GOMISTATION.Re0325

本気でいく

カテゴリ: 原画マン

ヒナまつりとは、まあヒナが可愛いだけのアニメです。嘘です、アンズちゃんが一番可愛いです。今回は、爆発サイコー人間としては、珍しくアクションや芝居作画を取り上げます。


アバン格闘1:荒木涼作画
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バシバシと相手の攻撃をいなし、スキができたら即座に突く。全体的に、動きは速く目で追えないところもありますが、キレイに捌いているな、ということは伝わる。ここは、要するに、マオの強さが分かればいいわけですから。

アバンは主に荒木涼さん。名前は知っているていどの認識でしたが上手い。

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突き飛ばされた後に体勢を立て直し、反撃に移るまで。服のしわに注目。服のしわカゲの移動によって、重心の動きや、予備動作(※殴る前の振りかぶりみたいなもんです)を示す。これがひとつ、竹内調の特徴的なところかなと。


アバン格闘2:荒木涼作画
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マオが殴るとき、オバケ・ブレ線が見られますね。この辺も特徴かなー。んで、吹き飛ばされるシーンがありますよね。このやわらかく吹き飛ばされるところもけっこう大事。すぐにフェードアウトせずに割と画面に残る時間が長い。よって、目に残る。飛び散る汁もいいアクセントになってますね。

汁は打ち上がっているんで、倒れる人より後に落下するはず。ですので、これは理に適ったシーンかなと思います。あとは、まあ、この辺のしわにも注目されたい。

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蹴り上げられた膝下の服が上に寄り、しわが大きく動く。


ワタシノスマートフォンガー:竹内(哲也)作画
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竹内作画です。特徴である、しわの多さ・大きさは、スマホ達人の服を見るとよく分かりますよね。ときどき、ミシュランみたいになる。荒木さんと違うのは、中割りの多さですかね。スマホ達人が、慌てるときに首を小刻みに振るわけですが、ここの枚数が多い。荒木はシーン全体重視かな、一方で竹内はカット単位で芝居重視な感じ。



竹内調の特徴はだいたい分かったと思います、整理しとくぞい。

竹内調(竹内哲也作画)の特徴
1、大きめのしわのカゲで体の動きを示す
2、小刻みな動きが多いため中割りが多くなる
3、ビクビクんみたいな動きでランダムさ
4、ブレ線の多用


あと、ヒナまつり全体に言えることですけど、しわが目立ちですねえ。

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さいきん気付きましたが、しわって、服と体の密着具合の表現ですね。もしくは、服と服の間です。その間に、どれだけ空気が入っているかで、しわ作画(しわの大きさ・多さ)って決まるのかな。じっさい、ヒナを見ると服のサイズが合ってないんで全体的にしわが入っている。新田のパンツはあまりしわないですが、背広は割としわが入っていますよね。





アバン以外の良い作画も見ていきましょうかね。


ヨッコラセ:?作画 ★
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新田がイモムシ収納みたいなのに足をかけて裏返す。裏返す時に、腕・肩甲骨に力を入れて、腰で持ち上げていることが分かる。あとは、裏返した後に、よろけてんのが良いんですよ。重心崩しそうなところ、わずかだけど崩した。それが分かるように作画しているのが写実的で良いですよね。



暴力団カチコミ1
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新田の転び、ここはタイミングが上手い。急いだために足がもつれて、画面左に倒れ込む。


暴力団カチコミ2:?
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物量オンパレード。倒れ込んだ構成員が、ちょっとバウンドしているところに注目。落下した・倒れ込んだ後に、ベタッと地面に着かない。きちんとリアクションを考えて作画する。そんなところも竹内さんの特徴かなあと。いや、ここ竹内さんかどうか分からんけどね。


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破片フェチとしては、手前に大きなガラスがあって、奥に小さな破片があるのが良いです。電話コードが伸びてバウンドしていくの良いなあ。欲を言えば、地面に着いたときには割れて粉々になって欲しいですけど、それは要求しすぎかな。


指ピッ
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ここ割とタイミングがおもしろかったので。けっこうパッキリしてますよね。間の枚数が少ないのもありますけど、反動的な絵があるからパッキリとなっている。

総決算として作る予定、時期未定。

増尾MAD3(未完成版)


方向性がまったく決まっていない状況なんで、まあゆっくりと粘土こねこねしていきます。バソダイチャネルによって消された(正しくは閲覧不可とされた)増尾MAD1の作画を見てもらいたいので、あっちと被る部分もあるよ。というか、「MADOX」「ナディア」あたりはガッツリ入れようかなと。まあ、ほんとまったく決まってない。どうしようかね。


