶわっと広がる衝撃波や、画面の四隅が一瞬暗くなるパラフィンも良い。

(※「波ガラス」は、簡単に言うと、陽炎のような表現をするためのフィルターで、「パラフィン」は、画面の一部に影を落とすためのフィルターです)



・落石と煙
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これ地味に良かった。落石と一緒に煙が落ちていくわけですが、細かいところまで描写していると画面の写実性は増します。そして、物語にも納得しやすくなる。ここは後退命令が出ているわけですが、落石と煙がその理由になっているんですね。建物もヤバイし、まあここは退く場面だ、というのをエフェクトでも表している。知波単学園はそんなのお構いなしなんですが。




・爆発、3連続
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橋本作画[追記]。ドンドン、バーンみたいな感じで。こういうの大好き。3つ目の爆発の広がりと透過光が小さくなっていくスピードが同じなのがいいですね。こういう感じのスピードだと、爆発の後に余韻が出ます。後、1、2つ目の煙がわずかに上昇しながら漂っている感じも細かくて、写実的です。



・海の中からこんにちわ ☆
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橋本作画かも?(※推測)
吉本雅一さんのようです(情報をいただきました。ありがとうございます)

水作画ですが、素晴らしかったので紹介。海から上がる時、まず履帯周辺にあった海水が流れ落ちていき、その後戦車の上に乗っていた水が流れていく。それぞれ流れ落ちていく感じも良いですが、特にいいのが戦車前方の流水。ヨッコイショと持ち上がった水が、前方の装甲部に張り付きながら流れていく。いやあ、めちゃウマです。誰だろう。



・カモさんチームの被弾
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阿部作画かも(※推測)。被弾した後、カメラを追い越して飛んで行く。1カット目の爆発もタイミングが良くていいんですが、2カット目がもう最高ですね。戦車が飛んで行く時に煙も付随して伸びていく。そうして、止まった後には、煙はその上空で漂いながら消えていく。言うことなし。素晴らしい。



・テールランプの尾引き
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光エフェクト。尾っぽが目に見えるとやっぱりカッコイイですね。廃校を気にしていないように振る舞う自動車部の哀愁が、儚く消えていくテールランプから伝わってくるようです。





ちなみに、「ガルパン」のCGはTVシリーズからグラフィニカが担当しています。3DCGI監督は、柳野啓一郎さん。昨季ですと『楽園追放』だとか、印象的なエフェクトを作る会社です[追記修正]。エフェクト作監(作画)は阿部宗孝さん。


さて、次は対大学選抜メンバー戦を見ていきましょうか。
大きな見所は、やはりカール自走臼砲の周辺です。

・集中砲撃されるうさぎさんチーム
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集中砲撃。前後左右、全てに着弾しており逃げる場所がない。大学選抜メンバーの強さは、この森のシーン周辺で示されます。サンダース大付属の各車両は何とか戦況を把握しながらも、応戦することができません。なおさら熟練度が低い、うさぎさんチームや知波単学園なんかはレベルが違うことを思い知らされるわけです。



・カール自走臼砲その1:アブノーマルな状況
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ライティング(光の明暗)に注目。カール自走臼砲の砲弾が着弾した後、逆光になり、煙の中に覆われてしまうので戦車は暗くなってます。また、履帯や砲身にハイライトが入ることで、爆心地の状況を写実的に描写。このように異質なほどリアルにすることで、他のシーンと差異を出し「アブノーマルな状況」を演出をしている。



・カール自走臼砲その2:煙の中をすり抜ける ☆
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このカットもスゴイ。ここはプラウダ校の戦車がPOV(主観視点)で後退しているんですが、カール自走臼砲の砲撃によって生じた煙の中を通る様子をCGの煙で描写しているんですね。作画ではやや困難、可能ではあるけれどCGの戦車とは多分合わない。POVを存分に活かした、この臨場感は素晴らしいです。いやあ、このカットはグラフィニカの真骨頂ですね。



