lbl・lGOMISTATIONl

A conclusion is the place where you got tired of thinking.

カテゴリ: CG・3DCG

エフェクトはもちろん、ここまでよくできたアニメーションは久々に見ました。驚きしかない。


さて、このアニメは、FPSゲーム「valorant」の世界大会の宣伝も兼ねた、公式のMVです。

*Die For You // 公式ミュージックビデオ // VALORANT Champions 2021



[valorantの前提知識]
*かんたんに説明すると、「valorant」は5vs5の爆発ゲームというものです。テロリスト/攻撃側はボム(爆弾/スパイク/C4;なんでもいいです、陣地を吹き飛ばすもの)を設置し起爆させれば勝ち。防御側は、それを解除すれば勝ち。そういったものです。このアニメーションでは、じっさいのゲームに出てくるマップ(スプリット)を用いて描かれています。

*それぞれのキャラクターは”レディアント”と呼ばれ、彼らは固有の能力(アビリティ)を持ちます。



グレネードからの広がる煙 ★
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白黒ショックコマ→ダブラシ煙(爆風)+押し寄せる煙

ショックの発生タイミングも美しい。密閉された通路に広がった煙が、押し出されるように出てくる。抑えきれずに下から伸びてくるのが良い。



煙から抜け出る2人 ★★
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ここが凄まじい(いや全編ヤバイんですけど)
右の女キャラ(セージ)はさっと抜けて、次に入った陣地のクリアリングを行う。よって、動きが速い。一方で、左の軍人(ブリムストーン)は煙の中から出ているので、後ろを警戒しながら、ゆっくりと入っていく。この”速度”の対比がすごい。

とくに、セージが抜けていくスピードが上手い。上手く言えないんだけど、勢いを増して画面外に消えていく感じが良い。




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スコープで覗かれた後、


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俯瞰アングルで、死角に逃げ込んだことを状況説明する





さらに遅れてやってくる男
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褐色男(フェニックス)はジャンピングをしながら、陣地へと侵入する。
海外勢による制作ですが、日本的なリミテッドのタイミングを発揮している。受け身をとってからの着地が上手い。付けPAN(※キャラクターを追うようなカメラワークのこと)も非常に丁寧。



ダッシュ、そしてボムの解除へ ★★
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(※防御側は設置されたボムを解除しなければ負け)

ダッチアングル+アオリ気味の広角レイアウト+付けPANカメラワーク

ここでアオリ+広角気味になっているのは、ボムとの距離が遠いことを表現するため。にしても、この歪めた広角レイアウトは美しい。階段を上がっていくところが区切られた感じになっているから、のように思う。




攻撃側の布陣:最強のライフル
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1発でも当たると即死のライフルを持ちながら、待っている男(チェンバー)
マズル(銃口)が強調されていいですね~。チェンバーの顔が見切れてもいいんですよ。なにを強調すべきかよく分かっている。「これに撃たれたらヤバイ」、そういう明確な意図を感じる。



排莢された薬莢
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なんだろうな、これセンスいいんですよ
排莢された薬莢が右奥に飛んでいくのは分かるけれど、ゆっくりと時間をかけて流れていくのがセンスいい。薬莢っていっつも早く消えちゃうんで、印象に残りますよね。




画面に収まらないエフェクト ★
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ここまでは上品に画面内に収まっていた。かと思えば、画面に収まりきらない、炎を描く。あまりこういうことは言いたくないんですが、金田伊功・金田系作画のような感じがする。金田系作画というのは、「画面に収める」ということをしないんです。画面に収められない、そのことによって、エフェクトの大きさ・規模を表現する。それを海外勢がやってのけている。すごい。



氷に包まれていくセージ
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手(部分からスタート)→クイック気味のTB(トラックバック)?

