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2025-1

カテゴリ: 2018年アニメ



前々から気になっていた「ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2018)」をようやく見ました。自分の中では、佳作とはいいがたく良作どまりでしたが、きわめて強烈に残るシーンがありました(※全体が面白いかどうかよりも、そういうカットやシーンを見つけられることのほうが、映像作品を見る際にとっては良いことなのです)。


義手の描写
主人公・ヴァイオレットは戦争で両腕を失くし、義手を付ける。感情がない、感情がわからないということはきわめて表現しにくい。鉄で出来た義手を他人に見せるたびに、その場は少しざわめく。冷たく、近寄りがたい印象を与える。

精巧な義手は、感情とはまったく真逆の性質を持ちます。その場その場で心がゆらいだり、話したことが全て本心でなかったりするように、感情は不安定な存在です。一方で、精巧な義手はそういった不安定さはいっさいなく、ただただ命令どおりに、調整どおりに完璧に動く。

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タイプライターのために義手を調整するシーン
肘の可動部を開けると時計のような細工がある。調整部分を上に押し上げると、指の位置や動きが1ミリ単位で正確に変わる。精巧さを伝える。精巧さは「曖昧な感情」とは真逆ですので、ヴァイオレットが感情を持たないことを表すためには、この義手はなくてはならないのです。




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「知りたいのです、愛してるを」とひたすらに繰り返す彼女は、少しずつ、少しずつ、それを紐解いていきます。ヴァイオレットはいくつもの体験と手紙を綴ることによって、感情を、心を理解していきます。そうすると、精巧な機械である義手にまで変化は及ぶのです。



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諦めないという覚悟を、壊れて2本指になった義手に託す。右PANの勢いは覚悟の大きさであり、ヴァイオレットの感情が、まるで義手にも移ったように見える。


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全力を尽くした末、壊れた義手の部品が散っていく様は儚く美しい。もう二度と、誰も失いたくない、その決心が二度目の両腕の破壊へと結びつくわけです。だからこそ、このシーンは美しい。

というのは、あまり面白くないものです。毒があってこそ、映像と思います。ドラえもんだってそうでしょう。アンパンマンにだって、ちょっとした人間の卑屈さ、というものは出ます。「よりもい」はそういう点で、僕には合わなかった…絶賛されている理由は分かるのよ。これは勇気を与える物語だからね。「勇気をもって挑戦しよう!」ってことですから、受けないはずがない。

行儀の良い、っていうのは、もうすごくユートピアな世界なんですよ。アイドルはうんこしないみたいなノリ。それが受け付けられなかった。彼女たちは、すごく過酷な挑戦をしていると言うけれど、実際は、ぶっちゃけママゴトじゃないですか。前半は100万稼ぐくらいストイックなのに、後半になるにつれてお遊びになっていく。南極4人で揉め事もさほど起こさない、ぶつからない。ぶつかってもすぐに解決仲直り。仲間は守るぜ(ドン!)みたいなワンピースのようなことはしても、関係が希薄すぎる。ぺらっぺらですよ。コンビニ行くけど、帰る方向同じだから一緒に行く?ぐらいの感じで、南極行ってますからね。で、エッチなのはダメなんです~ていうか無関心なんです~絆なんです~って、こいつらの脳みそ小6かって思いましたからね、見てたとき。




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こんだけ文句垂れときながらも最後まで見たのは、やはりOPのこの回り込みが素晴らしくできていたから。OPはよくできたなあ。いや、ホントこの回り込みはいいですよね。船の巨大さ、海の広大さを示した後で、彼女たちの無力さ・ちっぽけがやってくる。


まあ、そこら辺を来年細かく、よりもいファンにしばかれ、怒られながら、やっていきたいと思います。(※野中作画記事間に合わず。いつものことだな!)


今年一年ありがとうございました。
良いお年を!

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[うちのメイドがウザすぎる!#6]

ミーシャが肩をすくっとさせる、舌で追いかける仕草、つばめのキスに至るまでの角度、フェティッシュを超えて一種の執着心を感じさせる。石膏デッサンみたいに確実なる立体で動かしている。ラストのデフォルメも上手いですよね、リアルもどっちも描ける。

小松さんもアニメ業界も詳しく知らないのでなんともなんですが、こういうのはもう全原画でやるんでしょうか。それとも、動画マンにめっちゃ割ってもらうんでしょうか。



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うどんこねこね。腕をまくるときの、オバケの入り方とかブレ線とかいいですよね。小松作画では、こういう地味にめんどいアングル(1*)のキャラ顔をさらっとこなすのがすごい。しかも、立体的に動かそうとしている。

[追記]小松さんみたいな人が、個性が出てるっていうんですよね、悪い目立ち方をしない、悪目立ちしちゃう人は個性を出そうと出そうとしすぎてて考えが足りない。小松さんの作画は、世界観を壊さない、それでいて自分の動かしたいようにやる。考えがあるように思う、アイマスのプチ・シューにしても。


(1*)カメラは俯瞰ショットだけれど、キャラの顔はアオリ

参考文献は下記ブログ様を参照ください。Twitterに転がっている意見はあまり参考にならない。



実に4年ぶりの原画でした。ぼくは天メソ11話の布団に包まる芝居が好きなので、今回取り上げてみた次第。あまり大したことは言えてないですが、かれの素晴らしさが伝わればけっこう。有志の方が作られたMADをご覧いただければ、小松作画のすごさはテキストを超えて伝わると思います。


