GOMI→STATION

さむくてエモい時期です

カテゴリ: CG・3DCG

「ガルパン劇場版」は興収21億円も超え大ヒットしました。良いことです。先日ようやっと見ましたが、作品の内容は王道を往くものであり、なるほどこれは好評を得るのも当然と思った次第です。

さて、突然ですが「ガルパン」といえば何でしょうか?そうです、戦車です。戦車といえば、砲撃。砲撃といえば、そうエフェクトです。今回は、煙を中心に「エフェクトに含まれる意味」といったものを詳しく説明していきたいと思う。なに、たかが煙に意味なんてない?いえいえ、煙って意外と重要なんです。

戦車道には、エフェクトの大切な全てのことがつまっている。スナフキンおばさんの言葉を借りて、そう言っても過言ではありません。二部構成でエフェクトを紹介していく。(大洗女子優勝記念)エキシビションと、対大学選抜メンバー戦の2つ。特に素晴らしかったエフェクトをご紹介。まずはエキシビションから([追記]2016/09/12修正済み)。



・砲撃2発の地面への着弾
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CG+作画エフェクト(1発目がCG、2発目は作画)。
1発目の着弾は、時間が経つにつれ、煙が上昇しつつ下のほうはスーッと消えていくのが自然で上手いです。2発目は、着弾の勢いそのままに煙が発生した後、丸まって漂うのが良いですね。破片の散らばり方もグッド。



・うさぎさんチーム被弾
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ノンナによる無慈悲な砲撃。この前のシーンでギャグをやってることもあり、痛快にスパーンとぶっ飛んでいく。2カット目にぶわっと入る衝撃波が、またいい味出してますね。



・スイーッと開く店の入り口 ☆
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あんこうチームの砲撃で店のドアが開く。店の内外で煙のレイヤーが分けられていることで、煙の多層感が上手く出ています。めっちゃ上手いです。その後、砲撃により、広がっていたあんこうチームの砲煙は消え去り、代わりにプラウダ校の砲煙が店内に充満します。煙をかき消すほどの砲撃ですから、ここで「プラウダ校が優位に立っているんだ」ということが分かります。



・連続着弾
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ここは全部作画かな。注目してもらいたいのは、画面右下の煙。画面左で3つの煙が発生した後に、この煙が起こることで隅々まで攻撃しているのが伝わる。すなわち、プラウダ校は容赦無い攻撃をしているんですね。まさしく集中砲火です。



・戦車同士の衝突による爆発
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作画+波ガラス(撮影)、小澤作画(※推測)
透過光を全面に押し出しながらの大爆発。時間が経つにつれ、爆発は冷やされていきます。このカットでは、透過光の小さくなっていくスピードが上手いですね。ぶわっと広がる衝撃波や、画面の四隅が一瞬暗くなるパラフィンも良い。

(※「波ガラス」は、簡単に言うと、陽炎のような表現をするためのフィルターで、「パラフィン」は、画面の一部に影を落とすためのフィルターです)



・落石と煙
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これ地味に良かった。落石と一緒に煙が落ちていくわけですが、細かいところまで描写していると画面の写実性は増します。そして、物語にも納得しやすくなる。ここは後退命令が出ているわけですが、落石と煙がその理由になっているんですね。建物もヤバイし、まあここは退く場面だ、というのをエフェクトでも表している。知波単学園はそんなのお構いなしなんですが。




・爆発、3連続
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橋本作画[追記]。ドンドン、バーンみたいな感じで。こういうの大好き。3つ目の爆発の広がりと透過光が小さくなっていくスピードが同じなのがいいですね。こういう感じのスピードだと、爆発の後に余韻が出ます。後、1、2つ目の煙がわずかに上昇しながら漂っている感じも細かくて、写実的です。



・海の中からこんにちわ ☆
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橋本作画かも?(※推測)
吉本雅一さんのようです(情報をいただきました。ありがとうございます)

水作画ですが、素晴らしかったので紹介。海から上がる時、まず履帯周辺にあった海水が流れ落ちていき、その後戦車の上に乗っていた水が流れていく。それぞれ流れ落ちていく感じも良いですが、特にいいのが戦車前方の流水。ヨッコイショと持ち上がった水が、前方の装甲部に張り付きながら流れていく。いやあ、めちゃウマです。誰だろう。



・カモさんチームの被弾
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阿部作画かも(※推測)。被弾した後、カメラを追い越して飛んで行く。1カット目の爆発もタイミングが良くていいんですが、2カット目がもう最高ですね。戦車が飛んで行く時に煙も付随して伸びていく。そうして、止まった後には、煙はその上空で漂いながら消えていく。言うことなし。素晴らしい。



・テールランプの尾引き
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光エフェクト。尾っぽが目に見えるとやっぱりカッコイイですね。廃校を気にしていないように振る舞う自動車部の哀愁が、儚く消えていくテールランプから伝わってくるようです。





ちなみに、「ガルパン」のCGはTVシリーズからグラフィニカが担当しています。3DCGI監督は、柳野啓一郎さん。昨季ですと『楽園追放』だとか、印象的なエフェクトを作る会社です[追記修正]。エフェクト作監(作画)は阿部宗孝さん。