あっという間に、氷に侵食されていき顔が仰け反るセージ。氷の侵食タイミングが珍しい感じ。こう、全身を伝っていく感じではない。一挙に、考える暇も与えずに来る感じ。まあ後は、このアングルでやるのは単純に難しいとおもう。顔の立体を正確に拾わないといけないですから。





迫りくる炎と、ライフル ★★
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画面左から広がる、フェニックスの炎は柱に到達した瞬間に爆発して大きく燃え上がる。この炎によって、視認がむずかしくなり相手(チェンバー)のライフルは外れます。

ライフルの弾はセージの左後方に着弾します。着弾して爆煙が発生してますよね。この爆煙の存在によって、画面/レイアウトがすごく美しくなっているんですよ。これは意図して設計されている。

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そう、この画面はもともとダッチアングルで傾いている。柱と爆煙によって、セージを囲むように新しい「枠」ができているんです。これ、すごくないですか?スゴイんですよ。


ぼくが感じたのは、フルアニメーションで育った海外勢が、日本的なリミテッドのタイミングをことさらうまく使い、金田伊功のような発想でエフェクトを描き、面白いタイミングで煙の動きをCGでコントロールしたことの凄さ。そこに合理的な画面作り・レイアウト設計が加わると、もはや閉口するしかありません。多様な画面が、けっして猿真似ではない、画面が次々と展開されていく。

久々に、素晴らしいアニメーションを見ました。あまりうまく言葉になりません。

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こういうバレットタイムの作画は、3DCGソフトでレイアウトをシミュレーションして、あたりをつけないと不可能だと思います。ソラで書けたら、それはもう黄瀬和哉でしょう。

で、ソフトについてですが、

( ^ω^)素人のおれが知っているわけないだろ!いい加減にしろ!!!


ソフトは人によると思います。使いやすいやつを使ってるのでは?
ぼくがフォローしているCG系アニメーターさんでよく見るソフトは、

・3ds MAX
・ZBursh
・Maya
・Blender(※シン・エヴァでも使われていましたネ)

この4つスね。

まあでもこういうのは公式にいったほうがいい、大事なのは一次ソース、そうだろ?



■グラフィニカ
grafinika
グラフィニカは3ds MaxもしくはMayaが主力。

http://www.graphinica.com/service/service01.html#service02




■オレンジ(代表:井野元英二)
orange

オレンジは3ds MaxおよびAfter Effectsで固めてる。
サブにBlender

https://www.orange-cg.com/recruit/animator/ 




■白組


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(たぶん白組アニメ班)


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白組アニメ班もメインは3ds MAX
※Nukeはコンポジ


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(模索CG班;新スタイルと銘打ってるので)
Blender、UE、Unity

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AdobeはたぶんAfter EffectsとPhotoshopですかね
サブにZBursh

※After Effectsはコンポジットだろう




■サンジゲン
sanzigen

https://www.sanzigen.co.jp/recruit/#job100 

サンジゲンも3ds MAXがメイン。
あとは少しMAYA
コンポジ:Nuke(※リクルート;開発におけるソース)




■カラー
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引用元:https://00m.in/fTYOH
(「やっと3Dツールが紙とペンのような存在になる」エヴァ制作のカラーがBlenderへの移行を進める理由とは?)
(※流石にCGソフトがBlenderに全移行みたいな見出しは悪意があると思います。そんなわけねえだろ)

BlenderはアニメーターとCGアニメーターの架け橋なんですよ、この記事で分かる。Blenderの機能の、「グリーンペンシル」というものでアニメーターはCGの画面に書き込めて修正ができる、ディテールアップができる、直感的に。CGアニメーターはそれを受けて、調整ができる。つまり、やり取りが楽になりましたよってことなんだよ多分。だから、セルルックアニメを作る会社にはBlenderが普及してるってことじゃんね。


整理したぞ
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Blenderの流行は激しいですね~
まあでもメインソフトは3ds MAXなんじゃないの?って印象です
ここから参入するとなるとBlenderは後追いなので、ぼくならBlenderはほどほどにでUnityとかUnreal Engineをくっそやりますね
Unityのことならあのひとに聞けばいいやってなるんで、そういう存在になっちゃえばこっちのもんや
そういう感じです。メインソフトが3ds MAXではなくなるってことはないと思います。あとはスクリプトの面で、リガー(リギングをする人;腕などのパーツを設定して配置する)の方はJAVAかPythonなどのプログラミング言語も求められる感じですかね。

( ゚д゚)ハッ!

質問内容とまったくずれている…

バレットタイムはまあ、どんなCGソフトでも可能だろう
360度を15度で刻んで(※ちょうど24枚になる)参考レイアウトを撮って、そっから作画でしょうね。刻めば刻むほど、精緻にはなると思うけど、その分コストもかかると思うので。その辺は折り合いをつけてもらって(レイパパレ:C.ルメール)

読者からの質問
読)ガーリー・エアフォース1話の冒頭CG戦闘シーンの板野サーカスは微妙というか、CGとしてはクソすぎてクソオブクソだと思います。作画サーカスに及ばねえクソさだと認識してますが、その辺イアキさんから見てどうですか?

