フリッカーの追加参照例です。
(※俺しか興味ない感少しあるな!)
前記事では、フリッカー・ブレ作画って希少価値が高いかなあと思っていたけれど、よくよく考えればコマ数操作なので、頻出してますね。よく見るのはやはり鍔迫り合いとか、悶えるシーンだったり、怒りを堪えるシーンだったりなので、「拮抗」って言葉がフリッカーにとっては重要な気もする。笑いブレなんかはちょっとまた違いますけどね。あれは多分(他のブレに比べると)レア度高い。
■「HELLSING」 13話 (2001/TV)
セラスが攻撃された後のところ。アーカードに弾丸を渡そうと必死に手を伸ばしている。
ここのフリッカーなんかはすごく上手い使い方だと思う。腕がピクピクと震えるところは、画としては3枚だけなんだけど、これだけで画面にすごい緊張感が走る。
■「それが声優!」 OP (2015/TV)
佐々木政勝作監OP。これは上手い笑いブレ。
こういったブレ作画の一番のいいところは、肩の動きが小気味よくなるんですよね。「ハッハッハッ」と強く笑うと、肺が膨らんで胸が押し出されて、結果的に肩が動く。そういった部分がすごくリアルで、笑いブレのベストなところと思う。
■「幽玄会社」 02話 (1994-95/OVA)
妖魔が暴走して、クククッとした怖い動きで少女(奈々美ちゃん)を襲おうとしている所。
何かクモみたいで気味悪く、ホラーチックな動きになってますよね。不気味さという点でもフリッカーが効果的なのは、前回述べた通り。滑らかにあえてしないことで、不気味になる。
■「サマーウォーズ」 (2009/劇場)
栄おばあちゃんに斬ってかかられるシーン。ユパさま並に痛そう。
グググッと、両者が拮抗してますよね。ここの拮抗は力というよりは、思い。侘助はこの前のシーンでギャグみたいにすっ転んでるわけですが、このシーンを堺に一挙にシリアスになる。一番大切に思ってる人に、自分のして来た行いが認められないことの苦痛な思いのぶつかりみたいな。そんなものが表されているように感じる。
後はTwitterでぼちぼち見かけたのが、キャラが驚いてる時に起こる瞳孔の動きとかがフリッカー(ブレ)の一種かもなあということで。言われてみれば確かに…という感じで。このサマヲとかが分かりやすいと思うんですけど、これはいろんなとこで見かけますね。
瞳孔ブレ
これは物語ラストの方で、OZの暗号を暗算で解いてるところ。
まあこれはフリッカーというよりは、単純なブレ作画なのかなあと。瞳孔の他には、影とかでブレさせるヤツもありますけど、あれも多分フリッカーよりはもっと単純。フリッカーっていうと、もっとこうグググッとした感じで、ジグザグに中割り(そこそこ複雑なシート操作を)してる気がする。広義だと、こういうブレも全部含むのかもしれないけれど。
(※俺しか興味ない感少しあるな!)