■スロウスタート(OP.02.03話)

圧巻の野中作画もそうだけど、全体的にA-1とは思えない。なにがあったんだろう。


ジャーンプ:野中作画(※推測)
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カメラ左PAN+背景TUTB?→(ACつなぎ)→オバケ

パースが崩れず、違和感が全くないのが良い。力感なく、軽くジャンプするところに、運動神経の良さが表現されている。なんかに似てるな~と思ったらコレだった。


(「宇宙戦艦ヤマト2199(2012/劇場)」)
(※初代ヤマトにもあったと思うけれど、探しても出てこない)


Bパート身体測定~アイス食う前までは、野中作画でしょう。「エロマンガ先生」の野中作画でもあったけど、さいきんはオバケを多用している。「未確認で進行形」「マギ」「ゆるゆり」の頃(※2013-14あたり)は散見されましたが、近年は写実傾向にあったのか、あまり確認されず。


オバケいうんは、こういうヤツですね

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完全に離れている方が代表的だけど、まあこまけえこたあいいんだよ。


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(「エロマンガ先生(2017/TV)08話」:野中作画)

まあ、めっちゃ速い動きのときに使う残像と思ってください。今回は、このオバケが肝なんで。最近やけに多用しているんで、注目して見ていく。




ソフトボール投げ その1 ★★
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予備動作とフォロースルーのような写実的な動きに、ややデフォルメ・漫画チックな動きを入れる。簡潔に言うと、これが野中作画だ。

重心の傾きや、それに伴う髪の毛の移動、肘・肩など関節の動き、投げる瞬間に重心が一挙に前になる。まあ普段から言っているとおり、このへんが野中は上手い。


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ここだと、投げる前の準備(体全体の重心が後ろになって、肩を大きく引いているところ)が予備動作で、投げた後の動き(慣性)がフォロースルー。投げる直前に、オバケが入っている。




ソフトボール投げその2 ★★★
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02話ベスト野中作画。ドヘタクソなハナちゃんのソフトボール投げ。予備動作は、エイコちゃんと比べると、肩ではなく体だけを捻っている。肩はほとんど引いてない。両手で投げた後のフォロースルーに、オバケが発生する。オバケはさきほど軽く触れたが、ここでは「腕の振り」に当たる。


そんで、「ハナちゃんカットのオバケってなんであるんだろう?」と感じた。無くても良さそうじゃん。エイコちゃんのカットは、腕が振れている(※投げるのが上手い)のを表現するために、オバケを使っているのかなと。そうすると、ハナちゃんのカットには特に必要ではないんよね。


この場面のメインである、「ソフトボール投げ」はそもそも何なのかを考えてみる。ソフトボール投げにおいて、最も腕を強く振るのは、「ボールを投げる直前/瞬間」であると思う。少なくとも、ボールを投げた後ではないだろう。二人のオバケを比較してみようぜ。


★二人のオバケ比較
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同スロー
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(※オバケが2枚フォロースルーとなっているが、予備動作と脳内変換たのまい)

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運動神経が良いエイコちゃんは、投げる直前の予備動作にオバケが入っている。その一方で、ドヘタクソのハナちゃんは、フォロースルーにオバケが入っている。すなわち、エイコちゃんは、ボールを投げる直前/瞬間に、もっとも腕を振っていて、ハナちゃんはボールを真上に投げた後に、もっとも腕を振っていることが分かる。



つまるところ、運動神経の良し悪しを、オバケで表現している。だから、ハナちゃんのときにも、「変なところでめっちゃ腕振ってる」のを表すために、オバケがある。あとは、「ヘタクソな動き」って表現するのが難しいんですよ。かっこいい感じなのはナンボでも誤魔化せますけど。


あと、ドヘタクソなハナちゃんが辛く映らないのは、「キョトンとするハナちゃんの絵」が入っているから。これがそのままの絵だと、ちょっとシリアスになってしまう。僕らが深刻に受け取ってしまい、ネタにならない感じというか。デフォルメされたミッフィーみたいなハナちゃんの絵が入っていることで、なるほどハナちゃん可愛いなとなるわけ。ネタとして消化できる。


単純に体のねじり方や、肩の引き方を見るだけでも、上手いですよね。野中は良い。よく観察して自分の中で解釈しているのが、作画から伝わってくる人はそうそういない。野中作画は下に貼っているやつが分かりやすいので興味があれば是非に。