・追撃をかける大学選抜チーム ☆
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ニュッと出る砲身が何とも言えず不気味。プラウダ校(カチューシャ)に対して、大学選抜メンバーが追撃をかけるシーンです。砲身だけが煙の中から現れ、次のカットで戦車全体が煙から出てきます。煙だらけで見えづらい視野の中、臆することなく追ってくる。



・カール自走臼砲その3:砲撃
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カール自走臼砲のすさまじい砲撃。この煙の多層感(特に2カット目)は、何個かCGの煙を重ねたりしてるのかな。透かした煙を3個ほど配置して衝撃波とすることで、カールの規格外さを表現。



・マフラーの排煙 ☆
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このマフラーの排煙は、物語の「転」です。カール自走臼砲というのは、平たく言えば、チートです。プラウダ校や黒森峰といった手練でも苦しい戦いを余儀なくされている。そういった重苦しい空気を振り払うために、小気味良く振動しながらのマフラーの排煙があるわけです。再始動みたいな感じ。



・カール自走臼砲その4:マンガな動きとリアルな煙
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爆発が良いのは言わずもがな。ここはタイミングに注目。最初のカールの砲弾は少し溜めてから、向こう側に飛んで着弾しています(※これを作画で「先ヅメ」と言ったりします)。それから煙が2つあると思います、どーんと後ろに広がる煙と、前に押し寄せてくる煙。後ろの煙はじんわりですが、前の煙は素早いので、タイミングに差があるんですね。このギャップによって臨場感が増します。

このカット、背景以外は全てCGです。スゴイ。



・カール自走臼砲その5:カール討ち取ったり
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トリプルアクション。作画エフェクト。
とてつもない破壊力を持つ、カール自走臼砲を倒すということは、この試合で大きな意味を持ちます。それを強調するために、3回映してるんですね。じんわりと発生して漂う大きな衝撃波は、カメさんチームの砲撃の破壊力、ひいてはこの試合におけるファインプレーを表現しています。




・超重戦車T-28の登場 ☆
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T-28の初登場シーン。ただ煙の中を砲身が通っているだけなのに、まるでオーラのごとく煙が砲身を包む。この1カットだけで、「この戦車は強い・ヤバイ」というのが伝わってくる。



・避けて、当たって、もう片足走行さ
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危険を察知したダージリンの警告で、すぐさま引き返すローズヒップ車両。T-28の砲撃を寸前のところで交わしたが、衝撃波を受け壁に叩きつけられる。地面を這うように起きる衝撃波の煙が上手い。砲弾に追随するような衝撃波の起き方で、マッハの描写みたい。



・T-28、再登場
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T-28は超重戦車で、スペックが高い戦車です。装甲も厚く、中々普通の攻撃では倒せない…というようなことを逐一言葉で説明していてはダサくなる。そこで、このように砲撃後に大きな煙の中から出て来させるんですね。「T-28はとんでもない戦車」というのを言葉ではなく、画で語っているわけです。



・観覧車の崩壊 ☆
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観覧車と土台を繋ぐ部分の破片が良いです。あと、観覧車のフレームが地面に落っこちた後、その反動でゴンドラのガラスが割れてキラキラと光っているのも細かくて素晴らしい。フレームが落ちた後、煙が発生してますが、これは観覧車のスケールを表すのに効果的ですね。滞留する煙も上手い。

CG破片はこのシーンに限らずよく出てきますが、作画のエフェクトと合わせても違和感がなくて驚きました。多分すごく試行錯誤してますよ、あの破片は。





・アリスとのラストバトルその1:アトラクション破壊
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爆煙と破壊。煙の中に入り込んでいく破片が良いです。アリス(大学選抜メンバー隊長)とのラストバトルでは、このように大きな爆発が散見されました。たった一手でも間違えれば、即座に白旗が上がってしまう。そんなレベルの高い攻防が繰り広げられていることが、エフェクトから伺えます。



