もりたけし監督作品。全3巻OVAとして1995-96年に発売。増尾昭一作画の調べがきっかけで見ましたが、面白かったので少し紹介しとこう。

ストーリーは、賞金稼ぎのラリーがその相方のメイとともに、マフィアと連邦(公安)組織の上層部との癒着、腐敗を暴いでいく。鮮やかでなく、泥臭く暴いていくのが何ともリアルな感じがして良い。『攻殻機動隊SAC』みたく、色んな組織や人が交錯し合うとごっちゃになって面白いですよね。


<1、OP作画>


オサレなOP。ビバップと似てるけど、ちょっとまた違うような気がする。序盤はマッチカットの多用が小気味いい。メカ、爆弾、銃器は(図形を織り交ぜて)記号的に見せつつ、キャラは柔らかく描写している。キャラは大部分、松原さんかも。

そんで特に良かったのが、このシークエンス。
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ここはgif・画像だとわかりにくいので、是非OPを見て欲しい。このペダルの踏み方は、「ヒールアンドトゥ」というらしい。減速して低いギアに入れた後、再加速するために使う踏み方です。ペダル、吸気口、タイミングベルト、マフラーと、機構が作用する順番で短いショットが流れていく。それが気持ち良い。



<2、本編作画・レイアウト-車>


本編の作画は、2話の車関連が特に素晴らしかった。

回りこんでからの急ブレーキ
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1カット目、急ブレーキしながら車がギュギュっと回りこむ。2カット目における、車体の上下動によりサスペンションが効いている様子が良く伝わってくる。一回沈み込んで二回目は少し揺り戻している。


ドリフト
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はみ出して画面左の家に突っ込んでしまうのではないのかと思うくらいのドリフト。そのブレーキによって、煙が発生している。こういうところを外さないでしっかり描いているので、画面はリアルになる。


カーチェイス1
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一部背景動画による、カーチェイスシークエンス。精緻なパースが正確に作画されている。敵の車(赤)がカットの後半部分で、スピードを出しすぎて少しタイヤが滑る所がまたいい。


カーチェイス2
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被弾を恐れての急制動、からの車体の後ずさり。めっちゃ素晴らしい。このシーンは後輪部分のサスペンションが沈み込んで急制動を吸収しているんだけど、肝心の後輪は全く画面に映っていない。それなのに、車体が沈み込む様子、サスペンションの効き、紙一重の差で避けた様子が全部伝わってくる描写の濃さ。

また画面の事でもう一つ言うと、入射する光が良い。画面右上、太陽がニョっと出てくるんですが、その光がボンネットに反射してキラキラと輝いているのが美しい。

ここは本当にすごいです。


サスペンション繋がりでもう一つ。

バックから発進
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3カット目のガコッとした感じ、わかりますよね。バックしてから急制動したので、重心が後ろになっている。ここはACつなぎでカットを細かく割っているので、焦燥・急速感が表現されている。そこがまたいいんですね。





車の作画ばかり見てきましたが、人の作画も少し見て行きましょうか。

<3、キャラの作画>

ヨタヨタ歩き
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慣れないハイヒールをラリーが履いて、画面左に少しよろけて、ぎこちなく歩く様子を上手く作画している。重心の移動が特にいい。ここでは、重心が片方の足にそれぞれ乗っかっている様子がわかりますかね。右足、左足という感じで点と点で重心が移動している。

後は、ぎこちなさの表現、ということで肩がこわばっているのがまた上手いですよね。ハイヒールなんて履いたこともない、というのが一目で分かる。


銃撃を避けるシーン
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同スロー
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カメラが俯瞰から煽りへと移動していく、一部背景動画のカット。ここ面白かった。ティルトダウン+TBのカメラワークで、キャラの作画は寄ってるのかな。ここのカット正直よく分からんです。でも何か臨場感あるんですよね。後は、飛び込んだ時の空中での一瞬のタメが良い。




<3、レイアウト>

後日追記。




大体こんな感じ。「キャラの顔を2話以降で変更した」とwikiで見ましたが、(いつもどおり)言われてみればそうかなぐらいの感じであまり気にならなかった。園田さんの画もちょっと大人っぽくていいですね。でもやっぱ、キャラの顔って未だにあんま分かんないです。