またそのうち、野中作画は体系化した記事を出します。「ゼロ魔F」~「バイブリーPV」あたりまでを、時代別に整理します。お楽しみに~

クロスフィルターとは撮影効果の一つです。通常はイルミネーションだとか、夜景の美しさを表現するために使われます。あとはご飯の美味しさとかですかね。

*参考
http://www.kenko-tokina.co.jp/special/product_type/201511_crosssoft.html


増尾昭一が普及させたものとして、中野フラッシュがあります。
*参考
http://sajiya.blog89.fc2.com/blog-entry-592.html



結論から先に言えば、これがクロスフィルターの発展型と組み合わさって(もしくは昇華して)、現状の表現(増尾さんが最後に関わった「エヴァQ」が顕著)になったと僕は思うんですね。


■ふしぎの海のナディア 39話(TV/1990):増尾作画
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これがもっとも純粋なクロスフィルターの表現。クロスフィルターは基本的に、何本かのクロス光を重ねるようにして入れます。キレイに入ってますよね。


ちょっと昔を見てみると、

■戦え!!イクサー1 ACT.1(OVA/1985)
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こんな感じ。これは光線の間隔が広いですね。



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白コマとクロスフィルターの組み合わせが閃光を表現している

この時代は、こういった「ビームの前に発射する前の1段階」みたいな表現は山ほどあるとおもいます。どうなんだろうね、もっとすごいのもあるかも。




■魔法少女まどか☆マギカ(TV/2011)
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これ微妙、というか回転クロス光ですね。もうちょい良いのがあると思ったんですけど、今のところ分かってなす。


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この辺もカッコイイけどね~これは金田光だなあ、円と十字で形どっているので







んで、中野フラッシュとクロスフィルターが合わさったのが次の作画なんですよ。


■ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(劇場/2012):庵野作画
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原画集では、クロス光はなく指示も無かったとおもう。撮影部、デジタル部、もしくは増尾特技監督によるものでしょう。これほどタイミングが素晴らしいのは、なかなか作れない。





あとは綺麗なやつも載せておこう

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グサーのところですね。遠方から近くに寄ってくる中野フラッシュが美しい。もはや、増尾フラッシュと呼称しても良いのではないかとおもう。



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まあ、ここまで読んでくれたら言うことは特にないでしょう。キレイな増尾フラッシュですね



たとえば、大張さんの光表現だとか、グレンラガンの今石作画とか、とうぜんにツッコミどころはあると思います。そこら辺はまた後日、調べたいと思っています。詳しい人はコメントしていただきたい。本当は年末に上げたかったんですが、多忙をきわめておりました。

劇場作品「GREY」における、エフェクト作画を追っていこうと思います。


■GREY デジタル・ターゲット(劇場/1986)


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(本編エフェクトその1):前島作監(※推測)

モコモコとした山のようなディテールを作り、タコ足煙を伸ばす。透過光はほとんど使わず、ハイライトで爆発の高温を表現する。前島作画・作監はそんな感じだと思う。



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(本編エフェクトその2):鈴木作画・作監(※推測)

その一方で、爆発同士をひとつの塊とみなし、ブラシを使ったカゲのディテールが見られるのが鈴木作画・作監でしょうか。タコ足も爆発に直接つながっている(※前島作画のように、爆発本体から独立したものとはなっていない)。破片はさほど差がない。クレジットを記載しておく。

エフェクト作監:前島健一、鈴木伸一
原画(抜粋):荒木英樹、山根まさひろ、南伸一郎、本谷利明、古橋一浩

このように、本編のほとんどのエフェクト作画は、作監である前島・鈴木さんによるものでしょう。クオリティ高く統一感が出ている。裏を返せば、統一感がないところが本谷利明パートと言えなくもない。まあ、消去法的でちょっとアレなんですが。


以下全て、本谷作画。もちろん推測なので、参考までに。


★戦闘機ぐしゃどかーん
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強烈なショックコマ+緻密な戦闘機の破壊描写。「メガゾーン」における本谷作画の緻密さを思い出すほど、破片が細かい。フォルムはわりと球形で、ディテール少なめ。ここは少し本谷作画とは異なるような気もする。中野フラッシュのようなショックコマは、おそらくメガゾあたりで知り合った増尾さんから模倣したんじゃないかなあ。


