GOMIstation

2025-1

カテゴリ: 2015年アニメ

もうこいつ更新しないかも?とか思ったでしょ
もうちょっとだけ続くんじゃ( ^ω^)


すべてがFになる ★★★★ 
(2015、制作/A-1 Pictures、監督/神戸守)
※森博嗣原作(1996年刊行、第一回メフィスト賞受賞)
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原作の小説は15年前に刊行。ミステリー作品。真賀田四季という天才科学者の住む孤島において、ある殺人事件が起きる。

大学教授、犀川(さいかわ)先生が解決するというよりは、出来事や過去の思い出、犀川先生や西之園萌絵(犀川の助手ポジ)の性格の中で解決させられていく感じ。天才・真賀田四季にひたすら翻弄されたのが良かった。あくまでもこの殺人事件を解決することには、大した意味はなさそう、という感じすら抱いた。

アニメの演出でもっとも好みだったのは、黒木美幸回(#1、9演出)、倉田綾子回(#7演出、※演出の評価については、「没入のていど」で決めています。気付いたらEDだった。、そういうものは、演出のカテゴリーで評価すべきかと)。そして、次に重要なのが、なぜこれほどまでに没入したのか。


個人的な「すべてがFになる」のベストカットはこれかな~

#7 

(コンテ/神戸守、演出/倉田綾子)

TB→(17秒から)FIX

なが~いトラックバック。トラックバック中に、部屋のドア枠にぎょっとし、階段の手すりにびっくりする。FIXした後は、その2つの枠を使って、画面内に新たな枠、つまり区切りを作る。幼い西之園萌絵がどんどん、檻に入れられていく感じがしますよね。日がさす部屋から暗い室内にカメラが引いていくから、明暗の対比もいいよね。ここは一連がすごくキレイにできていて惚れ惚れした。

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空港のシーンから見て欲しいので、(アニメを消費する気力がない)諸氏は7話だけでも見て欲しい。それでも無理な人は7話Bパートから見て欲しい。ひさびさに良かった。
(※ミステリーオタクによると、メフィスト賞作家は癖が強いらしいけれど、最近の画一的な作品群を見ると、もっと映像化して欲しい。イドも良かったし)

冴えない彼女の育て方-公式サイト

クリエーター論だとか、メタフィクショナルな構造とかそういう難しいことは正確には分かりません。いずれ、他の方が語るでしょう。今回は詩羽センパイについてのみ述べます。作画や演出などもありますが、僕はこれもくわしく知りません。

僕が知っているのは、詩羽センパイが可愛いということだけです。


彼女の魅力を語る上でかかせないものは、なんであろうか。年上嫉妬キャラ?いやいや、そんな浅いとこではない。簡潔にそして明確に言おう、すなわち「パンティーストッキング(もしくはハイゲージ・タイツ)」である。まずは、パンストとストッキング、タイツの違いを童貞の諸君らは知らぬだろうから、教えてあげよう。

パンストとはその名の通り、ストッキングの種類の一つである。そして、デニールと呼ばれる生地の厚さの単位が30以下のものをストッキングと呼ぶ。この時、30デニール以下の時には、どんな長さであってもストッキングと呼ばれる。逆に30デニール以上のときには、タイツと定義されるのだ。これが、ストッキングとタイツの基本的な違いである(基本的には厚さで分類するが、メーカーによっては糸の構造で分類するところもある)。

詩羽センパイの着用している下着は腰の高さ(06話より)まであるので、長さという観点からショートストッキングではなく、ハイゲージ・タイツもしくはパンティーストッキングであることが分かる。(ストッキングかタイツかどうかの判別は非常に困難であり、今回は省いた)。とにもかくにも重要なのは、ストッキングの丈の長さである。

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この画像を見て、諸君らはどう思うだろうか。「やっぱり加藤はメインヒロインだなあ」「エリリのスカートふりっふりで可愛い」と思われた童貞の方々、残念ながらそれらは間違いである。「淫乱な姿見をしておきながら、中身は清楚」なんてユートピアはお前の脳みそだけにしておけよ。姿見が淫乱であれば、だいたい8割方は中身もビッチでビッチなビッチだ。クソッタレめ。詩羽センパイのパンストに注目されたい。彼女はこの点で、高潔さを醸し出している。


