GOMISTATION

足が絡まっても、踊り続けて

カテゴリ:2000年代アニメ > メトロポリス


お久しぶりのエフェクト記事です。


・「咲-Saki-全国編(TV/2014)」 13話
20150402125309

佐々木政勝作画。画面を覆ってからの炎の消滅が美しい。昔はもうちょっとゆっくり目に消えていっていたんだけれど、新ドラ辺りからややタイミングが早くなったような。「咲-Saki-」や「ドラえもんズ」での政勝さんの仕事はいつか取り上げたいところ。


・「ソードアート・オンラインⅡ(TV/2014)」 21話
20150402125305

柳作画かも(※推測)。クロス光からの、爆煙作画。このカットでは流線的に影のディテール(ギザギザした奴)が入っているんですが、これが煙に立体感を出していて上手い。あとは影2色使って、全体のフォルム丸ごと動かしてるところで写実性を補っている。


20150402125304

これは誰だか分かんないけども、すごく良い残存煙。1カット目、奥になるほど煙は濃くなってる所や影の付け方にとても説得力がある。少なめのディテールなんだけど、立体感や写実性が出ていて最近のお気に入り。全体をじわっと動かしてる所がいいのかなあ。本当に上手い。


・「四月は君の嘘(TV/2015)」  後期OP
20150402125308

もこもこ雲。普段は背景的な存在である雲をセルで描くことで、雲にやわらかさを出している。またメルヘンチックなシーンに合うような、爽やかな色彩もまた素晴らしい。


・「ブラック・ブレッド(TV/2014)」 11話
20150402125306

黒田作画(※推測)。 湧き上がるような煙の発生や、その場に留まる残存煙がじわあと広がっていくのが上手い。特に中央の煙は後ろ(画面右方向)に流れながら広がっていくことによって、煙自体が持つ動くエネルギーと、気流を表現しているのが良い。



さて、「メトロポリス」というのは2001年に公開されたアニメ映画です。りんたろう監督作品。大友克洋が脚本を、名倉靖博が総作画監督を務めました。自分はお話から映像まで大変好きでして、特に気に入っているのがラストに都市が崩壊していくシーン。この爆発、煙、破片はまあ見事です。

・「メトロポリス(劇場/2001)」
20150309192032

密度が高い爆煙作画。最初は熱を持っているので、爆煙は透過光から始まり、だんだんと外気によって冷やされていくに従って、オレンジから濃い灰色へと変化していきます。ホイップクリームが押し出されるかのように、展開していく煙の動きが上手い。触手煙も空気の抵抗を感じさせながら落下していく。


20150309192035

細かい破片と、一挙に画面全体に広がる煙が魅力的なシーン。カットの最後で重そうな破片が落ちて、煙がぶわあっと広がる。後ヅメ(参照)がとても効いている作画。また奥の煙がパッパッと瞬間的に広がっていった後、じんわりと留まるのもまた上手い。


20150309192033

ここはまずレイアウトの奥行きさが良い。そして、奥からドドドンとこちらに向かってくる炎の横を、地面をえぐりながら広がる爆発と破片がいいんですよねえ。爆風によって後ろにはじかれる破片と、前に押し出される破片とがあり、とてもリアル。この爆発と破片が迫ってくる同時進行さが、臨場感を増していて素晴らしい。


20150309192030

落下するビルのパーツと、それによって発生する煙。煙にいくつかの層があり、その層ごとに影をつけているのが特徴的で、キノコ雲(核爆発)のようなリアルさがあります。また、細かく散乱する水しぶきのような煙の発生と消滅が美しい。


20150309192031

地上でモクモクと煙が広がりながら、上から大量の破片が降ってくるシーン。モクモクと広がっている煙の奥で、いきなり発生する爆煙がいいです。また、大量の破片と煙とで、画面の密度は非常に高いシーンになってますが、画面の奥に破片の大部分を降り注がせ、手前には少しだけ散らすという情報量の制御がまた上手い。


20150309192034

これまた大量の破片と煙のシーン。中央の煙が広がる前に、地上で衝撃波が起きているのが上手い。煙の展開による空気の流れが分かるし、煙がまさにこれから広がるという前兆・予兆にもなっているのが良いです。そして、やはりその場で残存している煙のじんわりした描き方が素晴らしい。


これらのエフェクトシーンを描いたのが、村木靖という人なんですが、まあ「村木サーカス」の存在で知っている人も多いと思います。彼のエフェクトはとても写実的で好きなんですが、サーカスばかり話題になってしまって、触れられてないかなあと思い、今回少しだけですが取り上げました。村木エフェクトは、特に煙がいいです。決してディテールは多くないのに、リアルなとこがいい。 


今回は自分が大好きなアニメ映画の感想やらを一つ。


0、はじめに

元々「メトロポリス」とは、手塚治虫による漫画作品であり、氏の初期3大SF作品の一つでもあります。

人工生命を研究していたロートン博士は、太陽の黒点から放出される放射線により、人造タンパク質に生命の片鱗が見えたことに大喜びしますが、レッド党のボス「レッド公」に目をつけられ、人造人間「ミッチィ」の制作を命じられます。
ある時、レッド公の悪巧みに気付いたロートン博士は家に火を放ち、一旦はミッチィと共に逃げることに成功します。
しかし、数カ月後、ひょんなことからレッド公に見つかり、ロートン博士は殺害されてしまいます。
それから、ミッチィはレッド公の元で育てられますが、ロートン博士の遺言を聞いた「ヒゲオヤジ」によって救出され甥である「ケンイチ」と同じ学校に通わせます。ケンイチとミッチィは親友も同然の関係となっていきます。