前記事では、フリッカー・ブレ作画って希少価値が高いかなあと思っていたけれど、よくよく考えればコマ数操作なので、頻出してますね。よく見るのはやはり鍔迫り合いとか、悶えるシーンだったり、怒りを堪えるシーンだったりなので、「拮抗」って言葉がフリッカーにとっては重要な気もする。笑いブレなんかはちょっとまた違いますけどね。あれは多分(他のブレに比べると)レア度高い。
■「HELLSING」 13話 (2001/TV)
セラスが攻撃された後のところ。アーカードに弾丸を渡そうと必死に手を伸ばしている。
ここのフリッカーなんかはすごく上手い使い方だと思う。腕がピクピクと震えるところは、画としては3枚だけなんだけど、これだけで画面にすごい緊張感が走る。
■「それが声優!」 OP (2015/TV)
佐々木政勝作監OP。これは上手い笑いブレ。
こういったブレ作画の一番のいいところは、肩の動きが小気味よくなるんですよね。「ハッハッハッ」と強く笑うと、肺が膨らんで胸が押し出されて、結果的に肩が動く。そういった部分がすごくリアルで、笑いブレのベストなところと思う。
■「幽玄会社」 02話 (1994-95/OVA)
妖魔が暴走して、クククッとした怖い動きで少女(奈々美ちゃん)を襲おうとしている所。
何かクモみたいで気味悪く、ホラーチックな動きになってますよね。不気味さという点でもフリッカーが効果的なのは、前回述べた通り。滑らかにあえてしないことで、不気味になる。
■「サマーウォーズ」 (2009/劇場)
栄おばあちゃんに斬ってかかられるシーン。ユパさま並に痛そう。
グググッと、両者が拮抗してますよね。ここの拮抗は力というよりは、思い。侘助はこの前のシーンでギャグみたいにすっ転んでるわけですが、このシーンを堺に一挙にシリアスになる。一番大切に思ってる人に、自分のして来た行いが認められないことの苦痛な思いのぶつかりみたいな。そんなものが表されているように感じる。
後はTwitterでぼちぼち見かけたのが、キャラが驚いてる時に起こる瞳孔の動きとかがフリッカー(ブレ)の一種かもなあということで。言われてみれば確かに…という感じで。このサマヲとかが分かりやすいと思うんですけど、これはいろんなとこで見かけますね。
瞳孔ブレ
これは物語ラストの方で、OZの暗号を暗算で解いてるところ。
まあこれはフリッカーというよりは、単純なブレ作画なのかなあと。瞳孔の他には、影とかでブレさせるヤツもありますけど、あれも多分フリッカーよりはもっと単純。フリッカーっていうと、もっとこうグググッとした感じで、ジグザグに中割り(そこそこ複雑なシート操作を)してる気がする。広義だと、こういうブレも全部含むのかもしれないけれど。
エヴァとズヴィズダーから見る、楽しいフリッカー作画
他にフリッカーねえかなあと思って探してた意外と見つかったのでちょっと。
(※それにしても、相変わらず守備範囲が狭すぎるNE)
・「世界征服~謀略のズヴィズダー~(2014/TV)」 02話
ヴィニエイラ様のお食事タイム。かわいい。
逸花お手製のマズメシを恐る恐る食べようとしている、ケイトの腕の動きに注目。
恐る恐るなので、手が行ったり来たりしてるのが分かると思う。
これもガクガクして、ぎくしゃくした映像になっているから、フリッカーと呼んでええと思う。
間違ってたらゴメンチ。
・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012/劇場)」
アスカがメットを引っかかりながら外すカット。
やや、顎の部分の画が往復していて、ガクガクとなっている。
ちょっとこれは微妙かなあ。それっぽいんですけどね。
アスカ食いしばりカット。これはフリッカーを素晴らしく上手く使ってる。
「歯の食いしばり」を表現するために、歯茎(右下)をわざとチラッチラッと見せてて。食いしばる時は、歯よりも口周辺の筋肉が動くんだよね。原画枚数は増やさずに、その順番をズラして歪にリピートさせることで、その表現を達成している。
ここも同じく。弐号機コード777(トリプルセブン)状態のシーン。
アスカがカメラに迫ってくるカットなんだけど、その迫り方がぎこちない。映像が滑らかに進まないことで、力の拮抗感を出している。
同スロー
次の画に進んだと思ったら、前の画にひゅっと戻るのがこれで分かると思う。
歯の食いしばり方がまた良いですね。
ここはCGだけど、ガタツキ方が似ていたので。