★立ち昇る煙
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カゲ2色のリピート作画ですが、密度が本編のそれと違う。だいたい分かってもらえたら良い。


★爆発ダブルアクション
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前島・鈴木両名はほとんど透過光を使わないように思います。ですので、このシーンは異質に映った。タコ足煙もただ伸びていくだけではなく、しっかりと重力に従って落ちていく。あとは「AKIRA」のタイミングにめちゃ似てるんですよね。



★ミサイルドカーン
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じゃっかんですが、タイミングが違っている。透過光や黒いカゲの使い方が、前島作画のそれとは異なって見える。まあこれは、本谷作画の前島作監修正かもしれません。


んで、80年代前半のエフェクト作画は、絶賛「金田系」祭りです。田村英樹などが代表的ですかね。どこかしら、金田作画を基調にしたものが多い。ということは、板野系(球形を中心とした爆発作画)などは必然的に目立ってしまう。初期の本谷作画は、球形を集めたもの(※メガゾ2あたりになると、フォルムが固まってくる)ですので、今回のようになったのかと思います。にしても、初期の本谷利明作画はぶっちゃけ分からんところが多いなあ。

「ナディア」~「帝都物語」あたりの、1990年代前後は増尾作画の過渡期です。この時期は、過渡期ということもあり、さまざまな工夫が見て取れて面白いんですよ。パートは全て推測。



■帝都物語(OVA/1991)01.03.04話


01話:崩れ行く建物1
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01話:崩れ行く建物2★★
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この時期の代表作は、「ナディア」「クラッシャージョウ」など。で、この頃の増尾作画の特徴といえば、『デコボコ平面フォルム』と、『クワガタ・ムーンライン』の2つです。なに分からないと。21世紀の義務教育ですよ、ご説明しましょう。



★増尾作画フォルム・ディテール比較図
増尾1990前後比較

特徴を要素別に分けると、
・輪郭と煙内部の色は異なっている(※輪郭と内部で色分けされている)
・煙内部のディテールに「クワガタ」のような模様がある
・煙内部の中心にカゲは、ほとんど付かない

この3点が、この時期の増尾作画(増尾煙)の特徴です。


さて、これらを踏まえて以下のgifを見てもらいましょう。今までより、ずっと深く、増尾作画を理解できると思います。


03話:家ぐしゃあ
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輪郭と内部は線で分けられており、煙内部にはカゲが付いていない。これでは平面的になってしまうはずなのに、立体感がある。なぜか。それは、これら平面的な煙を何層にも重ねているからです。オーガス以降、増尾作画の根幹をなしている部分です。



もう一つの主な特徴として、「爆発を2段階に分ける」というのがあります。

03話:大仏ドカン
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最初は遠方で爆発させておきながら、あるていど時間が経つと急に目の前で爆発する。カットの終わりで、5枚ほどでドカドカと爆発するんですが、これも大きな特徴です。「ガンスミスキャッツ」「トップをねらえ!」などでも散見される。



03話:龍内部での爆発(※推測)
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ディテール少なく、丸いフォルムのハイライトが入っている部分が重要。ぶっちゃけこれは微妙ですが、急速に伸びていくタイミングが増尾作画っぽい。


03話:ドッカン半球ドーム爆発 ★
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増尾作画では、半球ドームがときどき(「彼氏彼女の事情」「旧劇」「RE:キューティーハニー」など)見られます。ディテールが少ない半球ドーム爆発は、タイミングが大きなポイントとなる。膨らんでから目の前に迫るまで、そのタイミングのセンスが光る。



04話:墓ビーム
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04話は本当にさっぱり分からんかった。まあ、可能性があるとしたら、この辺でしょう。ナディアで見せたビームの膨らみ方/しぼみ方と似ている。あとはスミアのような、増尾(中野)フラッシュも判断材料ですが。ここでなかったら、瓦が浮きあがっていくところかもな~


「帝都物語」は豪華原画による作品ですので、やはり見極めるのが難しかった。特に、庵野合田松尾増尾が参加している話数は嬉しい一方で、判定のときには困ってしまうような。まあ、パート判定なんて正解することが目的ではありません。パート判定を通じて、その人の作画のどこに一体魅力があるのか、それを知ることが目的です。パートの正否はあまり重要ではないのです、間違っていたら直せばよいだけですから。「帝都物語」で増尾作画の別側面を知ることができた、それが作画のもつ楽しさの一つであります。

