GOMISTATION.DK

2025+1.0

カテゴリ:原画マン > 上妻晋作


やあおひさおひさ、おひたし( ^ω^)

上妻晋作さんの作画ってなんかすごいけど、派手じゃないからなにがすごいのかわからない、タイミングが抜群なんだと思うけど、やっぱりよくわからない、言語化して欲しいっす  
元記事:「チェンソーマン」1話の演出と、上妻晋作作画と、あと食パン

記事要望(?)いただきました。
しかし、

少なく見積もっても、6ヶ月全力奴隷映像視聴メモマンは必要です。
お給金もらいたいレベル。

マア、6ヶ月で到達できるとも思えない。
おっしゃるとおり、上妻作画の「独特なタイミング」があります。

ただ、ぶっちゃけだいぶ言語化できています。
できている方なのよ(´・ω・`)

金田系から直系の発展として歩んだのが、山下将人だとすれば、発展系としては異色の存在である上妻作画。本人の独特な(金田系以外からルーツを得た?)タイミングが混在している。元からあったのかもね。「幽遊白書(1992)」や「餓狼伝説 -THE MOTION PICTURE-(1994)」などが特徴的かと思われます。

最近だと、「神撃のバハムート(2017)」や「ニンジャスレイヤー(2015)」かな?

まあでもかれの言葉を思い出してみれば、ボクに求められるのは「ルーツの探求」ではなく、それがどうしてこうなったか、どういう振る舞いをしているか、といった言語的な解説の方ですよね。それは理解しているつもり。



少しだけ述べるのであれば、かれのタイミングには「間」があります。ボケとかツッコミとか、そういう漫才的な間が近いといったらよいか。要するに、空気・雰囲気を作るタイミングがある。

・なにかのアクションをしている最中
・アクションが終わったあと

ニンジャスレイヤーなんかは特に顕著ですよね。立ち上がりアクションの所作じたいがちょっと変わってて、普通のポーズトゥポーズ(キーとなるポーズの原画からポーズの原画へと移る)ではない。でも、ストレート・アヘッド(原画を頭から書き下すこと)かと言われると違うと思う。

いま見直して思うことは、ポーズトゥポーズの「ポーズ」部分が違うんじゃね?って感じ。空中跳びとか、ガニ股とかそういう典型的な金田系のポーズではなくて、「ポーズをさらに割っている」といったらいいのかな、細分化している感じがある。

ニンジャスレイヤーを例に取ると、
(赤い方の忍者)
立ち上がり(腰ジャンプ)→着地→将棋キック→余韻→エフェクト



という構成になっていますよね。将棋キックのところで、一つ「上妻式の間」を作ってゆったりとさせて、吹き飛んだあとにまた一つ間を作って煙(エフェクト)が出てくる。


この「上妻式の間」の研究と、「上妻式ポーズ」の2つに大別されると思う。言語化するなら。

kouzuma


でもさあ、それ以上に今回思ったのはさあ、

上妻作画って改めて見ると、マジで異質でセクシーだねw
こういうタイミングを取り入れている(なおかつじっさいにアニメーションでその思想を実現している)人は、上妻さんと野中さんぐらいじゃないかな。ぼくが知っている範疇では。

「チェーンソマン」、始まりましたね。制作はMAPPA。監督は中山竜。
キャラデは杉山和隆、悪魔デザインには押山清高が並んだ。

公式サイト
https://chainsawman.dog/


原作:藤本タツキ、「チェーンソマン」、毎週大人気で幕を終えました。いまは2期目に入ってるんだっけ?1期だけ読みましたよ~とても良かった。マキマさんすこなんだ。

1話については、緊張度合いが高く、ダレ場なく。やや退屈なフィルムに映りました。まあそこはいいにしても、「画面の緊張からの解放」がなかったのがあまり良くなかったかなあ。ヤクザゾンビを、すべて倒しきった後のデンジくんすら苦しそうなのは論外。論ずるに値しない。




マアそれは置いといて、本題にいきましょう。


上妻晋作さん参加と聞いて飛んできました。
パートはよく分からなかったけど、ここかなあ~と
※作画シーンはすべて推測です




・ゾンビヤクザ日本刀グサー
20221013214235

上妻晋作作画(※推測)

刺されてから、一瞬おくれるデンジくんの反応
ゾンビヤクザは日本刀を普通に持ちながら、顔面は平行に虚ろに(カメラ方向に)

(ここのTBは何でしたのかよく分からない…)



吐血するデンジとポチタ ★
20221013214248

上妻晋作作画(※推測)

