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2016年02月


■LEXUS IS TVCM “Undokai” 60sec.


レクサスの車でパン食い競走をするというコンセプトのCM
ちなみにこのISは400-600万ぐらいで、高級車としては意外とお手頃な価格
他のレクサス車にくらべると、相当安い部類に入る

気になったのは、コマーシャル内の砂煙ezgif-4098251261

この俯瞰煙が見事なのは、伸びていくカゲのおかげで立体感が出てるから



高級車のコマーシャルはふつう穏やかです
アウトバーンを和やかにジョージ・クルーニーが運転する
掃除機のダイソンみたいに、ナレーションを入れ技術の高さをアピールする
そういうコマーシャルが主であり、砂煙・泥が出てくる激しいものは少ない

高級スポーツカーのコマーシャルも、
強いグリップ力をアピールするために、タイヤカスや小石を使うことはある
けれど、大きな砂煙・砂埃などはめったに登場しません


giphy03

砂煙・泥は、四駆や軽のゴツイ車のコマーシャルに出てきます
デコボコ山道を四駆が駆け上がるコマーシャルが分かりやすい
あれは「この車は泥や水、砂利でも走行可能であり、汚れやキズに強い」と言いたい
すなわち、汚れよりも車の機能や耐久性を気にする人を対象にしているわけ


42]38]

このレクサスのCMでは、運転するのは2人の女性


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さらには砂煙、噴煙出しまくりで、高級車のCMとはとても思えない

これって、
そんなにお金持ちじゃない人にもレクサスって買えるんよ~
舗装されてないクソ砂利道でもスムーズにハンドリングできるんよ~
っていうことが言いたいんだと思う

レクサスってのはトヨタの高級ブランドで、そのブランドが売りなわけですが
高級感がだんだんと浸透するにつれ、ボリュームゾーンは小さくなっていった
「レクサスはお金持ちが乗る車」という先入観によって、
払える価格帯であるにもかかわらず、「自分とは無縁の世界」と思う人もいれば、
高級車はみかけだけで機能は悪いだろうという考えの人もいる

おそらくトヨタは、こういう人は多くいると考えてて
そういった人に対して、
「機能も良くてお手頃な高級車もあります、実はそれがレクサスISなんですよ」
という提案・プレゼンをしてると思うんですよね

ベンツやアウディのカッコイイのはアホみたいに高くて手が届きにくい、
でもレクサスだったらお手軽に買えるよみたいな
そんな印象を植え付けて、敷居を下げる狙いがあるんだと思う
あわよくばキャリアウーマンにも買って欲しい気持ちもある


[蛇足]
まあシャシーの美しさは言うまでもなく、
エアサスやV8ツインターボエンジンによる加速性能などの機能においても、
または事故した時の安全性もベンツの方がはるかにいいので、
レクサスはオススメしません、むしろオラつきたい人向けです
高くても良い物を買いましょうNE~

・そもそもこれはどんなシーンかー①
>なぜ爆発したのか
>どのように爆発をしたのか
>それによって、周囲にどんな影響を及ぼしたのか

・そこに至るキャラクターの心情や文脈はどのようなものかー②
>間接的に心情や情景描写をしていることがある
>その爆発に至るまでに、キャラクターはどんな心情だったのか
>また爆発の後、どのような心情になったか
>どのような文脈で爆発のカットに至ったのか

爆発/エフェクトは必ず①、②を受けている
描き手が意図的な部分とそうでない部分はあるにせよ
そのため両者の要素を汲みとった方が良い

「この爆発がこのようである理由」は、良い爆発には必ず存在する
技術によりすぎるのも、演出によりすぎるのも良くない
どちらの要素も柔軟に取り入れて、解釈することが必要だ


ナウシカの金田爆発を例に取ると、

①そもそもこれはどんなシーンか
・ナウシカは飛行船を助けようとしていたが無理だった
・虫に襲われために墜落した
・崖に突っ込み、飛行船はまるごと爆発した
・爆発はとても大きく、夜の風の谷を光らせた

