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A conclusion is the place where you got tired of thinking.

カテゴリ: テンポ

リコリス・リコイル、話題ですね
話題には乗っていけ精神で見ましたが、すごかった…( ^ω^)

これを超える1話はマアそうそう出ないでしょう
それぐらいのレベルじゃねえかなあ、とおもう




*タキナがDA(組織)から追放処分されるまで
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追放処分とその理由を3カットで終わらせ、



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DA組織トップの処分理由のグダグダした話はそのまま続きながら、
タキナはDAの寮から新しい配属先へ移動する

この流れるようなカット割り!


極めつけは7カット目で、タキナへのそれぞれのDA隊員?の思いを1カットで描写
うんまい!( ^ω^)



──さて、改めて振り返って欲しいのですが、1話ではとんでもない数の端役が出てきます
・DAのトップ
・DAの同僚
・刑事
・センセイ(ミカ)、ミズキ
・アラン機関のボスっぽい人
・ウォールナット
・依頼者の女の人
・拉致する下っ端

…とこれだけの人物が登場するのですが、ぼくらはほとんど混乱しません。

なぜなのか?
それは、「画面内の人数」をコントロールしているからです。


例1
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初対面のタキナとセンセイ、ミズキのシーン


例2
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刑事をタキナに紹介するチサト

はい、察しの良い方はもう分かりますね( ^ω^)
そうなんですよ。どれも初登場時は「3人以下」に整理されている。
画面内のキャラクターは極力3~4人以下にしている、リコリス・リコイル1話



例3、4
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ヤクザへの訪問 / 依頼者との話し合い


この画面内の(情報量)コントロールにより、登場人物多くても、物語が追える
つまり、テンポよく(物語が追えないことがなく)楽しめる、ということです。




*チサトのいつもの風景に付き合うタキナ
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タキナ(幼稚園→日本語教室) / マッチカット
(※マッチカットとは、似たようなモノから似たようなモノを使って、画面をシームレスに切り替える技法のことです。満月→月見バーガー、みたいな)

ここではタキナの顔から、タキナの顔へジャンプ。しかし、シーン・状況はめっちゃ変化してる。そう、場所じたいが変わってる。この状況の変化からは、とつぜんな・唐突な印象を受けますよね。それがマッチカットという技法の面白いところ。




マッチカットといえば、映像のテンポを支える重要な技法の一つ
テンポといえば…このシークエンスも良い( ^ω^)


*タキナの勘違いを制止するチサト ★
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ここのカット割り・作画は上手かったですねえ


タキナ、怪しい匂いをヤクザから感じる

カバンから拳銃を取り出そうとする

左手で軽く制止するチサト

なぜ止めるんだと言わんばかりのタキナの顔(付けPAN)

このシーンでは、チサトが左手だけでタキナを制止しているので、チサトの底知れない強さが示されます。いいシークエンス。


同スロー
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左手はパーで、サッと押しただけ、というのもチサトの自然な強さが出ていて良い。
目線はヤクザの組長と合ったまま。つよそう(小並感)




◆テンポで分かる、チサトとタキナの強さの違い


*タキナの装填(リロード)シーン
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いっさいの無駄なく、マガジンをカバンから取り出しリロード
小気味よく4カットに分けて、正確さと早急さが強く映る

いっけん誰よりも強そうですが、


*アバンのDA
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そう!これはDAにとっては当たり前のこと
手際がとても良く、スムーズに制圧する
いっさいの無駄のなさが、逆にすごく不気味さを煽る

これを序盤から繰り返し映していた




それでは一方、チサトはというと、

*チサトの装填(リロード)シーン
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DAに比べると圧倒的に、ゆっくり・ゆったりと
(細切れなカットにはならない、これは完全にDAやタキナと差別化してる)

この戦闘シークエンス全体を見ると、タキナにとっては軽いお散歩のような感じ
チサトはDAとはまったく違う」、そういう風に映る


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佐藤もそう言っとる( ^ω^)
(ファブル7巻123頁)





*身体を動けなくしてからのワイヤー弾 ★★
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付けPAN(チサト)→(ワイヤー?)
チサトが近寄りながら非殺傷弾でザコの動きを「ゆっくりと」止めた後、ワイヤーガンで拘束をする


なんてことはないようなカットだけど、
これはふつうカット分けて2つのカットでやるんじゃないのかな~と
途中から、カメラがチサトのPOVに変化してるんですよ


うむ?なに?ムズカシそう?
ここからじっくりと解説するから安心シタマエ( ^ω^)



よく分かるカイセツ!
<カメラワーク>
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(※手前の青いのはカメラです)
最初はチサトが非殺傷弾でザコの動きを止めるところ、
つまり、2人を客観カメラで映していますが、



チサトが画面外に行くと、
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こういう風になりますよね。
だからこれって、途中からチサトはザコと対面する立ち位置に回った。で、そこから、ワイヤーガンを打ったと考えるのが自然。前後のカットを見てもそう。

すごいのは、途中から、カメラがチサト(もしくはチサトの銃)の主観視点(POV)になっているところ。1つのカット内で、カメラの視点が変わるのは珍しい気がする。あんまり見ないなあって、こういうカット。ふつうは2つのカットに分ける気がする。



