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2025-1

カテゴリ: アニメ映画

昨年2019にTRIGGER最新作として公開された、「プロメア」は意欲作でしょう。

カメラは終始ぐるぐる回転していて、ジェットコースターかよと思う感じの酷さ。あと前半の色指定はパステルカラーにパステルを乗せて(爆発したりで)白く発色しちゃってみたいな感じだったので、見にくかった。けれど、その辺は今石&サンジゲンのチャレンジだと受け取っている。

もっと単純にアニメは作れるっていうものが理想にあるんだと思う。色や線が多すぎる、もっと減らせる、面も減らせる、みたいな。



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フル3DCG

キャラやメカの色と爆発などの閃光の白色とが上手くマッチしていなかった前半だったが、夜のシーンになっては打って変わってバッチリに。がむしゃらな力と力のぶつかり合い。リオ竜がタワーに襲いかかってから、白い炎をぶわあとするところがいちばん良い。夜の空間と白い炎、この対比がええんじゃ。

[*]手前の黒い建物や破片の舞ってからの落下も地味に、いや実にいい。




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作画→フル3DCG

リオくんつながりでもう一つ
スライディングからのタイヤ切りまで、これはCGでうまくやってるな~と。初見は作画かと思った。嘘パースな超広角レイアウトのアクションつなぎ。ダイナミックでなおかつテンポがいいですよね。そこまですごい速いテンポでくるので、最後の後ヅメがスゴく目に残るんですわ。


あと音楽はもう素晴らしかったです、言うことなし。あとはクレイを演じた堺雅人です、前半はどうしてもクレイではなくかれの俳優としての演技になってしまっていたけれど、後半クレイが本性を見せてからの演技は圧巻。「違うなァ?救ー世ー主だよお゛お゛」はこの作品においてベストな声でした。まあでも急いで見る必要はとくにない、レンタル準新作ぐらいになってから見るくらいがハードルも下がっていいと思います。

「君の名は。」で大ヒットを叩き出した新海誠の最新作。余談ですが、新宿南口が(天気の子口)になっていてギョッとしました。半端ないですね。

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新海誠は「なにかの差」をテーマやモチーフとして、映画を作る監督と自分は思っています。

君の名は。→地方と都会
言の葉の庭→少年と女性教師(年齢差)
秒速→時間


今回は「貧富/犠牲」です

序盤は、家出少年・ホダカはネカフェ難民やホームレスのような生活を送っていました。そこを助けてくれたのは、ブンヤのおっさんでしたね。おっさんは衣食住を与えてホダカを保護し、ホダカはそれに応えて働いていた(ここで労基法うんぬんはナンセンスかなと思います)。就活お姉さんもいたので、3人できれいに回っていた。バランスが良かった。とりあえず、ホダカは最悪の貧困から抜け出せた。ここがとても重要です。


「晴れ女」の段になると、今度はホダカとヒナ、ヒナの弟の3人でたくましく儲けます。利益をわざわざ、現金で描写したのはそういうことだと思う。なぜかというと、序盤からスマホやタブレットが頻出しており、描写もきわめてこだわっていた(SEなど)。「晴れにします!」サイトでも、ネット上での取引が主だったはず。だから、あれは意図的な描写です。この辺で、自立してきた感じがあった。

それで自分で現金を得たはいいけれど、保護者なし3人で暮らすにはまったくとして足りなかった。児相が来て、警察も来てしまった。自立して3人でやってきたのに、貧困からは抜け出せていなかった。そういう風にホダカくんは思った。それがほっといてくれよ!という言葉につながる。

警察から逃げた後、ラブホテルにおいて、退職金をもとに備え付けのインスタントなどを買う。これがかれらにとっては、最高のぜいたくであり、わずかな時間でしたが、富豪になった。ラブホテルという舞台に逃げ込んだのも、ホームレスとは真反対のきらびやかな世界を映したかったから。


最後の決着あたり、おっさんと就活お姉さんの心境はよくわかりませんが、まあ勢い重視だったんでしょう。まあ、おっさんはよく分からない。セリフではいっさい出てきませんが、あえて言葉にしたくなかった可能性もあります。



最初に「なにかの差」を設けて、描くと述べました。その正体は、少年少女の恋愛を妨げるものです。今回は貧富・犠牲というテーマで、貧富がホダカとヒナの恋愛を妨げ、それを乗り越えていく、という物語だった。ヒナが生贄になることを拒んだ。そこの流れは分かるけれど、おっさんと就活お姉さんの立ち位置があまり良くなかった。こいつらはホダカを警察や行政から守るかどうか、みたいなとこなんだろうか。


映像的には新海誠の撮影が光っていましたね。作画や映像にかんしては、圧倒的に前作の方が素晴らしかった。そういう意味では、やや退屈なフィルムに映りました。次回作に期待したいです。

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