②そこに至るキャラクターの心情や文脈はどのようなものか
・虫が騒ぎ出しており、それにナウシカが異変を感じた(確か)
・トルメキアの飛行船にペジテ市の王女が人質として乗っていた
・ナウシカと王女は一瞥を交わして、助けを求めていた
・爆発の後、王女は息も絶え絶えの中で積み荷を燃やすことを頼み息を引き取る

という風な感じになる
これから分かることは、
・飛行船は虫の集落を通ったため(虫に対する無知のため)に墜落した
・王女と悲しい一瞥をナウシカは交わしており悲劇的である
・息も絶え絶えながら燃やすのを頼んだため、積み荷は相当に危険なものである
・虫と対話できるにも関わらず少なかったナウシカの無力感

要素を小さく分けていくと、それまで見えてこなかったことが見えてくる
技術論に傾倒して考えるのはあまり良くない
さいきん技術論/線画ばっかりに目が行っていたので、自戒を込めてメモっとく

爆発リハビリも兼ねて

このすば4話では、さまざまな爆発のオマージュが見られたので紹介したいと思う
なんか吉成爆発だけやけに話題になりましたが、それ以外の爆発も少し分析する
(※自分が推測してるだけで、「小澤さんは確実にこれをオマージュしてます!」ってことではないので参考までに)


廃城爆発その1

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おそらく佐々木政勝オマージュじゃねえかなあコレは(正直これが一番ワカンネ)


政勝爆発は、中心部に入るワシの爪のような線が特徴的です

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(「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ(1999/TV)」02話:佐々木政勝)

爆発した後の爆煙にカメラが覆いかぶさるように描くことが多く、
これはカメラでは捉えきれない爆発の広大さ/スペクタル感を出してる
(スペクタル感の演出のための全セル煙は新ドラなんかでもやってますね)

最近だと「咲-Saki-」「咲-Saki-全国編」のキャラデと総作監が代表的な参加作品です。
咲-Saki-ファンは分かると思いますが、劇中で唐突にカッコイイ炎が出てきたりしますよね

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(「咲-Saki-全国編」07話(2014/TV):佐々木政勝※1)

まずは炎がびしゅっと発生し、すっと消えていくことでインパクトを出し
鬼火のように炎を揺らめることで、はっちゃんの異質感/化物感を演出する
(※1.これ正確にはおそらく片岡英之原画の佐々木政勝作監。憶測ですが)


廃城爆発その2
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これはナウシカの庵野秀明オマージュかなー


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(「風の谷のナウシカ(1984/劇場)」:庵野秀明)

有名な巨神兵シーン。瞬間的な爆発/爆風で巨神兵の圧倒的な力/恐ろしさを演出
爆発が押し寄せる感じ、下から上へと回転していく感じが似てますよね
このすば04話では、少し寄っている構図になっているか


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廃城爆発その1と似てるのは、後はこれかなあ

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(「ヘル・ターゲット(1987/OVA)」:本谷利明)

これはとある怪物への攻撃シーン
SOL的衛星兵器の大出力ビームによって、このような爆発が起きている
兵器の強力さは言うまでもなく、怪物をいかんなく駆逐するための爆発演出

この次から次へと爆発が生まれる/増殖していく様子と回転の仕方が似てますね



廃城爆発その3
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金田(伊功)爆発オマージュですね
球形から突然直線っぽいフォルムになり、そしてまた別のフォルムへと変貌していく
違う形の絵がどんどん放り込まれるのにも関わらず、なおかつ繋がってしまう感じ
それが金田伊功の爆発であり、金田系という作画のジャンル
(金田系オマージュといった方が正確かもNE)


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(「風の谷のナウシカ(1984/劇場)」:金田伊功)

トルメキアの飛行船の墜落シーン
このカットの前でメーヴェがすっと暗闇に消えていくので、爆発の光がより強調される
暗闇のカットではペジテ市の姫様とナウシカが寂しい一瞥を交わすわけですが、
その悲劇、まさしくカタルシスがこのカットに込められている

一連の爆発魔法のオチに金田作画オマージュを持ってくるのは粋やね
どうせなら火炎龍を描いたらベストだった


その他の爆発
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温度表現はいわずもがな。白から黄色へ、そして赤、黒へと
これ地味に上手いのが、終わりのダブラシ加減ですね
廃城がシルエット風に見えて、なおかつ煙も存在感がある