さて、次は対大学選抜メンバー戦を見ていきましょうか。
大きな見所は、やはりカール自走臼砲の周辺です。

・集中砲撃されるうさぎさんチーム
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集中砲撃。前後左右、全てに着弾しており逃げる場所がない。大学選抜メンバーの強さは、この森のシーン周辺で示されます。サンダース大付属の各車両は何とか戦況を把握しながらも、応戦することができません。なおさら熟練度が低い、うさぎさんチームや知波単学園なんかはレベルが違うことを思い知らされるわけです。



・カール自走臼砲その1:アブノーマルな状況
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ライティング(光の明暗)に注目。カール自走臼砲の砲弾が着弾した後、逆光になり、煙の中に覆われてしまうので戦車は暗くなってます。また、履帯や砲身にハイライトが入ることで、爆心地の状況を写実的に描写。このように異質なほどリアルにすることで、他のシーンと差異を出し「アブノーマルな状況」を演出をしている。



・カール自走臼砲その2:煙の中をすり抜ける ☆
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このカットもスゴイ。ここはプラウダ校の戦車がPOV(主観視点)で後退しているんですが、カール自走臼砲の砲撃によって生じた煙の中を通る様子をCGの煙で描写しているんですね。作画ではやや困難、可能ではあるけれどCGの戦車とは多分合わない。POVを存分に活かした、この臨場感は素晴らしいです。いやあ、このカットはグラフィニカの真骨頂ですね。



・追撃をかける大学選抜チーム ☆
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ニュッと出る砲身が何とも言えず不気味。プラウダ校(カチューシャ)に対して、大学選抜メンバーが追撃をかけるシーンです。砲身だけが煙の中から現れ、次のカットで戦車全体が煙から出てきます。煙だらけで見えづらい視野の中、臆することなく追ってくる。



・カール自走臼砲その3:砲撃
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カール自走臼砲のすさまじい砲撃。この煙の多層感(特に2カット目)は、何個かCGの煙を重ねたりしてるのかな。透かした煙を3個ほど配置して衝撃波とすることで、カールの規格外さを表現。



・マフラーの排煙 ☆
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このマフラーの排煙は、物語の「転」です。カール自走臼砲というのは、平たく言えば、チートです。プラウダ校や黒森峰といった手練でも苦しい戦いを余儀なくされている。そういった重苦しい空気を振り払うために、小気味良く振動しながらのマフラーの排煙があるわけです。再始動みたいな感じ。



・カール自走臼砲その4:マンガな動きとリアルな煙
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爆発が良いのは言わずもがな。ここはタイミングに注目。最初のカールの砲弾は少し溜めてから、向こう側に飛んで着弾しています(※これを作画で「先ヅメ」と言ったりします)。それから煙が2つあると思います、どーんと後ろに広がる煙と、前に押し寄せてくる煙。後ろの煙はじんわりですが、前の煙は素早いので、タイミングに差があるんですね。このギャップによって臨場感が増します。

このカット、背景以外は全てCGです。スゴイ。



・カール自走臼砲その5:カール討ち取ったり
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トリプルアクション。作画エフェクト。
とてつもない破壊力を持つ、カール自走臼砲を倒すということは、この試合で大きな意味を持ちます。それを強調するために、3回映してるんですね。じんわりと発生して漂う大きな衝撃波は、カメさんチームの砲撃の破壊力、ひいてはこの試合におけるファインプレーを表現しています。




・超重戦車T-28の登場 ☆
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T-28の初登場シーン。ただ煙の中を砲身が通っているだけなのに、まるでオーラのごとく煙が砲身を包む。この1カットだけで、「この戦車は強い・ヤバイ」というのが伝わってくる。



・避けて、当たって、もう片足走行さ
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危険を察知したダージリンの警告で、すぐさま引き返すローズヒップ車両。T-28の砲撃を寸前のところで交わしたが、衝撃波を受け壁に叩きつけられる。地面を這うように起きる衝撃波の煙が上手い。砲弾に追随するような衝撃波の起き方で、マッハの描写みたい。



・T-28、再登場
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T-28は超重戦車で、スペックが高い戦車です。装甲も厚く、中々普通の攻撃では倒せない…というようなことを逐一言葉で説明していてはダサくなる。そこで、このように砲撃後に大きな煙の中から出て来させるんですね。「T-28はとんでもない戦車」というのを言葉ではなく、画で語っているわけです。



・観覧車の崩壊 ☆
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観覧車と土台を繋ぐ部分の破片が良いです。あと、観覧車のフレームが地面に落っこちた後、その反動でゴンドラのガラスが割れてキラキラと光っているのも細かくて素晴らしい。フレームが落ちた後、煙が発生してますが、これは観覧車のスケールを表すのに効果的ですね。滞留する煙も上手い。

CG破片はこのシーンに限らずよく出てきますが、作画のエフェクトと合わせても違和感がなくて驚きました。多分すごく試行錯誤してますよ、あの破片は。





・アリスとのラストバトルその1:アトラクション破壊
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爆煙と破壊。煙の中に入り込んでいく破片が良いです。アリス(大学選抜メンバー隊長)とのラストバトルでは、このように大きな爆発が散見されました。たった一手でも間違えれば、即座に白旗が上がってしまう。そんなレベルの高い攻防が繰り広げられていることが、エフェクトから伺えます。



・アリスとのラストバトルその2:アトラクションへの砲撃と揺れ
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CG+作画エフェクト。よく見ると、二度爆発してますね。アトラクションに着弾した後に一度爆発し、それを押して動かす時にもう一回爆発した、という感じでしょうか。