まあこれはブレとかガタツキの表現だけど、根底にはフリッカー作画に対しての意識というか参考というか、そういうのがあるかもしれないということで。ガタツキ方も一定じゃないんですよね、全部バラバラで歪にリピートしてる。
・「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 AIR/まごころを、君に(1997/劇場)」
量産型が弐号機に刺されて、少し硬直した後にやんわりと力が抜けていくカット。
手が伸び切る前の場面での動きに注目。
3回ぐらいブレて痙攣している様子を表現してる。
吉成作画。弐号機が量産型を2体ぶち抜いて、血しぶきブシャーのカット。
弐号機の腕と、量産型のもだえ苦しむ姿がフリッカーによって作画されている。
これめっちゃ良いフリッカー作画だと思う。素晴らしい。
舌出してる量産型の顔が、中央→下→中央→左とぎこちなく移動するのが特に上手い。
上記のカットを受けての、アスカの描写。
ここでは弐号機とシンクロしてるので、同様にフリッカーさせている。
自分の全体重をかけて、弐号機の腕に伝えていて、見ているこっちにも力が入りますね。
肩にも力が入っていて、肩全体が前面にグッと出てきてるとこがまた上手い。
弐号機が無理やり起き上がろうとしているカット。
口全体のガクガク感が良いですね、
限界でありつつも無茶に起動しようとしているのを画で描写している。
大体こんなとこかなあ
自分がフリッカー作画から感じていることは、次の3点。
1、エンジンの駆動・始動っぽい(ドルルンって感じ)
2、カットにおいて原画・動画が往復することによる、もどかしい感じ
3、目に引っかかり、印象に残りやすい
これらは、ジグザクな中割りっていう点で当たり前かもしんないんですが。
とても印象に残りやすい要因は、これが普通の映像じゃないから。普通のアニメーションって滑らかじゃないですか。今の商業アニメでは、原画をまず書いて動画をその間に(基本的には滑らかにするために)入れていきます。そのポーズトゥポーズにおいては、(カクカクしないで)滑らかになるというのはやはり必然であって。その中に、ある種「引っかかり」のような違和があるカットというのを入れてくると、やっぱりいい意味で浮いてきます。
となると、やはり見所で使おうと誰しも考えると思うんですよ。「ここを見て欲しい」と思うんなら、違和のある画(普段とは違う画)というのをぶち込んでくると俺は思う。じっさい前回や上で見た例も「ここぞ!」って場面で使われてるケースが多い。そんで、これだけ多用されているのは、何よりも負担はさほど増えず(少なくとも原画枚数は変わらないので)に見せ場の演出ができる、というのが大きい、と思う。
ちょっとこういう部分に注目して見ると、またアニメが面白くなるかもしれません。
(※それにしても、相変わらず守備範囲が狭すぎるNE)
・「世界征服~謀略のズヴィズダー~(2014/TV)」 02話
ヴィニエイラ様のお食事タイム。かわいい。
逸花お手製のマズメシを恐る恐る食べようとしている、ケイトの腕の動きに注目。
恐る恐るなので、手が行ったり来たりしてるのが分かると思う。
これもガクガクして、ぎくしゃくした映像になっているから、フリッカーと呼んでええと思う。
間違ってたらゴメンチ。
・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012/劇場)」
アスカがメットを引っかかりながら外すカット。
やや、顎の部分の画が往復していて、ガクガクとなっている。
ちょっとこれは微妙かなあ。それっぽいんですけどね。
アスカ食いしばりカット。これはフリッカーを素晴らしく上手く使ってる。
「歯の食いしばり」を表現するために、歯茎(右下)をわざとチラッチラッと見せてて。食いしばる時は、歯よりも口周辺の筋肉が動くんだよね。原画枚数は増やさずに、その順番をズラして歪にリピートさせることで、その表現を達成している。
ここも同じく。弐号機コード777(トリプルセブン)状態のシーン。
アスカがカメラに迫ってくるカットなんだけど、その迫り方がぎこちない。映像が滑らかに進まないことで、力の拮抗感を出している。
同スロー
次の画に進んだと思ったら、前の画にひゅっと戻るのがこれで分かると思う。
歯の食いしばり方がまた良いですね。
ここはCGだけど、ガタツキ方が似ていたので。