他の爆発(望遠ロング・ショットの爆発)に関しては流石に多いので総括的に
(※ほぼ文章だけなので、興味がない人は読み飛ばしても差し障りない)


38]24]

内部に巻き込むパターン(古い煙がどんどん内部に巻き込まれていく、上昇気流的なイメージ)と外部に展開するパターン(新しい煙を張った面を押し出すように描く、チューブから押し出されるイメージ)の2つに分けて描いてる。もしくは2つを同時に使って描いてる。まあメインは、外部に展開するパティーンだと思います。

後は温度表現のときの、色の付け方とかタイミングで少しずつ変化を付けている。基本的に、このすば04話の爆発の色は、赤、黄、白(透過光)、黒の4色で表現してます。爆煙が冷やされていく過程で、その順番に沿って色が変わっていくのですが、このすば04話ではタイミングや冷やし方(どれくらいの速さか、冷やす部分をどのような形に切り取るか)に差異を付けて、変化を出しているように映った。

まるでエフェクト作画の宝石箱や!



それで、小澤和則という方は橋本敬史の寵愛を受けておりと師弟関係であり(1)(2)、そこそこ似た作画をされます。正直判別は難しく、特に「アルドノア・ゼロ」は判別つかない。作画的な要素でいうと、楕円ディテールとかカゲの付け方が似てますね。

しかし、タイミングは大きく異なっていて、後ヅメ志向が強い気がする。分かりやすく言うと、タメが強くて、煙の留まっている様子を強調している。煙が発生した後の滞留する煙を強く表現している感じ。



このすばOP-爆発1
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金田光→衝撃波→半球ドーム爆発押し寄せ
破片が最後まで画面に残ってるのは最近だと珍しい気がする
小澤さんかどうか分かんない、けっこうタイミングはっちゃけてるし


このすばOP爆弾岩のカット-爆発その2
06]10]
11]14]

それで金崎監督の言及でこの辺りは高橋しんやさんということなんだけど、
楕円の感じとか小澤さんっぽいと思っていたから意外だった 
まあどちらにせようまいっすね~


他の小澤作画も少し

・「楽園追放 -Expelled from Paradise-(2014/劇場)」
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HLVシークエンス
このように、煙の表面それぞれを気球のように張り、
中から新しい煙が押し出されるようにじんわりと描くときもあれば


・「魔法少女リリカルなのはViVid(2015/TV)」06話
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小澤作画(※推測)
このような”お団子的爆発”を書く時もあったりもする
画面右の爆煙ですが、中央からにゅっと新しい煙が押し出されるように描かれている
煙の膨張面の強調が面白い


やはりタメと楕円ディテール、煙の膨張面の強調なんかが特徴的な部分ですね
後は引きの画面での煙の不規則なフォルムですね




おわりに(まとまらない)

このすば04話ではいろんなオマージュエフェクト見れて良かったです。合ってるかどうかは微妙ですが。まあそうじゃなくて普通に見ても、爆発は男のロマンやし楽しいやんね。爆発最高!!

ほとんどメカニック詳しくないんで素人意見も甚だしいのは承知の上なのですが、
例えばガンダムなどのメカは立方体で、曲面が少ないので曲面Hiは使えない
まずはこのことが、近年あまり湾曲Hiが見られない主たる原因かなと
(ガンダムでも、たとえば「00」の刹那のヘルメットとかには見られた)


それで次に、曲面が比較的多くあるメカニックデザイン(いわば大張・羽原メカ作画)
たとえば『鋼の鬼』『イクサー1』『ダンガイオー』の肩や腕の曲面的な部分には、
湾曲したハイライトが多く見られた

52]17]
(イクサー1ACTⅢより:確か大張パート)


曲面を多用するメカニックデザイナーといえば、山下いくとです
代表作の『新世紀エヴァンゲリオン』では曲面ハイライトは顕著に使用されていました

11]45]
(『エヴァ』1、2話より:濃いハイライトの使用が特徴的)