・アリスとのラストバトルその3:大スケールの爆発 ☆
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作画エフェクト+CG破片。
遮蔽物を挟んでの大爆発。大スケール。2色の影により、まるでティラミスのように多層的で立体的な煙になっている。各方向へ伸びていく煙も見事です。後は、アトラクションの一部がラストで手前に寄ってくることで臨場感がさらに出てますね。はらりと落ちていくCG破片も良い。





いかがでしたでしょうか。他にも良いエフェクトがあったんですが、これぐらいで…。エフェクトも意外と奥深いことが分かると思います。何より楽しいものです。エフェクトとは、いわば、ガルパン劇場版における遊園地のような存在です。どのようにでも楽しめる。また、ガルパンのように爆発や煙がたくさん出てくるアニメでは、エフェクトが持つ意味はさらに大きなものとなります。

ガルパン劇場版は大変楽しかったです。ガルパンを通じて、エフェクトの楽しさも伝われば、これ以上のことはありません。

■「亜人(2016)」11話
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1コマCG。これはそんな驚かなかった、それでも上手いけど。『楽園追放』とかと同じ方向性ですね。なるべく粒子数を減らして、全体の色数を細かくしすぎない。CGエフェクトってグラデーションとの戦い(無限に発生してしまうカゲを抑える)なんだけど、そこを上手く調整してる。


驚いたのは、次の2カット
見てて変な声出た

・ビル崩壊2
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うは。上手いとかそういうことより、びっくりですねコレは
下手な作画より断然いいっすね。タイミングもよく練られてる
CGエフェクトのブレイクスルーに後一歩のところまで来てると思う

2コマCG。煙の上と下の部分で、異なるタイミングにしてるのがgood
ここの噛み合ってないガチャガチャ具合がいいですね


で、特にヤバイのがここ

・ビル崩壊2-アップ ☆
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「は?」ってなった。え、なにこれ?って
左下からの煙の急速な隆起と、最初に発生した煙が後方でじんわりと伸びることによって、画面の奥行きがすさまじい。だから押し寄せてくるように感じる。このタイミングの弄くりは意図的にやっていますね。偶然こんなカットはできない。

CGエフェクトのこれから

タイミングに縛られなくなって簡単にいじられるようになったら、(センスいい人が担当するのは前提だけど)相当いいエフェクトが生まれると思う。後は色数の問題(図1参照)ですね。この2つがクリアされたら、CGエフェクトもすごく良くなる。



これ3コマだとどうなるのかな、流石にカクカクになんのかなあ。ちょっと3コマでやってみて欲しい気持ちもある。中割りするというよりは、元あるフル60FPS映像からコマ落とすという感じなんだろうから不可能ではないだろうし。3コマでも画面は持つと思う。



・3Kテスト
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勝手に3コマでやってみた(1コマCGから適当に抜粋して3コマにしただけ)
(※ここのカットを担当された方には大変失礼ですが、好奇心には勝てなかった。すみません)

意外といけそうと思ったと同時に、ああタメが無くなったなあとも思った
でも、素人がこんな雑にやって「いけそう」と思えるんなら、とっくの昔にできてるよなあ。ただ安易に3コマ打ちに変換してやるだけでは、CGエフェクトの良さ(緻密・綿密なフォトリアルさ)が失われて駄目ですね多分。ただもうちょいコマ抜きしたら、もっと良くなりそうな感覚がある。2コマフルじゃなくて、3コマで中割を後詰めにするとか。そういうので良くなりそう。


爆発だと、こんな風にガンガン抜いてるんですけどね
(※これは「楽園追放」でも同じだった)

・地下、奥からの連続爆発
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これは見事!ケチつけるとすれば手前にある倉庫の部品が取れるのが少し早いくらい
CGエフェクトの最も得意とする温度表現のリアルさと、アニメのタイミングが両立されてる
後半にかけて、ドンドドドンと加速度的に押し寄せてきている。画面いっぱいに広がった後に多くのコマを割いているところも、後ヅメっぽいじんわり感で素晴らしい。



CGエフェクトが日進月歩の勢いで進化してるのが、CG制作工程のシステマチックさを伺わせますね。システマチックな制作工程のおかげで、フィードバックしやすくなってるんじゃないのかな。「このエフェクトはなんでよく見えないのかな~」みたいなことの原因はすぐに突き止めやすいと思う。アニメーターの個性はあまり出ないだろうけど、全体的なレベルの底上げはCGの方が早そうだなあ。

いや、手書きのエフェクトdisってるわけじゃなくてね?どっちも競争して頑張って欲しい。トップの技術をいかに下の人に伝えられるかどうかにかかってると思うなあ。天才が一人輝いても仕方ないし。ただ、手書きの方は技術を伝えることに対する手段も暇も余裕もないですねえ。スーパー堤防もびっくりのレベルでアニメの本数は氾濫してますもん、現場はそれどころじゃないとおもう。

初見で見た時は、これCGなのかと目を疑った。
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カセットガール - アニメ(ーター)見本市第35話


CGの技巧が優れてるのは言うまでもないんだけど、特に流れるような金田アクションと、作画に引けをとらないエヘクト。この2点が特筆すべき点かなあ。金田系アニメーターの摩砂雪はコンテでも金田アクション随所に盛り込んでくるんですが、今回も自然に放り込んでて上手い。