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んで、こんなめんどくさいカットにした理由を考えたい

こんなの必須ではないですから。

このシークエンス全体を通して、チサトはDAとはいっさい違うアクションを見せます。それを踏まえて考えると、ガンアクション特有の爽快感は持たせつつ、チサトの「ゆっくり・ゆったりとした感じ」をキープするために、こういうカメラワークにしたのかな、と。そう感じる。

木曜日のフルット06-46
木曜日のフルット 06巻/46頁「ツノの巻」

パチンカスさなちゃんの急転直下。2コマ即落ち、アシスタント代が入った→(①ギャンブルに行ってもっと増やそう、②負けて帰宅)→ハンペンご飯になりパチンコ屋への恨みを抱く。フルットのまっとうなツッコミ。



その着せ替え人形は恋をする04-38
その着せ替え人形は恋をする 04巻/25話/38頁

憧れのジュジュ様といっしょにコスプレして撮影会をするはずだったのに、雨が降ってしまった。そんなアガっていた喜多川さんと、悲しむ喜多川さんの対比。こういう2コマ即落ちは、感情が極端になりますね。

まあこういう『2コマ即落ち』型はいくらでもあります。探しだしたらキリがないと思う。
ただ、オチをつけないパターンもあって



月刊少女野崎くん04-133
月刊少女野崎くん 04巻/133頁「気楽な待ち合わせ」

こういう風に自然に『2コマ即落ち』型を使われる場合もあります。学校でお祭りの相談をしてから、過程をすっ飛ばして、2コマ目では既に千代ちゃんは浴衣を着ている。場所も時間も省略する。自然すぎて気付かない例。




んで、さいきん凄かったのはこれです


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傷物語 I 鉄血篇 2016/映画 絵コンテ:尾石達也

廊下を歩くところまでは1カットで描写するのに、玄関に至るとカットは小刻みに。靴を履いた後に、次のカットではすでに外に出てしまっている。室内の明るさと外の暗さを有効に使った大胆な省略ショット。

今回の主人公
ゴルシOP

まて競馬だからといって逃げるな、とりあえず下の映像だけでも見ていけ。


競馬ワープ

(※最後方の14番、白い馬に注目)

こんなん最下位やがな…と思うような最後方から、内田騎手の見事なイン付きによって、全馬ごぼう抜きで勝利を収める。名馬ゴールドシップの皐月賞です。競馬実況も「あっその内からゴールドシップ上がってきた!」と、予期せぬ展開によってリアクションが遅れている。競馬ではこういう映像がときどきあります。

競馬に詳しくない人はこの「ワープ」がよく分からないと思うので少し説明する。なんでこんなことが起きるのか?というのは、つまりは「カメラが追えていない・拾えてない」というだけですから。



<ゴールドシップとレースの状況>

・2000mのレース
・ゴールドシップはレース序盤から最後方で最終コーナーを迎える
・先頭とは30~35馬身差(約120m!
・人気どころの馬(ワールドエースらは外にいた)ので、内側に目線がいかなかった

全体図
ゴルシ皐月加工
(※水色が人気馬、赤色がゴルシ)




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※ちなみにウマ娘OPのゴルシはこの皐月賞がモデルレース


<使われているカメラ>
・馬群を映すロングショット用(ロングショット・カメラ)
・コーナーを映す固定カメラ(固定PANカメラ)の2つ

★18頭もいるので、レース終盤は人気の馬に絞ってカメラは追う

・基本的にロングショット・カメラで撮っている
・最後のコーナーでいったん固定PANカメラに切り替わってから、ゴール前の直線でまたロングショット・カメラに戻る。

要するに、2つのカメラ切り替え・カメラスイッチの間に、映せない場面が発生してしまう。映せない場面で起きたことが分からないまま、次のシーンへと移動して、そこでやっと起きたことが変わる。これがワープの原因です。

(※最近では、2018年の「チャンピオンズカップ」のウェスタールンドの例あり、これもすごかった)





で、この競馬ワープと似た現象は漫画やアニメでも時々起きるんですよ
このワープによって、テンポがいきなり変わる


五頭分の花嫁(5巻144-148頁)
※五月(右下アホ毛)に注目
ワープ-五頭分の花嫁01

ここはフータローの作ったテスト問題をみんなに渡していたら、ニノだけキレているシーンです。構造はゴルシ皐月賞とまったく同じです。ニノのひどい口ぶりや行動に、三玖は苛立ちを募らせていく。そして、ついにと思ったら、実は五月だった。そこに読者はインパクトを覚えるわけです。



ロングショット=全体カメラ
PANカメラ=寄りカメラと置き換えたら、わかりやすい。さっきのレースと構造は同じです。

さっきと同じく色で囲ってみると一目瞭然


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この2つのカメラの切り替えの間には、どうしても物理的なスキが生まれてしまう。カメラが捉えきれない部分ができてしまう。その部分から、キャラクターが現れることによって、唐突さを感じる。すると、虚をつかれて理解が遅れる。ここだと、三玖が叩いたかと思ったら、という感じですよね。最終コマの五月のインパクトで決めゴマになっている。テンポ記事では何度も書きましたが、やはり「ものごとの理解が遅れる」ことは、テンポに大きく影響します。

今回の新しい発見は、カメラの切り替えの際に生じる、物理的なスキを利用したテンポ演出技術です・・・と、ここまで書いてみたはいいものの、これアニメ、ドラマ、漫画問わずにめっちゃ見ますね!もう演出技巧として確立されているんでしょう。なんかあれな感じになってしまった。

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