なぜパンストを重要視するのか。それは貞操に対する意識の現れであるからだ。例えば、カマトトマグロ女の場合には、黒の靴下オンリーでスカートはひざ上30cmという暴挙をやっている。ツンデレ金持ち女も同じくそうだ、スカート丈があれだけ短いのに自分の局部への装甲が薄い。すなわち、彼女らはいつでも挿入してくれと言わんばかりの服装をしているのだ。つまるところ何が言えるか、それはストッキング丈の長さは貞操の意識に比例するということだ。

このことから、童貞のみなさんが大好きな加藤はビッチ&ビッチということが分かる。残念でした。あんな顔して裏の顔が平気であるのだ、ゲームサークルの活動が終わった後、コミケが終わった後、そこらへんの男ととトイレでハメハメ波を打っているようなやつなのだ。あんなカマトトに騙されてはいけない、あれは童貞用に擬装された機械兵器である。女ではない。真の高潔さを保った本当のヒロインとは、詩羽センパイである。

次は、詩羽センパイの内面をセリフから探る。
04話と06話がキー話数になる。

<あらすじ>
魔物から大陸を救った一輪の聖者は、その後また大陸に危機が迫った時に、大陸中から6人の勇者を選ぶようにした。それを人は「六花の勇者」と名付け、彼らは何度も大陸を救った。この10年で魔物、キョウマは増殖し、再び6人の勇者が選ばれるかと思ったら、7人目が出てきてしまって誰がニセモノか突き止めなくてはならなくなった。


<1、カメラワークと作画>

カメラワーク(CG背景)の仕上げの大部分がMADBOXだと思いますが、大変に素晴らしかったです。特に01話から、変わったカメラワークが多くてですね、この人狼的なお話においては効果的と思います。カメラがぐるぐるしたり、ダッチアングルが多用されることで、いろんなことが怪しく感じてくる。

例えば01話のコレ

01話
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うまいなあ、アドレットとナッシェタニアの最初の会話。面白いですよね、檻の扉を挟んでの1カット。PANスピードによって、どっちが心理的に優位かを表してます。アドレットはここで図星をつかれているんですが、それがクイックPANによって表されているんですね。「ギクッ」みたいな感じです。


04話
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こちらはぐるぐるカメラワークです。全員がを疑い合っている描写で、みなそれぞれに誰が怪しいかとか考えているのが分かりますよね。混乱してる、不安に思っている、そんな心理状況が伝わってきます。

個人的には、そこそこ面白かったんですけど、レール台車でやっても良かったかもです。FIXだと、正面からの顔しか見えないので、後ろ頭とかを画面に映した方がより「お互いを疑っている状況」を演出できたと思います。でもただキャラなめ+じわPANだと面白くないかもですね。本気でレール台車を1カットでやったら、大変な作業になりますね。



エフェクトが良かったのは11話。
正直、この話数と最初の2話以外はちょっと制作がきつかったと思う。

11話 フレミーズドーン
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マズルフラッシュの光の表現が上手いです。フレミーが一瞬青く光って、背景も暗くなる。1Fとかならこういうネガポジ反転的な画はよくあるんですが、1カット通して明暗をきちんとやってる(明→暗→明)所は中々凝っているかなあと。煙はもっとフレミーの後ろに流れていった方がリアルかなあとか思いますけど、画的に良いのでグー。


11話 煙詰め合わせ

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そこそこ良かった煙を詰め合わせ。2番目のカット書いた人は上手いですねえ、立体を保ちつつ動かそうとしている。この煙見たことあるんですけど、分からない。工原しげきさんかも。4番目も反射する光へのこだわりが垣間見えていいです、これは煙のフォルムもいいですね。


09話 もくもくエフェクト 
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後は09話のここも良かった。どなたか分かんないですけど、煙のもわっとした感じが良いですねえ。余計なディテールは付けずに、線の広げ方で立体を表現している。立ち上っていく煙の影の付け方も良いです。