爆風ふっとばされアクション
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爆風で吹き飛ばされた後、空中に放り出されて雪の上に着地までのアクションです。これの何処がスゴイかと言うと、CGでサバサバした金田アクションをやってるとこですね。しかも上手く決まっている。普通のCGIだったら、もっと女の子が空中にいる時間は長いです。こんなに短い上、破綻していないのは偉業と思う。カラーデジタル部はコマ落としを多用したんじゃないのかな、摩砂雪はアニメでも特撮でもよくやるし。


おっとっと
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観直した中で一番良かったアクションはこのシーン。
板がずれて後ろに動いたために重心も一緒に動いて、女の子は体が前のめりに。その後、真正面からの風に押されてしまい上半身は後ろへと傾く。この間、下半身は固定されたままなんで、殆ど動けないんですが、最初の方では抵抗しようと内股になってたり、後半の風に姿勢を持って行かれて、少し開いちゃってる。いやあ、細かいとこまでちゃんとコントロールしてやろうというのが伺えます。




レンタル屋爆発
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2回閃光した後の爆発。
一回目の煙はタイミングがいい、じんわりタメてます。その後は、ガヤも混じりながらの全面煙。ある程度勢いで押してるのと、2色という色数でセルルックにやってるのが良いです。ここはリアルと漫画が混ざった感じですね、一回目の煙は少しリアルなんだけど、2回目の煙はちょっと漫画っぽくド派手に。


どっかーん着地
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カメラに衝撃波が届く瞬間にショック表現として、ビデオのノイズを使っているのもまた良いですねえ。エフェクト本体は4色程度かな。煙自体の展開や、煙が冷えていく描写を色と透過光でコントロールしてますね。舞い上がって消える破片も綺麗だ。後は、前の方にニョキッと出てくる煙かな。この煙のタイミングがものっそい良いですね、煙全体のじんわり感を上手く演出してると思う。 



総括すると、アクションについては挑戦的な表現で、しかも金田アクションとの親和性が高い点に驚きました。なんとなく、「金田系」と「CG」は両極端に位置していると思っていたので。ある種到達点とも思う。エフェクトは破片、瓦礫も含めて、総合力が高い。2色の煙は下手なアニメーターが書くより断然素晴らしいです。タイミングもそうですけど、画面を何とかコントロールしようとしている工夫と試行錯誤が伝わってくる。面白かったです。

カセットガール - アニメ(ーター)見本市第35話

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ヤマデロイド-日本アニメ(ーター)見本市 第10話

「ヤマデロイド」とは、「日本アニメ(ーター)見本市」における第10話の作品です。制作はグラフィニカ。堀内、江本さんの共同監督で制作されました。今はこの「ヤマデロイド」が大変に好きでして、多分一番繰り返し見ています。今回は、その「ヤマデロイド」のどこから魅力が発生しているのかについて推測を展開していきたいと思います。

おおよその魅力は、おそらくシーンの構成方法から発生していると思う。この作品では、仮想現実の世界、おそらくアーティストとしての”ヤマデロイド”が存在している世界と、人々が普通にアミューズメントとしてライブを楽しんでいる現実世界の2つの世界があります。


序盤は、ライブシーンから始まる。導入部分として、現実世界と仮想現実(劇中劇的な映像)を分けている。具体的には、画面のサイズで差異を出している。

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(現実世界におけるライブシーン)

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(仮想現実の世界の映像によるシーン)



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だんだんと黒帯がなくなっていくことで、ライブが始まったことを感じさせる。こういった2つの場面(現実と劇中劇)を往来する映像技法は、いわゆるクロスカッティング(並行モンタージュ)と言います。クロスカッティング自体は珍しくもなんともないですが、実に洗練されて使用されているのが分かる。僕が初見で今敏っぽく感じたのは、このクロスカッティングによる所もありますが(今敏作品では、この上マッチカットも多用するから、とんでもない)、やはりシーン繋がりのシームレスさ(滑らかさ)が一番でしょうか。


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序盤は、原曲を歌われてている坂本冬美さんの「アジアの海賊」PVのオマージュだと思う。堀内さんが同トレスで「『アジアの海賊』は印象的な曲だった」と語っていたように、曲もさることながら、映像もまた印象的です。


■「アジアの海賊」 坂本冬美

 
おそらく敬意を払ってのことだと思います。序盤はこの日本画以外にも、回転するシーンや桜吹雪など、色々なところでリスペクトが見られる。同トレスで氷川さんが触れていた、「GLITTER(グリッター)」もこの映像のイメージが強いと思う。




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そうして劇中劇は、各地を放浪する男と村娘の出会いへ。


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そうそう、この布のたわみ方が良かった。重力に従いながら、空気も含みつつ降りて行っていると分かるのがとてもグッジョブでした。上手いです、誰だろう。



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このシーンは、「ロボットの鉄の冷たさに、ヤマデロイドが自虐してる」とずっと思い込んでたんですけど、全然違いますね。機械であろうヤマデロイドが恋の感情を感じたということで、スターゲイトみたいなもん通って感情に到達してる。



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再びライブシーン(現実世界)へ。花びらが舞いながら、カメラは回転しヤマデロイドを映す。桜吹雪の加減とBGの引き方で回り込みを表現してます。後は手前のbookもですね。



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ここの桜吹雪が、パーティクルでは一番良かった。画面の情報量を上手くコントロールしていたと思う。多分、人間が「気持ちいい」と処理できる桜の分量な気がします。



