![31]](https://livedoor.blogimg.jp/ouritu_dora/imgs/f/4/f46c4c61-s.jpg)
これは「読む」アニメということに気付きました。
アバン:シオネ(青髪ヘッドホン)の昔に対する描写
A:オリエンテーション前半
・柚季(リュック)と湊太(双子兄)の対抗
・シオネとノノカのすれ違い・勘違い
・ノノカとこはる(看板娘)とユズキが仲良しに
B:オリエンテーション後半
・いなくなる汐音
・探すノノカ
・戻ってくる汐音
・追いかけるノエル
・円盤=ノエル
という感じ。
この「天体のメソッド」という作品は、どうにも「読みにくい」「見にくい」アニメだと思っていたんですが、1話で人間が処理できる範疇を超えて、色々とやりすぎなことに気付きました。僕は、「円盤」というものを中心に展開されていくと思ったんですが、決してそうではなく、過去の回想を含めた青春群像をまばらに意図的に描いています。チャレンジャーですね。
「わかりにくさ」には、何点も起因するところがあるのですが、特にそう足らしめている部分を列挙すると次のようになります。
・ノノカに対する主要キャラクターの記憶の差異
・主要キャラクター5人の現在と過去(回想)での描写+ノエル
・1話数に様々な要素を詰め込みすぎている
・呼び方が安定せず、キャラクターの把握がしづらい
・ノノカ自身の記憶の不明瞭さ
まず1点目についてですが、ノノカに対する記憶の違いというのは、「ノノカがこの街に昔いたかを覚えているかどうか」という部分です。こはる、柚季、湊太に関しては、ノノカを「転校生」「観光客さんじゃなかったんだ」という風に捉え、回想で描写された過去に関してはすっかり忘れているようです。しかし、汐音ただ一人だけは、「ノノカはこの街に過去にいた」と確実に記憶しており、こういった部分で少し錯綜している感じがします。
そして2点目ですが、これは1話に関して。アニメ作品における1話というのは、登場人物の紹介とキャラ付けと認識しています。しかし、この「天体のメソッド」では、「ガキ6人+過去回想での5人+円盤」というてんこ盛り具合で、1度の視聴では全体的な把握は困難を極めます。これは、次の3点目にも言えることですが、要素を入れすぎていて、主眼・焦点への視線誘導ができていないように感じます。要素詰め込むので一杯一杯みたいな。
3点目。前述の2点目に付け加えて、各キャラの心理描写と円盤がこれに相当します。主要キャラクターのノノカへの感情をそれぞれ丁寧に描いているという印象はなく、3話で柚季・ノノカ・こはるがそこそこ親密になっていたりと、絶望的に描写が足りません(※最低でも、オリエンテーションに行く班決めのシーンは欲しかった)。「キャラクターが友好的になっていく」という描写が少なく、ノノカとこはるの仲睦まじい様子は素っ頓狂な感じがします。つまりは、必要不可欠な描写の絶望的な欠如がストーリーの把握を困難なものにしています。 昨晩Twitterで申し上げた「回想・伏線のレンジが狭い」というのは、「回想シークエンスの長さ・描写が足りていない」、ということです。それ故、短い描写・回想で理解をしていくしか無いのです。特に、汐音のノノカに対する否定的感情はどこから発現しているのかということは、描写されなければならないような気がします。
4点目。これは個人的な問題かもしれませんが、「呼称の違い」というのは、ただでさえ覚えにくいアニメキャラクターの名前というものをさらに複雑化しているように感じます。特に3話が顕著。ノノカが汐音を呼ぶときに、「トガワさん」「シオネさん」と使い分けています。名前の使い分け、というよりも、その後に対する敬称の付け方が同じなので、脳内で違和が生じているんだと思います。「シオネちゃん」「トガワさん」と分けてくれた方が個人的には良かった。
5点目。1~3話まで観直しましたが、ノノカの記憶に関する描写も少ないんですよね。ノノカはどこから何処まで覚えてるとか、セリフ・回想で出てこない。回想では思い出すんだけど、それも唐突さがすごくあって。「子どもの頃のことはね、ほとんど覚えてないの」っていう風なシーンを挟むだけで全然変わってくると思います。
3話は、どうだったかというと。
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2話からの時間経過が分からないオリエンテーション。もっと柚季やこはるとの親密さを増す回を入れても何とも思わないし、そうしてもらわないと「何でこいつらこんな仲がいいんだ」と腑に落ちない。
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![46]](https://livedoor.blogimg.jp/ouritu_dora/imgs/4/3/43d6058f-s.jpg)
汐音のノノカに対する累積した負の感情は、当然その原因は推測することができます。円盤を呼んだのに、その後いなくなったとか。円盤を呼んだ張本人のくせにとか。しかし、絶望的に描写が足りてない。アンジャッシュ的なすれ違いにもなってない。「勘違いしている」描写があるから、その怒りも分かるというもので。汐音のその描写が存在していないのは、何ともいただけないなあと。だから、回想で「何で引っ越しちゃったのよ!何も言わずに」とか、そういった感じの場面をインサートすれば全然問題なかったと思う。
対して、円盤に対する描写は良かった気がします。
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![01]](https://livedoor.blogimg.jp/ouritu_dora/imgs/5/6/5663d62d-s.jpg)
こういう角度まで決まった煽りの画面設計は上手い。特に、左は1話にも同じ画面があって、円盤が存在する以前・以後の画面作りは意図的にやっているだろうし、そこは思惑どおりに反映されてると思う。
こんなとこです。(1h20m)