09話 ドリーズーム
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ドリーズーム。アドレットが感じた違和感を上手く表しています。

ドリーズームは見れば分かるんだけど、なんか定義にしにくくて困ってたので個人的に整理。まず基本的な事柄ですが、TU/ドリーインは被写体に寄ります。一方、ズームイン/アウトは、拡大/縮小します。一見違いがないように見えますが、相違点はいくつかあります。

例えば、iPhoneを持ったまま寄っていくのがTU/ドリーで、iPhoneを持った人がその場で静止した状態で機能を使って撮るのがズーム。アニメには実際にカメラが無いのでわかりにくいですが、カメラが被写体に向かって寄っていくのがドリーインなんですね。下記参照。


ドリー1ドリー2

ドリー/TUは肉食系男子で、ズームは草食系男子と思ってもらえればいいです。大事なのは、カメラと被写体との間の距離が、短くなるかそうではないかです。もう1点押さえておきたいポイントは、画角の変化です。画角はカメラが映す範囲、とみなしてください。ドリー/TUの場合は画角は一定ですが、ズームは変化します。この画角のズレによって、ドリーズームは発生するんですね。

どこの画角のズレかというと、基本的には被写体と背景の画角です。被写体にはドリーという画角が変わらないもので寄っているけれど、背景に対しては画角が変わってしまうズームアウトを使用する。画面全体で画角が統一されてないことで、変な歪みが生じるんですね。大体こんな感じ。

上のgifの場合は、キャラTU+bookTB/背景TB(CGレイアウト)みたいな感じです。キャラの画角は変わっていませんが、背景の画角は大きく変わっているのがわかると思います。画角という日本語はわかりにくいので、画角は「カメラの映す範囲」と考えたら理解しやすいです。



ここからはストーリーについて。

<1、疑惑の目の解決と、対価>

古代サスペンスファンタジーでした。視聴前は、「ファンタジーバトル系かなあ」なんて思っていたんですが、まともに戦ったのは3回ぐらいで、後はひたすらにキャラクター同士の疑い合いと推論で埋め尽くされました。

主人公アドレットは、結界を作動させる神殿に最初に入ったために、「7人目(ニセモノ)」であると疑惑の目を向けられます。弁明を繰り返しますが、他の六花は聞く耳を持たず。この「疑惑の目」をいかに解決するかが、今作の肝であるように感じます。キーワードは「対価」です。


最初は、ハンスに対して。

ハンスを武力で叩きのめすのでは、主人公の無実の証明にはなりません。7人目の疑いは増し、逆効果です。そのために、「自分が7人目なら、ハンスを殺さざるを得ない」状況を作った上で、ハンスをわざと殺さない。このアドレットの論理によって9割程度は無実の証明を果たしましたが、決め手となったのは「ハンスはそれでも7人目と決め付け、アドレットはそれに従った」という対価です。

ハンスは殺し屋で合理的な男です。信用するべきことと、疑うべき事の基準はあるはず。だからこそ、信用した後は最後まで意見を変えなかった。合理的なハンスに対しては、論理と対価で何とかなりましたが、フレミーは一筋縄ではいかないです。

フレミーは、「信じるものがない屈折した」女の子ではなく、「誰も信じないと決めた」女の子です。彼女はチャモ暗殺のミスから、キョウマから用済みと認定され裏切られます。そこに、希望(信じられるかも)と恐怖(裏切られるかも)を感じてしまうアドレットという存在が現れてしまった。フレミーの感情は、ここですごく複雑なものになります。この複雑な感情は、10話の会話でちゃんと示されています。

【10話 アドレットとフレミーの会話】
1、フレミー「(理解できないけど)信じられるかもしれないから、もう少しここにいて」

2、フレミー「何でかばうのか教えて(銃口を向ける)」
>アドレット「好きだから」

3、フレミー「私に居場所なんてない(後ずさる)」
>アドレット「俺が作る、地上最強だからよ(笑)」

4、フレミー「やっぱりあなたは敵(発砲)」

ここでフレミーがアドレットに心を許さなかったのは、フレミーの求める対価がなかったからです。「言葉では何とでも言える」とハンスが言っていたように、ここでは言葉だけで対価がありません。そもそも、フレミーはアドレットのことを理解できていません。これではフレミーがアドレットを信用できるはずもないです。しかし解決するためにはハンスのように論理が必要かと言ったら、それは違います。なぜかというと、「信じないと決めて」いる以上、一般的な論理はフレミーの心を揺さぶれるだけの力を持てないからです。