「ドラパン」「学校七不思議」あたりについて、述べておきたいとおもう。子どもの頃は、ドラ映画ばっかり見てたんですよ。これまた作画が良いんですよ。




■ドラミ&ドラえもんズ ロボット学校七不思議!?(劇場/1996)


ドカンドカン ★★:佐々木政勝(※推測)
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反動を利用して脱出するドラ・ザ・キッド。空気砲の煙がいったん広がってから細く伸びることで、奥行を出す。ラストの方の煙のタイミングなんかと比較してもらえれば、いろいろ分かると思います。



自由の女神ドカン:佐々木政勝作画(※推測)★
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これなんかも面白い。急速に広がった煙なので、外側の煙が内部へと戻っている点に注目して見てもらいたい。あとは、まあ佐々木政勝作画に共通しているんですが、ワシ爪のようなカゲを多用します。これが彼の作画の最大の特徴。



手作りどら焼き ★★
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関係ないんですが、特に印象に残っていたので。膨らんだ後やや平べったくなり、その上に、あんこを注いで、上からもう一枚ぽんっと置く。湯気がいいんすよ、湯気が。






■ザ ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!(劇場/1997)



崩壊と中身の登場 ★★:佐々木政勝(※推測)
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上部で建物が破壊されて中身が剥き出しになる。良い煙ですね、カゲ2色で立体感マシマシ。瓦礫が落ちていくときの煙は、瓦礫に引きずられるように伸びていく。


ドラえもんズ復活:佐々木政勝(※推測)
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この辺もタイミングが気持ちいい。広がるときは瞬間で、それから少し時間をかけてドラえもんズが煙から現れる。


ようやっと、佐々木政勝も少し紹介できました。佐々木政勝といえば、「咲-Saki-」「らんま1/2」における美少女作画も有名ですが、エフェクトも素晴らしいものがあります。ほぼカゲは1色なんですが、面白いことに立体的でダイナミックな爆発を書く。

さて、今回は上妻晋作作画について(カミツマとは読みません、コウズマと読みます)。上妻作画、特にエフェクトは、ジャンル分けできないほど個性的である。とにかく、タイミングがとても独特である点が最大の魅力だ。その点に注目して読んでもらいたい。


★神撃のバハムート VIRGIN SOUL 01話(TV/2015)


辺りを伺う龍と煙
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ちょうど半分くらいの瞬間に注目。煙がいったん、その場で停滞している。ただ単純に、煙が一定の動きをするのではなく、空気を考慮した結果、こうなっていると思う。

煙/爆発のディテール
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煙のディテールは、たいていカゲ1色。煙表面において、大きくしたり小さくしたり、また煙本体と連動させながら動かすことで、煙の動きを表す。炎/爆発時は、カゲとハイライトをそれぞれ使うが、ハイライトに重きを置いている。



龍の立ち上がりと建物の崩壊 ★★
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上妻作画は、どうにも言葉にしにくいんですが、やはり時々「止まる/停滞する」。このカットにおいてもそれは顕著に現れていて、建物が崩れた瞬間、龍が口を開けた瞬間に少し止まって/滞留している。とにかく、タイミングがとても独特と思ってもらえれば良い。建物が崩れた後の微妙な間も、地に足が着かない感じの不安定さがある。これで、単純な絵にならないようにしている。




伸びる炎ブレス ★
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炎の発生と消滅のタイミングに注目。色は2色+透過光ですかね。上妻作画は、主に球形のフォルムを多用する傾向にある。球形フォルムによって、炎を形どった後、色を白→黄→赤へと変化させる。その変化もパターン化されておらず、「どの瞬間に最も高温であるか」を念頭に作画されている。



炎ブレス2
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こちらも同じく。球形を2層に分けて、エフェクトを展開している。前方に透過光で、オレンジの方が後方ですね。消滅するのは、透過光の方が速くて理に適っている。しかし、このタイミング、どう説明したものか…。これだけスッパリと消滅する炎って中々ないのだ、というのも、たいがいは違和感が生じたり、ぎこちなく見えてしまうため。それを違和感なく、やり遂げている。




空中炎ぶわあ ★★
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あとは、こういった風にロール状に色を変化させつつ、炎を表現する場合もある。それぞれ違う速度で落下していくのが分かると思う。やっぱり上手いなあ。



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スミアを映してから右PAN。これも同様に。右PANしてからの外炎のフォルムも柔らかい。上妻作画というのは、球形の持つ「柔らかさ」と「瞬間さ」を上手く利用しているのかも?