ということで冒頭だけ見ました。なんかストパンみたいだな~



ガーリーエアフォース#1冒頭サーカス群


その1
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戦闘機の動きがちょっと速くて、ミサイルが追いつく感じがしないかな~
でも、全体を通してレイアウトは立体的で良い



その2
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CG戦闘機が背後を取るのがちょっと雑な気もする。こんなバシバシ動くか?みたいな。ミドルショットからロングショットの板野サーカスカットですが、軌道が惜しい部分がありつつもよくできている



その3
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これ惜しいなあ。途中まではキレキレでいちばん良いサーカスなんですけど
ラストの右回り旋回が少し良くない、画として欲張ってしまった感じがする




CGサーカスの参照例としていくつか

宝石の国#3(2017)
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オレンジCG。動く目標(戦闘機)がない代わりに、シンシャの毒液を2本出すことで板野サーカス風味に。先に出ていった方を後の毒液が追いかけている。




ヤマデロイド(2015)[アニメーター見本市#10]
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ロングショットの戦闘から、手前にヤマデロイドと悪役2人が寄ってくるサーカス。これはヤマデロイドが追われる側です。追いつきそうで追いつかない。



ガリエアのサーカスを見て最初に思ったのは、微妙なのもあるけれど良いショットもある。他のCGサーカスについてもそう。CGサーカスはクソって言うと、この記事はなんの意味も持たないので、良い画が持つものを考えることにします。良い画とそうでもない画、この差はいったいどこにあるのか。


──板野サーカスの生みの親、板野一郎はとかく「理屈」の人で、チャフやフレアの概念を持ち込み画に昇華した。リアルなものをアニメーションの世界に持ち込んだ。なぜ、このミサイルはこういう動きになるのかを説明でき、しかも実践してきたアニメーターだ。そんな板野一郎は以前から、「板野サーカスにおいては軌道が最重要」と述べている。結論から言えば、ガリエアやCGの板野サーカスの差はここにある。

次回はそういう所を探っていきたい

なんか異様に前記事バズって驚き。僕の主張を丁寧に理解してくれる/汲んでくれる方もたくさんいて、ありがたい限りです。

まあ今回は、ふだんどおりエフェクトについて述べていこう。プリヴィズばかりが話題になりましたが、そもそも、「宝石の国」はあれよりも良いカットが多いんですよエフェクトも。
(※gif多いので、読み込み重し/負荷かかるかも注意)



1話:フォスを守るシンシャ ★
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スロモの中で、毒液CGが球状に広がる。水銀みたいなエフェクトでレイアウトが上手い。その後、毒液地面に落ちて(ここは作画かも)、草花を枯れさせるカットを入れることで、生死を対比させている。




1話:小笠原ダイヤ
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これはええバッティングフォームや…サンキューダイヤ

冗談は置いといて、「宝石の国」においては、こういう感じにエフェクトはけっこう控えめ。派手な爆発・煙なく、脇役に徹している。まあ、キャラクター/世界観が重要な作品なので、どっかんどっかん派手にしたらまずいという判断でしょう。たぶん。



OP:あわあわフォス
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全面の泡作画でフォスは消えていく。泡がワイプも兼ねていて、映像がシームレスに。わりとディテール少なめだけど、泡の流れに違和感なし。




3話:フォスの再生
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このフォス再生シーンはモーフィング(※ある形から別の形へと変わっていくこと;メタモルフォーゼともいう)ですね。生命の再生というのはやはり極端な変化なので、メタモルフォーゼは本来の意味として、ここにピッタリはまる。



6話:疾走ダイヤ
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オレンジCGエフェクトといえば、こういう感じのエフェクトが僕の中でのイメージ。エフェクトの形はV字状が基本形。あと、ここは、ジャンプした後に残る、残像みたいな煙がスピード感出してる。


亡国のアキト(劇場/2013)第2章PV
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「亡国のアキト」だと、メカが走って着地して同じような砂煙が立つ。KFの足元に注目されたい、基本形はこんな感じ。年々フォルムやタイミングが良くなっている気がする。