最終的には、自分の身を投げ打って(俺が死んだら、ハンスを頼れ)と言い、フレミーの無実を完全に証明します。ここで、ようやく物理的な対価を手に入れたフレミーはアドレットに心を許すんですね。信用するにも言葉だけではどうも胡散臭い、でも自分のために(生死を問わずに)行動してくれた。フレミーが求める対価をきちんと払ってくれたことで、心が動いたと思います。


ストーリーについては、この辺で終わり。
以下は、「六花の勇者」の売上について少し考えます。



戦闘アクションに比重を置いた謎解きモノと感じた人が多かったと思いますが、実際は謎解きの比重がすごく高かった。そこに原因があるのではないかなと思う。アクションメインで謎解きもするモノを期待してた人にとっては、肩透かしの恰好になってしまったのではないのかと思います。

デスノートが実はバトルに比重置いてましたなんてことしたら、やっぱり何か期待してたのと違うと感じてしまうと思うんですよね。PVを見ても、激しいアクションがメインであるように感じます。不運なミスマッチで、いやあ、もったいないです。 


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爆発と立ち昇る黒煙。カゲは一色ながら、なんでだろう、すごい重量感と立体感がありますね。重たいフォルムをゆっくりと展開させてる。


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連続爆発。
細部のディテールというよりも、透過光とタイミングでゴリゴリ押していっている。ハイライトの入れ方と動かし方が上手い。


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膨らみの感じ良い。地味にカゲ2色。
このカットがこんなに短いのは、吹っ飛ばされた衝撃を表すためかなあ。


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このカットやりたい事はすごく伝わってくるけど、惜しいような。
爆風でガラスだけ吹っ飛んで、その後、衝撃でビルが崩壊していくので、この平面的な崩れ方(正確には前方に崩れてる)はありだと思う。最後の押し寄せる煙が、もう少し下からだと良かった。立体感はカゲではなく、レイヤーで表現してますね。


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破片そこそこ頑張ってる。ビルを消し去る弟くんスゴ杉内。


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ドドドンと、2回に分けて煙が炸裂する。
独特なカゲ付けながら、立体と煙の冷やし方が上手い。


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1話で一番良かったエフェクト。特に破片ですね、これは。
空中乱舞する破片のディテール細かい。んほおおお、破片こまかいのしゅきなのおおお。画面右手の破片の動きで、遠近感と立体感を同時に演出してる。痺れる。



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カゲ「へへへ…綺麗なフォルムしてんじゃねえか…」
立体感「くっ殺せ…」→立体感「あへぇカゲしゅごいのおおおお、らめえぇカゲらめぇええ」
終盤の衝撃波も地味に良いですね、重たい煙の感じが出てる。きのこ雲みたいに上と下に分かれるのもグー。


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画面右上の煙に注目。
巨人の足が来て、行き場を失った地上の空気が上方に逃げているのを、煙が押し潰されるように広がっていくことで表現しようとしてる。後は手前の建物のガタツキが地味ウマ。

公式サイト http://www.ntv.co.jp/GC_insight/ 


新潟・長岡にUFOが落下し、ゲルサドラと名乗る宇宙人が現れる。不時着した地点の近くに住んでいる三栖立ツバサにガッチャマンの能力が与えられる。「一つになろう」を合言葉にゲルはみんなの気持ちを一つにしたいと思い、首相公選に出る。首相になったゲルは、諸分野に関して改善をしていき、さらなる改善を試みようとするが…


人気作品の2期です。前作は、人類の進化を信じよう、という希望が少し見えるような終わりでした。今回一貫して視聴者に問いかけたものは、「クラウズのあり方」と「思考の有無」です。

