とうとう、今年も一年の締めくくりである、有馬記念が終わった。
▼有馬記念(2022/中山・2500m[右・内])
イクイノックスの圧勝に中山は湧いた。予想以上だった。中山は皐月賞でジオグリフの2着、ダービー以外2400mの経験はない馬が、中山2500mであんな勝ち方をするとは思ってもみなかった。最終コーナーで堂々と先行馬をまくっていく。それも、”もったまま(1*)”で。
ルメールjは少し促しただけ、他馬がガシガシと押されステッキが何発も入っているのを、さっと抜き去っていって3馬身差の圧勝。
(1*)もったまま、馬なり
…ジョッキーが強く促すことなく、馬自身がさっと自分から走ること
父はキタサンブラック、母の父はキングヘイロー、祖母の父はトニービン。血統だけみれば、「まあ距離はこの辺がなんとかしてくれるだろう」という感じではあるが、ここまで強いとは思っていなかった。来年は海外遠征を中心に行うらしい。ドバイSC→サウジ?→宝塚記念かな。
でも、なんだろう、面白みがない。イクイノックスがすごい馬であるのは間違いない。それは認めている。でも、心は踊らない。例えば、リスグラシュー。例えば、クロノジェネシス。もしかしたら、ここ5年はある種、競馬史上に残る名馬だらけだったせいで、感覚が麻痺しているのかもしれない。
その名馬たちを彷彿とさせるのは、有馬記念にはいなかった。
──では、どこにいるのか?
かれは、中山にいた。
ホープフルステークス(12/28・中山2000m)に出走する、ミッキーカプチーノだ。かれは有馬記念の3週前の中山にいた。葉牡丹賞(葉牡丹は、この寒い冬から春にかけて咲く花である。縁起の良いレース名だ)の勝ち方、これは紛れもなく、他の名馬よりも圧倒的に印象に残った。強かった。吠えた。
競馬の興奮を少し失っているものに、活力を与えるような勝利。ぼくは、こんな葉牡丹賞を見たことがない。
▼葉牡丹賞(中山・2000m)
(赤帽・馬番5番)
中団からするっと3コーナーから進出すると他馬を寄せ付けずに3馬身差の楽勝。
ぼくは馬の強さを表現するときに、みんなが使う「最強」という言葉を最大値にしていない。
そうだな、グランアレグリアを見たときに感じたのは「恐怖」だ。こんな馬に勝てるわけがない。こんな馬が存在してはいけない。そういった恐怖。
ミッキーカプチーノに恐怖はまだあまり感じないが、なんだろう、底知れない恐ろしさがある。どこまで成長するのか楽しみだ。
父はエピファネイア、母父はネオユニヴァース。祖母父はブライアンズタイム。
SS(サンデーサイレンス)の4*3、Roberto(ロベルト)の4*4
母父ネオユニヴァースの代表産駒は、アエロリット、ルヴァンスレーヴ。どちらもスピードとパワーを兼ね備えた馬だ。牝系[22-d]は、どちらかといえばマイラー感が強いが、この馬は距離が伸びても大丈夫そうな感じがする。馬体重は500キロ超え、グラスワンダーみたいだな!
実は、今年はホープフルステークスを楽しみにしていたのだ。有馬よりも。
2歳の王者、そして、クラシックへの大事なG1レース。
本当に恐ろしい馬はホープフルステークスにいる。
今のぼくは、少なくともそう確信している。