7話:氷河割りアンタークチサイト ★★
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宝石全体の中では、異質なタイミングのカット。波の発生とか、大胆なタイミングだ。パッキリしてますよね、いきなり氷山が割れて波が噴出してくる。見てるこちらに間を与えないというか。



4話:王ポイ捨て ★
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異色のエフェクトその2。カートゥーンアニメみたいなエフェクト。CGって基本は写実的ですけど、ここではコミカルにデフォルメされている。それがカートゥーンっぽさ、2Dアニメっぽさを出しているのかなあ。ここはおふざけシーンなので、そういった感じが合っていてベリーグッド。





5話:波打ち際 ★★
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オレンジCGに水のイメージはあまりなかったんですが、これはめっちゃ上手いですね。細かい波粒や、ちょっとした渦巻き、それぞれの波のぶつかりなんかもよく出来ている。フォスの身体にぶつかった後に形を変えるとこなど、この辺はCGの得意分野でしょうけど、それでもすごくよく出来ている。



4話:引き上げられるフォス
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その一方で、こういった「密着する物体作画」みたいなものは、CGにとっては苦手なんだと思う。何とかしようとしてるのは伝わるけれど、龍角散のCMみたいになっている。これはまあ、オレンジだけじゃなくて、CG業界全体で苦労しているところだとおもいます。


たとえば、これもそう

3話:海から上がるボルツ
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陸に上がるとき、ボルツに付いた海水はあまり流れ落ちない。もうちょい、地面にびちゃびちゃ落ちてもいいもんだけど。宝石だから、そんなに海水は身体に付かないという演出かもしれん。




3話:ダイヤ疾走ふたたび
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オレンジCGは、こういった「カメラぐるぐるカット」が以前から多い。以前は、ぐるぐるした結果、「このぐるぐる必要だった?」っていうカットが存在してたんですが、これバッチリですよね。未知の生物と戦っていて、滑りながらも必死に応戦。最後は、虚を突いて、上空からの突撃かかと落としで破壊。ぐるぐるした意味あった。





6話:金剛先生ビーム ★★
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ビームが着弾した瞬間、後ろに広がっていく煙+カメラのQTB(※急激なカメラの引き)で、迫力ある画面に。金剛先生は最強っぽいので、エフェクトにもいろんな色が入っている。青・紫と寒色系中心な感じ。3カット目はわかりにくいんですが、ダブラシを重ねて多層さを出している。




6話:呆然フォス+切り裂きボルツ ★
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これはカット/カメラワークも良かったんで長めに。カメラがフォスに迫ってきて、真俯瞰(※真上)のアングルになる。ボルツの髪ワイプによって、いきなり入ってきたボルツの勢いは止めずに繋げる。

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エフェクトは、切り裂く瞬間の火花を見てもらいたい。意外とド派手ですよね。流線形のフォルムで放射状に広がる。直前に、双子アメシストがやられているのでカタルシスがあります。



2話:孤独なシンシャ ★★
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いやあ、これすげえんだわ。わかるかなあ。

「彼には居場所がない」っていう金剛先生の後に続くカットだから、ここでは存分に孤独になってもらわないとならない。シンシャは画面の中央に座っているけれど、他にあるのは自分を孤独にしている毒液だけ。そんな毒液のCGが、嫌気が指すほどじんわりと、にじみ出ることによって、彼の抱えている孤独の長さや深さを表現する。素晴らしい1カット。


3話:危険察知シンシャ ★
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毒液を糸にして、怪しい光の元へと向かわせる。板野サーカスのようなカメラワークが、画面にスピード感をもたらす。2カット目、いきなりカメラが動くので、見ている人はそれに釘付けになり没入する。





8話:ポイ捨て爆発 ★★★
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宝石でいちばん好きな爆発カット。担当したCGアニメーターを知りたいレベル。

最初に爆発して、その後すぐにもう一回爆発する。真っ白な透過光が放射状に広がった後に、ピンクの爆煙へと変化していく。ここのタイミングが上手いんですよ。一回ちょっとタメてるんで、爆発の威力が増すように映る。ピンクの爆煙はカゲ2色で立体感を醸し出し、画面奥へと大きく広がる。