吐血のエフェクトがブロック状なのが面白い

chaiso01-02.mp4_snapshot_00.08.592chaiso01-02.mp4_snapshot_00.08.676
chaiso01-02.mp4_snapshot_00.10.136chaiso01-02.mp4_snapshot_00.10.219

きれいに消えていきますね~上妻さんの炎はもっと溜めてから消えるので、
血はもっと速く落下して画面から消えるという感覚なんだろうか




・デンジくんダウン ★
20221013214257

上妻晋作作画(※推測)

いっしゅん踏ん張るが、耐えられず膝が折れる
膝が折れて地面に着くまでの溜めがうまい で、連動して動くデンジの髪の毛
頭まで垂れるタイミングはパッキリと、明らかに再起不能という感じ

ここは後ろのゾンビの動きにも注目
刀を抜いてから、だらあ~っと下がる右腕と頭、肩
身体上半身の脱力感をここまで出せるか





あと、食パン

Bパート明け、デンジ回想シーンの食パンの作画は上手かったですね~


・食パンポチタ
20221013223133

ポチタの飲み込んで、食べる所作、かわいい





以上です。

繰り返しになりますが、本編の演出は、フィルムが緊張していた印象でした。「チェンソーマン」という物語はとても分かりやすく、「欲求と本能」と捉えていますので、その部分が演出されていなかったのはもったいなかったかな~と個人的には思います。「抱かせろ」はもっと猥雑でもいいよね~っていう話。原作の良い下品なところが出てなかったし、画面はあまりにも暗すぎた。

ただ、マアこれからだと思うので、マアそこはかとなく期待していきたい~



────────────────────────────────────────────
↓ブログ継続のために、よろしくお願いします
★ 欲しいものリスト ★

さて、今回は上妻晋作作画について(カミツマとは読みません、コウズマと読みます)。上妻作画、特にエフェクトは、ジャンル分けできないほど個性的である。とにかく、タイミングがとても独特である点が最大の魅力だ。その点に注目して読んでもらいたい。


★神撃のバハムート VIRGIN SOUL 01話(TV/2015)


辺りを伺う龍と煙
20171103154659

ちょうど半分くらいの瞬間に注目。煙がいったん、その場で停滞している。ただ単純に、煙が一定の動きをするのではなく、空気を考慮した結果、こうなっていると思う。

煙/爆発のディテール
57] 52]
06] 17]

煙のディテールは、たいていカゲ1色。煙表面において、大きくしたり小さくしたり、また煙本体と連動させながら動かすことで、煙の動きを表す。炎/爆発時は、カゲとハイライトをそれぞれ使うが、ハイライトに重きを置いている。



龍の立ち上がりと建物の崩壊 ★★
20171103154700

上妻作画は、どうにも言葉にしにくいんですが、やはり時々「止まる/停滞する」。このカットにおいてもそれは顕著に現れていて、建物が崩れた瞬間、龍が口を開けた瞬間に少し止まって/滞留している。とにかく、タイミングがとても独特と思ってもらえれば良い。建物が崩れた後の微妙な間も、地に足が着かない感じの不安定さがある。これで、単純な絵にならないようにしている。




伸びる炎ブレス ★
20171103154702

炎の発生と消滅のタイミングに注目。色は2色+透過光ですかね。上妻作画は、主に球形のフォルムを多用する傾向にある。球形フォルムによって、炎を形どった後、色を白→黄→赤へと変化させる。その変化もパターン化されておらず、「どの瞬間に最も高温であるか」を念頭に作画されている。



炎ブレス2
20171103154703

こちらも同じく。球形を2層に分けて、エフェクトを展開している。前方に透過光で、オレンジの方が後方ですね。消滅するのは、透過光の方が速くて理に適っている。しかし、このタイミング、どう説明したものか…。これだけスッパリと消滅する炎って中々ないのだ、というのも、たいがいは違和感が生じたり、ぎこちなく見えてしまうため。それを違和感なく、やり遂げている。




空中炎ぶわあ ★★
20171103154701

あとは、こういった風にロール状に色を変化させつつ、炎を表現する場合もある。それぞれ違う速度で落下していくのが分かると思う。やっぱり上手いなあ。



20171112030924

スミアを映してから右PAN。これも同様に。右PANしてからの外炎のフォルムも柔らかい。上妻作画というのは、球形の持つ「柔らかさ」と「瞬間さ」を上手く利用しているのかも?



とにもかくにも、独特なタイミングが上妻作画の最大の魅力だ。これは誰にも、模倣することができないと言い切っていい。そういうレベルのタイミングのセンスが上妻作画にはある。

↑このページのトップヘ

©GOMISTATION 2012-2023 All rights reversed