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そんで劇中劇へ。村人が2人のデートを垣間見たり、動物が喜んだりと楽しいシーンです。こういった少しオカシナシーンがあるのは、徹底的にアミューズメントを貫く劇中劇を描写するためだと思います。


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そら仕事にも熱が入る。ちなみにここの作画の箕輪さんから、クワ振るのは体正面の方がいいですか、どうですか」と言われて、江本さんが「どっちでもいいから早くしてくれ」と言ったと、同トレスでもお話に上がっていましたね。


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再びライブシーン。日本画を基調とした、和風っぽい感じを存分に出している。どうでもいいですが、桜吹雪を静止画で見ると、タタキっぽく見えますね。



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このシーンは漫画っぽくて良かった。まず敵の描写(1枚目)。そして、ポン引きした画面(2枚目)では、刀に透過光入れてるのがいいですよね。これだけで、画面に緊張感が走る。そして、武器の描写(3枚目)とそれに怯える村娘(4枚目)と。全体的に、漫画のコマ割りっぽいんですよね。江本さんは、劇画が好きということで意識的にやったのかも。いやあ村娘のカットは画像下部の撮影も含めて、いいですね。上手い。


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ここ上手かったんだよなあ。泣きじゃくる子どもと、じっと見つめるヤマデロイド。子どものカットでは下部にパラフィンで黒く影を落として、地面への高低差による暗さの違いを表現してる。よく見ないと分からんですが、こんな細部まで、こだわっているのが映像への没入を誘います。



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ここの煙良かったです。確かSeo Kyung Rockさんが描かれたと、同トレスで言ってたような。上手い。煙の発生もいいんですが、その後に留まる煙のじんわり感がいいです。ちょっとした後ヅメが効果的なんでしょうかね、すごく目に残る。


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このシーンは音楽との同調がとても良く、同時に悲劇としてのカタルシスを上手く描写している。音楽は一旦終わりかけるわけですが、そこへの持って行き方が上手い。


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村娘はすでに死んでしまっているので、明かりに顔の色が変化するのはヤマデロイドのみ。こういう地味なトコも漏れずにやってる、良いですね。



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徹底的なアミューズメント化というのは、老若男女どんな人でも楽しめないと多分ダメなんですよ。茶の間が楽しめないとダメな劇中劇を、真摯に描こうとしてる。だから、決して血は出さないし、敵がやられる描写すら殆どない。1枚目の黒ひげは踏んづけて終わりだし、2枚目の女はホワイトアウト、3枚目の男は刀が突き刺さったような感じで倒れて終わり(ここは少し不明瞭にしてる)、4枚目の絶妙な刀の刺し方!初見でも勘の良い人は分かりますよね、「あっこれ芝居なんだ」と。しかも、それが明確に分かるようにやってる。



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変身シーン。ここは凄まじかった。劇画調からCGへの転換なんですが、激情の感じが上手く描写されていたと思う。キャラの顔はもう作画大変だったろうと思います。こんなに一杯線があると。


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はいはいグラフィニカグラフィニカ。と冗談は置いといて、板野サーカス・アクション&タメてCG爆発。良かった。望遠でビームがガチャガチャやりあってるのもいいんですけど、2枚目みたいに接近すると臨場感が増すんですよね。この接近描写がちゃんと描けると、グッとサーカスって良くなるんですよね。


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ここが最高でした。劇中劇であった仮想世界での映像とライブシーンがここで初めてリンクするわけなんですよ。しかもほぼ完璧に。ここに対して違和感なんて全くないんですよ、だからシームレス(滑らかさ)が光ってるんだと感じた。左右のPANもいい味出してるんですよね、「これからリンクするぞ」っていうふうに、現象の予兆になってる。


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後は、この手ワイプが良かった。憶測ですけど、これって場面はライブステージなわけじゃないですか。だから現実にいる俳優さんが、ヤマデロイドという仮想映像をテクスチャみたく貼り付けて、それから元の姿に戻っているシーンだと思うんですよ。後述しますが、この近未来的にありえそうと思わせるのが上手かったです。


まあとにもかくにも、「ヤマデロイド」が大好きです。(アニメ、漫画)オタクくさくないのがとても良い。現実世界でも、初音ミク(ボーカロイドの代表例)のライブにおいても往々にして、こういう(映像をホログラムとかで立体的に映し出す)のは存在しているんですが、そういった形態のライブの未来といいますか、「ああ5年後にはありえるのかもなあ」といった要素を感じられるのがとても良かったです。

[図版はhttp://animatorexpo.com/yamadeloid/ から引用] 

「楽園追放」とはグラフィニカによって制作された、SF作品です(劇場公開)。キャラから爆発まで、ほぼすべてCG。いやあグラフィニカの絵作りって凄いですね。公開されてから、ずっと色んなところで絶賛の嵐だったので、そんなにすごいのかという感じで猜疑的だったんですが、百聞は一見に如かずという感じで。実際に見てみると、確かにこれは一定の評価はされるなあと。

そんで、本題は、劇中に出てくる「エフェクト」です。ええ、ここからはアンジェラちゃんがどうのこうのとかそういう話は一切しません。お尻にも触れません。徹頭徹尾、「エフェクト」のお話しかしません。煙、爆煙、砂埃、爆発。CG、作画を問わずにまとめて紹介したいと思う。

