OPで興味を持った次第。(※作画言及だけ見たい人は、後半を見てくれれば)
TVアニメ「CANAAN」公式サイト 


佐藤雅弘のOP作画を見てから、CANAAN自体に興味が湧いたので。 
個人的には、「SAC」と「フルメタ」を足した感じの作品でしたよ。
フルメタの要素としては、カナン本人。
SACの要素としては、社会的な利権の構造やら。
消えた村のビジネス利用とか、NGOおばさんの外交とか、そんなとこですね。

原案:奈須きのこ、構成、脚本:岡田麿里というフェイトSNタッグの脚本面。
作画面は、監督:安藤真裕。コンテ(3.5.7):岡村天斎。
そういや安藤姓もメーター多いですよね。
天斎コンテ回はやっぱいいですね。スピード感が違う。


感想ですが、もっとガンアクション、戦闘シーン多めの方が良かった。
#1,2見て、スゴい感動したんですよ。
うお、すげーこんな動いて、こんなアクション派手なのかと。 
したら、それ以降は説明パートが多くなっていっちゃって、
ほぼ三文字(※韓国・中国系のアニメの人)原画オンリーも2話ぐらいあったかなあ、 

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そんな悪くはないですけど、作画的には楽な方の回でした。
まあ、三文字オンリー原画とか今回初めて見たんですけどNE。
でも、このクオリティ保てるのはスゲーなあ。 



お話の方ですけど、三つ巴のような形に、利権が絡んだ少し複雑な説明が、
きのこ調の小難しいセリフとして乗っかってくるので、一見少し分かりづらい。
つーか分かりにくい。
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「カナン」「大沢マリア」「蛇(アルファルド)」、この3つを中心として、物語は展開されます。
ここに、NGOおばさんとか、サンタナサイドとか乗っかってくるので、ますますカオス。


最初は、事態を飲み込めないマリア目線でお話が進んでいきます。 
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だけど当然、見る側はマリアの目線だけではなくて、NGOおばさんとか、サンタナとか
色んな目線で見れるわけで、常にマリアの上に立って進行を見守れる。
そこに、置いてけぼりにされてない安心感を感じるわけです。
それでいて、謎はうまく隠して、見る側を食い付かせる。


まあそれでも、1クールでやるには大変じゃなかったのかなあ。
最終話まで見て分からなかったのは、マリアとカナンの過去ですね。

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二人がどんな風に出会ったのか、時を過ごしたのかの描写がもっと欲しかった。
描写はあるにはありますけど、流石に少なすぎる。
カナンがマリアに心を許したきっかけとか知りたいんですよ。

後は、カミングズらがいなくなった後の、「蛇」を描いて欲しかったですね。

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何か自然消滅的な感じで、それはないだろうと。
「ダイダラ社」という、隠れ蓑にも社員やら戦闘員やらはいるわけでして。
彼らのその後をきちんと描くべき。

原作は、チュンソフトのゲームということで。
wiki程度の知識なんですが、もっと原作は違うものみたい。
渋谷がメインの舞台だし、カナンとか出てきませんしね。
アニメはスピンオフな感じ。


テーマは、「目」ですね。これは間違いないと思う。
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共感覚を持つカナンには、全てが見通せます。
その人固有の色から、人の感情もすべて色で見える。
だから、カナンは全てを見通してるつもりなんだけど、
実はそうではないということが、8話で共感覚を一度失ってはじめて理解します。

「ありのままを見つめろ」というシャムに言われた言葉を思い出し、気付くわけです。


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その一方で、マリアも「カメラのレンズ」を通して色んなものを見る。
だけど、本当に嫌なことからは目を背けたりするんですね。
ウーアウイルスの感染者の死体とか。カナンの気持ちとか。
本当は見なきゃいけないことがあるのに、自分を騙したままで見ようとしない。
だから、アルファルドから「お前は欺瞞だ」と言われるわけです。 
最後には、アルファルドに写真を撮っていいか(=真実と向き合う)と聞くに至るまで
自分から逃げずに、正直になります。

カナンもマリアも見なきゃいけない現実、事実、状況に向き合うようになるんですね。


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皮肉にも、実はシャムが死んだ日から、いつも冷酷非情なアルファルドが
何も向き合って来なかったというのが、最後に判明します。
過去にすがることで、自分を騙していたんですね。
アルファルドがシャムを殺したのは、多分カナンへの嫉妬からなんでしょうが、
それも全部カナンに責任転嫁しようとする。防衛本能の合理化ですね。
お前があの場にいなければ、シャムは死ぬことは無かった、と自分の心を守ってます。


フラワーガーデン計画は、アメリカのCIAと「蛇」が行った人体実験です。
CIAとしては、ウーアウイルスが臨床実験がしたかった。
「蛇」は、第二のカナンを作り出したかった。
というわけで、両者の利害は一致してたわけです。
ですが、アメリカの外交にとっては、隠しておきたい事実でも当然あります。