まあこれはブレとかガタツキの表現だけど、根底にはフリッカー作画に対しての意識というか参考というか、そういうのがあるかもしれないということで。ガタツキ方も一定じゃないんですよね、全部バラバラで歪にリピートしてる。
・「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 AIR/まごころを、君に(1997/劇場)」
量産型が弐号機に刺されて、少し硬直した後にやんわりと力が抜けていくカット。
手が伸び切る前の場面での動きに注目。
3回ぐらいブレて痙攣している様子を表現してる。
吉成作画。弐号機が量産型を2体ぶち抜いて、血しぶきブシャーのカット。
弐号機の腕と、量産型のもだえ苦しむ姿がフリッカーによって作画されている。
これめっちゃ良いフリッカー作画だと思う。素晴らしい。
舌出してる量産型の顔が、中央→下→中央→左とぎこちなく移動するのが特に上手い。
上記のカットを受けての、アスカの描写。
ここでは弐号機とシンクロしてるので、同様にフリッカーさせている。
自分の全体重をかけて、弐号機の腕に伝えていて、見ているこっちにも力が入りますね。
肩にも力が入っていて、肩全体が前面にグッと出てきてるとこがまた上手い。
弐号機が無理やり起き上がろうとしているカット。
口全体のガクガク感が良いですね、
限界でありつつも無茶に起動しようとしているのを画で描写している。
大体こんなとこかなあ
自分がフリッカー作画から感じていることは、次の3点。
1、エンジンの駆動・始動っぽい(ドルルンって感じ)
2、カットにおいて原画・動画が往復することによる、もどかしい感じ
3、目に引っかかり、印象に残りやすい
これらは、ジグザクな中割りっていう点で当たり前かもしんないんですが。
とても印象に残りやすい要因は、これが普通の映像じゃないから。普通のアニメーションって滑らかじゃないですか。今の商業アニメでは、原画をまず書いて動画をその間に(基本的には滑らかにするために)入れていきます。そのポーズトゥポーズにおいては、(カクカクしないで)滑らかになるというのはやはり必然であって。その中に、ある種「引っかかり」のような違和があるカットというのを入れてくると、やっぱりいい意味で浮いてきます。
となると、やはり見所で使おうと誰しも考えると思うんですよ。「ここを見て欲しい」と思うんなら、違和のある画(普段とは違う画)というのをぶち込んでくると俺は思う。じっさい前回や上で見た例も「ここぞ!」って場面で使われてるケースが多い。そんで、これだけ多用されているのは、何よりも負担はさほど増えず(少なくとも原画枚数は変わらないので)に見せ場の演出ができる、というのが大きい、と思う。
ちょっとこういう部分に注目して見ると、またアニメが面白くなるかもしれません。
フリッカー作画の実例整理と、その画の演出的な魅力
フリッカーというのは、笑ったり力を入れたりするときの小刻みなブレを作画する手法です。この1カットを鈴木俊二さんがツイートされてから、各方面で話題に(リンク)。
■「アラタなるセカイ(2012/OVA)」
同スロー
高笑いをしながら、少し後ろに後ずさりするカット。このように小刻みなブレを入れることで、「ハッハッハ」という感じを画で示している。時々目にするこの小刻みなブレ、「フリッカー作画」はどのような手法により映像となっているのか。
<1、フリッカー作画の実例いろいろ>
まずは、色々とフリッカー作画の実例を見て行きましょう。
■「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995/劇場)」 原画:濱州英喜
濱州作画。少佐が力をめいいっぱい入れて、ハッチをこじ開けようとしているシーン。カゲとハイライトを動きに合わせて入れることにより、義体の限界を超えた力が入っていることや、ピンと伸長した筋肉がブルブルと震える様子を表現している。
そんで、これに影響を受け、橋本敬史さんがエヴァ破において落下使徒を受け止めるシーンをフリッカー作画で描いています。これがまたすごい。
・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009/劇場)」 原画:橋本敬史
使徒の重圧によって、エヴァの上腕は膨らみ、前腕はガクガクと震えている様子が存分に伝わってきますよね。これをフリッカーで描写しています。濱州作画との相似点は、カゲの入れ方ですね。筋肉がひしめく感じを表現するために入れている、カゲの移動が上手い。