クラウズは原子力発電所や3Dプリンター、インターネットなどの「人類にはまだ早い」道具の象徴です。正しい使い方をすれば、問題は起きないけれど、そうでない場合はこの世界を滅ぼしてしまう可能性もあるというものです。福一の事故によって原子力の不安が世界中に広まったのと同様に、この2期においてもクラウズの不安は拡大されていきます。

「クラウズは危険である、まだ人間には扱えない」という結論を出したのがリズム(後は丈)でした。リズムはその危険性を広めるために、VAPEを結成し、クラウズを意図的に暴徒化させます。VAPEは赤クラウズを使用しましたが、青クラウズにも不安視の声が高まります。青クラウズは軽微とはいえ犯罪行為を行う者もおり、それが拡大された形となりました。原子力と似ていますね。福一が赤クラウズとするならば、他の事故を起こしていない「安全な」原子力発電所が青クラウズとなります。

リズムの考え方とは対抗的に、「人間の進化を信じる」のがルイ君です。ルイ君は、すべての人間を信じると言い切り、敵であるはずのリズムにまで信頼し、命をかけて自分の信念を貫こうとします。ルイくんは前作よりもやや落ち着きましたが、理想主義者です。彼が唱える、「世界のアップデート」とは「人類全体の意識の底上げ」もしくは、「人類全体の内発性の増大」を指します。要するに、人の意識の向上こそが、この世界の進化に繋がるとルイくんは主張しました。


彼らは対抗こそすれども、国を憂いて選択をしています。一方、ゲルサドラは「自分では考えない、分からない、みんなの気持ちにまかせる」という無責任な選択をします。首相公選では丈の助けやその場の「空気」もあり、めでたく首相になります。その後は、思考を経ず、みんなの意見を集めることで政策決定を図り、支持率を伸ばしていきますが、いつまで経っても「みんなが一つにならない」ことに悲しみを覚え始めます。

そこで、ゲルサドラは「おまかせ」ボタンを作り、政策に関しての白紙委任の選択を作った。これは現実で言う所の、「分からない」の選択肢(白紙委任)であり、思考停止です。視野は狭まり、「サドラなら安心!」と自分なりの考えをしません。なぜなら、それの方が楽だからです。人々は考えを放棄したリズムが言う所の「サル」となります。これではいけないと、ルイくんが忠告しますが、ツバサとゲルは聞く耳持たず。

サドラは、自分の考えを(※はじめと最後会話するまで)持ちません。それゆえ、他人の気持ちを把握しなければ選択ができず、容量が一杯になり吐き出されたものが、「くうさま」と化します。くうさまは一見無害とみなされますが、実は空気・雰囲気そのものであり、人々はくうさまに依存していきます。くうさまは同調・空気の具現化であり、主体性をもたない日本人の周りに存在するものとしてはうってつけです。 


このくうさまが中心となり、「ガッチャマンはいらない」という流れや「サドラはもう必要ない」という流れを作っていきます。そして、人々は考えることをやめたサルとなっているので、これに流されていきます。その中においても、争いは生じ、一人が集団から外れれば、すぐさま駆逐されるようになっていきます。集団の中で、いじめられっ子が一人いたら、それを傍観するように集団心理が働く様を、くうさまを通じて、描写しています。


くうさまは暴走し、サドラへの悪意は高まっていきます。サドラが死ぬことによってでしか、事態の収拾は図れない状況になりました。はじめは、一つ決定をします。「ゲルサドラ」をどうするかという選択を国民に委ね、結果は「ガッチャマンにおまかせ」となりました。責任の所在は全てガッチャマンに移りました、国民は何も責任をもちませんし、不安も持ちません。ゲルサドラの望んだ「幸せな世界」のはずです。しかし、はじめはそう思いません。「争いがあり、人間の多様性が現れる社会が健全である」というのがはじめの考え方だからです。