しかし両親の事が気になり、求める一心で外国船に乗り込みますが、運悪くその船はレッド公所有のモノであり、レッド公に捕まってしまうと同時に、自分がロボットであることを冷酷に突きつけられます。

その事により、ミッチィは怒りのあまり暴走を始め、他のロボット達と共に「メトロポリス」へと進行。
親友であったケンイチの制止も聞かず、時計塔の頂上で決闘を始めます。
最後には、命の源であった黒点の消失に伴い、火に包まれて落ちていきます。
病院を訪れたケンイチが見たものは、変わり果てたミッチィの姿でありました。

そして、メタ的な視点から読者へと問いかけが出されます。いずれ発達した科学が我々の身を滅ぼしていくのではないかと・・・。 



元々はこんなお話です。アニメにおいて「ロック」が出てきたり、色んなところが変わっております。だから、手塚治虫「原作」というよりは、「原案」程度で見たほうがいいような気もします。


1、アニメにおける概要

制作はマッドハウス、監督・絵コンテは「りんたろう」、脚本は「大友克洋」が務めました。
また総作画監督、キャラクターデザインには「名倉靖博」が起用され、フルアニメーションかと見まごうぐらいのスゴい作画となっております。 
原画陣も大勢が参加し、「沖浦啓之」「安藤真祐」「村木靖」など敏腕メーターも参加しています。
2013y05m31d_210505444


原作との主な変更点は、先程も言ったように多すぎて挙げられません。
基本的な軸、人間だと思っていた少女がロボットであると告げられて困惑する点などは変わっていません。


2、演出的な感想

いきなりぶっ飛んで最後の方の感想を。
まず「ティマ」は結局最後(ロックに撃たれるまで)自分は、「ケンイチ」と同じ人間だと願っています。
しかし、ロックに撃たれて機械部分が露出したことにより、ティマは困惑し動揺します。
2013y05m31d_211033406
2013y05m31d_211008443


そして、ティマの心臓部分で謎の装置(おそらく感情などの人間らしさを切る装置)が作動し、「超人の椅子」に向かいます。
そして、ロボット映画ではありがちですが、「人間が不必要」という結果がスーパーコンピュータとなったティマから出され、ポンコッツ博士やレッド公は止めるためコントロール・ルームに戻ります。

ここでティマを救いたい一心で、ケンイチは超人の椅子へ向かい、ティマを椅子から引剥がそうとします。ここの部分で、今の今まで人間であったティマにロートン博士のようなメカニック的な目が付いたり、顔の一部が剥げたりします。


つまりは、ティマが完全にロボットになってしまったことを描写しています。上手い。


引剥がした後、ティマはケンイチを殺そうとジグラットから空中へ放り投げたりします。それでも、信じて呼びかけるケンイチ。3回目辺りでようやく、先程の謎の装置が停止しますが、ティマとケンイチは両方共空へと投げ出されます。
2013y05m31d_210706754
2013y05m31d_210658308



基盤がスキマに引っかかりそこから伸びるコードで何とかぶら下がってるティマをケンイチは助けようとしますが、ティマの人工頭脳も再起動中で上手く動きません。最終的には、「違うよ、君は自分のことは『ワタシ』っていうんだ」という凄く初期の部分までリセットされます。
2013y05m31d_210838755


その結果、「ケンイチ・・・!ワタシはダレ」と残し、手を掴むことはできず、落ちていきます。
ここの描写は先にケンイチ視点を見せておいた後で、ティマ視点も見せていて凄く上手い演出だと思います。
2013y05m31d_210852017
2013y05m31d_210858826

2013y05m31d_210902274
2013y05m31d_210904190



またこのカットはティマの無感情さ、無知さ、白紙感がとてもよく表されています。
2013y05m31d_210852017


ロボットのアイデンティティということで、同時期の「AI」とも比較対象されがちらしいですが、「AI」の方は怖いですね。とても怖い。そしてとても悲しい。 


もちろん、このメトロポリスも幾分にも悲しいわけですが、何というか上手く言えません。
ラストはケンイチがメトロポリスに残り、雑貨屋のようなモノをしてます(エンドクレジット)。一案としては、これがラストシーンでもあったんですが、最終的にはラジオの方が選ばれたようです。




3、映像的な感想

最近、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」「RE:サイボーグ009」「進撃の巨人」やらで背景CG使うようになってきたなあと思っていたのですが、もしかしたら大規模的なCG背景と普通の作画のコンポジットはこれが初かもしれないですね。

ジグラット始め、車などには積極的にCG採用しています。その代わり、セル(動く奴)の方がスゴい。人の作画に至っては、シーンによってはZセルまで重ねるとかいうマジキチっぷり。そりゃ製作費10億もかかります。

またティマが屋根の上で、天使みたい・・・と言われてる部分は、1k作画+DFで凄く綺麗で、神秘的ですね。まさに天使らしさを全面に出したシークエンスです。
2013y05m31d_164918256

他の作画にも色々言及したいですが、何処をとっても大抵一級品ですので選別が大変です。

村木靖によるラストの崩壊シーンの煙や、バクハツはトコトン上手いです。
こんな立体的な煙描ける人は今いるんですかねえ・・・
2013y05m31d_210923444
2013y05m31d_210722824
2013y05m31d_210916316

沖浦啓之による、自転車での滑走シークエンスは破片がまさに沖浦さんの仕事という感じで上手い。
2013y05m31d_211206534
2013y05m31d_211220541
2013y05m31d_211228166




ちょっと足早ですが、ざっとこんな感じのアニメです。

見たことない人は、是非ご覧ください。とてもいい作品です。

↑このページのトップヘ

©GOMISTATION 2012-2017 All rights reversed