・アリスとのラストバトルその2:アトラクションへの砲撃と揺れ
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CG+作画エフェクト。よく見ると、二度爆発してますね。アトラクションに着弾した後に一度爆発し、それを押して動かす時にもう一回爆発した、という感じでしょうか。



・アリスとのラストバトルその3:大スケールの爆発 ☆
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作画エフェクト+CG破片。
遮蔽物を挟んでの大爆発。大スケール。2色の影により、まるでティラミスのように多層的で立体的な煙になっている。各方向へ伸びていく煙も見事です。後は、アトラクションの一部がラストで手前に寄ってくることで臨場感がさらに出てますね。はらりと落ちていくCG破片も良い。





いかがでしたでしょうか。他にも良いエフェクトがあったんですが、これぐらいで…。エフェクトも意外と奥深いことが分かると思います。何より楽しいものです。エフェクトとは、いわば、ガルパン劇場版における遊園地のような存在です。どのようにでも楽しめる。また、ガルパンのように爆発や煙がたくさん出てくるアニメでは、エフェクトが持つ意味はさらに大きなものとなります。

ガルパン劇場版は大変楽しかったです。ガルパンを通じて、エフェクトの楽しさも伝われば、これ以上のことはありません。
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■「亜人(2016)」11話
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1コマCG。これはそんな驚かなかった、それでも上手いけど。『楽園追放』とかと同じ方向性ですね。なるべく粒子数を減らして、全体の色数を細かくしすぎない。CGエフェクトってグラデーションとの戦い(無限に発生してしまうカゲを抑える)なんだけど、そこを上手く調整してる。


驚いたのは、次の2カット
見てて変な声出た

・ビル崩壊2
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うは。上手いとかそういうことより、びっくりですねコレは
下手な作画より断然いいっすね。タイミングもよく練られてる
CGエフェクトのブレイクスルーに後一歩のところまで来てると思う

2コマCG。煙の上と下の部分で、異なるタイミングにしてるのがgood
ここの噛み合ってないガチャガチャ具合がいいですね


で、特にヤバイのがここ

・ビル崩壊2-アップ ☆
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「は?」ってなった。え、なにこれ?って
左下からの煙の急速な隆起と、最初に発生した煙が後方でじんわりと伸びることによって、画面の奥行きがすさまじい。だから押し寄せてくるように感じる。このタイミングの弄くりは意図的にやっていますね。偶然こんなカットはできない。

CGエフェクトのこれから

タイミングに縛られなくなって簡単にいじられるようになったら、(センスいい人が担当するのは前提だけど)相当いいエフェクトが生まれると思う。後は色数の問題(図1参照)ですね。この2つがクリアされたら、CGエフェクトもすごく良くなる。



これ3コマだとどうなるのかな、流石にカクカクになんのかなあ。ちょっと3コマでやってみて欲しい気持ちもある。中割りするというよりは、元あるフル60FPS映像からコマ落とすという感じなんだろうから不可能ではないだろうし。3コマでも画面は持つと思う。



・3Kテスト
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勝手に3コマでやってみた(1コマCGから適当に抜粋して3コマにしただけ)
(※ここのカットを担当された方には大変失礼ですが、好奇心には勝てなかった。すみません)

意外といけそうと思ったと同時に、ああタメが無くなったなあとも思った
でも、素人がこんな雑にやって「いけそう」と思えるんなら、とっくの昔にできてるよなあ。ただ安易に3コマ打ちに変換してやるだけでは、CGエフェクトの良さ(緻密・綿密なフォトリアルさ)が失われて駄目ですね多分。ただもうちょいコマ抜きしたら、もっと良くなりそうな感覚がある。2コマフルじゃなくて、3コマで中割を後詰めにするとか。そういうので良くなりそう。


爆発だと、こんな風にガンガン抜いてるんですけどね
(※これは「楽園追放」でも同じだった)