まあ今の段階では、アクティブレイドのハイライトが何を参考にしたかはイマイチ分からんわけですが。そのためには、近年のメカCGアニメの流れを追っていく必要がありそう


湾曲ハイライトの定義
(1)他のメカ・ハイライトに比べて直線的でなく、丸っぽい、角が取れた感じ
(2)曲面を意識させる、誇張させるような働き

みたいな感じかな まあ増尾の休憩がてらやっていこうと思う

もうナンバリング面倒なので、日付にしようかなと思い始めている

■重たい空気
この国のどうしようもない空気、村社会的構造(排他的)を風刺したアニメといえば、やはり真っ先に「東のエデン」が出てくる。「東のエデン」は、TV版ではニート2万人の力によって防衛し、滝沢朗が王子様になって終わる。劇場版では、滝沢朗が最後にみんなに1円ずつ配る。「東のエデン」の答えは、誰か一人が汚名や責任を被るか、みんなで責任を取るかの二択であり、現状は前者になってることの風刺だと俺は解釈してる。劇場版は、TV版へのアンサー(一人を悪者にしない以外の方法)であって、この国のこの雰囲気はみんなが作ったもので、1円ずつ振り込むことで国民全体に責任があるものと意識してもらうこと、と思う。

「ガッチャマンクラウズ インサイト」は、「ゲルサドラは地球に残ってもいいか」という命題を課し考える期間を設けることで、国民全体の意識に原因/責任があるとして終わる。現状への風刺は、劇中内で散々に映像的にも脚本的にも行われており、厳しい捉え方(すなわち、宇宙人でも来て洗脳一歩前までいかなきゃ変わんねえんじゃねえのかこの国民はという呆れ顔)をしている。ニュアンスとしてはエデン劇場版に近い。

エデンはある程度、個人の考え方の変化にかかっているというニュアンスが強かったと記憶しているんだけど、対してインサイトは個人の考え方というよりは、デバイス/SNSへの警鐘が強いように映った。すなわち、クラウズではSNSの可能性を信じ希望があるとしたんだけど、インサイトでは「ネット投票」という利便性と「他者が発信する情報に飲み込まれ(主体性を失う)る」という情報リテラシーの危険性を描いていて、しかも後者の方に重きを置いていた。便利なモン使う前にすることあるんちゃうんの自分ら、ちゃんと考えてから使おうやみたいな。

それで、コストコの話題にも現れている通り、おそらくこの国の雰囲気は外圧でしか変われないんだよね。女性の社会進出/権利/地位もそうだけど、外国から「日本はちょっとおかしい」と言われない(言われても中々難しいけども)と構造が変わっていかない。「他人から変な目で見られたくない」という意識が強すぎるがゆえに、主体性が弱く他者の評価軸で行動する。これが日本の今の雰囲気の原因であって、なおかつ(皮肉にも)外国や外部からの圧力によって変化が期待できる要因でもある。

そう考えていくと、この国の雰囲気に触れた/先を予見したアニメというのは「新世紀エヴァンゲリオン」ではないかと思っちゃう。ミサトが「他人のことなんてどうでもいいでしょ!」とシンジを叱責したのは象徴的である。シンジは他人の評価なしには存在意義を証明できず、その上主体性を発揮すれば(「逃げちゃだめだ」で軍令に背きイカ使徒を倒す、3号機は使徒だ倒せ→「アスカが乗ってるから倒さない」、「世界を救え」→「どうでもええわ、綾波を救う」)、出る杭は叩かれる(「はい、ダミーシステム」&追放、「あなたはもう何もしないで」)といった様相は素晴らしく村社会的である。

それでもQのシンジは最後まで自分のやりたいように積極的に行動したんだから、映像的にはああいう傷つきながらも生きていくのが、庵野監督の(社会や業界の閉塞感に対する)答えなのかもしれない。パヤオの「庵野は傷つきながら生きている現代では数少ない人間の一人(風立ちぬインタビュー内の言及)」という言葉の意図がよくわからなかったんだけど、それは正直に生きて他人から色々非難/中傷されながらも、自分の主体性を貫き通している(精神を病んでも変えない)という部分にあるのかもしれない。

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