とにもかくにも、独特なタイミングが上妻作画の最大の魅力だ。これは誰にも、模倣することができないと言い切っていい。そういうレベルのタイミングのセンスが上妻作画にはある。

黒田、野中が原画参加とあれば、記事にしないわけにはいきません。黒田結花は作画監督も兼任、他には三木達也、北川隆之などもクレジット。



たまちゃん攻略戦:三木作画(※推測)
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中央部に膨らんだ煙を集める。カゲは基本的に上下に分けて描き、それを動かすことで立体感を出す。この辺が三木煙の特徴かなあと思っている。


たまちゃん攻略戦、具体的に言うと、たまちゃんと組み合ってからは三木さんが多くやってると思う。この辺ですね。

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水滴とタイミングが上手かったので。



野中はどこだろうと見直しましたが、ぶっちゃけさっぱり分からん。北川さんもいるし、まあ野中っぽいというよりは上手いところで探しました。


ナナチてくてく:野中作画(※推測)
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おしりフリフリ/耳フリフリに注目。これで重心の移動を示す。野中なら、ナナチがのけぞった時にもうちょっとハッチャケそうな感じがする。


ご飯をよそうナナチ:?
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これバリ上手い。よそう前にちょっと垂れるのを切ってるじゃないですか。こういう細かい芝居はやっぱいいっすね。



あとは完全に趣味ですが、このワイヤーも良かった。

ワイヤーばしゅーん
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いやあ、これはレイアウトが上手いですねえ。画面に空間を感じるように設計されている。




さて本題の黒田結花ですが、原画はほぼやっていないかも。作監修正がメインかもしれない。やっているならば、たまちゃん攻略戦が終わった後の水蒸気あたりかな。

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この辺は黒田煙っぽいです。フォルムも、内部線を重視するカゲ付けも黒田作画の特徴。僕は彼女は素晴らしいエフェクトアーティストだと確信しているので、もっとエフェクトを書いて欲しいですねえ。

とりあえず、最近判明した増尾作画を


■「月光のピアス ユメミと銀のバラ騎士団(1991/劇場)」
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燃えるときの炎と白コマがかっこいい。電撃もめっさ上手いですねえ。
(※そのうち、プラズマ・電撃系作画も整理したいNE)




■「新海底軍艦(1995/OVA)01話」※推測
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「新海底軍艦」の増尾作画はまったく分からんわけですが、自分の見立てだと、ここしかないんですよね。2回目の爆発の後、煙の表面ディテールが少なくなっていることが分かると思う。この特徴は、「ダンガイオー」以降「アギト」まで続きますので。



■「紅狼(ホンラン/1993/劇場)」★★
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この紅狼における爆発は、たぶん90年代で一番ではないかなあ。広がっていく際にカゲが2色あるのって珍しいんですよ、この時期では。



追加(2017/10/22)

■「スケバン刑事(1991/OVA)02話」
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大匙屋さん提供。ディテール少なめの平面煙を重ねていくことで、奥行や立体感を出している。



■真救世主伝説 北斗の拳 トキ伝(2008/OVA)
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横からの爆発では透過光を全面に出し、タタキも入れている。爆発の臨場感/カタルシスを描写。



■銀色の髪のアギト(2006/OVA)
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これMADに入れ忘れた分。レイアウトが上手いから、遠近がよく出る。


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90~00年代はこんな感じのタイミング。一旦爆発する時に白コマがあり、画面手前に押し寄せてくる時に再度白コマを入れる。


あと、下の記事における、「AKIRA」の増尾作画もほぼ確定しました。
(※→仲さんのツイート
AKIRAにおける増尾作画の推測と、王立庵野の影響について
http://royal2627.ldblog.jp/archives/47360550.html

戦車のとこですね、ヘリのカットは不明。




この時期は、やはり難しい。AKIRA・王立以降の90年台は増尾作画の過渡期で、まあ3種類ぐらい使い分けてると思うんですよね。すごく遠くの爆発は半球ドーム型で、近いとこだとお団子型/立体フォルム型になる。で、眼前ぐらいの距離だと、平面の煙を重ねる感じ。ディテールだけでも相当の試行錯誤が見られる。

「距離別にエフェクトを変えたい意志」が明確に伝わってくるのは、だいたいトップぐらいから。起因するのは、以前言ったとおり、王立とAKIRAだと思いますが。平面エフェクトは、どういった意図があるのか。それが気になる。焦点が合ってない感じとかを表現したいのかもしれない。

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