”たいぷはてな”ではなく、”小松勇輝”としてアニメの世界に戻ってきてもらいたい。もちろん、たいぷはてなを否定しているわけではなく、内包して戻ってきてもらいたい。自分がそのように渇望する人間は殆どいません。黒田結花とかれぐらい。

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アイドルを志していた、さくらは玄関先でトラックとぶつかり死亡した後、巽によって、ゾンビとして復活する。巽の目的は「佐賀を盛り上げる、アイドルとして活躍してもらう」というものであった。5話まで見ましたが、よくできていたのは1~2話ですね。


とくに1話のさくらと巽の掛け合いが良かった、終始笑いっぱなしでしたよ。

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「なんで私ゾンビに…?」→「(ゾンビ映画の)あんな感じです」
「なんでアイドルに…?」→「佐賀を救うためじゃあん
「(たえちゃんに)なんかもっとこうないんですか」→「伝説の中身なきゃいかんのかーい!」

即答キッパリというのがいいんですよ。

自分がゾンビとして蘇った経緯や、アイドルになる目的を巽から聞かされるわけですが、主人公さくらは素直に受け入れているわけではない。自分がゾンビになってしまったこと、そして、警官に撃たれてしまったこと。この2点による動揺で、否応なく巽に丸め込まれる。


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さくらが巽に従ったのは、警官の発砲に因るところが大きい。発砲にビビって屋敷に戻る構造は2話の(愛・純子ちゃんコンビ)でもありましたよね。


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それに加え、意識があるゾンビは自分のみ、話せる相手は巽一人だけとあっては他に選択肢がなく。「アイドルしないといけないこと」に対する説得力が上手く出てる。このシーンのレイアウトは圧迫的なものが多くていいですね。さくらの不安さがにじみ出る。


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練習もせず、意思疎通もできない他ゾンビといきなり初ライブという状況に。ここがとくに良かったなあ、はっきりと「無理」と言い切るさくら。そうだよね~普通ゾンビになったばっかりなのにアイドルなんてできないよね。威勢よく発破をかけるだけの巽が面白い。宮野真守の熱演も光る。




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1話ラストで山田たえちゃんを除き、みんな復活しました。3話で元アイドルが参加した時点で、この物語は終わった感じがします。だってたぶん、どうやっても「アイドル」は上手くいくじゃないですか。みんな意識が戻って、元最強アイドルもいちおう参加をした。失敗する方が難しい。

山田たえちゃんが何者なのか、というのがキーなんでしょう。巽が濁した2点(「どうやってさくらはゾンビになったのか」「たえちゃんだけ二つ名がないこと」)に大きく関わるキャラクター。この子がいちばん最初に意識が戻ってても、(誰にも分からないので)おかしくないですよね。もしかしたら、ゾンビじゃないかもしれない。もしかしたら、みんなをゾンビにした張本人かもしれない。みたいな。

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きわめて良かったのは、アバン~Aパート。日常シーンはすごく良かったです。さっぱり記憶を失ってしまったユウタ、そして店の前で倒れていたユウタを助けたクラスメイトの六花ちゃん、そして「使命を果たせ」と繰り返すグリッドマンというパソコンの中のメカ。

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どういう状況なのかは誰にも分からず、かといって過度な置いてきぼりにもされずに、ユウタと同じ目線で歩める。これがいいですね。六花ちゃんは「(ユウタとは)知り合ったばっかり~」と言ってますけど、これは嘘で150%ミスリード。親密でなければ、倒れていたクラスメイトなんてのは救急車呼んで、はい終わりじゃなかろうか。自分の家のソファーや洗面所をクラスメイトの男子にそう簡単に使わせるほど、思春期の女子は脇が甘くないと考える。おそらく告白して振られたんだろうな。で、都合よく関係をリセットしてしまえと思ったんじゃないか。そうでもないと、こんな嘘はつかない。


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電柱、最初はCGかと思ってみていたんですが、作画ですね。緻密にケーブルの複雑さが描かれているのはぐっときますね。


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バレーボール事件の後、凍りつくクラス内。気まずい時間をそのまま流している。このへんの演出がすごく良かった。Aパートは相当にワクワクしましたよ。


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連続してダッチアングル。なにか良からぬことが起きようとしている。




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Bパート。電線の揺れによって、ダッチアングルと同じく、不安・不吉なことが起きそう。


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ユウタはよく分からないまま怪獣との戦闘へ。この辺から付いていけなかったかなあ正直。「使命だから」という理由だけで、なにも思い出せないけど戦う。もう少し葛藤するんじゃねえのかなあという気持ちが。いや、もちろん、そこらへんを吹き飛ばすほど、グリッドマンのデザインや戦闘がかっこよかったらいいんですけど、そうでもないので。


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ここは気づかれた方もいると思いますが、完全に増尾作画(もしくは特撮爆発)を踏襲している。白コマの入り方や爆発のタイミングがまったく同じですよね。爆発が左右に分かれて、最後にドカン。


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批判多めのBパートですが、メカニックや戦闘に対して、破片はグレイト&マーベラス。これは文句なしです、素晴らしい。いちいち貼るまでもないですが、ガラスの落下や、グリッドマン登場時の肩からこぼれる地面の破片など、細かに描写されてました。このカットでいうと、信号機の揺れとかもいいですよね、すごくフォトリアル。まあそういった、ディテールは言い出すとキリがないくらい素晴らしい。



ラストはちょっとびっくりした。壊れたはずの学校が元通りになり、そのことを覚えているのは3人だけ。この引きは上手い。4話まで見る羽目になりました。やっぱり日常シーンの方がいいなあ。すっと入っていける。戦闘シーンはどうにもなんか自分の中で盛り上がらない。

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