ちなみに、エヴァ破ではこの他にもフリッカーの作画が見られたりもしています。
ダミーシステム拒絶カット
ダミーシステムによる起動を、初号機が拒絶しているシーン。ぐぐぐっと頭部が動くところが、フリッカー作画されている。目の点滅とともにブレを起こすことで嫌がっている様子を表現している。
ちょっと、攻殻機動隊に戻ります。
この黄瀬和哉(※推測)パートがとんでもなくスゴイ。
■「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995/劇場)」 原画:黄瀬和哉(※推測)
人形使いを無理やり起動させているシーン。難しいアングルから、人形使いが非正常な状態で起き上がる様子を作画しています。圧巻のアニメート。尋常じゃないですね、この作画は。フリッカーによってラグやバグが生じているような正常ではない状態を表しており、不安を煽る動きを演出しています。音もついてないのに、普通にこわい。こういう不安を煽るシーンに、フリッカーはとても有効です。
何度も見てると感じたのが、この作画エンジンの駆動っぽいですね。ドルルンって感じが。だから、バイク作画とかにはフリッカーは使われてるかもなあと思っていたり。
目玉ぐるーん
攻殻もう一つ。3方向(右、左、上下)のブレをフリッカーで作画。目の焦点が合ってない感じが伝わってきますよね、壊れている機械を無理やり動かしている感じ。カット終盤、目玉がギョロッと下に移行するのがまた上手い。こわいです、めっちゃこわい。
■「サンダーキャッツ(1985)」 OP 原画:摩砂雪
エフェクトを剣で抑えるシーン。剣で受け止める部分に、フリッカーが使われています。グッグッという感じがして良いですよね。エヴァの監督・コンテ等で有名な摩砂雪さんですが、この人は元々めっちゃ上手いアニメーターです。金田系アニメーターであり、特にジャンプの作画が上手い印象(個人観)。この剣のカット以外もキレッキレな動きが堪能できるので、暇な人はOP見たら楽しめます。
・「問題児たちが異世界から来るそうですよ?(2013/TV)」 01話
・「勇しぶ-勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。-(2013/TV)」01話
(※アニメタイトル間違えていました 2016/08/09修正)
音声なしでも、「ガッハハハ」と笑う感じが伝わってくるシーン。顔だけ揺らすんじゃなくて、肩も連動させて上下していて上手いですよね。多分こういうのが絵の魅力というのかもしれんです。
<2、フリッカーの表現手法>
そんで、ここからは技術の紹介。
このフリッカーは、タイムシートによって調整されることが多いようで、少しだけ紹介します。
タイムシートとは、カットの設計書のようなものです。このセルは何コマ映すのかとか、中割りは何枚入れるのか、どんな特殊効果を入れるのかということを原画マンが書き込んでいきます。これが動画マンに渡り、指示どおり中割りされ、それが演出でチェックされ、最終的には撮影へと回っていきます。
(引用:https://twitter.com/sato_masafumi/status/582744570821103617)
フリッカー作画の方法には、基本形の絵とブレた絵の2つを予め原画として用意し、その中割りを交互に繋いでいくことによってフリッカーさせる方法があります。これは、佐藤まさふみさんが言及されていた方法(リンク)で、直感的で分かりやすいと個人的には思ったり。言及されている通り、使いどころを選びそうではあります。
もう一つは、本来原画を滑らかにつなぐための中割り(動画)を、わざとずらしてブレさせる方法。こちらがおそらく、主流だと思われます。滑らかに並んでいる動画をわざとずらすことによって、ガタツキが起き、結果フリッカー作画となります。[訂正]上記の図で言えば、①→②→ア→カ→イ→キ→ウ→ク→エ→ケ→オ→コ→③という風に繋いででフリッカー作画をします。
その実例を一つ見てみましょう。
■「未来少年コナン(1978/TV)」 03話 原画:近藤喜文
コナンとジムシーが取っ組み合いのケンカをしているシーン。「お前の足なんかポッキンだ」のシーンです。『耳をすませば』の監督で知られる、故・近藤喜文さんの作画。両者の力の拮抗具合、力のぶつかり具合がフリッカーによって上手く描写されていますね。
同カット-原画
(引用:https://twitter.com/ESAKUGA/status/605704205353885698)