「宝石の国」において、エフェクトCGは、前述したとおり、脇役に徹しています。顕著だったのは、3話のフォス再生シーンくらいですから。んで、もうこれはとうぜん、この宝石の世界観を崩さないために、しっかりとコントロールされている。その中でも、なにか寄与できないかと常に模索している。

それが素晴らしい。特に2話のシンシャのカットなんかは、光のゆらぎも含めて、細かいことやっているんですよ。3話の疾走するダイヤも、つるつると滑って水が跳ねていますよね。つまり、こいつらは未知なる生物で宝石の国にとっては異常事態なんだぞ、というのをエフェクトでそっと示しているんですよ。

この「宝石の国」にとって、エフェクトCG・作画は名脇役であります。一部の優れたカットだけでは、アニメや映像は成立しません。細かいところまで熟慮されたカット、すべてを含めて、映像は初めて完成します。なんか、宝石の国と似ているとは思いませんか。ボルツだけいても、宝石の国は守れません。フォス、シンシャ、みんながいて、はじめて守れて楽しんで生活ができる。同じように、一部のプリヴィズだけで映像なんて完成しないわけです。なんて当たり前のことを言ってるんだ。いや、とにもかくにも、最後まで楽しませてもらいたい。

たまには流行に乗っていこう。「宝石の国」8話では、プリヴィズが話題となりました。



そもそも、「プリヴィズ」とはなにか?

ざっくりと言うと、プリヴィズとは、「共通認識を持つための仮素材」のことです。複雑なカットがあると、動画、CG部、撮影、監督の間で、カットの中身を共有するのが困難となる。そこで、「これってどういうカットなん?」を把握するために作られます。「エヴァQ」「シン・ゴジラ」など多数の作品で使われている。アニマティック、アニマティクスと言ったりも。ちなみに、プリヴィズは、プリビジュアライゼーションの略称。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(劇場/2012)
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プリ(前)+ビジュアライゼーション(視覚化)=前もった視覚化
*参考
【シン・ゴジラ連載Vol.12】「全てはプリヴィズ(動く絵コンテ)のままに」
プリビジュアライゼーション-CGWORLD用語集


まあ、ざっくりとはこんな感じ。「宝石の国」8話では、松本憲生のラフ原画がプリヴィズとして使用され一躍注目の的になった。本来はCGガイドを作画で使ったりと逆なんですよ。今回のラフ原画プリヴィズ使用は異例。

めっちゃラフですよね。レイアウトとタイミングだけ、それでも上手いけれど。おそらく全原画の形ではないかな。んで、今回の本題は、プリヴィズと本編との違いはどれくらいあるのか。それを検証したいとおもう。5カット比較していく。

比較と分析用の動画

(※オレンジ/東宝さん許して/修:プレヴィズ→プリヴィズ)



■宝石の国(TV/2017) 08話

1カット目:雑魚はいい!
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プリヴィズの段階では、フォスが画面右側にOUTしていくが、完成映像ではやや正面に変更されている。プレヴィズのこのOUTには次カットへの繋がりがあるのでじゃっかんもったいない。



2カット目:ダッシュ+こけてジャンピング ★
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こけてから立ち上がる際に、低い姿勢から徐々に上体を起こしていく。完成映像では、着地のタイミングをじゃっかん緩やかに。おそらく、プリヴィズの着地の勢いでは、硬度が三半のフォスの身体が砕けてしまうため。



3カット目:ヒビ割れながら疾走するフォス
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髪のなびき方が異なる。プレヴィズの段階では、髪の毛は後ろに流れているが、完成映像ではその場で揺れている。宝石の髪だから重いのかな、このへんはCG作っていく中で変わったんでしょう。完成映像は肩の力の入り方の描写が見事。フォスの表情もすごく良い。



4カット目:フォスの破片
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プリヴィズとほぼ変わらず。破片が着地した際は、もうちょっとエフェクトが暴れても良かった。まあ、このへんは個人の好みですかね。



5カット目:遠のく月人
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15]29]

TB+密着SLで、途方もない距離感を出す。フォスの嘆きと合わせて、悔しさと諦念ただようカットに。



プリヴィズ作画と完成CGの差異は、顕著に映像の通った過程を示します。たとえば、1カット目~2カット目の間で「フォスの身体が画面右にOUTしていく」という指示が、ふだんの原画と動画間のようにあったのか。プリヴィズ作画とCG部で、きちんと意思疎通はあったのか。あくまでラフにお願いしただけで終わったのか。それは現場にしかわからないけれど。