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対テロ国際会議で、アメリカの大統領が「ラブアンドピース」と声高に主張した後に、
アルファルドが「対テロ国際はお遊び」と皮肉るのは、こういうわけがあるんですね。
結局、テロを利用したくせに、お前ら何言ってんだと。


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NGOおばさんがやってるのは、表ではカナンの依頼主ですが、
本当はアメリカへの脅しと、それによって外交を日本ペースでやることが目的です。
サンタナに餌をやり、消えた村事件(=フラワーガーデン計画)を表舞台に出すことで、
唯一抗ウイルス薬の開発に成功した製薬会社の大沢賢治の力をアピールする。
これで、抗ウイルス薬を武器に、アメリカに強く出れるというわけですね。

ここが、社会派アニメの代表作SACぽいたる所以です。
村井ワクチンが製薬会社の利権によって潰された事実を、笑い男が表に出そうとし、
利権の恩恵を受けている製薬会社、医師会は隠そう必死になる構造と同じなんですね。
SACでは、純粋にその事実に怒って笑い男は行動しますが。


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で、NGOおばさんは、外交の損得しか頭にありませんから、
アルファルドからボナー(ウーアに感染し、特別な能力を持った人)実験のデータをもらうと、
カナンらがいるのに、早々に「ファクトリー」の攻撃を依頼する
だから、実は劇中では一番利口かつ冷酷な人物で、アルファルドがかわいく見える。
エリート官僚おそろしや、といったとこでしょうか。

だけど、いかんせん、この利権と外交の構造が劇中ではわかりにくい。
神山監督の脚本とかシリーズ構成はスゲエうまかったんだなあと、改めて思います。

ウイルス利権をめぐる話題も、分かりやすいように説明するにはやはり少し尺が足りない。 
カナンとマリアの過去も含めて、2クールあれば…とは感じずにはいられないませんね。
でも、カナンに主題を置くのか、社会的な話題に主題を置くのかで、
物語のテイストは大分変わってくるので難しいですね。
そういう意味でも、SACはすんげえ上手いんだなあと。
キャラを立たせて、少し入り組んだ話も分かりやすく説明ってのは意外とすご技。
そういや、神山監督って今何してるんでしょうかね。



作画の方ですけど、良かったのは#1.2.5.7.11.13かなあ。
特に最初の二話は、前にも言ったようにスゴく良かった。

モブはこれでもかというぐらい手書きで動かすし、エフェクトもいい。
アクションカットや映像の情報量も多くて楽しい。
最初に異国の世界観をきちんと描写するので、スムーズに入っていける。


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今作の特徴の一つとして、CG処理された背景があります。
このコントロールルームのシーンは、パースは画面が引くにつれ、
ちょっと俯瞰になっていきます。
つまり、パースが変わってくるわけですね。
だから、普通の背景では対応できないので背景をCG処理します。
具体的には、パースが変わる所のテクスチャを何やかんやするらしいですが、
素人にはそこまで分からん。
まあとにかく、CG背景はめちゃ多いです。



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また爆発、煙といったエフェクトに関してもCGが多用されています。 
アルペジオみたいなオールCGではありませんが、エフェクトの9割はCGです。
ですが、少しまだ手書きには及ばないかなあという印象。
ぬるぬるしすぎてアニメで培われてきたタイミングとかが、どうしても出せない。
メカの方はそこそこ上手くいってる気がしますけど、
エフェクトのCGはまだまだ違和感ありますね。



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作画としては、このランランのビールを開けるシーン。
これが上手いなあと思ったので。
地味ですけど、細かい仕草が再現されててスゴい。
栓を抜いた後、手に栓が残っているのが分かるんですよね。
うおっ、細けえとこまでスゲーと。


後は、細かいディテールと各戦闘シーンですね。
ここはもう言うことなしで、素晴らしいです。

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(#7 戦闘機内部のディテール)

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(#7 戦闘機本体のデザインワークとエンジンのデジタル表現、爆弾のディテール)

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(#5 着弾時の煙、CGではない煙のうちの一つ)
 

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(#6.10タイトルカット きのこらしい当て字遊び。実は毎回エンドで出される)

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(#13 戦闘シーン)

後は、佐藤雅弘パートですね。(後でgif追加します)
アルファルドが輸送車から逃げるシーン。
これは良かった。アクションの申し子です。

SACとかフルメタが好きな人は楽しめるんじゃないのかなあ。
後は、フェイト・ゼロとかですかね。
見てなくて言うのもアレなんですが、多分これに近い。
きのこ調のセリフが嫌だと感じなければ、楽しめると思う。

まあそんな感じです。