右上が中割り指示です。②と③の間をイロハで繋いでいますよね。中割り指示というのは、通常一直線になるんですが、この場合だと時々上に戻ってジグザグ線になっているのが分かると思います。滑らかに繋ぐ動画を、あえてズラすことによりブレさせているんですね。(※以下この記事では、そういった中割りの仕方を「ジグザグ中割り」と呼びます。)
<3、演出としてのフリッカー表現の整理>
[不安・恐怖の表現]
「攻殻機動隊」等。フリッカーの不安定な動きによって、不気味の谷みたいな言いようのない怖さを出す。奇妙でオカシイと感じる動きを演出する。
[拮抗・匹敵の表現]
「未来少年コナン」や「サンダーキャッツ」での表現。
鍔迫り合いのようなもので、両者の力が拮抗しているからこそブレが生じる。
そのブレをフリッカーで表現している。
[メカ物の表現]
・「ガンダムビルドファイターズ(2013/TV)」 16話
メカ・ロボのギミック的な演出。
これはガシーンと左腕が出た後、その反動によって小刻みに動いているのをフリッカーで表現している。これは探せばたくさんありそうで。メカ物における細かなグググッとした握りこぶしだとか、そういうのがあります。
予兆的な演出ですね、その後に控えている決めポーズや必殺技の前座・予兆としての表現。
フリッカー、面白いです。
<参考文献>
・M.S.Cアニメーション用語集-フリッカー
■「アラタなるセカイ(2012/OVA)」
同スロー
高笑いをしながら、少し後ろに後ずさりするカット。このように小刻みなブレを入れることで、「ハッハッハ」という感じを画で示している。時々目にするこの小刻みなブレ、「フリッカー作画」はどのような手法により映像となっているのか。
<1、フリッカー作画の実例いろいろ>
まずは、色々とフリッカー作画の実例を見て行きましょう。
■「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995/劇場)」 原画:濱州英喜
濱州作画。少佐が力をめいいっぱい入れて、ハッチをこじ開けようとしているシーン。カゲとハイライトを動きに合わせて入れることにより、義体の限界を超えた力が入っていることや、ピンと伸長した筋肉がブルブルと震える様子を表現している。
そんで、これに影響を受け、橋本敬史さんがエヴァ破において落下使徒を受け止めるシーンをフリッカー作画で描いています。これがまたすごい。
・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009/劇場)」 原画:橋本敬史
使徒の重圧によって、エヴァの上腕は膨らみ、前腕はガクガクと震えている様子が存分に伝わってきますよね。これをフリッカーで描写しています。濱州作画との相似点は、カゲの入れ方ですね。筋肉がひしめく感じを表現するために入れている、カゲの移動が上手い。
ちなみに、エヴァ破ではこの他にもフリッカーの作画が見られたりもしています。
ダミーシステム拒絶カット
ダミーシステムによる起動を、初号機が拒絶しているシーン。ぐぐぐっと頭部が動くところが、フリッカー作画されている。目の点滅とともにブレを起こすことで嫌がっている様子を表現している。
ちょっと、攻殻機動隊に戻ります。
この黄瀬和哉(※推測)パートがとんでもなくスゴイ。
■「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995/劇場)」 原画:黄瀬和哉(※推測)
人形使いを無理やり起動させているシーン。難しいアングルから、人形使いが非正常な状態で起き上がる様子を作画しています。圧巻のアニメート。尋常じゃないですね、この作画は。フリッカーによってラグやバグが生じているような正常ではない状態を表しており、不安を煽る動きを演出しています。音もついてないのに、普通にこわい。こういう不安を煽るシーンに、フリッカーはとても有効です。
何度も見てると感じたのが、この作画エンジンの駆動っぽいですね。ドルルンって感じが。だから、バイク作画とかにはフリッカーは使われてるかもなあと思っていたり。
目玉ぐるーん
攻殻もう一つ。3方向(右、左、上下)のブレをフリッカーで作画。目の焦点が合ってない感じが伝わってきますよね、壊れている機械を無理やり動かしている感じ。カット終盤、目玉がギョロッと下に移行するのがまた上手い。こわいです、めっちゃこわい。