(「楽園追放」において、演出を務められた京田さんから色々と指摘をいただいたので、一部訂正しました。雑でごめんなさいね。そーす→。京田さん、ありがとうございます。)


さて大きな見どころとしては、やはり終盤。フロンティアセッターによって解放されたアンジェラがド派手に暴れまくるところから、ラストの打ち上げまで。カットごとに、少しずつ見て行きましょう。


・最新アーハンとサポートシステムを奪取するところ
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姿勢制御スラスターを使い、回頭しているシーン。ここのスラスターが細かく描くことにより、この映像が実際に存在するかのように感じられる。つまりリアルさがある。



・保安局防空隊(赤メカ)の攻撃を交わしているシーン
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ここはフルCG。戦闘機や板野サーカスの動きというのは、実に数学的でCGでもやりやすいと思うんだけど、ここでは爆発も素晴らしい。コマ送りしないとCGと分からないし、実際はもっと映像のスピードは速く、それに合った爆発とその煙の残し方(画面からフェードしていく感じ)が良い。



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雪の結晶のように展開される爆発がグラフィニカではメインのような気がします。これって「宇宙戦艦ヤマト」であったり、結構古めな爆発なフォルムの気もする。CGにどういうのが適当なのかがイマイチ分からないけど、結構ハマってますよね、コレ見ると。



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ここではCGと作画の両方で、爆発シークエンスを楽しむことができる。画面奥では、CGによる爆発があり、手前では中鶴さんの作画(※訂正)による手書き爆発が見て取れる。CGは基本的に画の粒子(ピクセルみたいな)が細かいことが、CG爆発に違和感が発生する原因だと思うんだけど、今回は意図的に粒子数を減らしているような気がする。



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橋本作画。ワンカット目のクロス光の多用も印象的で、爆発自体のディテールも細かい。これはそこそこ時間かけたと思う。2カット目も透過光の広がりと消滅、そして触手煙を中心とした消え行く煙(画面左から中央)が上手い。まるで、演技を終えた役者が舞台から自然と去っていく感じ。



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電撃エフェクト。刺々しい電撃の合間にタタキのような小さいパーティクルも存在していることが分かりますね。実際の電撃というものをあまり見たことがないからアレですけど、このタタキはディテールアップのためだと思う。ただリアルを写しとってアニメに落としこむだけではなくて、こういった変換的な追加も必要なんだと思います。




・サーカスからの爆煙
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全面CG煙。ここがCGの煙では一番良かったように思う。粒子数を減らしセルに色合いを近づけながら、タイミングもしっかりとこだわっているのがわかる。カット終盤の覆いかぶさってくるような、ダブラシ煙がいい味出してるんですよねえ。




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ここは誰か分かんないけど、上手かった。吉岡さんによる作画(※訂正)。ジャミングスモークがその場に留まっている状態から、ミサイルがそれを突き破るという状況なんだけど、煙が破られるタイミングが特に良かった。多くの場合は早いタイミング(ミサイルがまだ来ていない状態)で空いてしまうんだけど、ここではミサイルが通った後に、そのミサイルの動きに合わせるかのようなタイミングで煙を突き破っている。戦闘機における、マッハの描写みたいな感じ。ちゃんと考えてアニメートしていることが分かる。



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ここは、レイアウトとタイミングの勝利。奥行きのある画面を用意し、そして奥から連続爆発。しかも爆発が手前側になるにつれ、徐々に速くなってきているのがわかる。これによって、ことさら爆発の臨場感は増すし、同時にリアルさも増す。また連続爆発なんだけど、爆発と爆発の間のテンポは一定ではなく、ゆらぎがあるのがまたいい。多分タイミングは相当凝ったはず。これは考えてやってる。それもとんでもなく。



・市街地における爆発集
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グラフィニカらしいフォトリアルな爆発。ズドドンと植物が生えるように展開されるフォルムは美しい。そして、画面手前(左)の爆発と画面奥(右)の爆発とでタイミングが異なっているのがとてもいいなあと感じた。せっかくレイヤーを分けているのに、タイミングは何故か全て同じということがCG爆発では多いので、こういったCG爆発に(セル時代の)知恵や感性を持ち込んでいるのが良かった。



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PANしながらの連続爆発3つ。これもまた透過光も上手いし、触手煙も上手い。瞬間的な広がり方から、じんわりとしたその場での留まる煙の感じ、そうして動くべきところ(触手煙)は動かしてる、これが良いです。



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透過光は前述した通り、発生と消滅も素晴らしいんだけど、ここでは触手煙の飛び方がいい。触手煙のタイミング、そのまま残っている煙との対比でぴょーんと飛んで行く感じがすごい良いですね。



・倒壊シーンと高架橋の崩壊
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おそらく橋本作画。CGではないと思う多分。ここまでくると、レイヤーの氾濫ですよね。何層にも重なって、臨場感と立体感を出そうとしてる。いいなあ。破片もまた別セルでしょうけど、細かく描かれていて、ディテールアップに貢献してる。

【追記 2015/02/14】
Twitterで情報を頂きました(ありがとうございます)。
ビイ @wuokb  20時間前
@iqyu2627 監督の生コメンタリーで作画素材をCGアニメーターが組み合わせてコンポジットしてると言ってましたね
やや違和感(CGっぽいけど手書きにも見える)があったのは、これが理由かもしれないですね。