松本憲生のラフ作画が上手いのは間違いない。けれど、フォス疾走シーンのようになってしまうと、プリヴィズの意義がなくなる。フォスの髪の毛が重たくて後ろに流れないんだったら、(それを受けて)最初のプリヴィズも変わってくるし、完成映像も変わってくる。極端に言えば、完成映像のクオリティは、プリヴィズの検討によって変わってくる。2カット目みたいに、ラフ作画の良い部分と、設定修正してクオリティを上げてんのはスゴく良い。ぶっちゃけ、プリヴィズが上手くても何の意味もない。プリヴィズ作画の検討を繰り返して、完成映像のクオリティを上げないと意味がない。

まあ要するに、プリヴィズというのは、あくまでタタキ台でしかない。簡易的に作れる画面を下地にして、映像をどんどん良くしていくのが本来なんで。完成画面がすべてですから。オレンジが作るCGが良くないと、プリヴィズは意味ないんですよ。「プリヴィズを松本憲生がやってんぞー(だから、そのCGも)すげえぞー」ってのは少しおかしいやろと。


[追記 2017-12-04]
鋭い※
ブコメで的確な補足をもらいました。まさしくこの通り。これは宝石の国であって、NARUTOではない。このシーンだけNARUTOみたいなアクションが披露されても、それは作品の世界観に寄与しません。んで、それはスーパーアニメーターの松本憲生が作画しても、同じです。何度も言いますが、最終的な目的は、完成画面です。プリヴィズを松本憲生が務めた、だからそのCGは素晴らしいよねと評するのは歪だ、とは思いませんか。自戒を込めますが、果たして、プリヴィズを松本憲生が担当しているとアナウンスがなくても、このCGアニメーションの良さに僕らは気づけたのか。はなはだ疑問なんですよね。



[再追記 2017-12-07]
うーん、理解に差があるような気がする。ちゃんと理解してもらえてるのは全体の6割くらいですかね。文章とかきちんと伝えることって難しいなあ。

鋭し1

あーこれもすごく的確ですね。3DCGは作画と同じようにって感じがメインじゃないですか。馴染ませるようにと、セルルックという言葉にも現れているとおり。2Dアニメが主流だった6~8年前とかだったら分かるんですけど、もうそういう状況でもないんで。おっしゃるとおり、3Dアニメにとって、適切な演出とか適切な動きを追究した方がいいんすよね。2D作画を参考にして、今回みたいにプリヴィズにしても結果があまり出てない。いや、いいコメントだなあ。ありがたい。


[ラスト追記 2018-03-26]
自分の主旨が伝わっていない人が散見されたので。まあ文責は自分にあります。分かりやすく書いてないんでしょう。箇条書きにします。


・宝石の国08話において『松本憲生がプリヴィズを担当した』という先行宣伝により、当該シーンの評価は(「松本憲生ありき」という)先入観が入ったものになったのではないか
・「松本憲生」という権威に振り回されて評価を違えている可能性はないか
・映像に対する評価とは、完成画面そのものから導かれるべきである。今回の、個人名義しかもプリヴィズのみ担当の当該映像を安易に評価することは、映像評論そのものを脅かす危ういものではないか
・CG技術は年々進化している。作画ラフプリヴィズというものが、どれだけCGと共生・昇華できるか考えるべきではないか。どういったシステムがより良い関係を育むか考える方が建設的ではないか。

という問題提起をしたつもりです。もうこれ以上は追記しません。




正直言うと、松本憲生の名前に僕は流されてしまった。松本憲生作画の良い部分を活かすのがメインであって、彼の作画をCGで再現することがメインではないんですよ、プリヴィズとしては。

先日、「ニンジャバットマン」のPVも公開されました。これからCGアニメはもっと増えていきます。その中で、原画マンが今回のようにプリヴィズを書くのが、当たり前になるかもしれない。そこでは、原画マンのタイミングやレイアウトだけが、実際の映像に反映される。作画とCG部がお互いの利点を活かし合いながら、もっと面白い画面を作っていける。ただ、その中においても、やはり完成画面が最重要なわけです。世に出ないプリヴィズを重宝するのではなく、完成画面をどれだけ底上げできるか、そのためにラフな作画はどこまで活かせるのか。そこが重要だと考えます。

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