■「サンダーキャッツ(1985)」 OP 原画:摩砂雪
エフェクトを剣で抑えるシーン。剣で受け止める部分に、フリッカーが使われています。グッグッという感じがして良いですよね。エヴァの監督・コンテ等で有名な摩砂雪さんですが、この人は元々めっちゃ上手いアニメーターです。金田系アニメーターであり、特にジャンプの作画が上手い印象(個人観)。この剣のカット以外もキレッキレな動きが堪能できるので、暇な人はOP見たら楽しめます。
・「
・「勇しぶ-勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。-(2013/TV)」01話
(※アニメタイトル間違えていました 2016/08/09修正)
音声なしでも、「ガッハハハ」と笑う感じが伝わってくるシーン。顔だけ揺らすんじゃなくて、肩も連動させて上下していて上手いですよね。多分こういうのが絵の魅力というのかもしれんです。
<2、フリッカーの表現手法>
そんで、ここからは技術の紹介。
このフリッカーは、タイムシートによって調整されることが多いようで、少しだけ紹介します。
タイムシートとは、カットの設計書のようなものです。このセルは何コマ映すのかとか、中割りは何枚入れるのか、どんな特殊効果を入れるのかということを原画マンが書き込んでいきます。これが動画マンに渡り、指示どおり中割りされ、それが演出でチェックされ、最終的には撮影へと回っていきます。
(引用:https://twitter.com/sato_masafumi/status/582744570821103617)
フリッカー作画の方法には、基本形の絵とブレた絵の2つを予め原画として用意し、その中割りを交互に繋いでいくことによってフリッカーさせる方法があります。これは、佐藤まさふみさんが言及されていた方法(リンク)で、直感的で分かりやすいと個人的には思ったり。言及されている通り、使いどころを選びそうではあります。
もう一つは、本来原画を滑らかにつなぐための中割り(動画)を、わざとずらしてブレさせる方法。こちらがおそらく、主流だと思われます。滑らかに並んでいる動画をわざとずらすことによって、ガタツキが起き、結果フリッカー作画となります。[訂正]上記の図で言えば、①→②→ア→カ→イ→キ→ウ→ク→エ→ケ→オ→コ→③という風に繋いででフリッカー作画をします。
その実例を一つ見てみましょう。
■「未来少年コナン(1978/TV)」 03話 原画:近藤喜文
コナンとジムシーが取っ組み合いのケンカをしているシーン。「お前の足なんかポッキンだ」のシーンです。『耳をすませば』の監督で知られる、故・近藤喜文さんの作画。両者の力の拮抗具合、力のぶつかり具合がフリッカーによって上手く描写されていますね。
同カット-原画
(引用:https://twitter.com/ESAKUGA/status/605704205353885698)
右上が中割り指示です。②と③の間をイロハで繋いでいますよね。中割り指示というのは、通常一直線になるんですが、この場合だと時々上に戻ってジグザグ線になっているのが分かると思います。滑らかに繋ぐ動画を、あえてズラすことによりブレさせているんですね。(※以下この記事では、そういった中割りの仕方を「ジグザグ中割り」と呼びます。)
<3、演出としてのフリッカー表現の整理>
[不安・恐怖の表現]
「攻殻機動隊」等。フリッカーの不安定な動きによって、不気味の谷みたいな言いようのない怖さを出す。奇妙でオカシイと感じる動きを演出する。
[拮抗・匹敵の表現]
「未来少年コナン」や「サンダーキャッツ」での表現。
鍔迫り合いのようなもので、両者の力が拮抗しているからこそブレが生じる。
そのブレをフリッカーで表現している。
[メカ物の表現]
・「ガンダムビルドファイターズ(2013/TV)」 16話
メカ・ロボのギミック的な演出。
これはガシーンと左腕が出た後、その反動によって小刻みに動いているのをフリッカーで表現している。これは探せばたくさんありそうで。メカ物における細かなグググッとした握りこぶしだとか、そういうのがあります。
予兆的な演出ですね、その後に控えている決めポーズや必殺技の前座・予兆としての表現。
フリッカー、面白いです。
<参考文献>
・M.S.Cアニメーション用語集-フリッカー
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