・地下、奥からの連続爆発
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これは見事!ケチつけるとすれば手前にある倉庫の部品が取れるのが少し早いくらい
CGエフェクトの最も得意とする温度表現のリアルさと、アニメのタイミングが両立されてる
後半にかけて、ドンドドドンと加速度的に押し寄せてきている。画面いっぱいに広がった後に多くのコマを割いているところも、後ヅメっぽいじんわり感で素晴らしい。



CGエフェクトが日進月歩の勢いで進化してるのが、CG制作工程のシステマチックさを伺わせますね。システマチックな制作工程のおかげで、フィードバックしやすくなってるんじゃないのかな。「このエフェクトはなんでよく見えないのかな~」みたいなことの原因はすぐに突き止めやすいと思う。アニメーターの個性はあまり出ないだろうけど、全体的なレベルの底上げはCGの方が早そうだなあ。

いや、手書きのエフェクトdisってるわけじゃなくてね?どっちも競争して頑張って欲しい。トップの技術をいかに下の人に伝えられるかどうかにかかってると思うなあ。天才が一人輝いても仕方ないし。ただ、手書きの方は技術を伝えることに対する手段も暇も余裕もないですねえ。スーパー堤防もびっくりのレベルでアニメの本数は氾濫してますもん、現場はそれどころじゃないとおもう。
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初見で見た時は、これCGなのかと目を疑った。
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32]06]

カセットガール - アニメ(ーター)見本市第35話


CGの技巧が優れてるのは言うまでもないんだけど、特に流れるような金田アクションと、作画に引けをとらないエヘクト。この2点が特筆すべき点かなあ。金田系アニメーターの摩砂雪はコンテでも金田アクション随所に盛り込んでくるんですが、今回も自然に放り込んでて上手い。


爆風ふっとばされアクション
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爆風で吹き飛ばされた後、空中に放り出されて雪の上に着地までのアクションです。これの何処がスゴイかと言うと、CGでサバサバした金田アクションをやってるとこですね。しかも上手く決まっている。普通のCGIだったら、もっと女の子が空中にいる時間は長いです。こんなに短い上、破綻していないのは偉業と思う。カラーデジタル部はコマ落としを多用したんじゃないのかな、摩砂雪はアニメでも特撮でもよくやるし。


おっとっと
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観直した中で一番良かったアクションはこのシーン。
板がずれて後ろに動いたために重心も一緒に動いて、女の子は体が前のめりに。その後、真正面からの風に押されてしまい上半身は後ろへと傾く。この間、下半身は固定されたままなんで、殆ど動けないんですが、最初の方では抵抗しようと内股になってたり、後半の風に姿勢を持って行かれて、少し開いちゃってる。いやあ、細かいとこまでちゃんとコントロールしてやろうというのが伺えます。




レンタル屋爆発
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2回閃光した後の爆発。
一回目の煙はタイミングがいい、じんわりタメてます。その後は、ガヤも混じりながらの全面煙。ある程度勢いで押してるのと、2色という色数でセルルックにやってるのが良いです。ここはリアルと漫画が混ざった感じですね、一回目の煙は少しリアルなんだけど、2回目の煙はちょっと漫画っぽくド派手に。


どっかーん着地
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カメラに衝撃波が届く瞬間にショック表現として、ビデオのノイズを使っているのもまた良いですねえ。エフェクト本体は4色程度かな。煙自体の展開や、煙が冷えていく描写を色と透過光でコントロールしてますね。舞い上がって消える破片も綺麗だ。後は、前の方にニョキッと出てくる煙かな。この煙のタイミングがものっそい良いですね、煙全体のじんわり感を上手く演出してると思う。 



総括すると、アクションについては挑戦的な表現で、しかも金田アクションとの親和性が高い点に驚きました。なんとなく、「金田系」と「CG」は両極端に位置していると思っていたので。ある種到達点とも思う。エフェクトは破片、瓦礫も含めて、総合力が高い。2色の煙は下手なアニメーターが書くより断然素晴らしいです。タイミングもそうですけど、画面を何とかコントロールしようとしている工夫と試行錯誤が伝わってくる。面白かったです。

カセットガール - アニメ(ーター)見本市第35話
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