ガッチャマンは国民の選択通り、自分たちの方法で決着をつけます。はじめはカッツェの能力を活かし、サドラに擬態し、ガッチャマンからの総攻撃を受けます。 そうして、今まで何の考えも持たなかったツバサが初めて、「はじめを殺す」という決断を下します。ツバサの自分なりに考え、空気に惑わされない結果の決断は、今の若い世代がすべきこと(思考すること、本当によく考えること)を強烈に示唆しています。

このガッチャマンの選択と実行以後、もう一度真に国民にゲルサドラの処置について問いました。個人的には、ここの描写がもっと欲しかった。フィクションではそうはいかないかもしれないけれど、やはり空気に押されてしまう人の姿とか、やはり分からない人々の姿とかを描いて欲しかった。結果的には、人々はみな自分の考えで投票をします。


シリーズを通して、原発再稼動など原発関連の社会性を包括した内容と思います。 「危険だけど、利便性は高い・依存してしまっている」、そういう物体は原子力、スマホなどたくさんあります。物語の中でも提起されているように、その物体自体が問題ではありません。それを使用する人々の意識、またはその恩恵を受ける人々の意識がどのようなものであるかという点が問題なのです。

原発は東日本大震災以後、いろいろに考えられてきました。ここで原発の是非を問うつもりはありませんが、御用学者による安心宣言や、それに反論する人々の情報の錯綜で、ぼくらは不安になりました。安心するためには、空気に入るのが楽です。ベルク・カッツェも言ってましたね。否定派、反対派のどちらかに属するわけでもなく、ただ傍観しているのが最も楽です。なぜなら責任も思考もそこにはないからです。ぼくらはこのぬるま湯のような空気に長年浸かってしまい、主体性の無さにおびえているのです。だから、今は傍観者たる空気から抜けるためには、ゆる爺のように何かしらの「経験」をしなければならないのかもしれません。劇中においては、「はじめの生死をかけた決断」がそれに当たります。






さて、いろいろと自分の謎ポイントについて推測していきたいと思う。

■ゆる爺は何故、はじめにだけ笑顔で接したのか?

ゆる爺は一見頑固なだけの人間に映りますが、実はそうではない。洞察力が高く、将棋を指し、一人でいる時間も多い彼は、「思考」の象徴です。思考というのは、殆どが孤独です。他の人と議論することも思考の一種ですが、その人の年齢や地位、いろんな要素が絡んできてしまって、純粋には中々できません。ゆる爺がはじめに笑顔で接したのは、彼女がそういったしがらみに縛られていないとひと目で分かったからと思う。


■メス(メッシー)の存在

メッシーはちょこちょこっと出てきただけでしたが、気になった。彼らは多分「何らかの予兆に対して反応する」生命体です。#07でゲルサインの浸透、OD降板の後、彼らは何回も形状変化します(最後には武器のような形になる)。その後、あの「おまかせ」ボタンが実装されるので、何か良くないことが起きそうな予兆を察知する生命体であるのかもしれない。


■ツバサは何故、ゲルの変化に気付かなかったのか?

ツバサは#10に至るまで、ゲルの変化に気付きません。#07あたりで、「あ、これ宗教みたいだな」と思ったんですが、別にゲルから洗脳されているわけでもないですよね。「一つになろう」という合言葉を元に一緒に活動していく上で、ツバサが不都合な真実は排除したんだと思います。この現象は自薦の用心棒と言い、異論(=ゲルの顔色がおかしい、お腹が出ている)を排除する装置が集団の中で働いたように思います。


■くうさまの色は何故、赤、青、白なのか?

この3色は自分からすれば、フランスと床屋ぐらいしか思いつきません。宗教的なニュアンスを前提とするならば、「自由・平等・博愛」を表象しているのかもしれない。床屋のアレはサインポールというらしいですが、諸説あるらしい。


■ODとうつつの出番少なくない?

前作OD、うつつは大活躍でしたが、今作は出番少なく。ODファンの自分は悲しい。細見大輔さんの演技は素晴らしいっすねえ、カッコ良い。


■なんで髪の毛の色はあんな感じなの?

別作品のインタビューがあった。セル調なアニメでチャンネル変えちゃう人が多いかもしれないから、ある程度ラフに見せようって感じですかね。そういやカゲとかハイライトも少ない。 

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