・ロケット打ち上げシーン
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ラスト打ち上げ。小澤さんによる作画(※訂正)。もこもこした煙と、そのしっかりとした動かし方は見事。2カット目で少し留まる大気・煙がここでは一番良くて、写実性を高めている。これにはフロンティアセッターも唖然とするしかない。



少し雑かもですが、「楽園追放」のエフェクト、CG・手書き問わずに紹介しました。CGによる爆発作画も進化を遂げていて、まさしくグラフィニカすげえなって感じです。今までのアニメ作品では必ずと言っていいほど、見所となるシーンには手書きでの爆発作画だったんですが、「楽園追放」では違っています。見せ場にCGを持ってくることも多々あるし、普通のシーンに作画を使う場合もある。それぞれの長所を活かして採用している印象を受けました。とにもかくにも、エフェクト好きとしては大変楽しめました。いやあ、CG爆発もいいもんですね。

これに関しては、少しだけ述べておこうと思いまして。概要に関しては、アニメーターの橋口さんがaskで答えていらっしゃいました。

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(引用元:http://ask.fm/TorahArc/answer/110566648498

橋口さんが仰るとおり、次の牌をツモろうと手が入るカット、つまり、「手と牌だけが映っているカット」。これらは全て3DCG(※以下CG)です。手元より上、バストアップ(胸より上を映すフレームのこと)のカット等では、手書きの作画であったり、CGと作画が混在していたりします。(※この記事では、「作画」という言葉を「手書きの動画」の意味合いで使用します。「CG」については、背景であっても動画であっても、「CG」という意味で言葉を使用しています。)


橋口さんのaskを引用させていただくと、「咲-Saki-」における、CGと作画の使い分けの定義はこんな感じになります。

[咲-Saki- CGと作画の使い分け定義]
(A)手と牌のみが映るカットはCGで描かれる
(B)それ以外は、作画のみか、作画とCGが混在しているかのどちらか

この定義は既にシンプルなので、少しだけ一般的なものにします。制作側が想定しているであろう使い分けの区分定義みたいなモンは、「①手と牌のみが映るカットはCG+②それ以外は場合による」と言い換えることができます。

実際に、「咲-Saki-シリーズ」の一作目にあたる「咲-Saki-(2009)」での1話でそれらについて少し見て行きましょう。


(0)「咲-Saki-」における麻雀描写の実例

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咲さんがまだ文学少女だった頃の映像です。それから京太郎もいますね、何もかも皆懐かしい…。ここでは、何となしにCGと作画混じってんなあぐらいに思ってもらえれば大丈夫です。これから詳しく説明をしていく。ちなみに、CG制作会社はサンジゲンです。



(1)CGによって描かれるカット

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ツモ(1.2枚目)、カン、ポン、打牌(3.4枚目)など「手と牌が同じ画面に入った上での動作・行為」に関しては、このように原則としてCGによって描かれます。バストアップのように、キャラクターの顔が入ってしまうと(※腕はCGで、顔は作画でという風に)映像処理できなくなるからです。可能だったとしても、相当に面倒くさそう。


(1+α)CGと作画の画面

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例外として、こういう画面も存在します。ここでは、タコス、和、京太郎はセルで描かれており、「咲さんの手」だけがCGになっているのが分かると思う。麻雀牌、卓は原則どおりですが、別に咲さんの手は作画で描いていてもおかしくないですよね。こういうのを見ると、キャラの顔が画面に入るかどうかというのは、非常に重要な点なんだと思います。



(2)作画によって描かれるカット

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これは前述したとおり、バストアップのカット(1.2.3枚目)で多く使われます。さらに、卓全体の俯瞰アングルのカット(4.5枚目)や、キャラクターの上半身を収めたフレームのカット(6枚目)でも作画によって描写されます。作画によるカットの多くは、キャラの顔が真正面or若干斜めからのアングルで描かれます。つまり、作画はキャラクター重視。これは、後述の「アカギ」でも同じです。


ここまでで、「咲-Saki-」における原則的な「CGと作画の使い分け」については大体理解してもらえたと思います。次は、実践として映像ではどんな風になっているかを分解して見て行きます。



(3)実際の映像(CG・作画の混在)を分解

※これ以降のgifでは、左上の文字が青色の場合は作画で、赤色の場合はCGであることを表しています。

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まずは和がツモ和了りするシーン。1カット目は腕を上方へと挙げていき、2カット目で打牌しています。意外と省略されている動作が多いことが分かりますよね。「腕を振り下ろす」という動作は、オミット(省略)されています。


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こちらは、咲が自分の手牌からわざとタコスに振り込むシーン。カットごとに追っていくと、①CG→②作画→③CGとなっていることが分かる。2カット目では、麻雀牌も作画で描かれている(※というか、ここの作画めっさ上手い…)。「牌を持ち上げる動作」や「打牌の途中動作」が存在してないのに、シーンとしては絶妙に繋がって見えますよね。


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次は、和の打牌シーン。1カット目は作画で描かれ、2カット目はフルCG。これも、手先にカメラが寄るような格好(ポン寄りのような感じ)でCGへと移り変わってる。でもこれらのシークエンスに対する違和感あんまり無いんですよね。咲-Saki-シリーズでは、こういった「動作をオミットして、作画とCGを繋げる」といったパターンがほとんどなのに。

今まで説明してきた、「動作が省略されているのにも関わらず、きれいに繋がって見えてしまう」、この現象を、実は映像用語で「カッティング・イン・アクション」、よく使われる言葉では「アクションつなぎ(ACつなぎ)」と言います。定義としては、「ある一つの動作が始まってから終わるまでの複数のカット割りの2カット目以降」を指します。昔からある手法です。誰が発明したのかは、調べたんですけど判明せず。ハリウッド映画において発明されたようですが。いつ頃からあるんでしょうかね。ともかく、「咲-Saki-」においてはこの「ACつなぎ」を多用しています。



(4)「阿知賀編(2012)」「全国編(2014)」との比較

若干ですが、折角なので阿知賀編や全国編との比較もしておきましょう。


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まずは、16話。全国準決勝の大将戦オーラスで、大星淡が山へと手を伸ばすシーン。これは、第一期でも見られた、名付けて「こいつが最強なんやで」描写です。咲さんも第一話目から、こんなのかっ飛ばしてましたね。カット毎に見ていくと、作画→CG→作画という風に往来してテンポが良い。しかもやはり違和感が皆無。


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同じく16話。「阿知賀編」からは、こういった「煽りアングルで、牌をなめてキャラの顔が映り込む」といった描写が多くなっているような気がします。これいいですよね。対戦相手が相手の手牌に対して鋭い思考を放っているのが分かって良い。一期では見た記憶がない。(※「なめて」とは画面手前に大きな物体が置かれたアングルを意味する)


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こちら全国編の11話。作画→CG+作画→CG。末原さんが姫様の異変をやや察知して打牌しているシーン。これも上記の「阿知賀編16話」と同じく、手前の河牌をなめて咲さんが映り込んでいる。これ本当いいアングルです。2カット目では、打牌する咲さんの手が細かく作画されている。(※これ頑張ったら、手前の牌で隠せるから手の作画しなくてもいいよね。


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ラストは、同じく全国編11話での咲さんのツモ。CG→作画へ。これすごい丁寧なアクションつなぎだと思うんですよ。作画に入る時、難しいアングルじゃないですか。それをしっかりと下からインする形で描けているのは見事だなあと。

後、変態動画を見つけました。


この動画作成者は変態です。言い切れます。何か参考になるかもしれないので、興味がある方は見てみたらどうでしょうか。僕は見れる気がしません。(※だって17分だぜ…)



(5)「闘牌伝説アカギ 〜闇に舞い降りた天才〜(2005)」のCG麻雀描写

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もうお疲れの方も多いでしょう、僕も疲れてます。そろそろ終わりたいんですが、麻雀CGアニメの草分け的存在、「アカギ」を語らずして終わりというのは少し寂しい感じがありますので。打牌の感じも良かったんですが、個人的には、このシーンが一番魅力的だった。


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20話。鷲巣麻雀2回戦のアカギの手牌を右にPANする形で描写。パースが効いてて良いカットです(やはり、麻雀漫画・アニメといえば、パースをきつめに効かしているのがカッコイイ)。鷲巣麻雀での使う牌は、1種類につき3つが透明牌です。そこで起きる、この透明感の描写。凄まじいのは、鷲巣の部下鈴木の服の映り込み方。ラストで最も明確になるんですが、きちんと屈折してるんですよ。

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すげえこれ。CGだけじゃなくて、撮影も相当に頑張って作業したに違いない。このディテールによって、もっとリアルさが増加します。


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18話。煽りから俯瞰アングルへの転換。こういった立体的なカメラワークが多用されるのが、「アカギ」における麻雀描写の魅力の一端であると思う。対面のアカギや鷲巣の手は作画で、それ以外はCG。この立体的カメラワーキングによって、臨場感と麻雀が分からない人にも伝わる「何か良い手が来た」という状況説明になっているんですよね。本当、こういうカメラワークが多用されます。透明感はさっき説明したように、同様に素晴らしい。

これエンドクレジット見ても、「COXAI ANIMATION STUDIO」とかすんごい曖昧な感じなんですけど、何処がやったんでしょうか。最初オレンジと勘違いしてたんですが。「メトロポリス」みたいにマッドハウス内部なんでしょうかね。これ10年前にやってんの本当すごいと思う。



(N)麻雀CG表現

個人的に「咲-Saki-」よりも「アカギ」の麻雀描写の方が好みなんですが、どこらへんが良いのか具体的に分かってない。ただ何となく、重い感じが「アカギ」CGにはあるなあという程度で(後は、やはりカメラワークでしょうか)。次回は、その辺りを詳しく説明できたらなと思っています。「勝負師伝説 哲也(2000-01)」とかも麻雀アニメではありますが、あっちの麻雀描写はほとんど作画ですので、さわり程度にしか触れないと思います。「哭きの竜(1988-90)」に至っては見たことがないです。まあ、どちらにもアニメにおける「麻雀描写の基本」みたいなモンはあると思います。


比較コラ2


カン!(続く)


<参考文献>
2-2-3 <アクションつなぎとジャンプショット>-映像の読み書きについて考える
アニメにおけるマッチカットの実例-大匙屋@セミリタイア 
アニメ用語、絵コンテ用語、映像用語、井上ジェットのカメラワーク大辞典
ジャンプカット-Wikipedia
<ジャンプ・カット手法>-テアトル十瑠 
蓮實重彦×青山真治-怠惰なひな菊 

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